【Amazon高級安ギター】EART T-380 ステンレスフレット&全身ローステッドなトレモロ搭載テレキャスタイプ！【鬼コスパ】
👆 Amazonで買える高級安ギター『EART T-380』 全身ローステッド&ステンレスフレットなトレモロ搭載モダンテレキャスタイプをレビュー！
いきなりネタバレだけどね
EARTのギターは超良いぞ！
目次
本日もギタいじへようこそ！急ぎの方は開封の儀から、ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね！
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前回のEARTギターレビュー！
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Amazonで買える EART T-380 全身ローステッド&ステンレスフレット&トレモロ搭載モダンテレキャスタイプ高級安ギターで煩悩爆発！
EART T-380 をレビューする人
ブログ『ギターいじリストのおうち』の全権を司る奇妙なギターを愛する者。性別年齢不詳の無機物。将来の夢はブログ月間PV数9999999999999(カンスト)到達。
ここはギターいじリストのおうち
……の管理人のマイホーム
みなさん、元気ですかー！
管理人は残りHPが僅かで顔面蒼白です！！
理由は後程説明するとして……
近頃は低価格帯ギターの値上がり顕著で、気軽に購入出来る新品のギターが減少傾向にあります。管理人は新品で1～3万円台のギターを好んで使用していますが、近年はこの価格帯の新作がほとんど発表されていないのです。
さすがに1万円台の旧モデル紹介ばかりでは真新しさに欠けるため、2023年は『高級安ギター』を主に取り上げていこうと考えています。
ギタいじ用語解説
高級安ギター
安ギターメーカーが本気を出し、属性盛り過ぎな仕様のギターを標準的価格帯で販売したモデル。言わずもがなギタいじオリジナル造語であり、日本では認知度の低い機種が大半である。
問題は金銭面で、趣味といえどブログに割ける予算の上限は簡単に増やせないものです。高級安ギターを取り扱う場合、ギターレビューの予算額が数万円も上昇してしまいます。
そこで管理人の桃色脳細胞が導き出した答えは、冬場に暖房器具を一切使わないというものでした。光熱費を極力抑えてブログ予算に回すだけで、管理人は労せず高級安ギターを手にすることが出来るのです。
暖房を使えば使った分だけお金が減るならば……
最初から使わなければ良い！！
……といった具合に軽いノリで暖房無し生活を始めたものの、あろうことか1月下旬に最強寒波が到来します。氷点下二桁に到達する環境は、ジャンク品寸前の管理人の身体には脅威そのものです。
真冬のマンホールで寝ていたミスターブラウンの気持ちが、いまならハッキリと分かります。
強靭な体力を持つドラゴンボールの孫悟空でさえも、ジングル村では寒さのあまり凍死寸前まで追い込まれているのです。
こ、これが骨まで冷えるってやつか……
厳しい寒さが管理人の生命活動を脅かし刻一刻と体力を奪っていく中、
！？
待ってましたとばかりに
安ギ神の天啓が届きます。
🧠「地球の神キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ！！」
やはり龍族の天才児は無謀な挑戦者の命といえど無得にはしなかった！
つまり低下した体力を一瞬で元に戻すために……
回復能力のあるデンデみたいな色のギターを買えという事ですね！
善は急げ！！
という訳で管理人は、
デンデの如くナメック星人カラーの高級安ギターをカートインしました。
ギタいじ用語解説
安ギ神
安ギター(ベース含む)の神々の略称。安ギターや高級安ギター購入の口実のため管理人が生み出した夢と幻。毎回ギターと同じ特徴を持つ神が代表して登場し購入をゴリ押ししてくる。
EART T-380 について
EART Modernシリーズより発売されているT-380は、テレキャスタイプを基本に設計されています。海外ではTL-380というモデル名で、T-380はEART-JP経由で販売の同一モデルです。
ボディにはローステッドマホガニーを、ネックにはローステッドメイプルと全身サーモ処理木材で構成されています。フレットはEARTのお家芸であるステンレスフレットを搭載し、末端を丸めたラウンド仕上げを採用です。
正面から見たボディ形状はテレキャスタイプですが、大胆なコンター加工やヒールカットが施されています。ブリッジは2点支持のトレモロを、PUは低音にパワーのあるカスタムハムバッカーを2基マウントです。
