【2023年新商品】Seymour Duncan Scooped Strat 中音域を抑えて進化するストラト!【ダンカン解析】
👆 2023年新商品 Seymour Duncan Scooped Strat の倍音&周波数特性を解析!
目次
本日もギタいじへようこそ!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!
記事一覧はサイトマップへGO!
» Seymour Duncan ピックアップ 音質解析 一覧
当ブログでは70種以上のダンカン製PUを解析済み!キミの求めている音も見つかるかも!?
👑最新ギターピックアップランキング
Seymour Duncanより2023年国内流通開始の新商品が3モデル登場!
日本では2023年2月1日より、Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) の新製品が流通開始となりました。2022年に海外で先行発売されていた3モデルが、今月から国内でも購入可能となっております。
Scooped Stratは昨今のアンプやエフェクターのトーン傾向に合わせ、中音を削り低音と高音を強調したストラトピックアップです。
Psychedelic Stratは60年代後半のストラトサウンドを目指しており、滑らかなクリーンと輪郭の明瞭なファズサウンドを両立します。
Heavy Weatherは60年代初頭のジャズベースを念頭に開発されたモデルで、粘りのある唸りと芳醇かつクリアな倍音を実現です。
どのモデルも従来のレギュラーラインとは異なる理念で設計されているため、ダンカンマニアの魂を揺さぶる商品揃いだと感じます。
Seymour Duncan Scooped Stratは中音を抑えて低音と高音を強調したストラト用シングルコイルピックアップ!
今回は2023年新商品3モデルの中から、Scooped Stratの音質を解析です。Scooped Stratはテキサスブルースやポップロックなど、ソフトクランチやトレブリーなクリーンに適したモデルとなっております。これらのジャンルはレンジが非常に広いため、各ジャンルの音域に合ったギターを使い分けるのが一般的です。
とは言えステージの規模やプレイスタイルによっては、1台のギターで演奏することを望むプレーヤーも多いと思われます。そこでScooped Stratでは中音を可能な限り削り、低音と高音が目立つようなチューニングを採用です。言わば中音の足し算で音作りをするピックアップで、ミッドレンジに厚みのあるアンプやエフェクターと抜群の相性を誇ります。
ダンカン公式が明言している勝利の方程式は『Scooped Strat + 805 Overdrive = 🔥』だよ!
☆メイプル指板だとなお良し
Scooped Stratは全ポジションキャリブレーション!
Scooped Stratのマグネットはアルニコ5を搭載し、ポールピースの頂点が気持ち高めの設計です。更に各ポジション毎にキャリブレーションされており、出力とトーンが少し異なるのが特徴となっています。
ブリッジは巻き数を上げて出力を高め、高音を僅かに絞ったチューニングです。
ネックは巻き数が少なく出力が低い代わりに、高音を強めたチューニングとなっております。
👆 Scooped ST-m RW/RP (Middle/逆巻き逆磁極)
ミドルは両ポジションの中間的調整の逆巻き逆磁極仕様で、各ポジションセットで搭載する事でハムキャンセル効果が得られます。どのポジションでも高音が籠ることなく、適切な出力でミッドレンジのスクープ感を得ることが可能です。
Scooped Stratはどのくらいミッドが絞られるの?
ここで気になるのは、Scooped Stratに交換することでミッドがどのくらい絞られるのかだと思います。ストラト用シングルコイルの定番モデルであるSSL-1等も、トーンチャート上では中音を絞った特性です。
新商品である以上、Scooped Stratは他のヴィンテージ系シングルコイルとは異なる中音特性を持つと考えられます。そこで本記事ではブリッジ用のScooped ST-bを使用して、倍音と周波数特性を詳しく解析しました。
果たして中音がスクープされたサウンドとは如何ほどのものなのか、じっくりとみていきましょう!
同時発売Psychedelic Stratの解析データはコチラの記事へGO!
