【Amazon高級安ギター】属性爆盛りなステンレスフレットLP型セミアコってお得なの?【GROTE LPF-001】

👆 Amazonで買えるステンレスフレット高級安ギター『GROTE LPF-001』 LP型セミアコ・ケース付き をレビュー!
目次
本日もギタいじへようこそ、貴方はゴッドです!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!
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これまでのGROTEハイライト!
Amazonで買える GROTE LPF-001 はLP型セミアコにステンレスフレットを搭載して専用ケースまで付属する高級安ギター!?
GROTE LPF-001 をレビューする人

ブログ『ギターいじリストのおうち』の全権を司るモヤっとした存在。性別年齢不詳の無機物。今年は当たりの安ギターが豊作で調子に乗っている。
2022年も残り2か月ですが当ブログではこの1年の間、無難な商品紹介の記事が続いています。
原材料費の高騰もあり、管理人の好物である安ギター界隈はどこか元気がありません。

ここらでひとつ景気付けに、攻めの姿勢がみなぎる属性過多な高級安ギターを取り上げたい所存です!
とりあえず安ギターの属性として、標準から外れる変化球な要素を色々考えてみました。安ギターはスタンダードな形状が多く、ST型やTL型のソリッドタイプが主流となります。

ですのでボディ構造としては、セミホロウやチェンバーなどの空洞系が良いですね。色もサンバーストやブラックではなく青や緑や紫など、少し派手めだと面白く感じます。
電装系は質素な構成が目立つため、音作りに幅を持たせられるタイプだと嬉しいです。部品も安ギターのチープなグレードよりも、一歩上を行くゴージャス感を希望します。
木材の品質に多くは望まないので、珍しい材や加工方法が採用されていると尚良しです。どうせならステンレスフレットを搭載させて、末永く使える安ギターを目指しましょう。
その他ホロウ系はケース探しに苦労するため、予めケースがセットであれば文句がありません。あとは管理人の懐事情が常に極寒につき、予算は本体とケースに送料込みで5諭吉未満とします。

なーんてね

こんな空想爆盛りギター存在する訳ねーだろ!
そう思っていた矢先に、

!?
管理人の脳へいつも通り
安ギ神の天啓が届きました。
🧠「神様(?)の声が聞こえたああああああああああああああああぁぁぁぁぁッ!!」
という訳でダメ元で先ほどの条件と合致するギターを探したところ、

条件を全て満たす製品とエンカウントです。
GROTE LPF-001は冗談に冗談を重ねたような空想爆盛り!?
ブランドは以前紹介したずんだギターと同じくGROTEで、Amazon等で販売されています。
LPF-001はLP型でありながらセミホロウ構造を採用し、ド派手な3色から選択可能です。ピックアップは2ハム&3wayと標準的構成であるものの、コイルタップに対応しています。
ハードウェアは安ギターでは珍しく、全てゴールドカラーで統一のゴージャス仕様です。使用木材は非公表となっているのですが、指板材は近年注目のHPLが採用されています。
フレットはステンレス製のものを搭載で、なおかつフレット両端がラウンド仕上げです。専用ケースも勿論付属しており、ギグバッグかハードケースのいずれかを選べます。
販売価格は9月上旬当時にAmazon最安値を記録していたため、余裕の5諭吉未満をクリアです。冗談に冗談を重ねたような空想爆盛りギターが、すでにこの世に存在していました。

なんか関わっちゃダメなタイプの神だった気がしますが、この際不問としましょう!

これほど属性過多なギターをみすみす見過ごせるほど……

管理人は大人ではありません!
こうして管理人は性懲りもなく、GROTE製の属性爆盛り安ギターをカートインします。果たして諭吉4枚ちょっとで買える夢ギターの実力が如何ほどなのか、じっくりとレビューです!

