【改造PAF】Seymour Duncan SH-18レビュー!どれくらい中音の倍音が凄いの?【Whole Lotta ダンカン音質解析】


👆 Seymour Duncan SH-18 Whole Lotta 中音の倍音が凄いと噂の音質を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan SH-18 Whole Lotta Humbucker ファットな中音の倍音で輝くPAFモディファイハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、SH-18 Whole Lotta Humbuckerの音質を解析です。SH-18 Whole Lotta Humbuckerの起源はSeymour Duncan創立より古く、1970年代初頭にまで遡ります。
Seymour Duncanを立ち上げる前のダンカン氏は、ロンドンのフェンダー・サウンドハウスに勤めていました。そこでは親交のあった特別なミュージシャン達(※)のために、PAFのリワインドを行っていたのです。
使用するのは標準的な42ゲージのエナメルワイヤーですが、コイルワインドに独自のパターンを加えています。更にラフキャスト・アルニコ5マグネットをマウントし、豊かな中音の倍音とナチュラルなコンプレッションを実現です。
SH-18 Whole Lotta HumbuckerはこのPAFモディファイハムバッカーを、綿密な記録に基づき忠実に復刻したモデルとなります。

(※)の特別なミュージシャン達についてダンカン公式では……

当時の英国を代表するアーティスト

ヤードバーズがキングだった時代のお気に入りのミュージシャン

と、やんわり言及しているよ!

まあ、ジェフ・ベック氏やジミー・ペイジ氏のことなんだけどね……(大人の事情で明記出来ないらしい)
SH-18 Whole Lotta Humbuckerの出力強化と高音弦バランス改善はSH-1の礎!
SH-18 Whole Lotta Humbuckerは70年代のPAFと比較して、出力と高音のレスポンスが向上です。ダンカン氏の記録によると、特に1弦と2弦のバランス改善が肝だった節が伺えます。故に1弦と2弦の存在感が引き立つように、良好な高次倍音が得られるのが魅力的です。

この細い弦に対する出力バランスの考え方は、Seymour Duncan創立後にSH-1 ’59 modelへ引き継がれていきます。発売時期からSH-18のナンバリングは末席であるものの、エピソードゼロという意味で『SH-0』とも考えられるモデルなのです。
SH-18 Whole Lotta Humbuckerのバリエーションはブリッジ用とネック用のみ!
先述の通り、SH-18の元祖はダンカン氏が手掛けたPAFの改造品 (モディファイ) となります。そのためトレムバッカー等のバリエーションは無く、ブリッジ用SH-18bとネック用SH-18nのみです。

👆 SH-18b Whole Lotta Humbucker Bridge Reverse Zebra
『PAFを外してリワインドして戻す』使い方に倣い、TOMやラップアラウンドブリッジ搭載レスポールに最適な設計となっています。ですがPAF系ハムバッカーを乗せたFRTストラトタイプなど、あえてアンマッチのピッチで使用するのもOKです。

👆 SH-18n Whole Lotta Humbucker Neck Zebra
ESPでは10.8mmピッチのFLICKER-III搭載Tricksterに、SH-18bを標準でセットアップしています。トレムバッカーが『存在しなかった時代の音』を再現する際は、ピッチを『合わせない選択肢』も頭に入れておくと良いでしょう。

本記事ではSH-18の系譜を組むSH-1 ’59 modelと倍音や周波数を比較してみたよ!

SH-18bとSH-1bを例に、両モデルの倍音特性やコンプレッション感の違いに注目!
比較対象となるSH-1b ’59 modelの解析記事はコチラ!
公表データの確認:Seymour Duncan SH-18 Whole Lotta Humbucker
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Whole Lotta Humbucker ( Classic Output Humbucker Pickups )
型番:SH-18b (Bridge) / SH-18n (Neck)
マグネット:アルニコ5 ( Rough Cast Alnico V Bar )
アウトプットタイプ:Vintage
ワイヤー:4c Shielded
直流抵抗値: 8.78kΩ (Bridge) / 8.20kΩ (Neck)
出 力:7.2 (Bridge) / 7.0 (Neck)
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 4 / 高音域 7
レゾナントピーク:6.14kHz (Bridge) / 6.4kHz (Neck)

SH-18 Whole Lotta Humbuckerのクリーン倍音特性 (E2/82.407Hz)
まずはクリーンにセットしたアンプを通し、SH-18 Whole Lotta HumbuckerのE2倍音を解析です。

