Bullfighter D190 レビュー:Amazonで噂のローステッド&デカブロック搭載エレキギター徹底解説&評価
👆 Bullfighter D190 Amazonで買える属性夢盛り安ギターをレビュー!
本記事は2023年11月29日公開の記事をリライトした最新版です!2023年11月に国内へ入荷した初期ロットのBullfighter (ブルファイター) D-190を元にしたレビューと評価内容となります!
Bullfighter (ブルファイター) 製品は生産時期により仕様が変更となる場合が多々あることを他モデルも含めて確認済みです!D-190はボディ材、ブリッジ構成、ピックアップ構成が製造時期により異なるため、予めご了承下さい!
目次
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Bullfighter D190 属性夢盛り安ギターがAmazonで買えるようになったよ!
今回は先日の予告通り、 Bullfighter (ブルファイター) D190 をレビューします。Bullfighter D190は今年5月に開催のMusic Guangzhou 2023にて発表された新モデルで、モダンなデザインが光るSTタイプです。
現在流通している安ギターとは一線を画すド派手なルックスに、同価格帯の常識を覆すマテリアルとパーツが採用されています。
日本では他国に遅れて11月24日より、Amazonの公式ストア『Bullfighter-Japan』にて取扱い開始となったばかりです。そのルックスから通称は『ゴールド バイソン』とのことで、闘牛士の名を冠するブランドらしさがしとどに溢れています。
【ユニークな外観デザイン】Bullfighter D190 ゴールド パイソン エレキギターは、ヴィンテージとモダンな多用途性を組み合わせ、ロック、ブルース、ジャズ、インディー、その他のジャンルに合わせてパワフルでクリアなトーンを幅広く提供します。
引用:Amazon _ Bullfighterエレキギター (D-190)
Amazonの海外ブランドらしさも忘れておらず、肝心の商品説明で『ゴールド パイソン』と誤字っているのが最高ですね。
Bullfighter D190 は小見出しに書ききれない程のドリーム仕様!
それはさておき Bullfighter D190 の仕様はメガ盛りを超える夢盛り状態で、独自性の高さを感じる構成となっております。先の誤字と並びAmazonの商品説明では仕様が分かりにくい箇所が多いため、公式サイトに掲載の情報準拠でご紹介です。
ネックはローステッド加工のカナディアンメイプル、ボディには同じくアルダーが使用されています (注:初期ロット、現行ロットはバスウッドの場合有り) 。ネックもボディも『ヴィンテージカラー』と表記があるため、純粋なフレイムではなく手が加えられているものと推察です。
仕上げはコテコテのグロスフィニッシュで、艶を抑えたゴールドアノダイズドピックガードとのコントラストが映えています。ペグは標準でロック式を搭載し、モダン仕様STの肝ともいえるブリッジはデカブロックを装備した2点支持タイプです。
オリジナルピックアップのBF-19 S-S-H setは上々の出力バランスを備え、ブリッジハムバッカーがコイルタップに対応しています。ネックエンドに露出したホイールナット式ロッドも利便性が高く、ギグバッグを含めた付属品類も充実です。
果たしてこの価格でこれほどの仕様を詰め込んだギターの実力は如何ほどなのか、じっくりと細部までみていきましょう。
開封の儀:Bullfighter D190 Amazonで買える属性夢盛り安ギター
2023年11月の段階では、Bullfighter関連ブランド商品全品がプライム配送に対応しています。プライム配送に対応している場合は国内倉庫に在庫が確保されており、注文日の翌日~翌々日には商品が到着するハズです。
ただし在庫状況や販売状況により発送方法と送料が異なるため、購入前に必ず『出荷元』を確認願います。出荷元がAmazonの場合は国内から、Hunan HuaYue Musical Instrument Co.,Ltdとなっている場合は海外からの発送です。