ハムバッカーはコイルタップに対応で、繊細なクリーンからヘビーなドライブまで再現出来ます。
日本向けのカラーバリエーションは全5色だよ！（海外用は全6種）
EART T-380 はモダンテレキャスタイプでも希少な2点支持トレモロ！
往年の国産ギターファンであれば、トレモロ搭載テレキャスタイプとしてFENDER JAPAN BOXER TL555を連想するかもしれません。
👆 CHARVEL / USA Select San Dimas Style 2 HH FR
最近のモデルではCHARVEL USA Select San Dimas Style 2 HH FRや、Bacchus タクティクス(TACTICS24-STD/RSM)などが近い仕様です。
標準でトレモロを搭載したテレキャスタイプは少なく、その点では希少性が高いと言えます。
EART T-380が他のモデルと大きく異なるのは価格帯で、市場価格はなんと諭吉5枚+α程度です。
フレット数以外の機能面が同等に近いTACTICS24-STD/RSMの市場価格と比べると、諭吉2枚程度安値で販売されています。
果たして諭吉5枚+αの『高級安ギター』は如何ほどの戦闘力なのか、じっくりと細部までレビューです！
開封の儀：EART T-380 Amazonで買える全身ローステッド&ステンレスフレット&トレモロ搭載モダンテレキャスタイプ高級安ギター
EART製ギターは公式サイト、またはAmazonに出店中のEART-JPにて購入が出来ます。Amazonの販売価格は国際発送に関わる送料や諸経費込みで、出荷も早い部類です。
今回は注文日の翌日には発送となり、およそ発送から10日程で管理人宅に到着しました。外箱は以前紹介したEGLP-610と同じで、内部はテレキャスタイプ専用の発泡スチロールが使用されています。
お馴染みロゴ入りの発泡スチロールケースは、楽器全体を隙間なく養生可能です。
更に本体は緩衝シートが使用されていて、指板はきちんとフレットが保護されています。
過去に何度もEART製品を購入していますが、海外ギターの中でも特に梱包が丁寧ですね。
輸送に伴う傷等は見当たらず、楽器本体も海外直販ギターとは思えぬ輝かしい状態で手元まで届いております。
後始末に注意
難点としては発泡スチロールが宅配便170サイズ相当につき、後始末をするのが大変です。開封時にスチロール片が飛び散る上に、処分方法はお住まいの自治体に委ねられます。
大型発泡スチロールの回収に対応していない自治体の場合は、自己搬入による処分が必要です。事前に自治体の廃棄物処理方法を確認し、どのように処分するか想定しておいた方が良いでしょう。
付属品
付属品は取扱説明書が1冊に専用アーム、ロッド調整器具、レンチが計3本でした。
説明書は全モデルに対応した全20Pの冊子で、パーツリストや配線レイアウトも記載されています。
モデルやPUの系統毎にPU高のベスト値が掲載されているなど、なかなか読み応えのある内容です。ご愛敬な要素としては、肝心のT-380の調整方法を記載したぺージがありません。
一応標準テレキャスタイプと2点支持STタイプの調整方法が記載されているため、その両方を参照すれば調整出来ると思います。
基本スペック
Model:T-380 (TL-380) Scale:25.5”(648mm) Body:Bookmatch Roasted Mahogany Neck:Roasted maple Fingerboard:Roasted maple,dot inlay Truss rod:Dual action wheel at Bottom Nut: Bone 42mm Fret: 22F Stainless Steel Neck Profile:Compound U to C shape
Joint:Bolt On Tuners: 1:21 Ratio Die-Cast made in Taiwan Pickups:Eart custom humbucker set Controls:3 ways switch,1 mini switch（ON-ON）,1volume,1tone(6 kinds tones) Bridge:Eart custom moden two point tremolo Strings scale:10-46 Neck finish:Satin natural Body finish:Gloss,metal green (honey burst/metal blue/gold/cream white)
ケースは付属しないので別途用意しよう！
お手頃ギターケース
