[0.022μF] ギター用コンデンサ の音を調べる ProBucker編 [A500K]

2021年10月25日ギター,モディファイ,ピックアップ,コンデンサ


👆 ギター用コンデンサ の定番 Black candy 0.022uF/630VDC

目次




ギター用コンデンサ の音の違いが気になる!

この手の楽器ブログにおいて、必ずや一度はネタになるのがコンデンサの音の変化です。エレキギターやベース用の電装系では、トーンの調整にコンデンサが用いられています。パッシブの場合ローパスフィルターとして、PUと並列に組み込まれるのが一般的です。

※以下実態配線図は全てサウンドハウスより引用

パーツの配線|サウンドハウス
ST / 0.047μFがローパス

ボリューム操作のハイ落ちを防ぐ場合、ハイパス用コンデンサが直列に組み込まれます。

パーツの配線|サウンドハウス
TL / 0.047μFがローパス、0.001μFがハイパス

取り上げるのはローパスの方で、楽器本体のトーン回路に使われるコンデンサです。コンデンサは誘導体の材質や静電容量、耐圧等の兼ね合いで音の傾向が異なります。

パーツの配線|サウンドハウス
LP / 0.022μFがローパス

故にコンデンサの種類により、トーンの効きが変化するのは想像がつくかもしれません。ところが実際は、トーンを使わない状態(10の状態)でもある程度変化するのが通例です。

トーン10でもコンデンサで音が変わる?

これは楽器用ポットの抵抗値では、完全に絶縁出来ない点が要因の一つとなっています。詳しい説明は省きますが、トーンが10でも極僅かな電流がコンデンサへ流れるのです。コンデンサに電流が流れるとアースに繋がるため、再生される周波数特性が変化します。

👆 Epiphone ProBucker 純正トーン用ポット

その変化は決して大きくはありませんが、こだわる人はとことん追求する沼地です。対照的に興味が沸かない人には、そもそも本当に音が変わるのかすら疑問だと思います。

そこで今回は端子台をギターに組み込み、複数種のコンデンサの音の変化を調べました。用意したのはハムバッカー用に使われる事が多い、0.022μFのコンデンサです。色々な誘導体を用意したので、誘導体による大まかな傾向がつかめると思います。

Epiphone ProBucker 搭載 LPタイプ

調査に使用したギターは、Epiphone ProBuckerを搭載したLPタイプです。ProBucker標準のAカーブ500KΩのポットで、リアの倍音とトーンの可変を見ていきます。

端子台コンデンサテスタの作り方

複数種のコンデンサの変化を調べる場合、ハンダ付けを繰り返すのは少し面倒です。ハンダ付けを用いないで交換が出来るように、コンデンサテスタを予め作成します。

複数種のコンデンサ

用意したのは3極型端子台と、コンデンサのリード線代わりとなる1芯シールド線です。

3極型端子台&1芯シールド線

端子台は横のラインに導通があるため、コンデンサの並列接続を簡単に再現出来ます。

端子台 赤線が導通ライン
赤線が導通ライン

準備は簡単で、片側の端子にシールド線のホットとコールドを接続するだけでOKです。シールド線は適度な長さにカットし、ギターのコンデンサを外して同じ様に接続します。

端子台 1芯シールド線接続

これでコンデンサの足が、ギターの外部の端子台まで伸びた状態と同じになりました。あとは端子台の反対側の端子に好みのコンデンサを接続し、音の変化を調べましょう。

端子台コンデンサテスタ完成図
コンデンサのリードがシールド線に置き換わった状態

この方法はあらゆるコンデンサの配置に適合し、ローパスもハイパスも対応可能です。

取付け例
塗料が痛まないテープで固定してもOK

ギターやベース用コンデンサの選定に役立つので、ぜひ1台は作成してみて下さい。


トーン用コンデンサ無し

まずは手始めに、トーン用コンデンサに何も取付けない音を調べてみます。通常トーン用ポットを設置し、そこにコンデンサを取付けない状態はイレギュラーです。

トーン用コンデンサ無し

常識的に基準となる音ではないのですが、比較対象が無いためこの音を基準としました。トーン用ポットは先述の通り、ProBuckerセット純正のAカーブ500KΩとなっています。

倍音特性

トーン用コンデンサ無し 倍音特性

メーカーサイドが透明感や歯切れの良さを謳う通り、倍音特性は概ね良好な傾向です。非整数倍音があまり大きくなく、突出した奇数次倍音も含まれておりません。

倍音特性波形の周波数目安

左から2つ目の山(中央灰色線)が基音110Hz
偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)……
→ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も
奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)……
→金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き
非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない

