アルミネジ をトレモロブリッジに使うとどうなるの?[A5052]
👆 アルミネジ(A5052 / φ3mmなべ小ネジ)
目次
アルミネジ ギターに使って大丈夫?
ギターパーツは形状だけでなく、パーツを構成する素材でも楽しめるのが面白い所です。例えばスチールやブラス、チタンなど、ブリッジサドルは色々な素材が発表されています。
更にサドルはイモネジとオクターブネジの材質も選べるため、探求心を煽るハズです。
ホームセンターではなくネジの専門店では、普段あまり見かけない素材も入手出来ます。国産規格の楽器用ネジ類はφ3mmが主流で、材質はスチールかステンレスが多い印象です。
一応サイズが合えば、その他の材質も搭載すること自体は可能だったりします。しかし強度や電食により、使用する際に問題が出てくる素材もあるのです。
🧠「無理矢理使っちゃえ👍」
イモネジはレンチで調整する関係上、六角穴が歪まないように硬さが必要となります。そのためサイズが小さくなればなるほど、材質の選択肢が少なくなる傾向です。特にアルミは穴が潰れてしまうため、イモネジに使われない素材の1つとなっています。
使えないとなると、無理してでも使ってみたくなるのが人間のサガというものです。アルミはテールピースでは人気が高いため、ネジも気になる方が多いかもしれません。
アルミ製イモネジは存在せずとも、Al-Mg系アルミ合金A5052小ネジは一定数存在します。スチールやブラスよりも軽量な素材につき、使えるのであれば面白そうな話です。無理矢理A5052小ネジをイモネジ代わりに使うとどうなるのか、簡単に試してみました。
※注意
本記事内において、電食については度外視しています(すっかり頭から抜けていました)。異なる金属同士は電位差があるため、水分に触れると電位の低い金属が腐食しやすくなるのです。記事内で詳しい説明は行っておりませんので、電食防止、異種金属接触腐食等のワードでお調べ下さい。
ただし電子弦楽器は構造として、弦と触れるブリッジやペグが既に異種金属となります。楽器メーカーの手掛けるパーツ類も、異種金属の集合体である事が非常に多いです。個人的に、電子楽器は異種金属の集合体と割り切った方が楽しいと考えています。(この考えは一般的に推奨出来ず、また推奨するものでもありません)
外部参考リンク
» 第13話 錆の原因「異種金属接触腐食」を解説 _ NBK【鍋屋バイテック会社】
» ゼマイティス・カスタムショップ「パール・フロント」と「メタル・フロント」の違いは?【エレキギター博士】
※ゼマイティス紹介記事は後半にガルバニック・コロージョン (異種金属間腐食)に関する言及アリ。
色々なネジの材質
A5052ネジを試す前に、ギターで使われる色々な金属素材をチェックです。表記の値は加工方法や検査の仕方で変動するため、メーカーやカタログで異なります。材質で共通の値という訳ではありませんので、全て参考程度にお考え下さい。
鉄(SWCH10R)
引張強さ:440N/mm2以上
硬さ:160HV以下と推測(記載無し)
※冷間圧造用炭素鋼線
ステンレス(SUS304)
引張強さ:520N/mm2
硬さ:200HV
ブラス(C3604)
引張強さ:315N/mm2
硬さ:80HV
純チタン(TW340)
引張強さ:387/mm2
硬さ:144HV
チタン合金(Titanium Grade 5 / Ti-6Al-4V)
引張強さ:957/mm2
硬さ:320HV
※イモネジは1本数百円する高級品
※Creatifinity Partsのアップグレードパーツもグレード5採用
アルミニウム合金(A5052)
引張強さ:195/mm2
硬さ:47HV
アルミネジ を6弦サドルのイモネジと交換する
実際問題として、なべ小ネジをイモネジ代わりに使うのは難しいです。まずは余っているサドルを使って、シミュレーションしてみます。画像は単体のサドルのイモネジを、アルミネジと交換した状態です。
外観の頭の悪さも然る事ながら、ネジ頭が大き過ぎてサドルからはみ出しています。この状態を全6個のサドルで再現すると、適切なピッチを保つ事が出来ません。安ギター向けの10.5mm用サドルでは、左右0.1mmずつネジ頭が干渉するのです。
ピッチが10.7mmに広がってしまうため、搭載不可能となってしまいます。そこで今回は最も張力の高い、6弦サドルのイモネジのみ交換する事にしました。
音出しの前に調整すると……?
弦高調整用のアルミネジを搭載した状態で、とりあえず弦を張ってみましょう。
現在の高さは、8mmのイモネジのネジ頭が飛び出さない高さに揃えた状態です。
6弦の弦高が3mm程度と高いため、弦を緩めて高さの調整を行ってみます。
ところが細かい調整を繰り返す内に、片側のネジが全く動かなくなったのです。あまり力を入れるとネジ頭が潰れそうですが、仕方が無いので力を入れてみます。
結果発表!
そしてアルミネジと同時に、サドルが1つお亡くなりになられました。
A5052は引張強さも硬さも低く、何度も繰り返し稼働させる部位に不向きです。無事に取り出せたもう片方のネジ先端を、未使用のアルミネジと比較してみます。
先端が丸まっているというよりは削れており、消耗が激しかった事が分かるハズです。まして安ギター用のサドルはネジ切りが適当なので、簡単に削れてしまいます。
スチールサドルと同程度の強度ならまだしも、アルミではそこまで耐えられないのです。という訳でA5052ネジを無理矢理搭載した場合、調整段階で使い物にならなくなります。
どうしても アルミネジ を使いたいならば?
使用可能なレベルの耐久性を期待するならば、A7050やA2024等のアルミ合金が必要です。A7050はアルミキャップボルトでは定番で、引張強さも400台後半となっています。楽器用として流通しているアルミボルト類は、この辺の合金ではないかと推察です。
アルミ合金は表記上は全てアルミで統一されているため、少し分かりにくいと思います。そしてA5052よりも割高となるため、遊び感覚では試せないかもしれませんね。ネジを試す際は引張強度や硬さを参考にしつつ、耐久性も考慮してお楽しみください!
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