【スタック最強】Seymour Duncan STK-S9bってどれくらいパワーのある音なの?【ダンカンレビュー】

👆 Seymour Duncan STK-S9b Hot Stack Plus Strat の音質を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan STK-S9b Hot Stack Plus Strat ストラト向けスタックタイプ最強出力の音!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) から、STK-S9b Hot Stack Plus Stratをご紹介です。STK-S9bはブリッジ専用スタックタイプとして、パワーと濃密な中音の倍音を備えています。
そのパワーはStack Plusシリーズ最強を謳っており、アウトプットは同シリーズ唯一のHigh判定です。コードワークでは芯の太いリッチトーンを、ソロフレーズでは抜けの良いサウンドを演出します。
特許取得技術でハムノイズをカット!
Stack Plusシリーズの例に漏れなく、STK-S9bも1980年代に特許を取得したボトムコイルを搭載です。ボトムコイルはマイナスのハムノイズを信号へ送り込む役割を担い、常時ノイズレスなプレイを可能としています。
シングルコイル特有のハムノイズを限界まで減らしつつ、チャイム感を損なわない音色を再現です。STK-S9bはハイパワー系シングルコイルの音色と出力に、ハムバッカー並みのノイズキャンセルを両立しています。
STK-S9bはザグリの深さに注意!
スタックタイプ共通の注意事項ですが、通常のシングルコイルよりもザグリの深さが必要です。STK-S9bはポールピース頂点からコイル底面まで、厚さがおよそ0.850インチで設計されています。
音質面からザグリを浅く掘っているメーカーも多いため、導入前にザグリの確認を推奨です。浅いザグリに無理やり搭載した場合、ピックアップ高を適切に調整出来なくなります。
STK-S9bは最強の割に影が薄い?
STK-S9bはStack Plusシリーズ最強出力という肩書に反し、そこまで普及率が高くありません。加えて現行のカタログやESPの製品ページでは、下記のように紹介されていました。
Stack Plusシリーズの中で最も高出力なSTK-S9b。ブリッジポジション用にホットなアレンジを施しており、力強く倍音豊かなミッドレンジを持っています。
引用:Hot Stack® Plus Strat _ SEYMOUR DUNCAN
これでは率直に申し上げて情報が不足しており、どのような性質のピックアップなのか想像するのが難しいのです(紹介文の文字数が他モデルの半分以下)。そこで本記事では出力の近いSTK-S6を比較対象に、倍音特性やゲインによる周波数特性を解析していきます。

両モデルをブリッジにマウントして各種データを比較検証!

シリーズ最強の名に反して影の薄いSTK-S9bの特徴を詳しく調べたよ!
比較対象となるSTK-S6の音質解析記事はコチラ!
公表データの確認:Seymour Duncan STK-S9b Hot Stack Plus Strat
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Hot Stack Plus Strat (HOT HUM-CANCELLING STRAT PICKUPS)
型番:STK-S9b
マグネット:アルニコ5 (Alnico V Rods)
直流抵抗値:20.3kΩ
アウトプットタイプ:High
出 力:4.4
トーンチャート:低音域 5 / 中音域 7 / 高音域 4
レゾナントピーク:3.23kHz
弦間:0.414インチ (≒10.5mm)
厚み:0.85インチ(≒21.59mm / ポールピース頂点から底面まで)
ワイヤー:3C Shielded
STK-S9bの倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通して、STK-S9bのD3倍音を計測です。

中音の倍音が豊かという長所を裏付けるように、400~1kHz付近で高い倍音の出力を計測しています。低次倍音(第2~第6倍音)に厚みがあり、基音の山のすそ幅も広めなのでパワフルです。
一方高次倍音は控えめとなる傾向で、ギラつくような高音がほとんど含まれておりません。同時に高音側は非整数も大きくありませんが、基音以下の非整数倍音が同シリーズの中では若干高めの値を示します。
故にそのサウンドは音程を感じさせぬ空気感を内包し、底から押し上げられるような力感です。豊かな中音の倍音と低音の非整数倍音が重なり、アウトプットレベル以上にパワーを感じる音色となっています。
STK-S6の倍音特性 (D3/146.832Hz)

