【激枯れ】Seymour Duncan Antiquity Texas Hot Strat レビュー!1950年代手巻きストラトPUを再現!
👆 Seymour Duncan Antiquity Texas Hot Strat レビュー!
目次
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Seymour Duncan Antiquity Texas Hot Strat 現代に蘇る1950年代ストラトキャスターのルックスと甘い音色!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、Antiquity Texas Hot Stratの音質を解析です。Antiquity Texas Hot Stratは、1950年代のストラトキャスターピックアップの復刻を念頭に設計されています。ダンカン製ストラト用シングルコイルでは最も古い年代をテーマとしており、オールドモデルそのままの甘い音色が特徴です。
マグネットは伝統的な手磨きによるカスタム・エイジド・アルニコ2ロッドを搭載し、特殊なデガウス処理が施されています。年式相当に磁力を低下させることで、スパンキーなストラトサウンドのアタックを和らげることに成功です。弦を引っ張る力が弱まるとサスティーンが向上するため、よりナチュラルかつ豊かな倍音を再生可能としています。
外観も拘りが凄まじく、何十年と弾き込まれた『摩耗』をシミュレートしたエイジド加工は見る者を圧倒する出来栄えです。風化したカバーにボビン、ポールピースやスクリューの錆、パラフィンの変色に至るまで徹底的にエイジングされています。
Antiquity The ’50s series について
Antiquity The ’50s seriesが目指しているのは、ロックンロールが誕生した1950年代当時のリアルなサウンドです。各モデルは全て当時と同じマテリアルと製法を遵守し、サンタバーバラの工場にてハンドメイドされています。
工場内には本シリーズ専用のエイジング設備として、そのものズバリな『Antiquity Room』が存在です。具体的な加工方法は企業秘密とされているものの、ゆっくりと長い時間をかけてエイジングされていることが発表されています。
エイジングレベルはAntiquity II The ’60s seriesよりも強烈だよ!
Antiquity Texas Hot Strat 3つのバリエーション!
Antiquity Texas Hot Stratの基本形AQ-TXHOTはオールラウンド仕様につき、全ポジションにマウント可能です。磁極や巻き方向に巻き方も1950年代の製法に倣い、手巻きによるスキャッター・ワインドにて忠実に再現されています。
使用ボビンはブラックのForbon (加硫繊維) で、ワインド前のラッカー塗布は安定化のために欠かせない作業です。配線材は布製プッシュバックリードワイヤーを、巻き上げ後にはランプブラックのパラフィン・ワックスで含浸処理が行われます。
ブリッジ専用Custom Bridgeモデル『AQ-Cus-b』
高めの出力でブリッジマウントのバランスを取りたい場合、Custom BridgeモデルとしてAQ-Cus-bの選択を推奨です。AQ-Cus-bは巻き数がAQ-TXHOTよりも増加しており、出力とミッドレンジが向上しています。
ヴィンテージストラトキャスターの音像を保ちつつ、パワフルな単音のアタックと倍音の響きを両立です。各ピックアップ間の出力バランスが改善されるため、より汎用性の高いサウンドメイクを手助けします。
ミドル向け逆巻き逆磁極仕様モデル『AQ-TXHOT RW/RP』
更にハーフトーンでハムキャンセル効果が必要なプレーヤー向けに、逆巻き逆磁極仕様のAQ-TXHOT RW/RPもラインナップです。ブリッジにAQ-Cus-b、ミドルにAQ-TXHOT RW/RPをマウントする際は、オールラウンド仕様のAQ-TXHOTをネックに使用します。
この辺はAntiquity II Surfer Stratなどと同様で、ネック専用のピックアップモデルが用意されておりません。バランス調整もハムキャンセルも不要ならAQ-TXHOT3基でも問題無く、用途に応じてAQ-TXHOTを空いてるポジションに回しましょう。
エイジド加工無しのAntiquity Retrospec’d Texas Hot Strat もラインナップ!