ルックス：EART T-380 Amazonで買える全身ローステッド&ステンレスフレット&トレモロ搭載モダンテレキャスタイプ高級安ギター
モダンテレキャスタイプに分類されるT-380ですが、正面から見た印象はピックガードレスのタクティクス感が強いです。ブリッジやPUカバーの有無こそあれど、ボディの輪郭線や表面加工に近いものを感じます。
テレキャスタイプの形状を大きく崩さず、エルボーカットでモダンタイプらしさをアピールです。ノブはアルマイト仕上げのアルミノブを採用し、コントロール周りに高級感を与えています。
PUザグリはダイレクトマウント仕様で、フロント側はロッドのザグリと繋がっている構造です。ネックエンドに搭載されたホイールナットにより、ネックを脱着せずにロッドが調整可能となっています。
バックもタクティクスと似ているものの、ネック周りの加工がよりモダンな整形です。
ホーン部は深めに抉られた形状で、ネックジョイント部は僅かにヒールカットされています。
コンター加工も丁寧かつ派手にカットされており、エルボーカットと重なる箇所は厚さが約20mmです。曲線美とフィット感を両立したボディは、ヴィンテージ仕様とは異なる『TLの味』を体現しています。
表面艶やか＆ラウンド仕上げのステンレスフレット
EART製ギターにおいて、海外勢から最も称賛されている要素がステンレスフレットです。EARTは200ドル未満の一部機種を除き、全モデルでステンレスフレットを搭載しています。
加えてステンレスフレット搭載の全モデルに、ラウンド仕上げの末端加工を採用です。フレットの両端は手作業で綺麗に丸められており、表面もクスミがなく艶々に磨かれています。
打ち込みも丁寧で擦り合わせも万全となっているため、ルックスと演奏性の向上に一役買っているのです。僅か399.00USドルのギターのフレットにここまで力を入れているメーカーは、なかなかお目にかかれません。
フレットの品質は他ブランドの高級機を凌駕する出来栄えで、EART製ギター最大の武器となっております。海外レビュアーがYouTube等で称賛しきりなのも頷ける、良質なフレットコンディションを楽しめることでしょう。
ヘッドシェイプ
ヘッドシェイプはYMX-SG3 SSSやNK-C3 SSHと共通につき、テレキャスタイプらしさは皆無です。STタイプのラージヘッドを模していて、少し癖の強い形状をしています。
先端がFERNANDESのFR的形状、下半分がSTラージヘッド風と言えば伝わるでしょうか。独自性というよりはニコイチ感が強く、好みが割れるかもしれません。
ストリングガイドは1-2弦、および3-4弦の2か所に搭載です。ストレートヘッドなのでテンションバランスはST系と違和感がなく、ロゴもヘッドトップとバックの両面に転写されています。
フィニッシュ
管理人はグロスメタルグリーンを選択しましたが、メタリック塗料のキメが細やかです。以前紹介したGrote LP-03を粗挽きとすると、T-380は細挽きなメタリック感となります。
メタリックと称すよりもパール系に近く、繊細な光沢が上品な雰囲気を後押しです。
彩度もLP-03より明瞭なビビッドグリーンといった塩梅で、直球のナメック星人カラーとなっています。
表面も良く磨かれているので光沢があり、厚塗り安ギターのような野暮ったさもありません。上品なメタル塗料と鮮やかな緑の二重奏が、ボディ回りで抜群の存在感を主張です。
ネックは超自然なロースト感！
ネックは薄手のサテン仕上げで、こんがり焼けたローステッドメイプルとは異なります。含水率を下げることのみを念頭に置いているのか、生メイプルとの色合いの差が最小限です。
ステイン等も使用されておらず、かすかに茶色を帯びたメイプルカラーとなっています。
サーモ処理木材に興味はあっても、濃い目のローステッドカラーが苦手な方には最適です。アースカラーとしてボディとの相性も良く、ハイセンスな配色だと感じます。
ハードウェア
モダンタイプの宿命として、T-380のハードウェアは専用部品が多めです。金属パーツはクローム系が中心となっており、樹脂パーツはブラックまたはブラック3P(黒-白-黒)を採用しています。
シルバーのアルミノブはトップが環状溝加工、側面はローレット加工が施されたロックタイプです。
ペグは台湾製のギア比が高いものを搭載し、GOTOH製SGL510Z相当となっております。ペグボタンや本体はクローム仕上げですが、ペグカバーは艶を抑えたマットシルバー仕様です。
ブランドロゴも入っており、ペグボタンの形状と相まってとても高級感があります。ピックアップはブラックのオープンタイプで、バックパネルはブラック3Pのものが2枚です。
パーツグレード
