【Full Shred】Seymour Duncan SH-10 レビュー!高音の鋭さをSH-2と比較検証!【ダンカン解析】
👆 ネック用最強高音候補 Seymour Duncan SH-10 Full Shred をレビュー!
目次
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Seymour Duncan SH-10 Full Shred レビュー!鋭い高音とタイトな低音が織り成す高速レスポンス!!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、SH-10 Full Shred の音質を解析します。SH-10 Full Shredはミディアム出力のコイルに、2列に配した短めのアレンスクリュー・ポールピースを計12本搭載です。
マグネットにはアルニコ5を搭載し、煌びやかな高音と引き締まった低音のバランスを備えます。高音は透明感だけでなく鋭くザクっと爆ぜる弾き応えを併せ持ち、ピッキングレスポンスも高速です。故にハイスピードリフやドロップチューニングでも音が潰れにくく、解像度の高い鮮明なサウンドを演出します。
ネック用はダンカン製ハムバッカー最強の高音候補!
SH-10 Full Shredのバリエーションはブリッジ用SH-10bとネック用SH-10nに加え、トレムバッカーのTB-10を選択可能です。
コイルカラーは原則的にブラックのみで、ホワイトやゼブラ等のコイルカラーは受注生産品となります。ちなみにメタルカバー搭載モデルも受注生産に対応するため、その場合はアレンスクリュー・ポールピースが片側6本のみ露出です。
他の標準カバードハムバッカーと異なるルックスが味わえることもあり、ダンカンの中でも異質な存在感を放っています。その明瞭な響きはダンカン製ネック用ハムバッカー最強の高音と称されることもあり、ハイパワーピックアップとの相性も抜群です。
ブリッジ側はSH-10bで揃えるのは勿論のこと、SH-6やSH-8、SH-15といった高出力ハムバッカーと組み合わせても問題ありません。設定によってはテレキャスターのようなニュアンスも出せるなど、見た目に反し守備範囲の広いモデルに仕上がっています。
SH-10の高音は8設定だけど体感的には9設定のSH-2よりも鋭いよ!
7弦ギター用モデルも完備!
立ち上がりの速さと音が潰れにくい特性を活かし、SH-10 Full Shredは7弦ギター用モデルもラインナップです。こちらはパッシブマウント専用となりますが、深く歪ませた設定でも全ての弦で素晴らしい音の分離の良さを発揮してくれます。
本記事では6弦ネック用から同じく高音が鋭いSH-2 Jazz Modelを比較対象に、SH-10 Full Shredの倍音や周波数特性を解析しました。ネックマウント用としてはあまり候補に挙がらないSH-10の魅力を、改めて見つめ直す契機となれば幸いです。
比較対象となるSH-2 Jazz Modelの解析記事はコチラ!
公表データの確認:Seymour Duncan SH-10 Full Shred
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Full Shred ( Medium Output Humbucker Pickups )
6弦用型番:SH-10b (Bridge) / SH-10n (Neck) / TB-10 (Trembucker)
7弦用型番:SH-10b-7 (Bridge) / SH-10n-7 (Neck)
マグネット:アルニコ5 ( Alnico V Bar )
アウトプットタイプ:Medium (公式資料の年式によってはHigh扱い)
ワイヤー:4c Shielded
推奨ボディ材:バランスの取れたウォームなトーン持つギター全般
推奨指板材:ローズウッド指板
※推奨ボディ&指板材は現在非公開情報
6弦用
直流抵抗値: 14.1kΩ(Bridge) / 7.5kΩ (Neck) / 14.8kΩ (Trembucker)
出 力:8.1 (Bridge) / 6.6 (Neck) / 8.3 (Trembucker)
トーンチャート:低音域 4 / 中音域 4 / 高音域 8
レゾナントピーク:5.50kHz (Bridge/Trembucker) / 8.00kHz (Neck)
7弦用
直流抵抗値:15.9kΩ (Bridge) / 8.5kΩ (Neck)
出 力:8.1 (Bridge) / 6.6 (Neck)
トーンチャート:低音域 4 / 中音域 4 / 高音域 8
SH-10 Full Shred の倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンにセットしたアンプを通し、SH-10 Full ShredのD3倍音を解析です。
SH-10は全帯域で倍音が芳醇で、尚且つ偶数次倍音と奇数次倍音のバランスが整っています。決して偶数次倍音一辺倒ではなく、随所に奇数次倍音が『少し前に出る箇所』が散見するため鋭い音像を形成です。この少し前に出る調整具合が絶妙につき、鼓膜が痛くならない範囲内でザクっとした高音のアタックを再現してくれます。
倍音の出力が上手い具合に揃っていないのでコンプレッション感も薄く、ダイナミクスを活かしたプレイに最適です。ミディアム出力なので基音付近の非整数倍音は大きめですが、1kHz付近の中高音を境目にガクっと非整数倍音が減少します。そのため高次倍音は濁りの無いクリアな響きとなっており、ネック用ハムバッカー最強たる解像度の高さを体感可能です。
特にプレーン弦を素早くダウンストロークした際の『クリアなザクッと感』が絶品!
