【爆音】Seymour Duncan SH-15 レビュー!Alternative 8はどれくらい強烈な音?【アルニコ8】
👆 Seymour Duncan SH-15 Alternative 8 アルニコ8を搭載した強烈な音質を解析!
目次
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Seymour Duncan SH-15 Alternative 8 鋭い高音と暖かな中音が爆音で飛び出すアルニコ8ハムバッカー!
今回はSeymour Duncan (セイモア・ダンカン) の後発モデルから、暖かさと強力な出力を備えたSH-15 Alternative 8をご紹介です。SH-15 Alternative 8は8の名が示す通り、マグネットにアルニコ8を搭載しています。
アルニコ8はアルニコマグネットの中でも強い磁力を持ち、出力はセラミックに肉薄です。トーンはアルニコ2に近い高音の透明感を備え、暖かな中音がパワフルに唸ります。
更に巻き数を増やしたカスタムコイルを採用することで、セラミックとアルニコの長所を備えたサウンドを実現です。尚且つレゾナントピークはセラミックより低く、中音に焦点を当てたハイパワーハムバッカーに仕上がっています。
SH-15に搭載のアルニコ8は馴染みが薄い?
アルニコ8はアルニコ5や2に比べると、それほど市販モデルの種類が多くありません。
ダンカンでは他にSHPR-2 P-Rails hot、競合ではDiMarzio (ディマジオ) のDP273F Black Satchur8がアルニコ8搭載です。
👆 DiMarzio / DP273F Black Satchur8
1970年代の国内音楽シーンに遡れば、GrecoがEG型番の下位モデルでアルニコ8を使ったMAXON U-1000を採用しています。
👆 MAXON U-1000(と表記される半年前のモデル、ポールピース形状が異なる)
ただし1970年代前半まで、カタログ上では『高性能ハンバッキングピックアップ』と表記されていました。
近年は安ギターパーツ界隈でも、ごく少数ですがアルニコ8ハムバッカーの流通を確認です。現状では選択肢が限られるため、アルニコ8に触れる機会が無いプレーヤーも多いと思われます。
市販のギターではSCHECTER PA-SM/SHに真っ赤なカスタム仕様SH-15が搭載されているよ!
SH-15はトレムバッカーを選択可!
ダンカン製ハイパワーハムバッカーの例に漏れず、SH-15はブリッジマウント専用の設計です。オプションはトレムバッカーのみとなっており、カタログにはSH-15とTB-15が掲載されています。
👆 TB-15 Alternative 8 Trembucker Black
ボビンカラーもブラックとゼブラを除き、金属カバー仕様等は全て受注生産品です。先述のPA-SM/SHに搭載のカスタムカラー仕様は、別途アップチャージが発生します。
交換予定のギターのピックアップがホワイトや金属カバーで統一されている場合、色を揃えるのが難しくなる点にご注意下さい。
気になるのはトーンチャート上では、低音域7、中音域8、高音域9というSH-15のサウンドです。ハイアウトプット系の中ではSH-6以上の特性(低5中8高9)につき、いかにも強烈な音が飛び出すトーン設計に思えます。
そこで本記事はSH-15をブリッジにマウントし、SH-6と比較検証を行いました!
アルニコ8とセラミックの違いがどのような変化を生むのかみていきましょう!
SH-6 Duncan Distortionの音質解析はコチラの記事をチェック!
公表データの確認:Seymour Duncan SH-15 Alternative 8
公表データの確認:Seymour Duncan SH-15 Alternative 8
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Alternative 8 ( Humbucker Pickup )
型番:SH-15 / TB-15 (トレムバッカー)
マグネット:アルニコ8 (Alnico VIII Bar)
直流抵抗値:17.1kΩ / 17.9kΩ (トレムバッカー)
アウトプットタイプ:High
出 力:8.6
トーンチャート:低音域 7 / 中音域 8 / 高音域 9
レゾナントピーク:4.46kHz
ワイヤー:4芯シールドワイヤ― (4c Shielded)
倍音特性 (E2/82.407Hz) をSH-15 Alternative 8とSH-6で比較!
まずはアンプをクリーンに設定した状態で、E2解放弦(E2/82.407Hz)の倍音特性を確認です。
SH-15 Alternative 8の倍音特性
SH-15は低次倍音も高次倍音もバランスが良く、偶数次倍音と奇数次倍音も極端な出力差がありません。加えて全帯域で倍音の出力が適度にバラけているため、ダイナミックレンジが広い傾向にあります。中高~高音の非整数倍音が少ないのも特徴的で、アルニコ2のようなクリアな高音を決定付けている要素です。
対照的に低~中音や基音以下の帯域は非整数倍音が多めに計測され、音程を感じさせぬ重い空気感を内包です。低音域7設計のモデルですが、こういった非整数倍音も低音の強さを構築する要因の一つとなっております。
ピーキーな要素としては基音以上に出力の高い倍音が目立ち、アタックコントロールが高難易度です。出力の高さも相まって、弱くアタックしても倍音が主張して予想よりも音が大きく再生されやすい感触があります。
ちなみに、基音以下の非整数倍音は3kHz以降の高次倍音に迫る出力の高さだよ!
アタックの制御と低音の抜けの良し悪しは、SH-15を語る上で意見が割れる話題なので注意しよう!