ブリッジやピックアップ、ペグは本モデル専用のカスタムタイプを搭載しています。ブリッジは2点支持のトレモロブリッジを採用し、モデル名はEart custom moden two point tremoloです。
サドルはステンレスなので音に雑味が少なく、鉄や亜鉛よりもハイ上がりなトーン傾向となります。ブロックは台形状のダイキャストタイプにつき、アームの可動域が広めなのも嬉しいポイントです。
ピックアップはEart custom humbucker setで、ブリッジとネックで異なるキャラクターを奏でます。先述の通りペグは台湾製となっておりナットはボーン製、ロッドはホイールナット式かつダブルアクション仕様です。
電装系もタップ用ミニスイッチやボックスフィルムコンデンサなど、価格の割には上々な部品が組み込まれています。全身ローステッド&ステンレスフレットであることを考慮しても、パーツグレードは価格帯の上限ギリギリです。
国内ブランドでは絶対に実現不可能な、メーカー直販ギターならではの優れたコストパフォーマンスを体感出来ると思います。このようにルックス面や仕様の面では文句のつけようがなく、かなりの満足感が得られることでしょう。
演奏性：EART T-380 Amazonで買える全身ローステッド&ステンレスフレット&トレモロ搭載モダンテレキャスタイプ高級安ギター
続いては演奏に関わる要素について、各パーツ単位にスポットを当て細部までチェックです。
分解しての評価ではなく、開封直後の動作確認時に調べる要素を重点的に調べています。部品の機能性と組み込みの精度も含め、可能な限り主観を除いた視点で精査です。
ペグ
ペグはNK-C3 SSHより1ランク上位のものとなり、ギア比が1：21となっています。GOTOH SGL510のZランクと相違ないギア比につき、精密なチューニングが可能です。
台湾はFENDER等の大手ブランドがパーツ製造拠点としていることもあり、メッキの加工や部品精度も上質です。トルクのムラも皆無に等しく、破損しない限り交換の必要性は無いと思われます。
使いやすく安定感も高いので、欠点といえば弦交換の際に巻き数が増える程度でしょうか。
弦がポストを1周するにはGOTOH製の標準品よりも5回転多く必要となるため、弦交換の際はワインダーの使用を推奨です。タクティクスのようにどうしてもロック式が良い場合は、L6配列ネジ穴45度型のSG381タイプをご選択願います。
L6配列45度型ロトマチックペグ一覧はコチラ
弦高＆オクターブチューニング
EARTは直販形式である以上、楽器店を経由した初期調整が行われません。代わりに倉庫納入前の段階で、基本的な調整と点検を行った上で出荷されています。
本品は弦高もオクターブも適切に調整されており、開封後はすぐに演奏可能な状態です。管理人の個体の弦高は6弦側が1.6mm、1弦側は1.1mm程度に調整されていました。過去に紹介したEART製ギターと同程度につき、弦高に関しては問題無いと思われます。
オクターブは全弦12Fを基準として、実音もハーモニクスもピッタリと一致です。オクターブネジの調整幅も残っており、変則的なオクターブ調整にも対応出来ます。11～13Fを基準にすることも可能なので、プレイスタイルに合わせて再調整を行いましょう。
激安弦高ゲージはこちら
ネック
ネックはローステッドメイプル2ピースのレギュラー22F仕様ですが、サテンフィニッシュが見た目よりも上質です。安ギターにありがちなザラザラした質感ではなく、ツルっとしているのに力を入れるとしっかりブレーキがかかります。
艶を抑えつつも綺麗に磨かれており、サラサラスベスベの握り応えがたまりませんね。指板の表面や側面も整っているため、良好なフィンガリングをアシストです。
ネックシェイプの設計はEART独自のもので、UとCの混合スタイルを採用しています。1Fは20.5mm程のUシェイプからスタートし、12F付近から21.5mm程のCシェイプへ変化です。公表では1Fが20±0.5mm、12Fが21±0.5mmの誤差で設計されているとのことでした。
合わせて指板のRも変化するため9.5″Rから始まり、最終的に14″Rとなる変則的な成形となっています。管理人の個体は太さの上限値となっているため、標準的STネックよりも握り応えがあります。
この辺は完全なガチャ要素となるので、個体によっては19.5mmの細いネックに当たる場合もあるのです。最大でも1mmにつき極端な差ではないものの、ある程度太さにバラ付きがある点は理解しておいた方が良いでしょう。
ストリングガイドは及第点
見落としがちなポイントとして、ストリングガイドの摩擦感が挙げられます。フローティングで使用する際は、摩擦感が少ないほどチューニングが狂いにくい傾向です。