基音~第3倍音までは僅かにSTK-S9bより低い値ですが、第7倍音以降は全てSTK-S9bよりも高い値を計測です。
非整数倍音はSTK-S9bとは真逆となっており、基音以下の非整数倍音が少なめで低音はスッキリと引き締まっています。高音側の非整数倍音は大きめの値を示し、適度に伸びのある高音の中で光が反射するような明るさです。
出力設定の近い両モデルですがSTK-S9bは低次倍音の主張が強く、STK-S6は高次倍音が前に出やすいことが分かりました。

高出力型同士を聞き比べるとSTK-S9bはダークなトーンだね!
倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
STK-S9bのクランチ周波数特性
続いてアンプを軽く歪ませた、クランチサウンドにおける周波数特性をみていきます。

STK-S9bの中心周波数は300Hz付近に集中しつつ、1kHz付近まで高い出力を維持します。Hot Stack Plus Stratの名に相応しく、中~中高音が熱量漲るふくよかな歪み方です。ただし400~1kHzの出力が均等になりやすいため、幾分コンプレッション感があります。
中高音は2kHz前後を境に降下していき、高音や超高音はトーン全開の状態でも若干絞ったようなニュアンスです。低音は5設定ですが7設定のSTK-S6より厚みがあり、フルサイズハムバッカーのクランチに肉薄します。
STK-S6のクランチ周波数特性

中心周波数はSTK-S9bと同じく300Hz前後ですが低~中音自体は大人しく、高音が伸びるハイ上がりな波形です。トーンチャート(低7中4高5)の低音と高音を反転させたような周波数特性で、キメの細かい鮮やかなクランチを奏でます。

両モデルは倍音特性がそのまま周波数特性に反映されているね!
STK-S9bのオーバードライブ周波数特性
最後にアンプのゲインを高めに設定した、オーバードライブサウンドの周波数特性をチェックです。

深く歪ませたSTK-S9bはローエンドの迫力が増し、280Hz付近を中心に150~2kHz前後まで高い出力を記録しています。ファットな音の芯を更に低中音と高中音で肉付けしたかのようで、まさにミッドの塊と称すべきゴリっとした質感のドライブです。
2kHz以降の周波数帯は総じて抑え気味となり、重心の低い唸るようなリードトーンを繰り出せます。ギターサウンドとしては非常に美味しいポイントが強化されているため、パンチの効いたストラトサウンドを求める方に最適です。
STK-S6のオーバードライブ周波数特性

クランチ同様に中高音以降の帯域の伸びが良好で、ハイエンドの煌めきに磨きがかかっています。特に3kHz付近はシングルコイル以上の鋭さですが、超高音はある程度フォーカスされている模様です。
ローエンドは依然として低音7設定ほどの厚みが無く、やはりハイ上がりな歪みとなっています。出力差は0.1しかないため最大出力はほぼ同等であるものの、低~中音が強力なSTK-S9bの方がパワフルに聞こえるかもしれません。

最大出力は同等でもローエンドが唸るSTK-S9bの方が『最強っぽい』歪み方だね!

低~中音主体ならSTK-S9b、中高~高音主体ならSTK-S6をチョイスしよう!
クランチ・オーバードライブ波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan STK-S9b Hot Stack Plus Strat 音質解析 レビュー まとめ
Stack Plusシリーズ最強出力のパワーに、濃密な中音の倍音がインパクト満点のチューニングです。強力な中音が低音を牽引するように作用するため、歪ませるほどにローエンドが逞しく進化していきます。

ストラト向けとしては高音が控えめなので、高音の抜けが良いチタンサドル等と組み合わせるのも一興です。特許取得済みのボトムコイルはハイゲイン設定と相性抜群につき、ノイズレスなパワープレイを求めるプレーヤー向きとなっています!
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