※率直に好みの差としか
SH-6の倍音特性
波形の形状がSH-15に近く、両モデルはトーンチャート通りの倍音特性だと言えそうです。低次倍音と高次倍音のバランスに、偶数次倍音と奇数次倍音の出力差も概ねSH-15と同じような値を計測しています。
決定的な違いは非整数倍音が計測されやすい帯域で、SH-15が低音寄りだったのに対しSH-6は高音寄りです。低~中音や基音以下の帯域に関して、SH-6はSH-15よりも非整数倍音が控えめとなっております。
一方600Hz以上の帯域になると、SH-15よりも非整数倍音が多くなる模様です。
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音82.407Hz 偶数次倍音:第2倍音(164.814Hz)、第4倍音(329.628z)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(247.221Hz)、第5倍音(412.035Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
SH-15倍音考察フェーズ
SH-15は……
・全帯域で倍音が芳醇
・低次倍音と高次倍音、偶数次倍音と奇数次倍音、どちらもSH-6に近似した倍音特性
・倍音の出力が良い意味で適度に揃っておらずダイナミックレンジが広い
・基音より出力の高い倍音が多くアタックコントロールが高難易度
・低~中音の非整数倍音が多く低音に重めの空気感を内包
・中高~高音の非整数倍音が控えめで高次倍音はアルニコ2のようにクリア
オーバードライブの音をSH-15 Alternative 8とSH-6で比較!
続いてアンプを深めに歪ませた、オーバードライブ時の周波数特性を比較します。
SH-15 Alternative 8のオーバードライブ音質
2k~3kHzに凄まじいピークを持ちつつ、高音側は超高音域となる15kHz付近まで計測です。低音は150Hz付近に一本芯が通っており、中音も300~400Hzにかけて高い値を誇ります。中音は満遍なく高い値ではなく、500~2kHzにかけて緩やかな谷間を形成です。
この中高音の絞り具合が絶妙で、暖かみを残しつつも高音の鋭さを強調しています。また芳醇な倍音が示す通り、細やかに爆ぜる滑らかな歪み質を実現です。SH-6の輪郭線一回り『濃く』したような、メリハリのあるドライブ感を味わえます。
SH-6のオーバードライブ音質
SH-6はSH-15と中音&高音のトーンチャートが同じですが、全体的に大きく異なる特性です。低音5に中音8という設計から、低音以上に強力なピークを中音に持つドライブを奏でます。最も出力の強い箇所が400Hz前後となっており、400~3kHzにかけてSH-15以上の値を計測です。
200Hz以下の低音はSH-15よりもかなり弱く、押し出すような中音が強調されています。3kHz以降の値は一般的に見れば相当に高い部類で、空気が破裂するような高音の弾け具合です。それでもSH-15には及ばず、オーバードライブ時のSH-15の高音特性の強烈さが浮き彫りとなりました。
ハイゲインの音をSH-15 Alternative 8とSH-6で比較!
最後にアンプを限界まで歪ませた、ハイゲインドライブ時の周波数特性を確認します。
SH-15 Alternative 8のハイゲイン音質
オーバードライブでは緩やかだった中音の谷間が、著しく激しい谷間に変化しています。500Hz付近が顕著に弱くなり、その分中高音のピークが1k~3kHzと広範囲に拡大です。中音が完全に中高音寄りにシフトしているため、鼓膜に切れ込むような高音の鋭さに拍車をかけています。
低音は150Hz付近の一点に集中し、無駄な帯域は全て削がれている心象です。重量感のある低音ではなく、ズシっと瞬発的に響くフレットラップ的な低音が飛び出します。ハイゲインから一歩引いた雰囲気で、無尽蔵にどこまでも歪むようなドライブではありません。
深く歪ませてもオーバードライブ時のメリハリを維持するので、どこか瑞々しさを抱く音質ですね。
SH-6のハイゲイン音質
SH-6はハイゲイン時にセラミックの特性が色濃く反映され、トーンチャートの限界を超えた値を計測します。低音が5で設定されているにも関わらず、100~300HzにかけてSH-15以上の値を計測です。
SH-15と同じく中音は500Hz付近にウィークポイントが発生しますが、SH-6の谷間は浅めとなっています。中高音以降の1k~3kHzはSH-15の方が上手で、3kHz以降の高音はほぼ同等の値です。
各波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2kHz,3kHz,6kHz
SH-15は『アンプに準じた』音色を再現
どちらがハイゲインらしい音質かと問われれば、おそらくSH-6の方が『それらしい音』に聞こえると思われます。SH-15は一歩引いた雰囲気と表現しましたが、SH-6は臆せずにどこまでも歪んでいく傾向です。
つまりSH-15は全帯域で高い周波数特性を記録する反面、一定の歪みを超えると飽和状態になります。SH-6やSH-8、Black Winter等の高出力セラミックハムバッカーは、歪ませるほどにアンプの限界を軽々と越える印象です。
アルニコ8搭載のSH-15はクリーンからハイゲインまで、アンプの性能に準じた音を再現しやすいモデルと言えるでしょう。
歪み過ぎるセラミック系よりもハイゲインアンプと相性が良いとも考えられるね!
Seymour Duncan SH-15 Alternative 8 音質解析 まとめ
高い出力とダイナミックレンジの広さに、透明感のある高音と優れた周波数特性を備えています。倍音も芳醇で耳障りな音になりにくく、使用するアンプや歪みエフェクターの性能を正確に反映しやすいモデルです。
セラミックハムバッカーでは扱いに苦労したハイゲインアンプも、SH-15ならば『必要限度内の歪み』で運用出来ます。メリハリのある音抜けの良いサウンドも秀逸で、太く激しくも清らかなハイパワーハムバッカーです!
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