管理人の個体は何故か姉妹ブランド『minsine』の箱が使用されていますが、中身はきちんとBullfighter D190となっていました。段ボールの中ではギター本体がギグバッグに収納されており、付属品一式は別途チャック付き袋にまとめられています。
内部に緩衝材の類は一切使用されておらず、いささか輸送時の耐衝撃性が低そうです。そこまで衝撃や振動に配慮されていない梱包につき、到着後はすぐに外傷の有無を確認しましょう。
幸い管理人の個体は輸送時起因と思しき傷等は無く、外観の違いこそあれど付属品の欠品もありませんでした。
付属品
[セット内容] 写真のような製品一式。ギター本体・本体用ソフトケース・シールドケーブル・ストラップ・ピック3枚・チューナー・ギターの弦。
引用:Amazon _ Bullfighterエレキギター (D-190)
D190本体をレビューする前に、ギグバッグとチャック式袋にまとめられた付属品をチェックします。商品画像と説明文には付属品が6点記載されていますが、実際の付属品数は10点です。
上記商品説明文より引用のセット内容に加えてクロス、ロッド調整用のバー、ブリッジ用六角レンチ2種、アームバーが付属します。
ギグバッグ(ソフトケース)
商品画像と同等の両肩掛け&片手持ち対応のギグバッグで、内部には薄手のクッション材入りです。
ポケットはネックヘッド側とボディ側に2か所あり、ボディ側のポケットはA4サイズの楽譜も楽々収納出来るサイズとなっています。
内部クッション材は8mm弱と薄手ですが内部にネックホールドバンド、底面には衝撃対策用のラバー付きです。
縫製の質が悪く随所で糸がほつれ放題である点を除き、その他はCAHAYAの低価格ソフトケースに近い水準となります。
チューナー
チューナーはD-133と同じく、ネックヘッド装着タイプのBullfighter ET-20です。
ギター弦
ギター弦はD-133とは異なり、ワンランク上のBullfighter BES-130が1セット付属します。D-133付属弦が紙パッケージに対し、D-190付属のBES-130は箱入りです。
ピック他アクセサリー類
ピックは商品画像よりも派手なデザインで、オリジナルのセルロイド0.46mmが3枚入りとなっています。
シールドはプラグのカバー部分が特殊な点以外は、いたって普通の汎用品といった感じです。
ストラップは全面ブラックの化繊タイプ、クロスは眼鏡拭きのような超小型品で、いかにもなオマケグッズとなっております。
工具類
ロッド調整用のバーとレンチは標準的なスチール製で、管理人の個体は少し錆が付着していました。使用に問題は無いレベルですが、アームバーは良く分からないカラーリングです。
ニッケルとゴールドの中間的な色合いとなっており、色褪せたゴールドのようにも映ります。ちなみにアームの装着については、Wilkinson等ではお馴染みのポップイン方式です。
トルクの調整はトレモロブロック側のイモネジで行うため、微調整をする際はブリッジを外す必要がある点にご注意願います。
付属品は総じて初心者セットグレードのもの揃いで、これといっためぼしいアイテムは無しです。ケース以外は商品画像と全く異なるルックスにつき、あまり多くは期待しない方が良いでしょう。
基本スペック
Model:D-190 Body:Alder+vintage color Fingerboard:Baked Maple +vintage color Neck:Baked Maple +vintage color Pickguard:Metal Wire-drawing
Machine Head:Closed(Gold color ) Nut:42.0×3.5mm Frets:Cupronickel Round Bridge:Small Double Tremolo System Frets:22 Pickup:D-19SSH
商品画像は掲載時のものとなり、生産時期・在庫状況によって見た目、仕様が異なる場合がございます。
引用:Amazon _ Bullfighterエレキギター (D-190)
上記仕様は2023年11月出荷分のものですが、生産時期により変更があることが表記されているので注意!
ケースが不安な時は別途STタイプ対応のものを用意してね!
ギタいじではギグバッグのレビューも多数!
