【新商品】Seymour Duncan Slash 2.0レビュー!APH-2の音と何が違うの?【スラッシュの音】
👆 Seymour Duncan Slash 2.0 最新スラッシュシグネチャーモデルの音質を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan Slash 2.0 最新のスラッシュシグネチャーハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、スラッシュ氏の最新シグネチャーモデル Slash 2.0 の音質を解析です。Slash 2.0は初代シグネチャーモデルAPH-2 Alnico II Pro Slashをベースに、更なる出力向上を目指したハムバッカーとなります。
マグネットはAPH-2と同じくアルニコ2を採用ですが、表面を研磨していないラフキャスト仕様に変更です。APH-1とは異なる導線材とワインド方法はAPH-2から据え置きのまま、コイルターン数を増やすことで最大出力が強化されています。
ポジション毎に最適化されたトーンと拡張されたヘッドルーム!
Slash 2.0はポジション毎にキャリブレーションを実施しており、トーンチャートがポジション毎に最適化されているのも特徴です。最大出力はAPH-2と比較してブリッジは約7.5%、ネックは約9.6%も向上させることに成功しています。
基本的なトーンや透明感、独特のバイト感はAPH-2そのままに、ボリュームを上げても潰れにくいヘッドルームを実現です。ギターアンプの設定は一切変更を加えぬまま、APH-2のサウンドを大音量で再生可能とするピックアップだと言えるでしょう。
APH-2ではVintage扱いだったアウトプットタイプがMediumにグレードアップ!
スラッシュシグネチャーモデル 開発経緯のおさらい
ダンカン製ハムバッカーとスラッシュ氏の関係は深く、その関係は1980年代にまで遡ります。スラッシュ氏愛用のギターといえば、多くのファンが1959年製レスポールのレプリカ『Derrig ’59』を思い浮かべるハズです。
伝説の始まりはAPH-1搭載Derrig ’59
Derrig ’59はAppetite for Destructionのレコーディング末期に入手した、Kris Derrig氏謹製のレプリカとなります。該当ギターはブリッジとネックにAPH-1(Alnico II Pro HB)を搭載しており、スラッシュ氏はその独特なトーンと個性を絶賛です。
同アルバムが世界的ヒットを記録したのを契機に、現在に至るまでレコーディング用のメインモデルとして活躍しています。
Derrig ’59の音を再現したAPH-2
ところが2010年頃、Gibsonが氏のシグネチャーモデル『Slash Les Paul Standard』を発表した時のことです。スラッシュ氏とダンカンのエンジニアチームは、APH-1を搭載してもDerrig ’59の音色を再現出来ないことに気が付きました。
そこで限定生産されたSlash Appetite For Destruction Les Paul VOS用に、APH-2を新規に開発することになります。いわば『本家Gibsonが再現する希代のGibsonレプリカモデル』を音色面でも完璧にすべく、APH-1に調整を加えたのがAPH-2(Alnico II Pro Slash)なのです。
ライブシーンで更なる高みを目指すSlash 2.0
そして2023年に登場したSlash 2.0は、スラッシュ氏曰く『Alnico II Proと同じトーンでただ大きいだけ』と評しています。
ライブの会場や音響によって、通常よりも大きな音量が必要となるシーンは多々あるものです。しかし演奏中にアンプのボリュームやトーン、エフェクターのゲインレベルを都度調整するのは困難となります。
故に出力を向上させたSlash 2.0を導入することで、セッティングはそのままに高出力かつパンチの効いたサウンドを具現化です。Slash 2.0はハードロックの代名詞とも呼べるディストーションは勿論のこと、幅広いジャンルに適合する多様性を備えています。
本記事では通常のダンカン解析記事とは趣向を変え、Slash 2.0の『倍音』に焦点を当ててAPH-2と比較検証です。ネック用におけるクリーンとオーバードライブの倍音特性を解析し、どのような違いがあるのかをみていきましょう。
比較対象となるAPH-2 (先代Slash) のレビューはコチラ!
