【 ピック 音 】 ピックの色による音の違いを調べたよ💖
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目次
ピックの音を変える3要素
ギター用ピックの形や素材、厚さが音に影響を与えるのは割と有名な話ですね。形は撥弦面積の変化が生じるため、アタック感が大きく変化していきます。素材が音に直結するのは勿論の事、手触りが変化するので演奏性にも影響です。厚さは薄い程柔らかくなるため音が小さくなりますが、その分音色が繊細になります。ピッキングニュアンスも変わるので、こちらも演奏性を左右すると言えるでしょう。
ピックはこれら3要素が組み合わさる事で、それぞれ特色の異なる音色を奏でるのです。入手が容易な事もあり、弦と同じくらいピックの音に拘りのある方も多いと思います。
ピックの音を変えるもう一つの要素
実はこれらの3要素以外に、更にもう一つピックの音色を変化させる要素があるのです。多くの方が身をもって体感していると思いますが、それはピックの『色』に他なりません。同じ形、素材、厚さのピックでも、何故か色によって微妙に弾き応えが変わってきます。その変化は軽微な場合もあれば、明らかに音の変化が分かる場合もあるのです。
しかしながら形も素材も厚さも同じため、大半の場合は気のせい程度に捉えると思います。実際は同じ素材の樹脂の場合でも、色によって使用されている着色剤が異なるのです。この着色剤の配合分量の差により、ピックは色の違いでも音に変化が生じます。たかが着色剤の差といえど、素材が違うという観点では上記3要素と同じハズです。
そこで今回は形・素材・厚さの同じピックを集め、色の違いによる変化を計測しました。果たして着色剤により、本当にピックの音が変わるのかをじっくり調べていきます。
検証に使ったピックは6種×2色で12枚!
色の違いによる音の変化を調べるため、用意したピックの枚数は合計12枚です。形、素材、厚さの異なる6種を用意し、さらに6種毎に2色のピックを揃えています。
検証ピック全銘柄 (1段目左端より)
1.PLAYTECH おまけ トライアングル 多分セルロイド オレンジパール 2.PLAYTECH おまけ トライアングル 多分セルロイド 紫 3.ARIA DREADNOUGHT トライアングル ポリアセタール 0.6mm 白 4.ARIA DREADNOUGHT トライアングル ポリアセタール 0.6mm 黒 5.Aria Pro II トライアングル ポリアセタール 0.8mm 黄 6.Aria Pro II トライアングル ポリアセタール 0.8mm 黒 7.Musiclily おまけ ティアドロップ 多分セルロイド Medium 白 8.Musiclily おまけ ティアドロップ 多分セルロイド Medium クリーム 9.Amazonベーシック ティアドロップ ナイロン 0.58mm 紫 10.Amazonベーシック ティアドロップ ナイロン 0.58mm 黒 11.Amazonベーシック ティアドロップ ナイロン 0.71mm 黄緑 12.Amazonベーシック ティアドロップ ナイロン 0.71mm 赤
検証方法について ピック 音
検証する方法はシンプルに、全12枚のピックで同一のフレーズを録音して比較です。最初に全12トラックて合わせての周波数を計測し、中央値を割り出します。その上で1トラックずつ周波数特性を分析して、中央値との差異を調べました。
演奏したフレーズは合計20秒で、全てコードワークのみの構成です。撥弦面積や安定性を考慮し、単音よりもコードの方が検証に適すると判断しています。
測定環境について ピック 音
計測はDIを使用して、インターフェース直結のクリーントーンをラインで収録です。DIとインターフェースはおなじみ、CDI-2PとAG03の組み合わせを採用しています。ギターはBig Blockを搭載したSQUIER Bulletで、使用PUはリアポジションのDP184です。
ケーブルは安価な普及品を使用し、可能な限り音に手を加えないよう配慮しています。ピックの色の違いによる変化が浮彫りになるよう、最適と思われる環境を構築しました。
計測に使用した機材一覧
ギター:SQUIER Bullet Stratocaster Tropical Turquoise ナット:FENDER YJM Brass Nut リアピックアップ:DIMARZIO DP184 WHITE THE CHOPPER ブリッジ:FENDER Standard Strat Big Block Chrome Tremolo Bridge Assembly シールド:Aria Pro II / JG-10X (10ft/3m, S/S)×1 マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P×1 DI:CLASSIC PRO / CDI-2P (INST) インターフェース:YAMAHA / AG03 (CH1,LEVEL:標準ライン,GAIN:3.5,全エフェクト無し,INPUT MIX)
基準となる中央値の周波数特性
上記波形が全12トラックから計測した、基準となる中央値の周波数特性です。クセの無いDP184のサウンド特性が良く出ている、理想的な波形が計測出来ています。中央値を考慮しつつ、各種2色の音の違いを見ていきましょう。
