【倍音特盛】Seymour Duncan 78 Modelレビュー!Custom Shop入魂の音がエモい!【ダンカン解析】
👆 Seymour Duncan 78 Model (Custom Shop) のエモエモな音を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan Custom Shop 3モデル解禁!78 Model のエモい音を詳しくレビュー!!
日本では2022年5月31日より、Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) のCustom Shop限定モデルがレギュラーラインで販売開始となりました。これまではCustom Shop経由だった人気モデルが、一般流通で入手可能となったのです。
レギュラーライン化したのは合計3モデルで、いずれも甲乙つけがたい逸品となります。
最も人気が高かった『78 Model』は、いわばCustom Shopの代名詞とも呼べるモデルです。
『High Voltage』はオールドスクールに倣いつつ、よりエネルギーに満ちた和音の重なりと均整の取れたトーンを再現します。
『Green Magic』はGreenieの改名モデルで、ウォーム&クリアなサウンドだけでなく唯一無二のフェイズサウンドも魅力です。
78 Model (元Custom Shop)は人工的に倍音を強化!
78 Model誕生の経緯については、かのエドワード・ヴァン・ヘイレン氏が深く関わっている事でも有名だと思います。
エドワード・ヴァン・ヘイレン氏は人工的な倍音強化を目的として、実験用のPAFをセイモア・ダンカン氏へ直々にリワイヤリングを依頼しました。
この実験の過程で生まれたのが78 Modelであり、通常とは異なる独自のコイルアレンジが施されているのです。
含浸後にあえて熱風を当ててワックスを溶かし、コイルを意図的に緩める実験とかをしていたらしい
製品化した78 ModelはこのリワイヤリングPAFを元に、全て同等のスペックでワイヤリングされています。
マグネットはアルニコ2を採用し、芳醇なハーモニクスと繊細なキャラクターを両立した響きは他のピックアップでは得られません。
アーミングやチョーキング、ビブラートとも非常に相性が良く、揺らがせても尚美しい倍音感を実現するのです。フロイド・ローズ搭載モデルでは、ずばり『 倍音ドバドバ 』と称するに相応しいエモさを発揮します。
78 Model (元Custom Shop) は3種のバリエーションを用意!
Seymour Duncan 78 Modelは他のモデルと同様に、ブリッジ用とネック用を完備です。ブリッジ用の代わりに、弦間をフェンダー系統の0.414インチで設計したトレムバッカーも選択出来ます。
元々が6弦フロイドローズ搭載機への使用を念頭に開発されているためか、現在多弦ギター用モデルは無しです。
78 Modelは型式表記がやや分かりにくく、注文時はこの3種を間違えないように注意して下さい。オプションはボビンカラーや金属カバーの有無など、各モデル6パターンから選べます。
出力と直流抵抗値はネック用、ブリッジ用、トレムバッカーの順に大きくなる設計です。
👆 78 Model Trembucker Nickel Cover
トーンチャートはブリッジとトレムバッカーが共通で、ネック用は若干値が異なります。ネック用は低~中音が絞られており、音の連なりが途切れぬタッピングの実現に一役買う事でしょう。
公表データの確認:Seymour Duncan 78 Model (元Custom Shop)
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:‘78 Model (Vintage Humbucker Pickups)
型番:78 MODEL HB-B (Bridge) / 78 MODEL HB-N (Neck) / 78 MODEL TB (Trembucker)
マグネット:アルニコ2
直流抵抗値:9.0kΩ (B) / 7.9kΩ (N) / 9.1kΩ (T)
アウトプットタイプ:Vintage
出 力:6.9 (B) / 6.3 (N) / 6.8 (T)
トーンチャート (B&T):低音域 7.5 / 中音域 5.0 / 高音域 7.6
トーンチャート (N):低音域 7.2 / 中音域 4.3 / 高音域 7.7
ワイヤー:4芯シールドワイヤー (4c Shielded)
※出力とトーンチャートはまだカタログで公表されていないため、ESPが公開しているTONE PROFILESの横棒グラフから値を逆算
Seymour Duncan 78 Model (元Custom Shop) BridgeとNeckの音質解析データを比較!