公式がミッドレンジの倍音をアピールしている通り、中~中高音にかけて高い出力の倍音を計測しています。とりわけ400~2.5kHzにかけて、SH-1よりも大きな値を示しているのが印象的です。
高出力モデルのSH-5やSH-15と比較しても優位に立てるほど、実に濃密な中音を形成しています。倍音が計測された帯域(横軸)もSH-1より広く、高次倍音の出力がかなり上手です。

400Hz以下の低次倍音は適度に出力が揃っているものの、SH-1ほど均等ではありません。そのため過剰なコンプレッション感を排し、アンプライクな音の響きを実現します。

SH-1よりダイナミクスを活かせる反面、高度なピッキングコントロールが求められるよ!
SH-1 ’59 modelのクリーン倍音特性 (E2/82.407Hz)

SH-1は高音にアドバンテージのあるモデルですが、高次倍音自体は控えめの部類です。対して基音や低次倍音は出力は高く、加えて低~中音の出力が均等に揃いやすい傾向があります。

これはSH-18で想定している1弦2弦の太さよりも、更に細い弦を使用した場合でも『PAFに近い音』を再生可能とする設計が所以です。コンプレッションがやや強めに効いているため、ギターのタイプや弦の太さを問わず現代的なPAFサウンドを楽しめます。

SH-1はSH-18の各弦出力バランス改善を『PAFの音を保つ方向』で応用したと考えられるね!
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音82.407Hz 偶数次倍音:第2倍音(164.814Hz)、第4倍音(329.628z)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(247.221Hz)、第5倍音(412.035Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
SH-18 Whole Lotta Humbuckerのクランチ周波数特性
続いてアンプを軽く歪ませた、クランチサウンドにおける周波数特性を解析です。

SH-18は300Hz付近を頂点として、250~400Hzにかけて力感のあるドライブを奏でます。PAFをファットにしたサウンドと称されるのも頷ける、ミッドの塊のような音の芯が秀逸です。
低音も高音もバランスが良く、程よい粘りとコシのあるサウンドが味わえます。高次倍音の芳醇さの割に高音が主張し過ぎず、暖かみが失われにくいのもポイントです。
SH-1 ’59 modelのクランチ周波数特性

SH-1は低次倍音のコンプレッションが影響し、SH-18よりもフラット気味の中音となっています。300Hz前後がピークという点はSH-18と共通であるものの、250~2.5kHz付近まで出力差が大きくありません。
250Hz以下の低音はSH-18とほぼ同等で、3kHz以降の帯域はSH-1の方が高い値を記録です。高音の伸びがアタックの明瞭さを生み出し、暖かくも煌びやかなSH-1のサウンドを決定付けています。
クランチ周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
SH-18 Whole Lotta Humbuckerのオーバードライブ周波数特性
最後にアンプのゲインを上げた、オーバードライブ時の周波数特性を確認です。

波形だけをみると、クランチほど両モデルに劇的な差が無いように感じられます。異なるのは中音におけるピークと、その前後におけるコンプレッションの有無です。
SH-18は300Hz付近を頂点として、150~400Hz付近まで迫力のあるトーンを繰り出します。低音や高音はクリーンやクランチ同様にバランスが良く、文字通り『ホットなPAF』を体現です。

PAF系よりも強化された中音が勢い溢れる歪みを創出!
SH-1 ’59 modelのオーバードライブ周波数特性

一方SH-1は深く歪ませることで、倍音のコンプレッションがより強調されています。200~300Hzにかけて圧縮されたような波形となり、SH-18よりも一歩後退するようなミッドレンジです。
音の中心も350Hz付近に集中するなど、幾分重心の高いシャープな歪み方となっています。100~200Hz付近はSH-18よりもパワフルなローエンドにつき、スクープされた中音が突き抜けるような高音の明瞭さを後押しです。

しかっかりした低音とコンプ感のある中音が高音のクリアな歪みを演出!
周波数特性波形の周波数目安(クランチと同じ)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan SH-18 Whole Lotta Humbucker 音質解析&レビュー まとめ
PAFモディファハムバッカーとして、芳醇な中音の倍音が織り成す太く逞しいサウンドを愛機に注入出来ます。SH-1よりもマイルドなコンプレッションとバランス感は、ナチュラルかつアンプライクな70年代の音そのものです。

ヘッドのMiddle目盛りを10から11へ底上げするようなインパクトは得難く、プレーン弦の力強い唸りが他のPAF系と一線を画します。ジェフ・ベック氏やジミー・ペイジ氏のファンに推せるのは勿論の事、SH-1の礎となる『SH-0の音』に触れられる貴重なモデルです!
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SH-18b Whole Lotta Humbucker (Bridge)
SH-18n Whole Lotta Humbucker (Neck)
SH-18 Whole Lotta Humbucker set (Bridge and Neck)
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