周波数特性

トーン用コンデンサ無し 周蓮特性

アルニコ2マグネットなのでローエンドは控えめですが、800Hz以降が良く出ています。

波形の周波数目安(左から順に)

赤線:100Hz,200Hz
橙線:400Hz,800Hz
桃線:2kHz,3kHz,6kHz

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正)

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正) 接続

ProBuckerセットのポットに標準搭載されている、汎用フィルムコンデンサです。Epiphone全体でも使用率が高いため、量産機器向けの安価なタイプだと思われます。

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正)

静電容量実測値:0.02218μF

静電容量中央値:0.02212μF(調査数2)

倍音特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正) 倍音特性

倍音の量自体に大きな変化はないものの、バランスが激変しました。非整数倍音の増幅が目立つため、弾いてみた感触としても若干透明感が減少です。比べないと分からない程度ですが、コンデンサで倍音が変化する事が分かります。

トーン10 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正) トーン10 周波数特性

大まかな波形の形状は同じで、ローが少しだけ出にくくなった模様です。400Hzを境に400Hz以下は減衰、それ以上は増幅傾向となっています。

トーン5 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正) トーン5 周波数特性

Aカーブのポットにつき、トーン5での変化はBカーブよりも控えめです。1kHz付近を起点として、それ以上の周波数帯域が若干減衰傾向となっています。聴覚的にもほんのり輪郭の角が取れ、幾分柔らかな音色に感じました。

トーン0 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 100V 0.022μF Jランク(ProBucker純正) トーン0 周波数特性

限界までトーンを絞ると、600Hz以上の周波数が大幅に減衰です。とりわけ1k~6kHzの減衰が激しく、音の輪郭がぼやけた丸い音に変化します。

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク 接続

80年代のYAMAHAでは、バイサウンドシステム等に使用された銘柄です。松下(今のパナソニック)製の国産品で、静電容量誤差の激しいZランクとなっています。+80~-20%の静電容量誤差ですが、+側の個体は1つも存在しませんでした。静電容量が0.02μF以上のものもほとんど無く、個体差が激しかったです。

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク

静電容量実測値:0.02082μF

静電容量中央値:0.0182μF(調査数200)

倍音特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク 倍音特性

倍音成分が多くなり、高い周波数帯の倍音が増幅傾向にあります。非整数倍音も少な目で、純正のフィルムよりも透明感が強いです。

トーン10 周波数特性

純正フィルムと同等の波形で、コンデンサ無しよりも全体的に微増しています。

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク トーン10 周波数特性

トーン5 周波数特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク トーン5 周波数特性

純正フィルムと比較すると、極僅かに3k~6kの減衰が控えめです。

トーン0 周波数特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Zランク トーン0 周波数特性

純正フィルムとほとんど変化が無く、多少低音が硬質に聞こえる程度に留まりました。

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク 接続

同じく松下製の国産品で、静電容量誤差がKランクとなっています。80年代当時の国産エフェクターでは、特に使用率が高かった銘柄の一つですね。Zランクと比較して個体差が少なく、Jランクに近い中央値となっていました。

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク

静電容量実測値:0.02238μF

静電容量中央値:0.02182μF(調査数163)

倍音特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク 倍音特性

Zランクほど倍音が多くなく、非整数倍音も純正フィルムに近い傾向となっています。しかし低音域側の非整数倍音が少ないため、透明度は純正フィルム以上です。

トーン10 周波数特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク トーン10 周波数特性

Zランクと比較すると3kHz以降が微増し、100Hz以下も若干増加しています。

トーン5 周波数特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク トーン5 周波数特性

Zランクとほぼ変化がありませんが、400Hz以下の帯域が少しだけ強めです。

トーン0 周波数特性

セラミックコンデンサ 50V 0.022μF Kランク トーン0 周波数特性

意外にもトーン0の波形は、純正フィルム、Zランクと大差ありませんでした。

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク 接続

こちらも80年代松下製で、年式と製造元を揃えて比較してみます。Tokai等の電装系に用いられていたため、覚えがある方も多いかもしれません。

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク

静電容量実測値:0.02249μF

静電容量中央値:0.02301μF(調査数100)

倍音特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク 倍音特性

松下製コンデンサの中では、最も非整数倍音が多く計測されました。倍音の多さはZランクの次に多く、~第10倍音付近までの安定感が高いです。

トーン10 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク トーン10 周波数特性

セラミック2種と比較すると、1k~6kの増幅が控えめとなっています。高周波を通しやすいというセラミックの特性が、浮き彫りとなった印象です。

トーン5 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク トーン5 周波数特性

やはりセラミック2種と比べ、1k~6k付近の減衰が僅かに大きくなっています。

トーン0 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 50V 0.022μF Kランク トーン0 周波数特性