公表データの確認:Seymour Duncan Scooped Strat 2023年新商品
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Scooped Strat (Vintage Stratocaster Pickups)
型番:Scooped ST-b (Bridge) / Scooped ST-m RW/RP (Middle/逆巻き逆磁極) / Scooped ST-n (Neck)
マグネット:アルニコ5 (Alnico V Rods)
アウトプットタイプ:Vintage
ワイヤー:Cloth Push-Back
Scooped ST-b (Bridge)
直流抵抗値:7.23kΩ
出 力:2.2
トーンチャート:低音域 5 / 中音域 3 / 高音域 8
Scooped ST-m RW/RP (Middle/逆巻逆磁)
直流抵抗値:6.37kΩ
出 力:1.8
トーンチャート:低音域 5 / 中音域 3 / 高音域 9
Scooped ST-n (Neck)
直流抵抗値:6.13kΩ
出 力:1.7
トーンチャート:低音域 5 / 中音域 3 / 高音域 10
……ちなみに国内では受注生産につき、2023年2月時点でほとんど国内では流通していないよ
……海外では昨年から流通しているので、多分eBay等の方が速く入手出来るかもね
Scooped Strat の倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通して、Scooped StratのD3倍音(4弦開放)を解析です。
ブリッジ用のScooped Stratは高音が8とSSL-1より低く、低音5と中音3はSSL-1と同じ値に設定されています。倍音は広い帯域で計測されていますが、基音と低次倍音の出力が高いため低音のアタック感が強い傾向です。また基音より出力の高い倍音が第2倍音のみで、低次倍音も高次倍音も主張し過ぎぬ味付けとなっています。
出力も適度にバラけているのでコンプレッションが弱く、ダイナミクスを活かしたプレイが可能です。第15~第18倍音、第28~第30倍音に小さなピークがあり、単音でもピンポイントに高音を強調しています。中音に該当する第4~第14倍音は出力が控えめにつき、倍音に関しても中~中高音が絞られた響きであると考えてよさそうです。
中音を絞って低音と高音を強調した設計は倍音でもきちんと再現されているね!
倍音特性波形の周波数目安
低音側を例にすると灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Scooped Strat のクリーン音質 周波数特性
続いて倍音計測時のセッティングを保ったまま、クリーンの周波数特性を解析します。
高音の鋭さを象徴するように、2.5k~5kHzにかけてSSL-1以上の伸びを記録です。5k~13kHzはSSL-1に及ばないものの、Scooped Stratは13kHz以降の超高音も僅かながら計測されています。低音はSSL-1と比較すると安定感が高く、100~300Hzにかけて尻上がりに上昇していくのが印象的です。
一方100Hz以下の重低音はSSL-1の方が強いため、同じ低音5設定でもScooped Stratの方が中音寄りのタイトな音に聞こえます。最も両モデルで異なるのはやはり中音で、400~2kHzにかけてScooped Stratは緩やかな谷間を形成です。なおかつ谷がなだらかなボウル状となっており、イコライザー等による中音補正が容易となっています。
SSL-1の中音の谷は300~1kHzとレンジが狭く、なおかつ谷底がScooped Stratよりも深めです。加えて1k~1.5kHzの値が高いこともあって、中音をブーストすると中高音が目立ち過ぎてしまいます。Scooped Stratのアピールポイントでもある、中音の足し算で音作りがしやすいという特性が浮き彫りとなりました。
SSL-1についてはコチラ!