低音の非整数倍音の大きさは若干癖があるかもね(バズるという意味ではないよ)
SH-2 Jazz Modelの倍音特性 (D3/146.832Hz)
SH-2はSH-10よりも1割程度出力が低いため、基音や倍音の最大出力が幾分控えめとなっています。ですが基音や低次倍音の山のすそ幅が広く、基音付近の非整数倍音はSH-10よりも少ないのが印象的です。アタック時に倍音よりも基音が前に出やすい傾向で、言うのであれば力感を伴うブライトな響きを構築しています。
対照的に800Hz以降は非整数倍音が大きめの値に変化し、SH-10の高次倍音の解像度が際立つ結果となりました。また400~3kHzにかけて倍音の出力が均等につき、中高音から高音にかけてコンプレッション感強めです。シャープな高音か力感のある高音か、この辺の好みが両モデルを選ぶ際の要点になると思います。
倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
SH-10 Full Shred のクリーン周波数特性
続いて倍音計測と同じセッティングを保ったまま、SH-10 Full Shredの周波数特性を解析です。SH-10のトーンチャートはSH-4よりも低音と高音が低く設定されていますが、実測では低音も高音もSH-2以上の値を計測しています。低音は極僅かに200Hz付近の値がSH-2より高めで、100Hz以下の重低音も少しだけ上回っている模様です。
高音は4kHz以降の帯域がSH-2よりもかなり大きい値となっており、クリアな高音の伸びを後押ししています。中音はトーンチャート通り、400Hz付近から2kHz付近の中高音までSH-2よりも大きな値を記録です。低~中音は厚みがあるとまではいきませんが標準的水準を保ち、突出している高音が強調されやすいクリーンだと言えるでしょう。
SH-2 Jazz Modelのクリーン周波数特性
中音を絞ったトレブリーな傾向であるものの、出力差があるためかSH-10よりも優位に立てる帯域がほとんどありません。SH-2がSH-10よりも高い値を示しているのは、2.2k~3.2kHz前後の中高音と高音の境目に該当する帯域のみとなっています。
SH-10と比較しなければ十分明るく煌びやかな反面、トーンチャートを比較した上で聞き比べると高音の余韻がおとなしめです。更に倍音特性由来のコンプレッションが加わり、2.5kHz付近の突出している箇所にも独特の丸みが感じられます。
SH-10 Full Shredのオーバードライブ周波数特性
最後にアンプのゲインを上げた、オーバードライブ時の周波数特性を確認です。深く歪ませた状態では両モデルに劇的な違いはなく、ブラインドテストで聞き分けるのが難しいと思われます。ですがクリーン時よりもトーンチャートに近い音質に変化しているため、歪ませたSH-10の低音はスッキリ引き締まった音像です。
中音は400~1.5Hz付近にかけてSH-2よりも気持ち強めで、差の大きかった2.2k~3.2kHz前後はほぼ同等の出力へと変化しています。高~超高音はSH-10が上手となるのはクリーン時と共通ですが、その差はクリーンの時よりも控えめです。SH-10は6kHz以降も効きが良いので鋭さが失われず、SH-2よりもハイ上がりかつキメの細やかな歪みを形成しています。
SH-2 Jazz Modelのオーバードライブ周波数特性
SH-2の方も低音5と中音3というトーンチャート通りの性能が反映されており、150Hz以下の帯域はSH-10よりもやや高い値を計測です。中音は350~600Hzにかけてデッドポイントが発生し、空洞感のあるハーフトーン的な歪み方を決定付けています。
倍音のコンプレッション感と空洞的な歪みが合わさることで、中音が抜けつつもほのかに丸みを感じるドライブを再生です。高音や超高音は音に艶を与える方向にも作用しているため、丸いのにジャキっと切り込める独自性の高いブライト感を味わえます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan SH-10 Full Shred 音質解析レビュー まとめ
高音8という設定ながらも高音9設定に負けない歯切れの良さと、安定感のある低~中音のバランスに秀でたモデルです。ヴィンテージ系とは対極のクッキリかつブライトな音像、高速スポンス、音の分離の良さが解像度の高いサウンドを実現します。
全12本のアレンスクリュー・ポールピースを調整することにより、各弦の出力バランスやトーンを補正可能な点も魅力的です。クリーンと歪みを問わず高音にクリアさを求める場合や、スピード感を求めるプレーヤーにとっては良い選択肢と成り得ます!
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SH-10b Full Shred (Bridge)
SH-10n Full Shred (Neck)
TB-10 Full Shred (Trembucker)
SH-10-7 Full Shred 7 strings (7弦用)
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