【ST互換】Seymour Duncan SLS-1 レビュー:Lipstick Tube Strat ストラト対応リップスティック解説

👆 Seymour Duncan SLS-1 Lipstick Tube Strat ストラト型リップスティックの音質を解析!

2022年8月10日投稿のSLS-1レビューに倍音特性の解析結果を追記しました!
目次
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Seymour Duncan SLS-1 Lipstick Tube Strat『ストラト互換リップスティック』の音が気になる!
ギタリストたるもの、一度は使ってみたいピックアップといえばリップスティックです。リップスティックはその名の通り、元は口紅ケースを流用したピックアップとなります。

DANELECTROの代名詞として名高く、その洗練されたフォルムは唯一無二の破壊力です。
なんといいますか、
お中元のアサヒスーパードライ350缶に2本だけ混入する500缶のようなルックスが最高としか言いようがりません👍
このクールなデザインに惹かれ、DANELECTROに手を出した方も多い事と思います。

しかし元が口紅ケースなだけあり、オリジナルのリップスティックは横幅が長めです。
年式にもよりますが、使用されているケースの横幅は80~82mm程度となっています。
一般的なストラト用シングルコイルの場合、カバートップの幅が2.75インチです。ミリ換算で約70mmである事を考えると、全長に10mmほどの差があります。
故にリップスティックを単体で入手したとしても、無加工では搭載が難しいのです。とりわけストラトキャスターの場合、ピックガードやザグリの拡張が必須となります。

標準ST用ピックガードのPUホールは、6弦側方向へ拡張が難しい!

……だからブリッジとネックのセンターを『僅かに1弦側へシフトしたピックガード』を作る事になるよ
Seymour Duncan SLS-1は無改造でストラトに搭載可能!
そこで誕生したのが今回ご紹介する、Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) のSLS-1 Lipstick Tube Stratです。SLS-1はダンエレクトロのリップスティックを元に、素材や構造、音を再現しています。
ただしサイズがSTシングル互換で設計されており、ストラトに無加工で搭載可能です。ピックガードにリップスティックを搭載出来るという、浪漫溢れるモデルだと言えます。
具体的な寸法としては、SLS-1のピックアップケースは横幅が2.77インチです。ピックアップ取付け間隔も3.11インチにつき、STシングルサイズとほぼ一致しています。
素材はダンエレクトロ製と同等となっていて、マグネットはアルニコ6を採用です。真空ポッティング処理でハウリングに強く、ワイヤーはシールド線が使用されています。
Seymour Duncan SLS-1は3種のバリエーションを用意!
SLS-1は基本的に搭載箇所を選ばないため、全ポジションにマウント可能です。ただしブリッジの出力を上げたい場合は、別途SLS-1bもラインナップされています。
ハムキャンセル配線が必要ならば、ミドル用にRwRp(逆巻き/逆磁極)仕様も完備です。
他のモデルと異なりネック用モデルは無く、SLS-1nと表記しない点に注意しましょう。本記事ではストラトのネックにSLS-1を搭載し、倍音特性やGAIN設定による周波数特性の変化を調べました。
公表データの確認:Seymour Duncan SLS-1 Lipstick Tube Strat
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Lipstick Tube Strat (Stratocaster Pickups)
型番:SLS-1 (All Position) / SLS-1b (Bridge)
マグネット:アルニコ6
直流抵抗値:3.4kΩ (All Position) / 5.1kΩ (Bridge)
アウトプットタイプ:Vintage
出 力:1.2 (All Position) / 1.9 (Bridge)
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 4 / 高音域 8
レゾナントピーク:9.40kHz
ワイヤー:シールドワイヤー (2c Shielded)
オプション:SLS-1b(ブリッジ向き出力強化型)、SLS-1 RwRp(逆巻き/逆磁極)
推奨ボディ材:アッシュ、アルダー、バスウッドボディ
推奨指板材:ローズウッド指板
※推奨ボディ&指板材は現在非公開情報
Seymour Duncan SLS-1の倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはアンプをクリーンに設定した、SLS-1のD3倍音 (4弦開放) を解析します。ピュアシングルコイルの定番モデルSSL-1と比較すると、基音や第2倍音の出力 (縦軸) が大きく計測されているのが特徴です。