……この時の管理人はまだ気が付いておりませんでした
4万ちょいで夢が買えるほど
安ギ界は甘くないという事を……
GROTEについて(簡潔版)

レビューの前にGROTEについてですが、ずんだギターレビュー記事内で詳しく紹介しました。ブランドの特徴のみ列挙するため、より詳しい情報はずんだギターレビューをご確認下さい。

・中国のイ坊市に拠点を構えるLeji Musical Instrumentの自社ブランド
・1989年に日本と韓国の技術協力を受け発足
・箱物を筆頭に各種ギターやベース、ウクレレ、革製品などを自社工場で製造
・Epiphone等OEM実績多数
・近年世界的に激化の傾向をみせる箱物安ギターブームの先駆け
・国内では2010年代に北海道へ2万円ギターブランドとして上陸
・2022年現在は工場直販スタイルで多彩な販路(自社サイト、Amazon等)を拡大中
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開封の儀:GROTE LPF-001 Amazonで買えるステンレスフレット搭載LP型セミアコ高級安ギター
今回レビューするGROTE LPF-001は、Amazonのプライム配送対応品を購入しています。そのため購入翌日に管理人宅へ到着していますが、海外発送の際は納期が2~3週間です。

カラーやケースオプションで納期が異なるため、事前によく確認しておきましょう。本体はケースに封入された状態で、大型のギター用段ボールで梱包されています。

管理人はハードケースを選択しているので、梱包時の重量が8.4kgと重めですね。段ボール内の四隅は発泡スチロールで養生されていて、ケースも保護シートで包まれています。

ケースを取り出すと表面に目立った傷はなく、とても綺麗な状態で手元まで届きました。
付属品:ハードケース
LPF-001に付属するハードケースは、Grote Guitar Hard Caseという製品名です。Amazonでは単体販売がなく、GROTEの公式サイトにて$140.00で販売されています。


ハードケースの価格を考慮するとギターの本体価格が思いのほか安い!
詳しい情報は公式サイトにも記載されていないため、外装の素材等は一切不明です。表面加工の触感はシュリンクと型押しの中間風で、LPシェイプ専用となります。

サイズはGibsonのレスポールを収納すると、左右に指1本分余裕がある程度でしょうか。

LP型ジャストサイズではなくボディ上部幅が250mmほど、ボディ下幅が350mmほどです。

内寸全長は1015mmほどにつき、サイズ感としてはARIA製のCG120LPが近いと思われます。インナーベロアもブラックで統一されており、ボディ側はアーチトップ対応です。

裏面やハンドルと反対の側面に金属製バンパーを搭載し、衝撃にも配慮されています。

ネックピローは小物収納スペースを兼ね、乾燥剤やチューナー等を収納可能です。

$140.00の価格設定に対し、十分な機能性と保護性を有していると思います。
» 【安ギターケース】Deviser の可愛いドット柄ギグバッグが結構使いやすい!【DSC-65G-DOT】
ちなみにDeviserのケースにも本機が収納可能でした!
付属品:その他
ケース以外には鍵とタグ兼C&M、ケーブルとレンチが各1本、ピックが2枚付属です。ケーブルはパワーケーブルという名称がありますが、普通の安ケーブルとなっています。

高性能なケーブルではないので、無理して使う必要性は全くありません。ピックもランダムな柄のセルロイド製となっており、いたって普通の品質です。

全てオマケ程度の付属品につき、普段愛用しているものを使った方が良いでしょう。
基本スペック
GROTEのギターは公式サイト上でも、詳しいスペックが公表されていない場合があります。LPF-001も不明点が多く、木材に至っては『ウッド』とだけ表記されているレベルです。

そこで公表情報と実物を調べた上で、分かる範囲内の仕様を下記に掲載いたしました

MODEL:LPF-001 (国外向け型番はGLPF-01 F Hole) Color:Blue (Red/Sunburst) Hand Orientation:Right Body Material:ウッド (unknown) Neck Material:ウッド (unknown) Fretboard Material:HPL Nut:43×6 mm white Width At 12th Fret:53.5mm Joint:set in Neck Shape:C