Antiquityシリーズはそのハードなエイジング感から、使用者や搭載するギターを選ぶピックアップです。新品ピカピカのギターに搭載すると不釣り合いな雰囲気が否めず、シンプルに錆や劣化を敬遠するプレーヤーも多いと思います。
そういったAntiquityの音と性能だけを綺麗な外観で楽しみたい方向けに、エイジド加工無しのAntiquity Retrospec’dも完備です。
Antiquity Retrospec’d Texas Hot Stratは使用素材とサウンドを据え置きのまま、新品と同じカバーやビス類が使用されています。モダンスタイルのギターや真新しいギターに使用する場合などは、Antiquity Retrospec’dを選択するのが無難です。
本記事ではブリッジにAntiquity Texas Hot Strat “Custom Bridge"を搭載し、倍音やゲインによる周波数特性を解析しました!
同じく1950年代を狙ったSSL-1 Vintage Staggered (アルニコ5)を比較対象に、極甘ヴィンテージサウンドの神髄に迫ろう!
比較対象となるSSL-1 Vintage Staggered の音質解析記事はコチラ!
公表データの確認:Seymour Duncan Antiquity Texas Hot Strat
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Antiquity Texas Hot Strat (50s Stratocaster Pickups)
※海外では『Antiquity™ Strat Texas Hot』とStratが頭に来る表記
ブリッジ専用モデル:Antiquity Texas Hot Strat “Custom Bridge"
型番:AQ-Cus-b (Bridge) / AQ-TXHOT RW/RP (Middle/逆巻き逆磁極) / AQ-TXHOT (all-round)
マグネット:アルニコ2 (Custom Aged Alnico II Rods)
アウトプットタイプ:Vintage
ワイヤー:Cloth Push-Back
AQ-Cus-b (Bridge)
直流抵抗値:9.80kΩ
出 力:2.5
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 5 / 高音域 7
AQ-TXHOT RW/RP (Middle/逆巻き逆磁極)
直流抵抗値:6.50kΩ
出 力:1.9
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 3 / 高音域 6
AQ-TXHOT (all-round)
直流抵抗値:6.30kΩ
出 力:1.9
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 3 / 高音域 6
Antiquity Texas Hot Stratの倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通し、Antiquity Texas Hot StratのD3倍音(4弦開放)を解析します。
ダンカン製シングルコイルとしては非整数倍音の少なさが随一で、基音よりも出力の高い倍音を広い帯域で計測です。非整数倍音の平均値はAntiquity II Surfer Stratよりも低く、雑味は皆無と言っても良いほど倍音を美しく際立てています。磁力の低下が如実に反映されている要素となっており、ヴィンテージピックアップ特有の豊かなハーモニーを実感可能です。
ただし同時に基音の出力も低下しているため、ピッキングコントロールで音のメリハリが付けにくい部類のピックアップとなります。高次倍音が計測された帯域(横軸)や出力(縦軸)はSSL-1よりも控えめですが、耳に刺さらぬ柔らかな高音が良い枯れ具合を演出です。
一方400~2kHz付近の低次倍音は高い値を計測し、Antiquity Texas Hot Stratの極甘とも呼べる暖かな中音を決定付けています。
甘く伸びやかな中音と主張し過ぎぬ高音の輝きはテキサス・ブルースの音そのもの!
鋭いアタックを要するカッティング等にはあまり向かないかも……?