ルックス:Bullfighter D190 Amazonで買える属性夢盛り安ギター
モダンSTタイプに分類されるD190は、実物も商品画像の勢いそのままの迫力となっています。全身フレイム風のボディは闘牛士の名に相応しい視覚的破壊力があり、ゴールドアノダイズドピックガードもカッコいいです。
以前取り上げたD-133も凄まじいものがありましたが、D190は更に一歩上を行くパワーを実感出来ます。
管理人所有の名だたるギター達と並べてみても存在感は抜群で、
意図せず脳汁が駄々洩れ状態に突入です。
金額的にある程度チープな見た目を予想していたものの、良い意味で裏切られる結果となりました。少なくとも商品画像のルックスに惹かれた方であれば、期待値相当の満足感は得られると思います。
以前別記事で取り上げましたが、長沙闘牛士楽器有限公司のファクトリーは月間15,000本の弦楽器を製造可能なキャパシティです。対して管理人の脳はD190を初めて見た瞬間に、瞬間脳汁噴出量が15,000リッターを突破しています。
言わずもがな並みのヒューマンでは明らかに脳汁過剰となるため、脳汁耐性の低い方はIQの低下に留意しましょう。
開封時にマジで『うおおおおおおおおおおおお!!!』って叫んだ管理人がいるらしい
ヘッドシェイプ
ヘッドシェイプはBullfighterユーザーにはなじみ深い、釣り針風の独特な形状です。Bill Lawrenceとストラトのスモールヘッドの中間的形状で、人によって好みが分かれるかもしれません。
しかしヴィンテージカラーとの相性は非常に良く、D-133よりも洗練された印象を与えています。金色のブランドロゴともマッチしており、この手のユニークなヘッドシェイプを愛好する管理人には刺さるデザインですね。
フィニッシュ
フィニッシュに関しては実物を見てもハッキリせず、公式ホームページでは『vintage color』とのみ記載されています。購入前は価格帯的に、フレイムメイプルを転写したグラフィックフィルムラミネートではないかと想像していました。
ところが実物はネック材とボディ材の木目も確認可能で、本来の木目の上から更にフレイム風の柄が被さっている様子です。おそらくローステッド加工を施した木材にヴィンテージ風の着色を施し、その上から塗装や透明な柄付きフィルム等+αの処理が加えられていると推察します。
Amazonの商品説明では『ピアノ塗装』とあるものの、こちらはおそらくグロス仕上げのことです。不飽和ポリエステルを使用した塗料ではないため、端的に鏡面加工のことを示しているのでしょう。
純粋な杢ではないのは確かだけれども、どういった技術で杢を表現しているのかは塗装を剥離しない限り判別出来ませんでした
Fender Japan時代にストラト40周年記念で発売された『Foto Flame』のように、もしかすると割れやすいといった難点があるかもしれないので注意してね
細部の仕上がり
塗装の品質については表面に小傷が残っている箇所が多く、この辺は価格帯相当に感じられます。
小さな打跡も散見し、至近距離でマジマジと観察するとそれなりに粗が目立つ仕上がりです。個体差が出る部分と思われるため、完璧に艶々なグロスフィニッシュを求める方には妥協ポイントとなります。
管理人の意見として、金額を考えれば十分過ぎる品質だと思うけれどもね……
ハードウェア
金属パーツはゴールド仕上げを中心に、部分的にクロームとニッケル仕上げも併用です。PRS風に良く言えばハイブリッド、悪く言えば微妙に統一感が無いように映ります。
ストリングガイドがニッケル仕上げで、ハムバッカー用ピックアップカバーとジャックプレートがクロームです。アームバーは先述の通り、ニッケルとゴールドの中間的なぼんやりしたカラーとなっています。
ゴールドアノダイズドピックガードは、Aria Pro IIのJetに使用されたものとほぼ共通の色で黄色の主張が強めです。ノブやシングルコイル用ピックアップカバー、バックプレートなどの樹脂パーツはヴィンテージ系ホワイトとなります。
樹脂パーツはバックプレートのみ3P仕様となり、中間層のカラーがブラックです。クロームとニッケルが混ざる点に価格帯の限界を感じますが、安ギターらしからぬ頑張った感は十分伝わることでしょう。
ポン乗せ交換可能な舟形ジャックプレートはコチラ!
パーツグレード
各パーツのグレードは同価格帯のギターと比較して、2~3ランク程度は上だと思います。
ペグは見た目と高めのギア比から、Amazon等で流通しているMusiclily Ultraのロック式ペグと同等品です。
ブリッジはナイフエッジ付きの2点支持トレモロブリッジで、Wilkinson mシリーズに近いビッグブロックを搭載しています。
シングルコイルはアルニコマグネット、配線材はクロスワイヤー、ポットはアルファ製と電装系パーツも良い塩梅です。
極めつけにローステッド加工のカナディアンメイプルネックにアルダーボディ (初期ロット、現行ロットはバスウッドの場合有り) と、至れり尽くせりな内容となっております。特に2点支持ブリッジはグレードアップが難しいことも重なり、デフォルトでビッグブロック搭載は有難いですね。
低価格帯では珍しいゴールドアノダイズドピックガードは、ルックスとサウンドの両面で面白い効果を与えています。パーツグレードは価格帯以上のものがあるため、部品交換に着手せずとも楽しめそうです。
気になる点として、パーツは傷と汚れがとても目立つので綺麗にクリーニングしよう!