さて気になるのは、78 ModelがCustom Shopの中でも抜きんでた人気を誇っていた点です。Custom Shop謹製といえば、その名前だけでも溢れ出るプレミアム感に満ちています。
ましてや大人気モデルとなると、否応なしに『良い音が鳴る』と思い込むかもしれません。
管理人は以前奇抜なルックスの激安ピックアップをレビューする前に、誇大妄想を抱いた事がありました。人間というものは愚かなもので、見た目やネーミングバリューだけで勝手に期待値を爆上げする生き物です。
ダ、ダ、ダ、ダンカンカスタムショップで一番人気のピックアップモデルだとぉ……
こいつぁローノイズかつ倍音も芳醇で、サスティナー並のロングサスティーンは言わずもがな、クリーンはクリスタルトーンで歪ませれば爆音不可避、ズバリ78 Modelがワンセットあれば他に何もいらないと誰しもがそのエモさにひれ伏す、 史上最強のエレキサウンド が飛び出るに違いない!
……といった感じに78 Modelが気になり過ぎるあまり、脳内で『有り得ないレベルの良い音』を想像した人もいるかと存じます。
そこで本記事ではFRT搭載機にブリッジとネック用をマウントし、倍音や周波数特性の違いを調べました。
倍音特性をSeymour Duncan 78 Model (元Custom Shop) BridgeとNeckで比較!
まずはアンプをクリーンにセットした状態で、78 ModelのA2倍音を調べていきましょう。
78 Model Bridgeの倍音特性波形
第2倍音を除いて基音より大きな倍音は存在しませんが、高次倍音が実に芳醇です。設定にもよりますが、一般的なハムバッカーのクリーンは第50倍音付近まで計測されます。
対して78 Model Bridgeは偶数次倍音と奇数次倍音を問わず第80倍音以降も偶計測されており、まさに驚異的な倍音特性です。
人の聴覚では認識出来ない周波数帯も含めると、第146倍音まで計測されています。ただしFRT搭載機の場合は宿命として、非整数倍音も一般的ハムバッカーより強めの傾向です。
基音や各倍音の波形の根本が非常に太く、音程を感じさせない『揺らぎ』が含まれます。純粋に倍音が豊富というよりも、基音や倍音の周波数とその前後の帯域も一緒に強調される印象です。
故にアタック感は控えめで、丸みのある音が空気中に混ざっていく響き方となります。
78 Model Neckの倍音特性波形
78 Model Neckも基本的な倍音傾向は共通で、基音の出力が最大値を計測です。第2倍音以降は緩やかに減衰しつつ、やはり高次倍音が芳醇な傾向となっています。
Neckは第100倍音以降の値がBridgeよりも強く、弾き手も音の束を実感可能です。
その分非整数倍音もBridge以上で、とりわけ基音以下の非整数倍音が強く感じられます。音程を感じさせない成分も含め空気感溢れる音色を構成しており、大吟醸的に音の粒がより丸く磨かれた雰囲気がありますね。
アタックがほとんど強調出来ない反面、アーミングやタッピングの『途切れぬ音伸びの良さ』が段違いです。その暖かく滑らかなリッチトーンは、左手に弦が吸い込まれる錯覚を与える事でしょう。
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷や基音以下の音などに含まれるが音程を感じさせない
【参考】倍音の豊富なNazgûlとの違い
・Nazgûlは基音より出力の大きな倍音が主張しやすいので濃厚ウェットな倍音
・78 Modelは倍音が豊富でも基音が主張するから一瞬ドライだけどサスティーンはミストな倍音
……かな
» 【倍音キング】 Seymour Duncan Nazgûl (ナズグル) はどんな音?
Nazgûlの音質についてはコチラの記事を要チェック!
クリーンの音をSeymour Duncan 78 Model (元Custom Shop) BridgeとNeckで比較!
続いて同じくクリーンセッティングのまま、78 Model BridgeとNeckの周波数特性を比較します。
78 Model Bridgeのクリーン波形
出力も抵抗値も低めの78 Modelですが、強弱によっては幾分歪むような感覚です。例えばSH-1bの明るさと温かみを備えたクリーンは、アタックを強めると高音側が若干歪みます。
片や78 Model Bridgeのクリーンは低~中音寄りに歪みやすい傾向が強く、高音が前に出ないため丸みが強いです。
言い換えるとアタックで高音が一瞬引っ込む感触があり、対照的に低~中音寄りの歪みが目立ちやすくなります。とは言え不細工に潰れる音ではなく、強いアタック時にブリっと唸るといった具合です。
コンプレッションが効いている点も特徴的で、タッピングやアーミング、ビブラートの揺れもたおやかに響きます。高音7以上の鋭さは感じられないため、JB Model (SH-4) のクリーンをより極端な低音寄りにした音に近いですね。
周波数的には低音域は7.5の値通りで、200~300Hz付近で存在感を主張します。低音が他の帯域を牽引している点に音色の暖かみの秘訣があるのか、SH-1bのように極端な谷間となる中音域も無い様子です。
78 Model Neckのクリーン波形
78 Model NeckのクリーンはBridgeと非常に近く、主となる低音の波形が共通しています。
ネックマウントは低音や出力が強くなりやすいため、低音を僅かに下方修正してBridgeとバランスを取っている模様です。決定的な違いは中~高音域となっており、400Hzから4kHzはかなり絞り気味となっています。
加えて高音域は 7.7の設定ですが、周波数的な伸び自体はそれほど強烈ではありません。中音域をバッサリ削る事で、相対的に高音域が目立ちやすくなるチューニングだと言えるでしょう。
音色はBridgeよりも艶やかでクリアな響きとなり、独特のエアー感にツルっとした艶を感じる輪郭が好印象でした。
タッピングや高速パッセージだけでなく、ゆるやかなアーミングやビブラート含むリードもハイエモリティ!