トーン0の波形については、これまで全ての波形とほぼ一致した形状です。誘導体の材質に関わらず、トーン0設定では音に影響が少ない事が予想されます。

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク 接続

少しグレードを上げて、東信工業製のメタライズドコンデンサです。通常のポリエステルフィルムよりも、低損失かつ高周波特性に優れます。

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク

静電容量実測値:0.02226μF

静電容量中央値:0.02245μF(調査数200)

倍音特性

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク 倍音特性

非整数倍音が大幅に減少し、倍音量もほどほどに多く計測です。コンデンサ無しよりも非整数倍音が少ないため、透明感は群を抜いています。

トーン10 周波数特性

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク トーン10 周波数特性

Kランクセラミックとほぼ同等で、400Hz以下の帯域は本品の方が強めです。音の変化という点では、これまでの中では最も確実に体感出来ると思います。

トーン5 周波数特性

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク トーン5 周波数特性

トーン5でも変化が大きく、高音域の減衰は純正フィルム相当です。ただし低音域が全く減衰しないため、純正以上に太い音に聞こえます。

トーン0 周波数特性

メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 250V 0.022μF Kランク トーン0 周波数特性

トーン0では本品も大きな変化がなく、低音域が少しだけ強めの程度です。

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク 接続

懐古的な80年代コンデンサが続いたので、近年の銘柄も調べていきます。

コンデンサモディファイとしては王道ともいえる、現行品のVitamin-Qです。他のコンデンサよりも単価が高いため、調査数が少ない点をご容赦下さい。

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク

静電容量実測値:0.02245μF

静電容量中央値:0.02323μF(調査数3)

倍音特性

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク 倍音特性

倍音成分が芳醇で、偶数次倍音と奇数次倍音が綺麗に揃って計測されています。非整数倍音は計測した中では最も少なく、音の透明感は文句なしに最強です。セラミック並の倍音量に、メタライズド以上のクリアな響きを備えています。

トーン10 周波数特性

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク トーン10 周波数特性

トーン特性の波形は、コンデンサ無しの波形とほぼ一致です。全帯域ブーストされる事もカットされる事もなく、素のままの音が再生されます。無個性である反面、コンデンサ無しの純粋な音に近いと言えるかもしれません。

トーン5 周波数特性

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク トーン5 周波数特性

波形はメタライズドに近く、100~300Hzがより強く出力される傾向です。トーンの利きの良さという点でも、一番大きな変化が感じられると思われます。

トーン0 周波数特性

オイルペーパーコンデンサ 630V 0.022μF Mランク トーン0 周波数特性

トーンを完全に絞った状態では、他のコンデンサと大きな差がありませんでした。

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク 接続

それでは最後に、Vitamin-Qに近い音がすると噂された銘柄を調べていきましょう。日立製のチューブラタイプコンデンサで、耐圧は先のVitamin-Qと同じDC630Vです。トーン10の状態の音がオイルコンデンサに近いと、一時期話題になった事があります。

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク

静電容量実測値:0.02162μF

静電容量中央値:0.02126μF(調査数100)

倍音特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク 倍音特性

倍音量自体はそこそこですが、非整数倍音がやや強めの傾向です。それでも第2~第6倍音が基音よりも大きいため、音に立体感が加味されています。

トーン10 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク トーン10 周波数特性

倍音は全く似ていませんでしたが、周波数特性の波形はVitamin-Qとほぼ一致です。100~200Hzは本品の方が強いため、ローエンドはVitamin-Q以上にしっかりしています。トーン10の音がVitamin-Qに近いという噂は、あながち間違いでは無かった様子ですね。

トーン5 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク トーン5 周波数特性

トーン5の音は800Hz付近も弱まるなど、他の銘柄よりも広い帯域に作用します。その分各帯域の減衰率は少なく、柔らかく滑らかな音の輪郭に変化です。ミッドレンジに影響するコンデンサは、計測した中では本品だけでした。

トーン0 周波数特性

ポリエステルフィルムコンデンサ 630V 0.022μF Kランク トーン0 周波数特性

そしてトーンを完全に絞ると、他のコンデンサと同じような波形となります。7銘柄のみの調査ですが、誘導体はトーン0時の影響が小さいと言えるでしょう。トーンが10の状態の音は全ての銘柄で変化を確認し、倍音傾向の変化も顕著です。トーンを使わない場合でも、コンデンサの交換は一定の効果が得られると推察します!

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