【スラッシュ】Seymour Duncan APH-2 Alnico II Pro Slash スウィート&ワイルドな音!【ダンカンレビュー】
👆 Seymour Duncan APH-2 Alnico II Pro Slash スラッシュシグネチャーモデルの音質を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan APH-2 Alnico II Pro Slash スラッシュシグネチャーのアルニコ2ハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、スラッシュシグネチャー APH-2 Alnico II Pro Slash の音質を解析です。1980年代より同ダンカン製APH-1を愛用しているスラッシュ氏ですが、2010年にGibsonからシグネチャーモデルが発表されています。
APH-2は件の『Slash Appetite For Destruction Les Paul VOS』に搭載すべく、新たに開発されたピックアップです。マグネットにはAPH-1と同じくアルニコ2を採用し、足の長いボトムプレートには直筆のサイン付きイラストが転写されています。
ボビンはロゴ無し仕様となっており、細かいポイントとしてはSH-55と同様に内部のスペーサーが木製です。ワイヤーはシングルコンダクターケーブルを使用するなど、ルックスや仕様は氏の所有するオリジナルAPH-1に準じています。
APH-2 Alnico II Pro Slash 開発の経緯について
当初シグネチャーレスポールのAFDには、1980年代に初めて使用したものと全く同一仕様のAPH-1が搭載される予定でした。AFDはAppetite for Destructionのレコーディング末期に入手(※)した、1959年製レスポールのレプリカ『Derrig ’59』を再現しているのが特徴です。
(※) 正確には当時のマネージャーが発掘してきた
Derrig ’59はKris Derrig氏が手掛けたレプリカの1つで、Appetite for Destruction以降もレコーディングのメイン機となっています。メディアでは度々Derrig ’59を天からの贈り物と公言しており、当時のレコーディングでは完璧な音がしたとまで言わしめる逸品です。
Gibson TV公式動画にDerrig ’59が登場した際は、ブリッジもネックもAPH-1を搭載していることが確認出来ます。しかしGibson Custom Shopが同レプリカを再現したところ、なぜかAPH-1を使用しても共通のトーンが得られませんでした。そこでダンカンはAFDでもDerrig ’59のトーンが得られるように、APH-1を元に再チューニングを施したのがAPH-2なのです。
APH-2はDerrig ’59を再現するワイルドなドライブとスウィートなサスティーン!
スラッシュ氏のサウンドといえばワイルドにクランチする歪みと、甘やかなサスティーンが魅力となっています。相反する音の要素が同居する世界は唯一無二で、APH-2はライブ環境でもDerrig ’59の音が得られる設計です。
👆 APH-2 n&b Alnico II Pro Slash Set Zebra
APH-1とは異なる導線を採用し、コイルターン数にも手が加えられています。標準的なレスポールに使用すると、APH-1を若干ブーストしたようなサウンドです。トーンチャート上ではミッドが向上しており、出力はブリッジが3%、ネックが5%上昇しています。
👆 APH-2b Alnico II Pro Slash Bridge Black
バリエーションはブリッジ用APH-2bとネック用のAPH-2nのみで、トレムバッカー等は用意されておりません。レスポールに搭載することを主としていますが、公式情報ではザグリの合うセミアコへの搭載もOKとのことです。
👆 APH-2n Alnico II Pro Slash Neck Black
本記事ではネック用のAPH-2nを使い、倍音特性やゲインによる周波数特性の変化を解析しました。ギターテックのAce Bergman氏が手掛けるサウンドに近づくべく、スラッシュワールドの秘密を紐解いていきましょう。
記事内では要所でSH-PG1n Pearly Gatesと比較していくよ!
SH-PG1 Pearly Gatesの解析記事はコチラ!