Scale:24.75”(628mm) Frets:22 Stainless Steel Frets Tuners: 1:18 Ratio Die Cast (Gold) Pickups:Alnico 5 Covered Humbucker×2 ※Coils Splitting Pickup Controls:3-way switch,2 tone,2 volume (Push/Pull) Guitar Bridge System:Tune-O-Matic (TS001 GD / TM003 GD) Single binding:fingerboard&front of Head Double binding:Body

ていうかなんだよ材質ウッドって……
価格について
Amazonやアリエク全般の問題として、販売価格の上下が激しく買い時が難しいです。Amazonでは送料込みで高額な場合や、送料別途で安価に設定されている場合があります。
管理人購入時は最安値の時期だったため、2022年11月現在よりも0.2諭吉程安価でした。事前に必ずkeepaを活用し、価格調査を行った上で購入を検討するようにしましょう。
ルックス:GROTE LPF-001 Amazonで買えるステンレスフレット搭載LP型セミアコ高級安ギター

ケースから本体を取り出すと、想像していたよりもボディが大きめの印象です。購入前はES-Les Paul的サイズを予想していたのですが、実物はLPより大型となります。

335タイプのセミアコとLPの中間的な大きさで、ボディはLPよりも幅広な設計です。重量もそこまで軽量ではなく、ずんだギターよりズッシリとした重さを感じます。
不意打ち注意

また開封した段階で薄々気が付いていた点として……

溶剤臭が非常に強烈です!!
タイトボンドや塗料の臭いが混在しており、揮発しきっていない雰囲気が漂っています。

製造からまだ日が浅いとも考えられますが、安ギター慣れしていない人は要注意ですね。あまりにもキツイ場合は、屋内の風通しが良い暗所で定期的にケースを開封しましょう。
艶々な指板とステンレスフレット
LPF-001は写真映えのするデザインで、中でも指板周りが目を引くと思います。指板は熱硬化樹脂にウッドファイバーを加えた、HPL(ハイプレッシャーラミネート)を採用です。

安価な合板系素材とは言え剛性が高く、厳しい気候条件下で変性し難い特徴があります。本モデルではエボニー風のカラーリングが施されており、仕上がりもグロス風です。

光沢のある艶感がとても強いため、離れた所から見てもピカピカな表面が拝めます。フレットはラウンド仕上げのステンレス製を搭載で、末端が綺麗に丸められた状態です。

EART製ギターのステンレスフレットと遜色がなく、山の頂点も丁寧に整えられています。ボディやカラーも派手ですが、それ以上に指板やフレットの艶が破壊力抜群ですね。

安さの中でもワンランク上を主張する、安ギブランドの拘りを実感することでしょう。
ヘッドシェイプ
これまで当ブログではGROTE製ギターについて、全価格帯の商品をレビューしてきました。

LPF-001は高級安ギターといえど、GROTEの中では最上級機種に位置しています。故にヘッドの仕様が若干豪華になっており、他の価格帯と差別化されている模様です。
安ギターの王者に相応しいパっと見のゴージャス感
前回紹介のずんだギターは、バインディング無しの質素なデザインとなっています。

昨年紹介の335スタイルはバインディング付きで、ロッドカバーも金属製です。

LPF-001ではロッドカバーも含めて、金属パーツがゴールド仕上げに格上げされています。

極めつけにロッドカバートップは王冠入りとなっており、安ギターの王者感が満点です。

この価格帯で王者を主張しても虚しい気がしますが、見栄えの良さは上々となります。ただしバインディングは樹脂だけでなく、ペイントで着色補正を行っているタイプです。

部分的にインクが滲みでているため、近くで見ると安ギターらしさが全開だと言えます。販売価格が販売価格なので、仕上がりに多くは望まない方が賢明ですね。
フィニッシュ
ボディのフィニッシュも一見豪華なメイプル材風ですが、至近距離では粗が目立ちます。