公表データの確認:Seymour Duncan Slash 2.0
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Slash 2.0 ( Signature Slash Pickups )
型番:SLASH 2.0 HB-b (Bridge) / SLASH 2.0 HB-n (Neck)
マグネット:ラフキャスト・アルニコ2 ( Alnico II Bar – Rough Cast )
アウトプットタイプ:Medium
ワイヤー:1c Braided Shield
推奨ボディ材:公表されていないがバランスの取れたトーン持つギター全般、セミホロウボディもOK
推奨指板材:公表されていないがスラッシュ氏のシグネチャーギターは基本ローズウッド指板
※推奨ボディ材及び指板材はAPH-2 Alnico II Pro Slash 準拠
SLASH 2.0 HB-b (Bridge)
直流抵抗値:9.38kΩ
出 力:7.1
トーンチャート:低音域 7.6 / 中音域 5.4 / 高音域 7.4
SLASH 2.0 HB-n (Neck)
直流抵抗値:8.80kΩ
出 力:6.8
トーンチャート:低音域 7.4 / 中音域 5.0 / 高音域 7.8
Slash 2.0 & APH-2 (先代Slash) クリーン倍音特性 (D3/146.832Hz) 比較
まずはクリーンセッティングのアンプを通して、Slash 2.0とAPH-2のD3倍音(4弦開放)を解析します。
アルニコ2は磁力が低いこともあり、APH-2では全体的に非整数倍音が控えめという傾向がありました。SLASH 2.0は出力が1割弱も増加しているためか、その分だけ非整数倍音も増加している模様です。
また出力の高さを裏付けるように、基音の山の波形は横にも縦にも大きな値を計測しています。この基音の出力がAPH-2との決定的な違いで、SLASH 2.0は倍音よりも基音がクッキリと前に出やすいのです。
各倍音間の強弱関係とバイト感の高い再現性
SLASH 2.0の第2~第4倍音まではAPH-2よりも低めの値で目立たず、聴覚的に基音だけが強くなったように聞こえると思います。加えて第4倍音以降は各倍音のピークを線で結ぶと、各倍音間の強弱関係(ピークのアップダウン)がほぼ同等の関係です。
そのため余韻として残る中音域以降の倍音や高次倍音は、APH-2とかなり近い雰囲気を醸し出しています。APH-2の適度なラフさの肝となる、低次倍音間の谷間に発生する鋭く尖った非整数倍音の山も再現です。
中音~中高音にかけて突発的に出力の高い倍音が混ざる点も再現されており、鼓膜に噛みつくようなバイト感が得られます。極めつけに倍音が計測された帯域(横軸)はAPH-2の方が上回るなど、出力が増加しても高次倍音の主張が強くありません。
『ただ大きいだけ』というのも頷けるパワフルな基音を筆頭に、倍音の強弱関係や細部の再現性が光る設計です。
Slash 2.0 & APH-2 (先代Slash) オーバードライブ倍音特性 (D3/146.832Hz) 比較
続いてアンプを深く歪ませた、オーバードライブ時のD3倍音(4弦開放)をみていきましょう。
Slash 2.0は歪ませた状態でも基音の力強さを維持しつつ、中音~中高音にかけて倍音の出力が程よく均等に変化します。低次倍音の出力も微増するためハーモニクス感が良い塩梅で高まり、ナチュラルなコンプレッションとバイト感を内包です。
基音以下の非整数倍音は音程を感じさせぬ重量感に直結し、倍音間の谷間に発生する小さな山も損なわれておりません。歪みながらも輪郭が明瞭で、伸びがあるにも関わらず聞き手に『重さ』を抱かせるスラッシュ氏らしい音が構築されています。
APH-2はボリュームやゲインを上げても基音が前に出にくい
APH-2もクリーン時の倍音の強弱関係を崩さぬまま、Slash 2.0同様に中音~中高音の倍音の出力がほぼ均等です。基音の出力が第2倍音よりも低いという点はクリーン時と変わらず、基音が目立たない分だけSlash 2.0よりもクランチ感が強めに聞こえます。
裏を返すとAPH-2はゲインを上げても基音が前に出にくいため、Slash 2.0以上に歪ませたとしても同じ音は得られない点に注意です。つまりSlash 2.0はAPH-2の音量を大きくしただけのように聞こえて、その実は基音の出力にフォーカスしたモデルだと考えられます。
単純な音量のみであればシンプルにブースター等で解消出来る問題を『あえてピックアップで調整している』のがポイント!
出力増幅デバイスでは得られぬ『余計な歪みと倍音を抑えて基音が前に出るサウンド』がSlash 2.0導入の利点となりそうだね!
倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan Slash 2.0 音質解析&レビュー まとめ
Slash 2.0はAPH-2 Slashのサウンドを色濃く残しつつ、余裕さえ感じる基音の力感が唸るように響くハムバッカーです。出力を強化するだけでは主張が強くなり過ぎる倍音を抑え、変わらぬバイト感とコンプレッションが得られる設計となっています。
APH-2の音量を上げると音が潰れてしまうような場合でも、Slash 2.0であれば十分なヘッドルームを確保可能です。APH-1から続く伝説の軌跡をギターの心臓部から体感出来る、ライブ派ギタリストには嬉しいハムバッカーに仕上がっています!
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