第3倍音以降は出力が控えめとなりますが、高次倍音はSSL-1よりも広い帯域 (横軸) で計測されています。故に倍音の主張は程々で、パーカッシブなアタック感を内包している音の響きだと言えそうです。
倍音特性波形の周波数目安
低音側を例にすると灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
SSL-1のレビューはコチラ!
クリーンのSeymour Duncan SLS-1はこんな音のリップスティック!
続いてクリーンセッティングを保ったまま、SLS-1の周波数特性を解析していきます。外観がメカニカルなので金属的な音を想像しますが、思いのほか低音の芯が強めです。
高音8の設定通りアタックは高い音が出るものの、余韻は低~中音が強く感じられます。鼻を摘まむような音のニュアンスもあり、ネックとミドルのハーフトーンに近いですね。

瞬間的に高音が出た後に、弾力のある粘っこいローミッドが唸ると言った所でしょうか。サスティーンはそれほど明るさが無く、歯切れの良さに反して音はエアー感が溢れます。
独特の面白い響き方は、まさにダンエレクトロサウンドとストラトサウンドの融合です。同ブランド製ピックアップで例えると、SVR-1nの高音を絞ったような音色となります。
SVR-1n参考記事リンク
クランチのSeymour Duncan SLS-1はこんな音のリップスティック!
GAINを上げて軽く歪ませると、低音の唸り感が倍増して潰れたような響きに変貌です。
依然としてアタックの鋭さを保ったまま、硬質な音の塊が直進してくる印象を与えます。高音が透明感を与える雰囲気とは異なり、低音の輪郭の硬さを高音が際立てる歪み方です。

クリーンより中音が絞られるのも特徴で、波形の谷間が中音4の設定を物語っています。
とは言え谷底が1kHz付近となるため、音の太さに影響する400Hz前後は程々に強めです。中音4というよりは中高音4につき、ドンシャリ系の歪みとは別物だとお考え下さい。
サスティーンは300Hz付近に集中し、アタック直後に高音が『消える』感覚があります。とりわけ低音弦側は高音の消失が速く、グリスやスライド時はスローギア的味付けです。
オーバードライブのSeymour Duncan SLS-1はこんな音のリップスティック!
歪みを深くするとジャングリーさが増長し、倍音もやや強めに感じられます。クランチ時の高音が消える感覚は控えめとなり、音の艶がパラっと散らばる体感です。
鼻を摘まんだような響き方も強烈で、ピグノーズのアンプを思い出すかもしれません。音の中心はクランチ同様に300Hz付近ですが、頂点が鋭角的ではない形状となります。

そのためアタックが弱い反面、滑らかな粘りとコンプレッションを感じるドライブです。中高音の谷間はより深く変化しているものの、400Hz付近も同等に底上げされています。
結果的には中高音の谷間よりも、低~中音の太さとコンプ感が上回っている歪み方です。公表値の中音4で軽い歪みを想像していると、歪みの唸りに良い意味で驚くと思います。
各周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan SLS-1 Lipstick Tube Strat ストラト互換リップスティック 音質解析 まとめ
無加工でストラトをリップスティック化出来るという、希少性の高いピックアップです。ルックスは勿論の事、サウンド面でもダンエレクトロのあの音を上手く再現しています。

シャープな歯切れに低~中音の力感、歪ませた際の唸りにSTらしい粘りが良い塩梅です。通常のSTシングルでは得られぬサウンドは、一度ハマると驚異的な中毒性を発揮します!
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Seymour Duncan SLS-1
Seymour Duncan SLS-1b
Seymour Duncan SLS-1 RwRp
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