しかしT-380は摩擦感が強めのガイドを搭載し、加えてガイド数も2個となっています。アームアクション時にヘッドが絡まる感触があるため、どうしてもチューニングに悪影響を与えやすいです。
管理人は問題無く使用出来る範囲ですが、シビアな方はDynaguideの導入をおススメします！
Dynaguideのレビューはコチラ
ボディ
サーモ処理されたローステッドマホガニーボディの厚さは、平均して45mmの設計です。ただしT-380はエルボーカットとバックコンター付きとなるため、最低ボディ厚は僅か20mmとなっています。
ボディと腹部、そしてエルボーカットと二の腕～肘付近のフィーリングが良好です。動いて演奏しても身体に密着してくる感覚があるので、座位だけでなく立位でも絶妙なフィット感が得られます。
ネックと複合的な要素として、ジョイント部周りのボディ加工も見逃せない要素です。僅かにヒールカットされたジョイント部は親指で支持しやすく、深く抉れたホーン部はハイフレットの演奏を高めています。
最終フレットの22Fにもアクセスが容易で、ストレッチもしやすいボディ形状です。
トップやバックはフラットにつき、テレキャスタイプの感覚から逸脱し過ぎていない点も◎となっています。
ナット
ナットは適度に漂白したボーンナットを搭載し、サイズは42.0×3.0mm程となっています。ローステッドメイプルの色とマッチしており、溝の深さや弦間の設計は満点です。
1フレットを抑えてシャープする箇所はなく、チューニング時の引っ掛かりもありません。気になる点としては淵の面取りが甘いので、開放弦を交えたコードワークで若干指に痛みを感じます。
とは言えこの価格帯でもプラ製ナットが主流の中、ボーンナットを搭載している点を評価すべきでしょう。余裕がある場合は専用のヤスリを使用し、ほんのり角を丸めるだけで快適になるハズです。
フレット
EART製ギターを取り上げる度に同じことを書いていますが、ラウンド仕上げのステンレスフレットはマイナス要素がありません。
5万円台のギターでも荒い仕上がりのフレットが一般的になりつつあることを考えると、T-380のフレットは異次元の品質だと言えます。ナット幅はおよそ2.7mm程で、処理の甘いフレットが一か所もない徹底ぶりです。
全22のフレットの両端が綺麗に丸められており、指板淵まで広々と演奏に活用することが出来ます。クロスを上下にかけても繊維が絡まることはなく、激しくグリスしても痛みは皆無です。
全フレットを確認したところ、当然ながら浮きや擦り合わせミスは見当たりません。低弦高ながらもバズりにくく、心が躍る程に全フレットでピッチが安定しています。
ブリッジ
Eart custom moden two point tremoloは2点支持のピボットタイプで支持間隔は56mm、弦間ピッチは10.8㎜です。
6点支持と比較して抵抗のかかる箇所が少なく、滑らかなアーミングに繋がっています。
ナイフエッジの加工やスタッドとの噛み合わせも及第点で、ステンレスサドルも滑りにくい触感です。ブリッジミュート時にブレにくいため、ザクザク刻むリフも難なくこなせます。
ブロックは亜鉛ダイキャストですが可動域の広い台形状で、サスティーンも薄手の6mmブロックよりは長めです。ところが使用されているスプリングがぎこちなく、ニュートラルに戻る際に引っ掛かりを感じます。
ブリッジの性能というよりはスプリングの性能が低いため、フローティングで使う際はRAW VINTAGE RVTS-1等で4本掛けを推奨です。ベタ付けで使用する場合は、スプリング5本掛けにしても良いでしょう。
なおWilkinson WVS50IIKに交換すると、よりアーミング性能と音質の向上を狙えます。
T-380向けのおススメのブリッジ&トレモロ関連パーツ！
センター
ナット、フレット、ブリッジの位置関係は適切で、ピックアップのザグリ位置は完璧です。ボディからネックがはみ出ることもなく、綺麗にセンターに収まっています。
全弦がポールピース上を通過していますが、ブリッジとピックアップのピッチがアンマッチです。おそらく本ボディのPUザグリは、ダンカン製トレムバッカー(弦間0.414インチ≒10.51mm)向きとなっています。ですがブリッジPUのピッチが10.4mmにつき、0.1mmほどポールピース間が狭い設計です。
そのため純正のピックアップでは、ほんの少しだけ1弦と6弦がポールピース中央の外側寄りとなります。演奏や出力には全然問題の無い範囲ですが、トレムバッカーに交換すると綺麗に中央に収まることを確認です。
むしろこの価格帯でここまで中央に収まっている個体の方が少なく、組み上げ精度は高い部類になると思います。あくまで欲を出せばという話なので、センターの上限を攻めたい時はトレムバッカーを頭に入れておきましょう。