よく見ると杢の解像度が低く、印刷式のグラフィックフィルムラミネート仕様です。

トップコートも仕上がりが省略されているのか、随所に細かい傷が散見します。光沢自体はそれなりにあるものの、仕上げ磨きが不足している感が否めません。

価格帯の制約が表面化しており、作業工程を省略してコストカットしているのでしょう。安ギター慣れしていない方にとっては、ガッカリ度が高い要素の一つですね。

Fホールはバインディングではなくペイントですが、こちらも乱雑な塗りとなっています。

配線も整っておらず、Fホールからワイヤーが覗いていました。
ハードウェア
先述の通り金属製ハードウェアは全てゴールドで、樹脂パーツは複数カラーを採用です。傷や汚れのある金属パーツも含まれますが、管理人としては許容範囲内となります。

ピックガードはLPタイプでは珍しく、クリアカラーのオリジナル規格品を搭載です。しかし透明な色がアダとなり、ピックガード下にゴミが混入しているのが丸分かりでした。

こういった所にも価格帯の制約が見え隠れし、全体的に大雑把な味付けだと感じます。

ノブはクリアトップのスピードタイプなのは良いとして(商品画像ではリフレクタータイプ)、挿入部の緩い個体が混入です。

スイッチポットの操作に支障が出るため、開封直後によく確認した方が良いでしょう。エスカッションやジャックカバー、スイッチノブは黒い樹脂タイプとなっています。
派手なピックガードもあるよ
パーツグレード
GROTE製品は部品グレードが決して高くありませんが、LPF-001は標準的な部品を搭載です。ペグはギア比が下位モデルよりアップし、ブリッジも1ランク上のものが使われています。

ハムバッカーのマグネットはセラミックではなく、2つともアルニコ5を採用です。電装系にはスイッチポットを搭載し、コイルタップでシングルサウンドにも対応します。

他の5万円以下の価格帯のギターと比較しても、パーツグレードは良い部類です。木材などは不明点が多いものの、安ギターらしからぬしっかりした質感を保っています。
演奏性:GROTE LPF-001 Amazonで買えるステンレスフレット搭載LP型セミアコ高級安ギター
ルックスに関しては価格帯なりに、良い点も悪い点も色々浮き彫りとなってきました。ここからは演奏に関わる要素について、各パーツに焦点を当てチェックです。

分解しての評価ではなく、開封後の動作確認時に調べる要素を重点に置いています。部品の機能性と組み込みの精度も含めて、可能な限り主観を除いた視点で精査です。
ペグ
他のGROTE製ギターと異なり、LPF-001は102-18G風のネジ穴90度タイプを搭載しています。ギア比も102-18Gと同じで、標準品よりも精度の高い1:18仕様となっていました。

トルクも滑らかでチューニング精度も悪くなく、早急に交換は必要の無いレベルです。GROTEの下位ギターよりも扱いやすいため、ほどほどに好印象のペグとなっています。

交換候補としては本家Groverの102-18Gや、 GOTOHのSG301系列がポン乗せ可能です。しばらくはデフォルトのまま運用し、より安定性が必要な場合は交換を検討しましょう。
弦高&オクターブチューニング
安ギターとしてはあるまじき事態ですが、弦高が異常なレベルの低さを攻めています。初期状態の弦高が6弦側で0.9mm、1弦側で0.8mmという訳の分からない低弦高っぷりです。

箱物でここまで下げる必要はないものの、全弦1mm以下で音詰まり無しとなっていました。ネックとフレットの仕上がりが良いEARTでも、ここまで低い個体は滅多に存在しません。

オクターブは変則的で1-4弦が12Fを基準に、5-6弦は11Fを基準に調整されています。16F接合のLP型は5-6弦の20F以降を使う機会が少ないため、意図的に調弦位置を変えていると推察です。

サドルは前後に余裕があるので、気に入らない場合は12F基準に調整しなおすことも出来ます。とにかく管理人の個体は超低弦高仕様につき、弦高調整幅に余裕のある点が◎ですね。

箱物のセオリー通り、2mm前後に上げても問題なく快適な演奏を楽しめます。

この個体はたまたま弦高が低かったと考えられるので、他の個体は2mm前後になるとお考え下さい(過去に購入したGROTE製品の平均が2mm弱)
激安弦高ゲージはこちら
ネック
ネック本体は材が不明で判断が難しいのですが、現状で変な反りや捻じれは見当たりません。グリップは太めのCシェイプとなっていてナット幅は43mm、12F付近で53.5mmの設計です。

