Seymour Duncan Cory Wong Clean Machine レビュー:ファンク・プレイ名手の音を徹底解説【ダンカン】
👆 2023年新製品 Seymour Duncan Cory Wong Clean Machine ブリッジ用スタックをレビュー!
目次
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Seymour Duncan Cory Wong Clean Machine コリー・ウォンシグネチャーの音に熱視線!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、 Cory Wong Clean Machine をご紹介です。Cory Wong Clean Machineはファンク・プレイの名手、コリー・ウォン氏のシグネチャーピックアップとなります。
同氏のシグネチャーギター、FENDER CORY WONG STRATOCASTERへの搭載を念頭に開発されたピックアップセットモデルです。本モデル開発前の段階で、コリー・ウォン氏は数百にものぼるピックアップを試してきたことを公言しています。
その中でもAntiquity II Surfer StratやAntiquity Humbucker、Antiquity II Mini Humbuckersなど多数のダンカン製品を愛用です。しかしながらファンクサウンドを追求する氏は、これらのピックアップモデルに+αの要素を欲していました。
Cory Wong Clean Machine はブリッジ用にスタックタイプを採用!
まずコリー・ウォン氏はS-S-Sレイアウトを好む理由として1に見た目、2にハムバッカーではボディザグリの空洞感が伝わる点を挙げています。
そこでブリッジ用にはアルニコ5マグネットのスタックタイプを採用し、ノイズレスかつクリアなサウンドを実現です。加えてスキャッターワウンドとは真逆となる、タイトなワウンドが施されたオーバーワウンドコイルを搭載しています。
これらの要素が重なることでスパンキーなクリーンだけでなく、ウォームで心地良いドライブを創出です。『歌うようなリード』と称される氏のソロフレーズを、クリーンと歪みの両面で強力に後押しする設計が成されています。
FENDERではネック&ミドル用と区別するために『Cory Wong Clean Machine Custom Stack Plus™』と表記しているよ!
Cory Wong Clean Machine のミドル&ネック用はピュアシングルコイル!
ミドルとネックはグレーボビン仕様のピュアシングルコイルとなっており、マグネットにはアルニコ4を抜擢です。ダンカンではあまり使用されないアルニコ4ですが、アルニコ5とアルニコ2の中間的性質を有します。
アルニコ5に近い透明感とアルニコ2のようにナチュラルなサスティーン、突出した帯域の無いトーンバランスが秀逸です。ブリッジ同様にタイトな巻きのオーバーワウンドコイルにて、状況に合わせ多彩なトーンを再生してくれます。
他のダンカン製標準ラインモデルと異なる点としては、ミドル用とネック用はポジション毎にキャリブレーションを実施です。ミドル用は逆巻き逆磁極で設計されているだけでなく、極僅かに低~中音にシフトされたトーンチューニングとなっています。
ネック用はミドル用よりも高音寄りの設定で、巻き数も気持ち控えめです。
ちなみにCory Wong Clean Machineは全ポジション入りの3個セットの他、ポジション毎に単独でも販売されています。
ブリッジ用とネック&ミドル用は別物につき、本記事ではブリッジ用スタックの倍音特性やゲインに応じた周波数特性を解析です。本品はシグネチャーモデル度外視にスタックタイプの新たな選択肢となり得るため、導入前の情報収集にご活用くださいませ。
※コリー・ウォン氏は『SPY×FAMILY』Season 2 エンディング主題歌『トドメの一撃』のギターを担当!(嬉しい)
公表データの確認:Seymour Duncan Cory Wong Clean Machine ブリッジ用スタック
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Cory Wong Clean Machine (Signature Stratocaster Pickups)
アウトプットタイプ:Medium
型番:CORY WONG CLEAN MACHINE-b (Bridge) ※
マグネット:アルニコ5 (Alnico V Rods)
直流抵抗値:14.54kΩ
出 力:3.7
トーンチャート:低音域 7.0 / 中音域 4.0 / 高音域 4.8
ワイヤー:3C Shielded
※FENDERでは同一品のブリッジ用を『Cory Wong Clean Machine Custom Stack Plus』と表記。ただしダンカン公式ではそういった表記を確認出来ず。
型番:CORY WONG CLEAN MACHINE-m RW/RP (Middle/逆巻き逆磁極)
マグネット:アルニコ4 (Alnico IV Rods)
直流抵抗値:7.15kΩ
出 力:1.6
トーンチャート:低音域 5.4 / 中音域 4.1 / 高音域 7.5
ワイヤー:Cloth Push-Back
型番:CORY WONG CLEAN MACHINE-n (Neck)
マグネット:アルニコ4 (Alnico IV Rods)
直流抵抗値:7.05kΩ
出 力:1.6
トーンチャート:低音域 5.3 / 中音域 4.0 / 高音域 7.6
ワイヤー:Cloth Push-Back
Cory Wong Clean Machine ブリッジ用スタック 倍音特性 (C3/130.813Hz)
まずはクリーンにセットしたアンプを通し、CORY WONG CLEAN MACHINE-bのC3倍音(5弦3F)を解析します。
オーバーワウンドコイルらしく、基音の山はすそ幅(横軸)が広く出力(縦軸)も高い値を記録です。第2、第3倍音は基音に迫る出力を計測し、ハムバッカー風のパワフルなアタックと独特のコンプレッションが効いています。
ですが第4倍音以降の倍音は出力が均等にならず上手く散らばっており、技量次第ではダイナミクスを活かしたプレイにも対応です。500~1.5kHz付近の倍音は抑え気味ですが、1.5k~2.5kHz付近の倍音は出力が高く中高音の余韻が鮮やかに響きます。
2.5kHz以降の倍音は緩やかに減衰するため、スタックタイプにありがちな高次倍音のギラっとした主張がほとんど感じられません。ピッキングコントロールにより多彩な表現が可能で、クリアな音だけでなくブルージーな音もこなせる守備範囲に驚くことでしょう。
Clean Machineの名は『極限に透明度を突き詰めたクリーン』というよりも『多種多様なクリーン』の意味合いが強いのかもね!