電装系
T-380は2つのカスタムハムバッカーに対し、共通のコントロールを採用しています。コントロールは1Volume、1Tone、3wayスイッチに、コイルタップ用のミニスイッチを搭載です。
タップは2つのピックアップが同時に切り替わるため、サウンドメイクの幅は6通りとなります。ポットは大型の500kΩAカーブを採用で、トルクが重めですがボリューム奏法も可能な範囲です。
ボックスフィルムコンデンサはコイルタップに合わせ、シングル系統の0.047μFがチョイスされています。3WayスイッチはALPHA ALP-3Wのコピーモデル、キャビティ内は導電塗料によるシールド処理済みです。
トルクの好みが分かれそうですが、諭吉5枚台のギターとしては良い部品選定だと思います。まずはデフォルトのまま運用し、劣化に伴い部品を好みのものへ更新していけば良いでしょう。
電装系交換前に要チェック！
重量
本体重量は約3.67kgと、テレキャスタイプとしては標準的範囲内です。とは言えコンターやエルボーカット、トレモロザグリによる木材使用量の削減を考えると重く感じるかもしれません。
また重量のあるダブルアクションロッドの弊害から、重心バランスは気持ちネック寄りとなっています。極端にヘッド落ちする訳ではありませんが、滑りやすいストラップの場合はネックが水平に移動しやすいです。
レザー製やコットン製などの滑りにくいストラップを使用して、ヘッドがブレないように対策しておきましょう。
ウチのブログ、ナイスなストラップ情報も満載！
サウンド：EART T-380 Amazonで買える全身ローステッド&ステンレスフレット&トレモロ搭載モダンテレキャスタイプ高級安ギター
T-380の生音はほぼNK-C3 SSHと同じで、2点支持トレモロ搭載のSTタイプのような響き方をします。テレキャスのようなブリッジごと唸るような金属的響きではなく、ネックやボディの振動の仕方もほぼSTタイプです。
ネックヘッドの形状もST系に近いためか、ヘッド周りの揺れ方にもテレキャスらしさが感じられないと思います。部品構成がSTタイプと共通である以上、テレキャスのようなブリッジやネックの共振が得られない模様です。
良し悪しとは異なる要素ですが、生音はストラトと大きな差がないと考えて良いでしょう。生音の響き自体は雑味が無くあっさりしており、アタックの強弱を正確に反映してくれます。
外観の変化や含水率の低下だけでなく、雑味の無いクリアな響きはサーモ処理木材におけるサウンド面のメリットです。コンプレッション感もほとんどんたいため、ダイナミクスを活かしたプレイに最適となっています。
無改造でサスティーンを伸ばすならコレ！
ピックアップ
アンプを通すとピックアップのキャラクターが強烈で、ブリッジとネックで二面性のあるサンドです。ブリッジはクールでモダンなトーン傾向となっていて、歪ませると鋭くエッジの効いた音を奏でます。
中高音～高音の独特な空洞感が、ST風の生鳴りをテレキャス風のサウンドにシフトさせている印象です。対照的にネックはホットなトーン傾向につき、ふくよかで丸みのあるリード向きのサウンドとなります。アタックはパキっとしていながらも伸びがあり、フィードバックが拾いやすいですね。
抵抗値はブリッジがおよそ15.09kΩ、ネックがおよそ6.97kΩとキャリブレートされています。ポールピースピッチはブリッジが10.4mm、ネックが10.0mmとミリ規格の設計です。
抵抗値の割に出力は中の上といった感じで、テレキャス用シングルサイズハムバッカーに近いと思います。コイルタップ時は出力が減少するかわりに、倍音感が増してよりテレキャスらしい響きに変化です。
音の分離はコイルタップに関わらず良く、中～高音の広がり方もクセになります。低音もパワフルでPUの含浸処理も十分に行われており、通常のテレキャスタイプよりも幅広い歪ませ方に対応です。アンプ直でも深く歪ませることが出来るため、ジャンルを選ばずに使える一台になることでしょう。
ブレード型ポールピースを投入するのもアリ！
倍音特性 (A2/110.00Hz)
せっかくの機会ですので、各ピックアップの倍音と周波数特性を計測しました。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) を解析しています。
1.ブリッジピックアップ
全体的に奇数次倍音と偶数次倍音のバランスが整っていて、尚且つ適度に出力差があるのでコンプ感が控えめです。出力は基音が第2～第5倍音よりも低く、アタックはふわっと軽い質感となっています。
