【ギター音質改善】PRS風にブラスイントネーションスクリューへ交換すると音が良くなる?【オクターブ調整ネジ】

👆 PRS風にブラス製イントネーションスクリューへ交換すると音質が良くなるのか検証!
目次
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ギターブリッジをPRS風にブラス製イントネーションスクリューへ交換すると音が良くなるって本当?
PRS Machined Patented Tremolo(Genシリーズ)は、ギター用トレモロブリッジの究極形態の1つです。該当ブリッジは加工精度が極めて高く、優れたチューニングの安定感を誇ります。
材質にもこだわっており、アーム挿入部のパーツを除き大半がブラス製パーツです。プレートやサスティーンブロック、サドルは勿論のこと、各種ネジ類もブラス製となっています。
ブラスは楽器分野では馴染みの深い金属素材で、金管楽器や打楽器では定番です。ギターやベースではブリッジやペグ、ネックプレートなどに多用されています。とりわけ倍音やサスティーンに与える影響が大きいため、当ブログでも多数のブラス製グレードアップパーツを取り上げてきました。
ブラス製ギターパーツの中でもお手頃なイントネーションスクリューに注目!
しかしながらこのブラスパーツ、標準的保守パーツよりも高額になりやすい傾向です。件のPRS Gen IIについては、2023年5月の時点で7万円以上の価格で流通しています。中級ギターが1本買える価格につき、安ギター使いにとっては簡単に手が出せない商品です。
そこで今回はお手軽カスタムとして、イントネーションスクリューのブラス化をご紹介いたします。PRSではイントネーションスクリューと表記されますが、オクターブ調整ネジと表現した方が分かりやすいかもしれません。
楽器用ブラスパーツは総じて高額であるものの、実は楽器分野外におけるブラス製ネジ自体はそこまで高額ではないのです。数量次第ではかなり安価で入手出来ることもあり、楽器専用パーツに拘りがなければ狙い目となります。
FENDER純正ブリッジのイントネーションスクリューをブラス化して音質変化を比較!
本記事ではFENDER純正ブリッジを使い、イントネーションスクリューのブラス化による音質変化を調べました。用意したのはFENDER Standard Strat Big Blockと、該当ブリッジと同等の長さのブラス製イントネーションスクリューです。
Standard Strat Big Blockはサスティーンブロックを除き、他の部品全てがスチール製となっています。交換前後の音を調べる事で、スチールとブラスの音の違いが明確になるハズです。SquierのSTタイプBulletに搭載して倍音や周波数、サスティーンや音の立ち上がりの変化を見ていきましょう。
計測に使用した機材一覧
ギター:SQUIER / Bullet Stratocaster Tropical Turquoise
ペグ:GOTOH / SG381 STANDARD (SG381-07-L6)
ナット:FENDER / YJM Brass Nut
使用ピックアップ:SQUIER / Standard Single-Coil Strat(フロント純正)
ブリッジ:FENDER / Standard Strat Big Block Chrome Tremolo Bridge Assembly
イントネーションスクリュー:ノーブランド / 真鍮機械ねじ M3x16 mm (ナベ頭 小ねじ)
※ネジのみ交換しイントネーションスプリングはFENDER純正
弦:ERNIE BALL / Super Slinky #2223
使用ピック:Aria Pro II / P-HT01/080 YL
シールド:Aria Pro II / JG-10X (10ft/3m, S/S)×2
マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P×1
誘電塗料:SONIC / SP-01 (2回塗り)

過去に何度も登場しているギターだけど、最近ザグリへ誘電塗料を塗布したばかり

以前よりも若干ハイ落ちして音が硬くなってしまったのが悩み
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倍音特性の比較 (A2/110.00Hz)


倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦のスペクトラムを採用しています。
1.FENDER スチール製イントネーションスクリュー

既に大幅な改造が施されているギターを使用しているため、フロント用としては倍音が豊かです。基音~第3倍音まで出力が同等なので、アタックがクッキリと際立ちます。偶数次倍音と奇数次倍音の割合は半々程度につき、バランス感が良好です。鋭さと温かさがどちらも感じ取れる、典型的なストラトフロントPUの倍音だと言えます。
2.PRS風 ブラス製イントネーションスクリュー

ブラスに交換後は全体的に倍音の出力が向上し、より濃密な音の余韻に変化です。倍音のバランスはやや偶数次倍音寄りとなり、スチールよりも音色に暖かみが加味されています。より高い音域の高次倍音も計測されているため、キラっと輝くようなプレゼンスの利き方です。基音以下の非整数倍音は微増していますが、ブラスパーツ特有の音とも言える『渋み』となっています。

低音の渋みがクリアで煌びやかな高次倍音を引き立てているね!
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性の比較


周波数特性はDI直で同一のフレーズを30秒録音し、それぞれのスペクトラムを比較です。
a.FENDER スチール製イントネーションスクリュー

100~200Hzを中心にローエンドが力強く、音の芯に影響する400~800Hz付近も高い値を計測しています。2k~6kHzもフロントPUとしては伸びが良いため、メリハリの利いたリードトーンを作成可能です。輪郭の際立つ倍音特性も重なって、クリーンでも歪みでもオールラウンドにこなせます。
b.PRS風 ブラス製イントネーションスクリュー