ギターを綺麗にするならば……
演奏性:Bullfighter D190 Amazonで買える属性夢盛り安ギター
ここからは演奏に関わる要素に焦点を当て、各パーツ単位で細かく精査です。ギターを分解しての評価ではなく、開封直後の動作確認時の状態で評価を行っています。部品の機能性と組み込みの精度も含めて、可能な限り主観を除いた視点でチェックしました。
ペグ
パーツグレードの項でも記載しましたが、ペグはMusiclily UltraのL6配列ロック式ペグと同等品です。ロック機構はマグナムロック・トラッド準拠につき、最短距離で弦の固定が推奨されます。
弦穴に弦を通した状態で、ヘッド裏側のホイールを回せば簡単にロック可能です。稀にポスト内部のロッドが天井まで届かない不良品があるため、細い1弦もしっかり固定出来るか確認した方が良いでしょう。
1弦は不良品ではなくともすっぽ抜けやすく、Bacchusのように1弦だけ2回ポストを通す固定方法でもOKだと思います。
チューニング精度
ペグはロック機構も含め動作に異常はありませんでしたが、チューニング精度はイマイチです。ボタンを回す際にスカスカと空回りする感触が否めず、1:19という高いギア比を活かせておりません。
細かい微調整が難しいため、交換する際はGOTOH 381系のL6配列ネジ穴45度のペグがポン乗せ出来ます。交換用ペグはポストの弦穴の高さなども考慮しつつ、適切なテンションが得られるモデルをご選択ください。
ペグとテンションの関係はコチラ!
弦高&オクターブチューニング
楽器店を経由しないAmazon直売ギターの場合、弦高とオクターブは未調整のものが大半です。しかしながら管理人のD190は初期調整が行われており、ペグ側のチューニングのみですぐに演奏可能なコンディションでした。
弦高はフローティング有りの状態で6弦側が1.6mm、1弦側が1.2mmと低めに設定されています。
オクターブ調整は全弦12Fを基準として、ほとんど狂いがありません。サドルは前後に調整幅が残っているため、別のフレットを基準として再調整することも可能です。
フローティングではなくベタ付けに変更する場合や、弦高を変更する際も問題無く調整出来ると思います。
一家に一本は欲しい弦高ゲージ!
ネック
ネックはレギュラースケール22Fの貼りメイプル2P仕様で、グリップはモダンCシェイプを採用です。指板はかなりフラットな傾向につき、演奏時は実際の厚みよりも平べったく感じられます。
D-133のレビューでは『握り心地がのぺっとしている』と評しましたが、D-190ものっぺり感はほぼ同等です。デフォルトの弦高の低さとのっぺり感が加わり、速弾きにはとても適したネックとなります。
低価格帯ではオールグロス仕様のネックはさほど多く無く、グロス初体験の方は特有のブレーキ感や触感に慣れが必要です。日常的にグロスフィニッシュのネックを愛用している方であれば、フラットな指板以外は想像通りの使い勝手だと思われます。
ロッド
ネックエンドに露出したホイールナット式のロッドは、ネックを外す手間が省けるため利便性が高いです。
ロッドは左右に可動すること、ロッドの稼働に合わせ適切にネックの反りが変化することを確認しています。当然ながら変な捻じれや反りも見当たらず、ローステッド加工の恩恵で良いコンディションを保てそうです。
ボディ
ボディ材はAmazonでは『バスウッド』や『木材』など、表記がバラバラとなっています。ホームページの商品情報では『ローストアルダー』と公表されており、木目を見た感じからもバスウッド (初期ロットはアルダー、現行品はバスウッドの場合有り) では無さそうです。
ボディは3ピース、厚さは平均45mmで設計されていて、エルボーカットとバックコンター有りのSTシェイプとなります。
正面からは標準的ストラトシェイプにしか見えませんが、ネックジョイント部のヒールカットに注目です。丸みを帯びた滑らかな加工が施されているため、ハイフレットへのアクセスが容易となっています。
ジョイントもプレート形式ではなくブッシング方式につき、親指で支持する際も引っかかりがありません。伝統的な見た目を遵守しつつ、テクニカルな演奏に最適なボディ形状だと言えるでしょう。
ザグリ
ボディ内部の加工はやや荒っぽく、ザグリは弁当箱(スイミングプール)に近いAria Pro IIの714-AE200風です。完全な弁当箱ではないものの、実質的に弁当箱ザグリと大差の無い形状となります。