非整数倍音が極めて少ない点が、雑味のないクリアな音と分離の良さの要因です。第3倍音や第5倍音など多少奇数次倍音が目立つ箇所があるため、クールで鋭い響きを構築しています。
2.ブリッジピックアップ コイルタップ
各倍音の出力バランスは据え置きのまま、倍音が計測される帯域(横軸)が広がりました。非整数倍音はハムバッカー時よりも減少しており、高次倍音の増加もあって高音はガラスのような鋭さです。
3.ネックピックアップ
同ブランドのEGLP-610に近い、LPタイプのような倍音特性となっています。基音と第2～第3倍音の出力が高く、アタック感はブリッジよりも強めです。その上偶数次倍音の出力が高い箇所が多いので、暖かな音の響きを決定付けています。
4.ネックピックアップ コイルタップ
ハムバッカー時の倍音バランスを保ちながらも、奇数次倍音が目立つ箇所が散見です。ブリッジ同様に高次倍音の計測帯域は広がりますが、やや音の輪郭がタイトに変化します。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音：第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音：第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音：各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
ハイゲインで使用する際に余計な倍音が気になる場合はフレットラップを活用しよう！
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周波数特性
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
a.ブリッジピックアップ
300Hz付近を頂点として、800Hz付近まで高い出力を計測です。200Hz以下の低音も力感があり、1kHz以降の中高音～高音は爆発的に伸びます。けれども3k～5kHzのみ幾分控えめに計測されているため、ほんのりワウを半止めしたような空洞感を内包です。
b.ブリッジピックアップ コイルタップ
ハムバッカー時に控えめだった3k～6kHz付近が底上げされ、万遍なく隙の無いトーン傾向に変化します。出力は7dB低下するものの、倍音特性とあわせて鋭く切り込める音作りが可能です。
c.ネックピックアップ
100～300Hzの出力が極めて高く、迫力のある低～中音が飛び出します。100Hz以下の重低音も力強いので、リードトーンは破壊力抜群です。ネック用としては中高～高音も伸びますが、やはりブリッジと同様に3k～6kHzは控えめとなります。
d.ネックピックアップ コイルタップ
重低音と300Hz付近が弱くなるものの、こちらもブリッジのタップと同じく3k～6kHz付近が底上げされた音です。高音の空洞感が無くなり、並のブリッジ用シングルコイル以上の高音特性を計測しています。出力は5dBほど低下しますがネックマウントとは思えぬ高音の切れ味につき、4通りの中では最もモダンな味付けかもしれません。
周波数特性波形の周波数目安（左から順に）
赤線：100Hz,200Hz 橙線：400Hz,800Hz 桃線：2000Hz,3000Hz,6000Hz
EART T-380 Amazonで買える全身ローステッド&ステンレスフレット&トレモロ搭載モダンテレキャスタイプ高級安ギター まとめ
機能性と演奏性の高さだけに留まらず、価格帯の上限を攻めたパーツグレードと加工精度を備えたモデルです。パっと見ではそこまで高級感は無いものの組み上げが丁寧で、国内ブランドでは実現が難しいクオリティを誇ります。
モダンテレキャスタイプの選択肢が限られる中、もう少し広く認知されてもおかしくない一台です。属性を盛り込んだテレキャスタイプでトレモロを掻き鳴らしたい衝動があるならば、挑戦する価値があると思います！
この世界の高級安ギターには
『夢』がある！
－ 未完 －
安価な海外製品に手を出す際の注意事項！
最後になりますが、この手の安ギター&高級安ギターには必ず『個体差の幅』があるものです。管理人の入手した個体より良い場合、または悪い場合もあるものとお考え下さい。
量産品である以上、手にした一台のギターだけで品質の中央値は判断出来ません。当ブログの情報も含め、常にもっと悪い場合がある事を意識して購入をご検討願います。
EARTの倉庫は複数の国にあるため納期が長くなったり、通関手数料等が別途発生する時もあるよ！（購入前に質問を推奨）
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