スチールと比較してほぼ全帯域の出力がアップしていますが、高音域の伸びが圧倒的です。アンプを通さずに生音でも変化が分かるほど、ニスを塗ったような明るい高音を奏でます。200Hz以下のローエンドも強化されているので、ハイ上がりにならない安定感が抜群です。ただし高音の主張が強過ぎると感じることもあり、ソフトなアタックコントロールが高難易度となります。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
サスティーン

サスティーンは開放弦Eコードを1ストローク鳴らし、出力が0になるまでの時間を計測しました。交換前のスチールの音伸びを基準となる0とし、ブラス化で±何%音伸びが変化したかを掲載です。ちなみに人力でもデータ精度を上げるため、えげつない回数のストロークを繰り返しています。計測したサスティーンデータを元に、平均%、最小%、最大%の3通りを算出です。
平均:+12.6%
最小:+9.3%
最大:+12.5%
ブラス交換後は出力が向上している点が大きく、大幅にサスティーンがアップしています。マイナスに作用している値が無い反面、周波数特性の高音と同様に伸びが良すぎると感じるかもしれません。音が伸びにくいギターの場合は、有効なサスティーン対策となりそうです。
音の立ち上がり

サスティーンの計測と平行して、音の立ち上がりについても調査しました。交換前の段階で立ち上がりの良いギターでしたが、交換後は平均7ms(0.007秒)ほど速い値を計測しています。体感するのは難しいレベルの微小な変化ではあるものの、ブラス化でマイナスに作用することはないと考えて良さそうです。
注意点

このようにイントネーションスクリューをブラス化するだけで、音質やサスティーンが大きく変化します。金額的にも作業時間的にも手頃な上に、高度なクラフト技術を必要としません。ですが完全無欠の音質改善テクニックという訳ではなく、下記に注意が必要な事項を4つピックアップしました。
異種金属接触腐食
異なる金属同士は電位差があるため、接触している箇所に水分が加わると卑な電位の金属に腐食が発生しやすくなるのです(異種金属接触腐食)。例として液体を通す配管が鉄製の場合、異種金属接触腐食が発生しやすくなるステンレス部品の使用は敬遠されます。電子楽器は水分に触れないことを前提に設計されていますが、手汗や屋外使用時の雨、加湿器等には注意が必要です。

PRS Gen II等がフルブラス構成であるのは、音質面だけでなく異種金属接触腐食への配慮も含まれているとお考えください。ただし市場のギターパーツ類を眺めてみると、電位差を考慮していない設計の商品が圧倒的多数であるのも事実です。ステンレス弦を使用したらスチールブロックがボロボロに腐食した……という話はほとんど耳にしないと思います。

電子弦楽器自体が異種金属の集合体ということもあり、この辺の線引きは設計者間でも意見が割れる要素です。そもそも楽器に腐食が発生する時は使用金属よりも使用環境や保管環境、取り扱い方法の見直しが先決となります。念のため入手性の難しいブリッジや高額なギターへの使用は避け、自己責任でスクリューのブラス化を行いましょう。
インチ規格
交換を実行する以前に注意が必要なポイントとして、インチ規格のブラスネジは入手が困難です。先述の『かなり安価で入手出来る』というのは、ミリ規格のブラスネジに限定されます。

現在台湾Ping Well製造のFENDERブリッジはM3のミリ規格ネジが多いですが、USA製ブリッジは #4-40UNC (ユニファイ) が主流です。ブラス化を試す際は事前に純正イントネーションスクリューの規格を確認し、適合の有無をご判断願います。

ブラスネジはスチールやステンレスより柔らかいので丁寧に取り扱おう!
※わりと簡単に潰れる
効果はギターやパーツ構成で変化
最後に部品交換全般の共通事項として、音質の変化は全てのギターやベースで共通の結果とはなりません。本記事でプレスサドルブリッジのSTタイプを選んだ理由は、試した中で最も音質の変化が大きかったためです。当然ながら効果が分かりやすいギターだけでなく、音質変化が分かりにくいギターや部品の組み合わせもあります。

プレスタイプの軽量なサドルは音質変化が大きくなりやすい等の傾向はあれど、一概にこのように変化するとは断言出来ないのです。本記事と同等の効果が得られる場合でも、演奏スタイルによっては高音やサスティーンの伸び過ぎがマイナスになることもあります。当ブログの検証結果を参考にしつつ、音作りの一環としてイントネーションスクリューのブラス化をお試しください!
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【ギター音質改善】PRS風ブラス製イントネーションスクリュー交換による音質変化 まとめ

・イントネーションスクリューをブラス化すると音が変化する
・全ての帯域で倍音の出力が向上しやすい
・高次倍音が強調された煌びやかな音に変化しやすい
・偶数次倍音寄りの倍音特性に変化しやすい
・基音以下の非整数倍音が微増して低音に独特の渋みが加味されやすい
・低~高音まで特性が向上するが高音は特に伸びやすい
・サスティーンがアップしやすい (軽量なプレスサドルは効果が大きめ)
・音の立ち上がりは若干改善される傾向
・サドルやブリッジがブラス以外の異種金属の場合は水分に注意
・ミリ規格と比較してインチ規格のブラスねじは入手困難
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