ザグリ内は簡単に誘電塗料が塗布されており、アノダイズドピックガードと合わせてノイズ耐性はほどほどに高めです。価格帯的に見えない箇所に関しては、コストカットされた加工になるのは仕方が無いと思われます。
ナット
ナットはボーン製と公表されていたものの、管理人の個体はどう見てもプラスチック製です。サイズは42.0×3.5mm程度で、STタイプとしてはやや厚みのある形状となっています。
ナットの溝切等の処理は問題無く、1Fを押さえた状態でもシャープせずに安定したピッチです。低価格帯ギターのナットに関しては個体差が顕著となる傾向があるため、交換予定が無い場合は入念に確認した方が良いでしょう。
フレット
フレットは幅2.7mmのミディアムジャンボ相当ですが、D-133同様にフレットの山がそれほど高くありません。全フレットをチェックして音詰まりやビビりの発生は無しで、弦高を考慮すると丁寧な仕事だと思われます。
クロスを滑らせても繊維が絡まない程度には、フレット末端も適度に整えられた状態です。平均的エントリー機の仕上がりよりも良いフレット処理につき、月間製造ギター本数の多さに見合った平均値の高さが感じられます。
強いて言えばフレット表面にクモリや汚れが若干残っているため、初回の弦交換時に綺麗に磨くと一層見栄えが良くなるハズです。
ブリッジ
ブリッジはSmall Double Tremolo Systemとありますが、6サドル&2点支持方式のトレモロブリッジスタイルとなります。ピッチは国産トレモロに多い10.8mmとなっており、トレモロスプリングは3本搭載です。
デフォルトでフローティングに設定されているため、アームアップもアームダウンも可能となっています。アームの稼働が滑らかであるのに対し、ニュートラルに戻る際に引っかかりを感じる操作感です。
スプリングの質が標準的であるのに加え、ストリングガイドとナットの摩擦が強いのが要因と思われます。
快適な操作性を得るためには……
現状のパーツ構成では限界があるので、より安定した運用をするためには最低限ストリングガイドの交換が必須です。アームを多用する際はローラーストリングリテイナーやDynaguideといった、弦の摩擦を減らせるパーツの導入を検討しましょう。
あるいはサドルをgraphtechのString Saverに交換するのも効果的ですが、カラーはブラック限定となる点を考慮願います。ブロックの厚みがあるためサスティーンは十分と思われるものの、支持間隔56mmのWilkinson製2点支持ブリッジと互換性有りです。
より快適な操作性を求める場合は、スプリングもフローティングに適した銘柄に交換すると安定感が高まります。
フローティング向けスプリングはコチラ!
センター
ネックとボディの組み込み精度は標準的で、同価格帯のギターよりは良い部類です。ハイエンドモデルには劣るとは言え、各パーツ綺麗にセンターに収まっていると感じます。
演奏中に弦落ちする心配は一切無く、指板の有効幅をフル活用することが可能です。
ピックアップはブリッジのピッチが10.4mm、ミドルとネックが10.36mmなので、ネックのポールピースのみアンマッチとなります。安ギターでは恒例の10.0mmピッチのネック用シングルがあれば収まりが良くなりますが、そこまで神経質になる必要は無さそうです。
低価格帯ギターではセンターの収まりが悪いモデルが多いため、本項も個体差が激しくなることが予想されます。大なり小なりズレのある個体が含まれていると割り切り、管理人のように綺麗な個体に当たった際はラッキー程度に捉えましょう。
電装系
電装系は1Volume1Toneにタップ用ミニスイッチを1つ搭載し、5Wayスイッチはオープンタイプです。配線材はシングルコイルと同じクロスワイヤーが中心で、ハムバッカーの配線のみ4芯シールド線となっています。
アルファ製ポットはボリューム用がAカーブ250kΩ、トーン用が500kΩと変則的な構成です。コンデンサはArcotronics (KEMET) のアキシャルリードタイプと、同価格帯ではお目にかかれない部品が使用されています。
静電容量は実測値で0.0514μFにつき、シングル向きの静電容量にハムバッカー向けの抵抗値を採用です。配線はクロスワイヤーの硬度もあり、安ギターとしては綺麗に整っている方ではないでしょうか。
ジャックプレートはPLAYTECH等と同じ安ギター専用ピッチにつき、ポン乗せで交換する際は海外パーツを漁る事になると思われます。
電装系交換前に要チェック!