瞬時に狙ったクリーンを弾き分けるコントロールが難しいので練習あるのみ!
Seymour Duncan Antiquity II Surfer Strat (AQ-2 SF Cus-b) と比較
かつてのメイン『AQ-2 SF Cus-b』はオーバーワウンド仕様のアルニコ5マグネットシングルコイル!
同じ5弦3Fの音でもシグネチャースタックの方が基音の山と各倍音の山のすそ幅が広く、音自体もハムバッカー的な雰囲気を感じるね
各倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音のC3(130.813Hz) 偶数次倍音:第2倍音(261.626Hz)、第4倍音(523.252Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(392.439Hz)、第5倍音(654.065Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Cory Wong Clean Machine ブリッジ用スタック クリーン周波数特性
続いて倍音計測時のセッティングを保ったまま、クリーンの周波数特性を解析です。
同一のピックアップをマウントした場合、一般的にブリッジ用はネック用よりも高音が強く低音が弱く出力される傾向にあります。Cory Wong Clean Machineはマウント箇所による帯域差を均等化すべく、低音を高め&高音を低めに調整しているものと推察です。
ブリッジ用は低音域が7.0と高めの設定とは言え、爆発的に重低音が唸るタイプのピックアップとは異なります。若干スクープ気味の500~1.5kHzをフォーカスしつつ、バランス感溢れるドッシリした低音と穏やかな高音が実に良い塩梅です。
高次倍音が控えめの特性から6kHz以降の高音~超高は伸びませんが、その分帯域的な偏りが無く引き締まった音像を形成します。アンプやエフェクターのトーン補正にも柔軟に対応し、ピック弾きと指弾きの切り替えだけで大きく音色が変化する点にも注目です。
ストラトブリッジPUの『軽さ』が感じられない安定感のあるボトムが絶品!
指弾きでは低音の安定感が一層際立つので深みのあるクリーンを奏でられるよ!
Cory Wong Clean Machine ブリッジ用スタック オーバードライブ周波数特性
最後にアンプを深く歪ませた、オーバードライブ時の周波数特性を確認します。
ゲインを上げると中音のスクープ感が一気に消失し、面白いほどに全帯域が均等になる出力バランスです。クリーン時は目立たなかった高音や超高音も、耳が痛くならない範囲内で脅威的な伸びを記録しています。
ハリのある輪郭を残しながらも歪みの粒は細やかで、チューブライクで暖かみのある自然な飽和感が魅力的です。歪みに『漉し出される』ような滑らかさがあるため、グリッサンドやビブラート時は『鼓膜に染み込む』感触すら覚えます。
ブラッシングと休符を交えた3連カッティング等において、手の腹で弦を叩くような音も違和感無く再現しやすいハズです。
クリーン・オーバードライブ波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
おまけ:何故ブリッジの出力が高めなの?
『少し厚めの太い音でバランスを取りたかった』以上のことは公言されていないからあくまで推測になるけれども……
Duckbuckers Stratのようにミドルとの出力差が激しい場合に得られるファンク・プレイに最適かつ独特のハーフトーンを好んでいるのかもね
セレクターはブリッジ+ミドルに合わせ、Panic Button使用でミドル+ネックに切り替える使い方も多いみたいだよ!(ハーフトーンの瞬時切り替え)
Duckbuckers Strat のハーフトーン解説についてはコチラ!
おまけのおまけ:2年前のインタビュー
日本がどういう場所なのか目にしてみたいし、街中を歩いてどんな音楽シーンがあるのか吸収してみたいと思っているんだ。
引用:Interview|コリー・ウォン世界最高のリズム・ギタリストが理想とするストラトキャスター! _ ギター・マガジンWEB|Guitar magazine
こちらは2年前のインタビュー記事の引用ですが、今年はフジロック2023参戦やアニメ主題歌の担当で日本の音楽シーンでも躍動!今後の活躍にも期待大!
Seymour Duncan Cory Wong Clean Machine ブリッジ用スタック まとめ
マウント箇所による帯域差を均一に整えることにより、優れたトーンバランスを備えたスタックタイプに仕上がっています。ハムバッカー風のアタックとコンプレッションも面白く、従来のスタックタイプよりも多彩なクリーンサウンドを作成可能です。
またクリーン専用モデルのような名称でありながら、キメが細かくハリのある歪みはクリーン以上にトーンバランスが秀でています。コリー・ウォン氏が惚れ込むのも頷ける、あらゆるゲイン設定でスパンキーなトーンが響き渡るピックアップです!
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Cory Wong Clean Machine Bridge
Cory Wong Clean Machine Machine Middle RW/RP
Cory Wong Clean Machine Neck
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