SSL-1 Vintage Staggeredの倍音特性 (D3/146.832Hz)
SSL-1は基音と非整数倍音の値が高めですが、高次倍音も広範囲で大きな出力を計測です。ストラトのイメージそのままの明るいサウンドで、壮麗な鈴鳴り(ベルトーン)が味わえます。
ほぼ全帯域でAntiquity Texas Hot Strat以上の出力を記録する反面、非整数倍音の大きさから音程を感じさせぬ空気感を内包です。しかし500~1kHz付近はSSL-1よりもAntiquity Texas Hot Stratの方が出力が高く、相対的に高次倍音が目立ちやすくなっています。
倍音特性波形の周波数目安
低音側を例にすると灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Antiquity Texas Hot Stratのクランチ周波数特性
続いてアンプを軽く歪ませた、クランチサウンドにおける周波数特性を解析です。
Antiquity Texas Hot Stratは300Hzをピークとしつつ、400~3kHzまで平均的に高い値を計測です。無駄な低音はバッサリとカットされており、300Hz以下の帯域は急降下するような波形となっています。
3kHz以降の帯域は緩やかに減衰し、倍音特性の傾向と同じく耳に痛くない滑らかな高音が印象的です。トーンチャートの低音6という設定ほどの威圧感は無く、低中音~中音が強調されやすい周波数特性だと言えます。
高めの値とは言え中音の粒が揃っているため、幾分コンプレッション感のある丸みを帯びたクランチです。抵抗値ほど歪みやすくはありませんが、キメの細かさと良好なサスティーンが上手く両立しています。
SSL-1 Vintage Staggeredのクランチ周波数特性
安定感のある低音とブライトな高音に、400~1.5kHz付近のみギュッと絞られた中音のバランス感が絶妙です。2kHz以降の中高音~高音の歯切れの良さが前面に出ており、空間を突き抜けるようなザクザクの歪みを再生します。
クリーンと歪みでトーンバランスが変化しにくく、瞬時に切り替えても違和感をほとんど覚えない点は王道モデルならではです。5k~6kHzは伸びすぎるほどで、使用ギターやパーツの組み合わせによっては高音が荒ぶらないように調整が必要となります。
Antiquity Texas Hot Stratのオーバードライブ周波数特性
最後にアンプのゲインを上げた、オーバードライブ時の周波数特性を確認です。
深く歪ませるとローエンドの迫力が大幅に増し、暖かな中音の力感に直進性が加味されています。周波数的には300~800Hz付近の値がパワフルで、3kHz前後を境目としてストラトらしさを失わぬ程度に高音が減衰です。
減衰するといっても3kHz以降はクランチ以上に高い値を計測するため、キラっと光が零れるような高音の余韻を奏でます。非整数倍音の少なさから全帯域で余計なノイズが感じられず、重低音から超高音に至るまで透明感溢れるサウンドが絶品です。
SSL-1 Vintage Staggeredのオーバードライブ周波数特性
クリーンやクランチのトーンバランスを保ったまま、より安定感のある低音と伸びやかな高音を計測します。中音はクランチの時以上に絞られており、500~2kHzにかけての谷間のある波形を形成です。
けれども300Hzと3kHzの2か所に発生する同程度のピークに釣られるように、低中音と高中音の一部が大きめの値となっています。故に鋭い高音とタイトな低音を部分的に強い中音が包み込み、鋭さの中に仄かな温もりとウェットさを感じるドライブを構築です。
Antiquity Texas Hot Stratは乾いた高音と中音の力感でヴィンテージサウンドを表現!
SSL-1は部分的に中音を強めて音にニスを塗ったようなヴィンテージ感を出しているよ!
クランチ・オーバードライブ波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Antiquity Texas Hot Strat 音質解析レビュー まとめ
リアルな経年劣化を思わせる貫禄満点の外観に、伝統を重んじた製法とデガウス処理が1950年代の音を堅実に呼び寄せます。エイジングへの執念は並大抵のものではなく、他のヴィンテージ系レプリカモデルの追随を許さぬ完成度です。
乾いた高音の枯れ具合を熱量のある中音が牽引し、甘く蕩けるようなサウンドと確かなサスティーンを生み出します。現実的に入手が難しいヴィンテージストラトキャスターのトーンを、手軽に摩耗込みで手中に収めることが出来るピックアップです!
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Antiquity Texas Hot Strat (エイジド加工)
Antiquity Retrospec’d Texas Hot Strat (エイジド加工無し)
Antiquity Texas Hot set
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