重量
D-190の重量をデジタル計で実測したところアーム無しでおよそ3.69kg、アーム有りで3.72kgです。弁当箱に近いザグリですが、パーツグレードが高いため思いのほか重量があります。
決して重量級のギターではないものの、ボディ厚42mm以下の安ストラトタイプよりはズッシリした重さです。その分重量バランスは良好で、滑りやすい化繊ストラップを使用しても安定した姿勢を保てます。
ストラップピンは標準的な小型ピンを搭載しているため、ストラップロック等の併用が望ましいでしょう。堅牢なロックピンを導入するなど、よりゴージャスなルックスに昇華させるのも一興です。
ストラップロックやロックピンのレビューはコチラ!
サウンド:Bullfighter D190 Amazonで買える属性夢盛り安ギター
D-190の生音は別段大きくも小さくもありませんが、振動効率が良いのか左手や腹部へダイレクトに振動が伝わってきます。低音や重低音がズシンと響く感じではなく、中音のレンジが広くサスティーンが損なわれにくい印象です。
2点支持ブリッジにありがちなスプリングのリバーブ感もほとんど無いため、雑味の無いスッキリした響きが味わえます。アンプを通すとクリーンでは雑味の無さが増し、程よくコンプレッションの効いた音が心地良いですね。
エッジの鋭いサウンドではないものの、妙な癖も無く粒立ちの揃ったトーンが楽しめます。
ハムバッカー
D-19SSHブリッジピックアップはダンカンで言うところのミドル出力相当で、低音~中高音までバランスが整った音色ですね。高音は幾分絞られていますが、コイルタップ時は鋭く軽快なサウンドに変化します。
抵抗値はハムバッカーモードで約13.11kΩ、コイルタップモードで約7.29kΩでした。
歪ませてもグシャっと潰れるような音にはならず、一定の輪郭を保てるドライブです。
シングルコイル
D-19SSHのミドルとネックはアルニコマグネット特有の暖かみが強調されており、耳が痛くならなぬ甘やかなトーンが飛び出します。ブリッジ同様に高音は強くなくとも奥行があるサウンドで、高次倍音までムラ無く出ている印象です。
抵抗値はミドルが5.90kΩ、ネックが5.77kΩとなっています。歪みはマイルドですが中音の芯が際立ち、クリアな伸びを感じるリードサウンドを作成可能です。
ピッチの関係でポールピースと弦が離れるネック用は丸みが強いため、通常よりもピックアップを高めにセットしても良いでしょう。
ピックアップのグレードアップはコチラ!