ロッドは順反りにも逆反りにも変化するため、正常に機能していることを確認しています。指板は通常のLPタイプよりもフラット気味で、指先でも平坦さを感じる弾き応えです。

速弾きなどは演奏しやすいものの、HPL指板独特の滑りやすさにクセがあります。グロス仕上げのメイプル指板をもっとツルツルにして、ワックスを塗ったような触感です。

あまり指板に使用されない素材という点も大きく、ある程度慣れが必要になります。低弦高設定も重なり、チョーキングやビブラートのピッチの安定が難しいですね。

慣れれば非常に弾きやすく感じる方も多いと思いますが、好みが分かれると思います。太目幅広のグリップ、低弦高、滑る指板&フレットと、ネックだけでも変化球な要素が多い点に留意しましょう。
環境変化に指板でも乾拭きは必須!
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ボディ
LPタイプと比較して、ボディは上幅も下幅も広めの設計です。

セミアコより幅が狭くLPよりは幅広なサイズは、幾分中途半端かもしれません。

加えてアーチトップとアーチバックを採用なので、触感は見た目よりも大型に感じます。

見た目の印象と実際のサイズ感が一致しないという、不思議な感覚のするボディですね。

ダブルバインディング部の計測でボディ上部が45mm、ボディ下部が47mmくらいの設計
内部の構造にご用心
ボディ材はネックと同様に公表されておらず、内部を見る限りメイプル系と思われます。ですがトップ&バック材とセンターブロックの材が、ランダムで組み合わされている(※)様子です。

更にセンターブロックは加工が適当で、全く研磨されていないものが使用されています。トドメに接着もやっつけ仕事となっており、タイトボンドが内部で垂れている状態です。
思うに表面の整っていないブロックを、多量のボンドで入れ歯安定剤的に固定したのでしょう。内部を覗かないと分からないポイントですが、価格帯故のコストカットが極まっています。
※木材を公表しない理由は、製造時に安い材や工場内で余っている材を優先的に組むことでコストを削減していると考察
ナット
GROTE製ギターはボーンナットを使用している場合、公式サイトにその旨を掲載です。LPF-001はナット材の公表がなく、残念ながらボーン以外の材質が使われています。

表面の質感はボーン風であるものの、ヤスリでザラザラに加工されているだけでした。それでも取付け位置や加工自体は問題無しで、溝切りの感覚も深さも適切です。

弦溝は.010-.046に合わされており、1Fを押さえた状態でシャープする箇所もありません。開放弦交じりのコードを演奏しても淵がひっかからず、弾きやすい整形だと思います。

難点としては固定時の接着剤が漏れており、0フレット境界に垂れて固まっている状態です。

もう少し頑張って欲しい所でしたが、安ギターではよくあることなので割り切りましょう。
フレット
フレットはLPF-001搭載の全パーツの中で、最も高い完成度と品質を備えています。ステンレスフレットは使い減りしにくいだけでなく、末端のラウンド加工も優秀です。

指板淵でクロスを上下に移動させても、全フレットで繊維が絡まる箇所は無しでした。当然フレットの浮きや長さ不足も皆無となっており、納得の仕上がりの良さを誇ります。

Rや高さも適切なのでチョーキングやビブラート、スライドやグリスがなめらかです。指板も滑りが良いので滑り過ぎる程ですが、フレットは満点をあげても良いと思います。
ブリッジ
下位グレードがノーブランドTOM搭載に対し、LPF-001は一応型番付きのTOMを搭載です。商品説明によるとテールピースの型番がTS001 GD、ブリッジがTM003 GDとなっています。

型番から推測するにGuykerのTOMで、以前はGRASS ROOTSなどでも使用されていました。アリエク等で安価に流通しているブランドですが、品質は悪くありません。

変な共振等もなくネジ類の稼働も安定しているため、特に問題無く使えそうです。材質はどちらも本体が亜鉛ダイキャスト、スタッド&アンカーがスチール製となります。

支持間隔はブリッジが74mmでテールピースが約82mmなので、GOTOH製などのTOMへコンバート可能です。もう少し好みの音に寄せたい場合は、TOMの材質や重量にこだわっても良いでしょう。
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センター

こ、この組み上げはもしかして……!?