……カッティングやアタックを強調するコードワークに使う場合はクセが強いかもね
オーバードライブの音をSeymour Duncan 78 Model (元Custom Shop) BridgeとNeckで比較!
最後に歪みを深めに設定した状態で、78 Model BridgeとNeckの周波数特性を比較です。
78 Model Bridgeのオーバードライブ波形
クリーン時の波形よりも、明らかに高音域のブースト感が倍増しています。
トーンチャートの設定の通り、高音域7以上の切れ味がレスポンスをアシストです。やや重たいクリーンが嘘のように、鼓膜に食らい付くようなガッツが加わっています。
さりとてアタックは必要以上に目立たず、タッピングやアーミングのコンプレッション感が適度に向上です。特にピッキングハーモニクスでは、絹糸が束になって伸びるような倍音感が心臓を鷲掴みします。
暖かく丸みのある響きがより繊細な歪み質へ変化し、音を揺らす、伸ばす、高速で『紡ぐ』楽しさがアップする事請け合いです。
周波数的には200Hz以下の低音が控えめとなり、200~300Hzがより前面に出やすくなりました。400Hz以降は全面的にクリーン時よりも増幅傾向で、低音も高音もウィークポイントが少なく良い塩梅で鳴っています。
78 Model Neckのオーバードライブ波形
トーンはBridgeほど大きく変化しませんが、波形では高音域がきっちり増幅している事を確認です。中音域を削る事で高音を目立たせていたクリーン以上に、アタックとサスティーンの両面で芳醇な倍音を体感出来ます。
Neckのドライブは、200Hz以下の低音が控えめとなる点がBridgeと共通です。そして400~2kHz付近までは、クリーンの波形からほぼ不変でした。
しかし2kHz以降はクリーンとは比較にならず、程よい明るさを音像に加えています。アタックの歪みがBridgeよりも薄く、コンプレッションの効いたドライブです。
アーミングやビブラート中のサスティーンもムラが少なく、壮麗なクリアさを誇ります。トーンチャートだけを見るとドンシャリな音に思えて、その実はBridgeと同様に欠点の少ないバランスの良い歪みだと感じました。
波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2kHz,3kHz,6kHz
Seymour Duncan 78 Model (元Custom Shop) 音質解析&レビュー まとめ
エレキギターの花形奏法に対し、驚異的親和性を誇るハイエモリティなピックアップです。激しいアーミングや高速タッピング、泣きのロングトーンでは圧倒的倍音とバランスの良い極上のリッチトーンを生み出します。
ボリューム奏法やチョーキングなど、伸びやかさが肝となるプレイにもベストマッチです。フロイド・ローズやビグスビー、ビブラートユニットは勿論のこと、タッピングを多用する場合は非フローティングブリッジでも試す価値があります。
一方パワフルなリズムクランチなどにも合いますが、ジャキジャキした軽めのサウンドや轟音で掻きむしるようなリフは難易度が高めです。ブリッジミュートでザクザクと硬質なアタックを主張したい場合も好みが分かれやすく、リードギターに振り切った特性と言えるかもしれません。
78 Modelは70~80年代のギターヒーロー達が奏でる旋律にウットリするプレーヤーが手にすれば、最高のパフォーマンスとエモさを発揮できる事でしょう!
🧠「うおおおおおおおおおおおお!!!今すぐ Seymour Duncan 78 Model (元Custom Shop) で倍音を支配だあああああああ!!!」
78 Model Bridge
78 Model Neck
78 Model Trembucker
High Voltage & Green Magic も気になる!
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