Scooped Strat のオーバードライブ音質 周波数特性
最後にアンプを深く歪ませた、オーバードライブの周波数特性をみていきましょう。
ゲインを上げると中音の谷底がクリーン時よりも浅くなりますが、おおまかな周波数のバランスに変化はありません。低音は150~300Hzにかけて尻上がりに上昇し、2kHz以降の高音は安定した伸びの良さを計測です。中音は依然として400~2kHzにかけて谷を形成するので、歪ませた状態でも中音の足し算で音作りが可能となっています。
10kHz付近の超高音域にクリーンではなかったピークが発生するなど、光るようなきめ細かさを備えたドライブです。難点としては重低音がクリーンの時以上に目立たなく、ズシンとお腹に響くような音は作成出来ません。フラットなアンプでは中音が前に出ないため、アンプやエフェクターだけでなくキャビやスピーカーの選定も重要となります。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Scooped Strat 2023年新商品 音質解析 まとめ
タイトな低音と煌びやかな高音のストラトサウンドを基本としつつ、中音の補正だけで様々な表情に変化するシングルコイルです。主張し過ぎぬ倍音と広範囲で絞られた中音の設定が絶妙で、クリーンと歪みでトーンが変化しにくい点も好印象となっております。
達人レベルになればアンプとミッドブースターで完結させることも可能につき、システム簡略化による音抜けの向上も狙えそうです。決して万人向きではない上級者向きの設計ですが、音作りの狙いと一致した際は驚くほど進化したサウンドを奏でてくれます!
🏃💨今すぐ 2023年新商品 Seymour Duncan Scooped Strat に挑戦する🎸
Scooped ST-b (Bridge)
Scooped ST-m RW/RP (Middle/逆巻き逆磁極)
Scooped ST-n (Neck)
公式推奨ペダル 805 Overdrive
繰り返すけど方程式は『Scooped Strat + 805 Overdrive = 🔥』
Seymour Duncan ピックアップ 関連記事
ダンカンについてもっと詳しくなりたいならコチラ!ストラト向けヴィンテージ出力ピックアップは下記モデルも要チェック!
» 【2023年新製品】Seymour Duncan Psychedelic Strat 蘇る60年代後半ストラトの音!
1960年代後半のサイケデリック・ギターサウンドを貴方に!
» 【ダンカン】Antiquity Texas Hot Strat 極甘50年代手巻きストラトの音!
見た目も音も1950年代手巻きストラトキャスターピックアップそのもの!
» 【極上鈴鳴りレビュー】Seymour Duncan Antiquity II Surfer Strat 60年代へ時をかけるストラト!
弾き手の心を60年代へ誘う極上ハーモニクス&ハードエイジング!
» 【精密レビュー】Seymour Duncan SSL-1 Vintage Staggered 鈴鳴り音の秘密💖
1950年代のオリジナルストラトキャスターピックアップを再現!
» 【混合アルニコ】Seymour Duncan SSL52-1 ストラトで甘い高音と力強い低音を両立!
アルニコ5とアルニコ2を搭載したてハイブリッド・コンビネーション・マグネット採用モデル!
» 【ST互換】Seymour Duncan SLS-1 Lipstick Tube Strat ストラト型リップスティックの音が知りたい!
ストラトキャスターに搭載可能なサイズのリップスティック!
» 【高音爆伸】Seymour Duncan SVR-1 Vintage Rails Stratの音の特徴を教えて!
スプリットブレード構造とパラレル配線でSSL-1の上を良く高音域の鋭さ!
» 【浪漫満点】Seymour Duncan SDBR-1 Duckbuckers Stratの音を詳しく教えて!
ハーフトーンの鳴りにアクセントをつけたい貴方に捧げる珍モデル!
» 【鈴鳴特許】Seymour Duncan STK-S4 Classic Stack Plus Stratの音が知りたい!
あの鈴鳴りを特許取得技術を活用して超ノイズレスに実現!
👑「他の記事も読んでいってね💖」
激安過ぎてむしろ不安になる奇妙なルックスのピックアップが大集合!
一体どの層に需要があるのか!?どこよりも詳しい圧倒的情報力と分析力で綴る世界一詳しいギターレビュー!
» 安ギターノブ選択会議 指名選手一覧 (※安価なギターノブレビュー)
たまにはリーズナブルで奇妙なフォルムのノブでもいかがかな?
発想の根源が狂っている改造レポートはコチラ!