PLAYTECH ピック 音
ギター弦のおまけで付属するピックで、おそらく市販されていません。材質等も不明ですが、触った感触からセルロイドではないかと推測です。形状はスタンダードなトライアングルで、オレンジの方がパール仕上げになっています。
1.トライアングル 多分セルロイド オレンジパール
2.トライアングル 多分セルロイド 紫
中央値との比較では、2色ともやや高音域の倍音が控えめな傾向です。色による違いはほぼ誤差の範囲内で、一見ほとんど違いが無いように思われます。
ところが実はこのピック、1番が0.7mmで2番が0.5mmなのです。つまり厚さ0.2mmの違いがあるにも関わらず、ほとんど差が無いという結果になりました。裏を返せば、色の違いによる差異が厚さに同程度影響する可能性を諮詢しています。
ARIA DREADNOUGHT
ARIAのアコースティックブランドである、ARIA DREADNOUGHTのピックです。べっ甲柄はセルロース採用ですが、白と黒はポリアセタールを採用しています。セルロースよりサラサラした表面に仕上がっており、握り心地がとても良い質感です。
3.トライアングル ポリアセタール 0.6mm 白
4.トライアングル ポリアセタール 0.6mm 黒
いずれのモデルも中央値に近いですが、白の方が高音域が若干控えめとなります。黒は中音域から高音域にかけて伸びしろがあり、音が前に飛ぶ印象ですね。触った感触でも、黒の方がやや硬めの質感となっていました。主観的な感想としては、白よりも黒の方が音も触感も厚みを感じます。
Aria Pro II ピック 音
現在Aria Pro IIの主力ピックとなっている、HYPER TOUCH -Triangle-シリーズです。素材はポリアセタールを採用で、0.8mmと1.0mmが各4色ラインナップされています。淵が著しく消耗しにくい特徴があり、耐久性に非常に優れたピックです。
5.トライアングル ポリアセタール 0.8mm 黄
6.トライアングル ポリアセタール 0.8mm 黒
明らかに黄色の方が触感がしなやかで、ストロークしやすく感じました。周波数特性は黄色が中央値に近いものの、倍音が適度に綺麗に響きます。黒は低音が弱めの代わりに、音がミッドレンジ寄りに集中です。帯域的には黄色の方が整っており、黒の方はゴリっとした音に聞こえると思います。
Musiclily ピック 音
Amazonの激安パーツでおなじみ、Musiclilyのおまけピックです。パーツを購入すると1枚付属するもので、色はランダムで封入されています。素材等は不明ですが、手触り的にセルロイドで間違いありません。樹脂の色が近いケースも気になるため、あえて白とクリームをチョイスしました。
7.ティアドロップ 多分セルロイド Medium 白
8.ティアドロップ 多分セルロイド Medium クリーム
握った感触は微妙ですが、白の方が硬めに感じられます。音の違いは主観でも分かりやすく、明らかにクリームの方が音が弱めです。周波数特性も白は中央値以上なのに対し、クリームは全体的に中央値以下となりました。色が近いからといって、性質が同じ傾向になるとは限らないのかもしれません。
Amazonベーシック 0.58mm
日本でも流通開始となった、Amazonベーシックオリジナルピックです。10枚セットと30枚セットがありますが、30枚の場合は同じ厚さでも2種の色が付属します。そのため今回の検証では、ナイロン素材の30枚セットを採用です。
9.ティアドロップ ナイロン 0.58mm 紫
10.ティアドロップ ナイロン 0.58mm 黒
検証したピックの中では、0.58mmと最も薄いタイプとなっています。その薄さのせいか、いずれの色も中央値よりやや控えめの周波数特性です。ただし色による音の違いは、ハッキリと分かりやすい形で表れました。紫と比較して、黒は中音域から高音域にかけてアドバンテージがあります。これまで調べた2枚の黒ピックも傾向が近いので、黒は低音域以外が強いのかもしれません。
Amazonベーシック 0.71mm
ラストは同じくAmazonベーシックのナイロンピック30枚より、0.71mmの2色です。少しカラフルな色の傾向も調べるべく、黄緑と赤をチョイスしました。ナイロンの質感が独特なので、0.58mmと厚みの差が指に伝わりにくく思います。
11.ティアドロップ ナイロン 0.71mm 黄緑
12.ティアドロップ ナイロン 0.71mm 赤
先の項にて、ナイロンは0.58mmと0.71mmの差が分かりにくい旨を述べました。ですが色による違いはかなり明白で、赤の方が異様に薄っぺらく感じられるのです。厚さを度外視に全12枚中最も手に馴染みにくく、妙にフニャフニャしています。黄緑はしっかりとしたミッドレンジに特徴があるのに、赤は満遍なく中央値以下です。触感・音質共に、厚さが2ランク薄くなった程度の音に相当します。
総評 ピック 音
気のせい程度に感じられた色による音の違いが、想像以上にハッキリと分かりました。赤や黒など、色によっては厚さ以上に明確な差が表れるのが面白いですね。まだまだ継続調査が必要かもしれませんが、ピックは確実に色で音が変化します。ピックを選ぶ際は、色も音に影響を与える重要なファクターになると認識しましょう!