もしかして思いっきり部品の配置、ズレてんじゃね?
フレットとは対照的に、管理人の個体で最も問題となるのがパーツレイアウトの精度に尽きます。ネックとボディの接合やセンター出し自体は適切なのですが、ブリッジとピックアップの配置に問題アリです。

ブリッジは1mmほどアンカーが6弦方向にズレており、6弦が指板淵側へ寄り気味でした。追い打ちをかけるように、ピックアップは真逆の1弦方向へ盛大にズレまくっています。

ブリッジPUは致命的なレベルで、6弦ポールピースが弦とほとんど交わっておりません。1弦ポールピースも弦が交わっておらず、正常な出音が期待出来ないズレっぷりです。

エスカッションも平行ではなく、6弦側が傾き気味で取付けられています。

ネック用は6弦側こそギリギリ大丈夫ですが、1弦側ポールピースは淵をかする程度です。
ガチャ要素高め
いずれにしても複数個所でセンターがズレているため、総合的にガタガタとなっています。さすがにここまで分かりやすくズレていると、フレットの上質さが霞んでしまいますね。

商品画像では綺麗にセンターが出ているので、購入者にガチャ運が求めらそうです。

ネック自体にセンターズレが発生した個体など、極端過ぎるほどにズレて修正不可の場合はメーカーに返品を申し出て良いと思います。

なお、管理人は返すよりも修理する方が速い派なので全く問題ありません💖

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電装系
コントロールは2Volume、2Tone、3wayとなっており、ボリューム側がスイッチポットです。トーン側のタップと比べて、タップ時にボリューム奏法が難しくなる点に注意しましょう。

スイッチポットはPush/Pull型ですが、ノブが樹脂製スピードノブなのですっぽ抜けます。外観にこだわらないのであれば、ロック型のメタルノブを導入した方が無難ですね。

配線はシールド線で行われていて、側面にプレート型アウトプットが設けられています。スイッチポット以外の部品は下位グレードと大差無く、可もなく不可もない操作性です。

セミホロウ系の電装は交換が面倒なので、交換は不具合が出てからでも良いと思います。
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重量
LP型より幅広でセンターブロックに重さがあるためか、重量はおよそ3.52kgです。335スタイルよりは多少軽めですが、別段軽い機種ではありません。

重心バランスは良好となっており、ヘッド落ちしにくいタイプに分類されます。気になる点としては、ストラップピンがフェンダー系の小型タイプを搭載です。

ピン配置やボディ厚を考えると抜けやすく、ストラップブロック等の併用を推奨します。
ストラップブロックレビューを確認!
サウンド:GROTE LPF-001 Amazonで買えるステンレスフレット搭載LP型セミアコ高級安ギター
LPF-001はセミホロウ構造なので生音が大きそうですが、意外にも高音だけが前に出る印象です。生音では低音や中音がマイルドで、チャリンチャリンした高音だけが響きやすく感じます。

あまり上手く共鳴していない雰囲気がある反面、部品の共振もほとんどありません。セミアコ的な生音ではないものの、共振の少なさは良い影響を与えそうですね。
ピックアップ
アンプを通してみると、ブリッジ側とネック側のキャラクターが明確に異なります。ブリッジは高音の伸びを意識しつつ、オールラウンドな帯域をカバーするサウンドです。

市販品ではダンカン製の59modelに近く、ヴィンテージ系を意識していると思われます。ネックはセミアコらしい図太さが全開で、ローエンドの重心もガッシリとした出音です。

歪ませなくてもジャズギターにマッチする、暖かな芯のあるサウンドを楽しめます。

抵抗値はブリッジ側が8.25kΩ、ネック側が7.76kΩで、タップ時はその半分の値です。ピッチはブリッジ側が10.4mm、ネック側が10.0mmで設計されています。