倍音特性 (A2/110.00Hz)
管理人の主観では説得力に欠けるので、倍音特性や周波数特性を解析していきます。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) のスペクトラムを採用です。
i.D-19SSH ブリッジ ハムバッカー
全帯域で非整数倍音が極めて少なく、ローステッド加工木材のサウンド面の利点が最大限発揮されています。低次倍音の出力が均等気味な点がコンプレッションに繋がっているものの、偶数次倍音と奇数次倍音のバランスは絶妙です。
高次倍音はアノダイズドピックガードと誘電塗料の影響から、3kHz付近を境に途切れています。雑味が無く低~中高音の整ったサウンドと、高音を絞った暖かな音色を裏付ける倍音特性だと言えるでしょう。
ii.D-19SSH ブリッジ コイルタップ
低次倍音はハムバッカーモードの倍音特性を保ちつつ、奇数次倍音が微増して偶数次倍音が微減です。
高次倍音は出力(縦軸)がアップして計測帯域(横軸)も広がるため、シングルコイルライクの輪郭の鋭い音が反映されています。非整数倍音は出力が低下する分だけハムバッカーモードよりも少なく、ピュアシングルコイル以上に繊細な響きです。
iii.D-19SSH ミドル シングルコイル
ブリッジ同様に非整数倍音が非常に少ない点から、この傾向はピックアップよりもボディやネック由来であることが分かります。
体感的にローステッド処理が施された木材の音は分かりにくいものですが、説明文にもある『透明でクリアな音』に偽り無しです。奇数次倍音よりも偶数次倍音が前に出やすいこともあり、ヴィンテージ系のホットなトーンを奏でます。
iv.D-19SSH ネック シングルコイル
ミドルの倍音特性を保ちながらも、部分的に倍音の出力が低下する帯域が散見です。
高次倍音も控えめに変化し、どことなく空洞感のあるサウンドとなります。基音以下の非整数倍音の主張が少し強くなるため、歪ませると低音が唸るようなドライブです。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
1.D-19SSH ブリッジ ハムバッカー
400Hz付近を中心として、200~1kHz前後まで安定した出力を計測しています。200Hz以下の低音や重低音は標準的ですが、ミッドの塊とでも称すべき音の厚みがたまりませんね。
アノダイズドピックガードと金属カバーの影響が大きく、2k~6kHzにかけては標準的ハムバッカーよりも控えめです。6kHz以降は再度出力を盛り返すので、ハイ落ちしつつも煌びやかさが残るという個性的な高音を構築しています。
2.D-19SSH ブリッジ コイルタップ
コイルタップ時は出力が-4dB程低下するものの、帯域的なバランスの良さはハムバッカーモード以上です。ハムバッカーモードよりも2k~6kHz付近の出力が低下しにくいため、標準以上の明るさを感じるサウンドとなっています。
3.D-19SSH ミドル シングルコイル
250Hz付近をピークとして、100~500Hzにかけて力強さのあるサウンドです。
100Hz以下の重低音はあまり強くなく、600~2kHzにかけての中高音もマイルドな出力となります。3kHz以降はブリッジよりも出力が高めで、ふくよかな低~中音へニスを塗ったように輝く高音成分を内包です。
4.D-19SSH ネック シングルコイル
ミドルの重心がより低い帯域にシフトし、100~250Hzまで平均して高い出力を記録しています。
400Hz付近までは高い出力を維持しつつ、500Hz以降は全ての帯域でミドル用よりも一回り小さな出力です。ローエンドにインパクトのあるサウンドにつき、ブリッジやミドルでは補えない低音を強調したサウンドメイクが出来ます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Bullfighter D190 Music Guangzhou 2023 デモ動画
Bullfighter D190 Amazonで買える属性夢盛り安ギター まとめ
ルックスとサウンドの両面で低価格帯ギターの上限を突き破る、弾いているだけで楽しくなるモダンストラトタイプです。コストパフォーマンスが高いとかいう次元の話ではなく、国内ブランドでは実現不可能な仕様を突き詰めた設計となっています。
フィニッシュの謎やアーミング精度、付属品や見えない箇所の粗さは残るものの、それらを補ってなお余りある夢が盛り沢山です。国内入荷数が少なく本格的流通は先になりそうですが、基本的な検品と調整が出来る方は試す価値のあるギターに仕上がっています!
この世界の安ギターには
『夢』がある!
- 未完 -
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» Bullfighterエレキギター初心者楽器セット 専用シリーズエレキギター演奏者のためのサウンドとギターパックと (D-190)
🐶<我は ローステッド が好き♪
👼<私は メルカリ で探す♪
※2023年12月20日現在、国内初回入荷分完売で追加ロットに移行中
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安ギターに手を出す際の注意事項!
最後になりますが、この手の安ギターには必ず『個体差の幅』が存在するものです。管理人の入手した個体より良い場合、または悪い場合もあるものとお考え下さい。
量産品である以上、手にした一台のギターだけでは仕上がりの中央値を判断出来ません。当ブログの情報も含め、常に『もっと悪い場合がある』事を意識して購入をご検討願います。
※不具合があったら手をつけずにその旨を伝え返品しよう!
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