公表データの確認:Seymour Duncan APH-2 Alnico II Pro Slash (スラッシュシグネチャー)
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Alnico II Pro Slash ( Signature Slash Pickups )
型番:APH-2b (Bridge) / APH-2n (Neck)
マグネット:アルニコ2 ( Alnico II Bar)
アウトプットタイプ:Vintage
ワイヤー:1c Braided Shield
APH-2b (Bridge)
直流抵抗値:8.90kΩ
出 力:6.6
トーンチャート:低音域 7 / 中音域 5 / 高音域 8
レゾナントピーク:6kHz
APH-2n (Neck)
直流抵抗値:8.30kΩ
出 力:6.2
トーンチャート:低音域 7 / 中音域 5 / 高音域 8
レゾナントピーク:6.4kHz
APH-2 Alnico II Pro Slashの倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通して、APH-2 Alnico II Pro SlashのD3倍音(4弦開放)を解析です。アルニコ2はその磁力の低さから、弦振動を妨げるストリングプルが弱い傾向にあります。APH-2の自然なサスティーンを裏付けるかのように、全帯域で非整数倍音が控えめです。
とりわけ基音以下の非整数倍音はPearly Gatesや’59 modelより小さく、音の余韻が非常にスッキリとしています。ただし基音と第2倍音、および他の低次倍音間の谷間には、鋭く尖った非整数倍音の山が発生です。この山は歪ませた際に『適度なラフさ』の決め手となり、スラッシュ氏の荒々しいドライブ感を演出してくれます。
偶数次倍音と奇数次倍音のバランスも良く、第5~第15倍音付近は出力の高低差が激しいのがポイントです。中音~中高音にかけて突発的に出力の高い倍音が混ざるため、鼓膜に噛みつくようなバイト感とレスポンスが得られます。ワイルドなアタックとスウィートなサスティーンが両立するのも頷ける、絶妙な倍音特性だと言えるでしょう。
ちなみに高次倍音は出力が同程度なので『高音のみコンプ感がある』のも印象的!
倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
APH-2 Alnico II Pro Slashのクリーン周波数特性
続いて倍音計測と同じセッティングを保ったまま、APH-2 Alnico II Pro Slashの周波数特性を解析です。APH-2はほぼトーンチャート通りの波形を示しており、豊かなローエンドと程よい高音を備えています。
低~中音は300Hz付近に集中しつつ、~2.5kHz付近まではPearly Gates以上の値を計測です。低音に牽引されるように中音が持ち上がるため、同じ中音5設定のPearly Gatesよりも太いトーンが飛び出します。
一方2.5kHz以降は高音8設定の割には控えめで、高音9設定のPearly Gatesとかなり開きがある模様です。聞き比べるとAPH-2の方が高音の丸みが強く、高次倍音のコンプ感と相まって一層甘みの引き立つクリーンを構築しています。
APH-2 Alnico II Pro Slashのオーバードライブ周波数特性
最後にアンプを深く歪ませた、オーバードライブ時の周波数特性を確認です。APH-2はPAF系よりも巻き数が多いからか、歪ませるとレンジがグっと広くなります。クリーンでは控えめだった高音が伸びやかに変化し、Pearly Gatesに迫るほどの勢いです。
2.5k~6kHzはごく僅かにPearly Gatesが上回るものの、6kHz以降の超高音は同等のレベルとなっています。2.5kHz以下の帯域は全てAPH-2に軍配が上がり、音の太さと明るさのバランスが絶妙です。
倍音間に発生する非整数倍音の差から、APH-2はゲインを上げてもアタックに刺さるようなクランチ感が残ります。火花の散るような倍音のPearly Gatesとは対照的で、400Hz付近の中音を押し出す唸り方がパワフルです。それでもサスティーンは鋭いアタックが嘘のように、優しく滑らかなトーンが響き渡ります。
各波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2kHz,3kHz,6kHz
Seymour Duncan APH-2 Alnico II Pro Slash (スラッシュシグネチャー) 音質解析 まとめ
先代のAPH-1 Alnico II Proの特性を継承しつつ、よりスラッシュライクなサウンドが得られるハムバッカーです。特に歪ませた際のチョーキングは真に迫るものがあるため、思わず何時間でも弾き続けたくなる衝動に駆られます。
表現力を後押しするアタックの鋭さとレスポンスの良さも併せ持ち、ハイゲインチューブアンプとの相性も抜群です。ワイルドな歪みとスウィートに伸びるナチュラルサスティーンが、弾き手と聞き手の魂を揺さぶらせる旋律を奏でてくれます!
※おまけの項に続く
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APH-2b Alnico II Pro Slash (Bridge)
APH-2n Alnico II Pro Slash (Neck)
APH-2 n&b Alnico II Pro Slash Set
【おまけ】最新情報 APH-2 Alnico II Pro SlashがSlash 2.0へアップデート!
Seymour Duncanは2023年4月18日付けで、APH-2 Alnico II Pro Slashのアップデートモデル『Slash 2.0』の動画を公開しました。Slash 2.0はAPH-2と同じアルニコ2マグネットを搭載し、より現在のスラッシュ氏のサウンドへ肉薄するハムバッカーです。
変更点はライブパフォーマンスにおける『熱量』を促すべく、コイルターン数がアップしています。トーンチャートもブリッジとネックのポジション毎に、細部まで見直した上で最適化されているとのことです。APH-2と同じ音色と透明感を保ったまま、鼓膜がヤケドするようなパワーを実現しています!
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