管理人の個体は共振の少なさからか、ハウリングしにくい点が嬉しい誤算でした。
倍音特性 (A2/110.00Hz)

せっかくの機会ですので、各ピックアップの倍音と周波数特性を計測です。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) のスペクトラムを採用しています。
1.ブリッジピックアップ ハムバッカー

倍音は多くありませんが、基音が強く偶数次倍音が目立ちやすい傾向です。非整数倍音も非常に少なく、雑味の無いクリアかつ暖かな音の響きとなっています。
2.ブリッジピックアップ シングルコイル

ハムバッカーモードと倍音特性に差がないため、純粋に音量だけが変化する感覚です。偶数次倍音が大きめなので鋭さには欠けるものの、トゲの無いサウンドを奏でます。
3.ネックピックアップ ハムバッカー

基音と第2倍音が同等の出力かつ高めの値なので、アタック感がパワフルです。倍音は多くなくとも偶数次と奇数次のバランスが良く、クセのない音作りが出来ます。
4.ネックピックアップ シングルコイル

ハムバッカーモードと比べると倍音が部分的に途切れるため、やや不規則な響き方です。偶数次倍音が途切れる箇所が散見し、無機質で冷たい雰囲気の音に変化します。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性

周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
a.ブリッジピックアップ ハムバッカー

400Hz付近をピークとして、800Hz付近まで高い出力を維持する中音が魅力的です。金属カバーの影響で高音が控えめですが、平均的な伸びは確保しています。低音も標準か標準より少し上となっており、ムラのない万能系のトーンです。
b.ブリッジピックアップ シングルコイル

800Hz以下はハムバッカーモードと同等で、2kHz以降は標準以上の値を計測しています。高音のキレ味がアップするため、歯切れの良いカッティングなどに最適です。出力低下は5dB程度とそれほど大きくない点も良く、TAPを活用しやすいと感じました。
c.ネックピックアップ ハムバッカー

180Hz付近をピークとして、100~400Hzにかけブリッジ以上に高い値を計測しています。中高音や高音の伸びは期待出来ませんが、迫力のあるリードトーンを作成可能です。
d.ネックピックアップ シングルコイル

低音はほぼ変化無しで、400~2.5kHzにかけて出力が控えめとなります。2.5kHz以降は盛り返すため、少し中域を絞り気味にしたドンシャリ系のサウンドです。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
GROTE LPF-001 Amazonで買えるステンレスフレット搭載LP型セミアコ高級安ギター まとめ
低価格帯でありながら、変化球な妄想を限界まで詰め込んだギターを具現化しています。けれども価格帯の限界を超えている節が否めなく、随所で粗が目につくのも事実です。

特に内部は『見えないからコストを削ろう精神』が顕著で、張りぼて度がMAXとなっています。個体差の上限を引けば美味しい思いが出来ますが、下限を引いた場合は悲惨になりそうです。

ラウンド仕上げのステンレスフレットやルックスの良さなど、メリットがデメリットでもれなく帳消しになる点が惜しく感じます。良くも悪くも総合的には価格帯相当の品質につき、決してコスパが良いとは断定出来ないです。

メリットとデメリットをどの程度プラスorマイナスに査定するのか、個々の匙加減に委ねられる部分が大きいギターだと言えます!

プラスとマイナスでバランスを取るという観点では貧乏神そのもの!

しかれども、この値段で『製品として夢を形にした』熱量は素直に凄みを感じる!

管理人のような個体が混ざっている点も含め、金銭と時間と技量に余裕のある人向きだね!
この世界の安ギターには
『夢』がある!
- 未完 -
安ギターに手を出す際の注意事項!
最後になりますが、この手の安ギターは『個体差の幅』が必ずあるものです。管理人の入手した個体より良い場合、または悪い場合もあるとお考え下さい。

量産品である以上、手にした1台のギターだけで仕上がりの中央値を判断出来ません。当ブログの情報も含め、常に『もっと悪い場合がある』事を意識して手を出しましょう。
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