【倍音炸裂】Creatifinity Parts CTSC-3 レビュー!ブラス製スプリングハンガーシンタイプ!【音質改善】
👆 Creatifinity Parts CTSC-3 ブラス製 スプリングハンガー シンタイプをレビュー&音質改善効果を解析!
目次
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Creatifinity Parts CTSC-3 ブラス製 スプリングハンガー シンタイプ 新発売!
Creatifinity Parts(以下CP)より、2022年初となる新商品が発売開始となりました。おなじみブラス製スプリングハンガーシリーズから、シンタイプのCTSC-3 (ブラス無地 / ブラック2種) が登場です。
CTSC-3はシンタイプの名の通り、CTSC-1やCTSC-2よりも省スペース化が図られています。
初代ブラスハンガーのCTSC-1は極厚タイプで、奥行約25mmという『デカさ』が魅力です。
2代目となるCTSC-2では取付け穴がアジャスタブルとなり、奥行も約22mmと幾分小型となります。しかしならがいずれも奥行が20mm超と厚手で、圧倒的な存在感という意味では共通です。
サウンド面は出力や倍音、音伸びの向上など、確かな変化を愛機にもたらします。その優れた音質改善効果については、当ブログでも各モデル取り上げてきた次第です。
ファットブラスの難点を解消!
しかしこれらのブラスハンガーはサイズが大きく、搭載が難しいギターもありました。通常のハンガーは奥行が19mm程度なので、20mm超は調整幅が無くなる場合があります。
端的に言うとスプリングが緩過ぎたり、フローティング出来なくなったりするのです。トレモロスプリングにおける数ミリの調整幅は、演奏性の安定感を大きく左右します。サウンドに与える影響も見逃せず、スプリングが緩い場合は音のハリや出力も低下です。
そこで新たに開発されたのがCTSC-3となっており、奥行き面の問題が解消されています。従来のブラスハンガーと比較して、本品の奥行は一般的なハンガーと大差がありません。
奥行は約15mmにダウンサイジングされ、小型のスプリングキャビティにも対応可能です。これまで搭載不可だった機種でも、ブラスハンガーの味を楽しめるようになりました。
無改造のTravelcaster Deluxeで交換前後を比較!
気になる点としては、小型になった事で音に与える影響がどれ程あるのかだと思います。そこで今回はTravelcaster DeluxeへCTSC-3を搭載し、サウンド面の変化を確認です。
Travelcaster Deluxeは購入時の楽器店初期調整を除き、一切手を加えておりません。純正ハンガーはスチール製となっており、スプリングは3本使用されています。
ブリッジはフローティング専用につき、ハンガーを交換した際の影響が大きそうです。この純正スプリングハンガーを基準に、ブラス製CTSC-3へ変更した後の音を比較します。
比較する項目は倍音特性、周波数特性、サスティーンの3項目としました。純正ハンガーとブラス製シンタイプハンガーで、どれほど違いがあるのか楽しみですね。
勿論交換比較にあたり、その他全てのセッティングと使用機材は共通といたします。交換後は各弦の弦高、ブリッジ高、スプリングの張力等が完全一致するように調整です。
ピックも新品のみを使用し、極力ハンガー以外は差の無い計測環境を構築しています。
計測に使用した機材一覧
ギター:Traveler Guitar Travelcaster Deluxe
使用PU:純正リア(Ceramic Single Coil Pickups)のみ
バックパネル:無し
シールド:Aria Pro II / JG-10X (10ft/3m, S/S)
マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P
ピック:Aria Pro II / P-HT01/080 YL
Travelcaster Deluxe 初期搭載スプリングハンガー
普及モデルでは良くみかける、丸みを帯びたフォルムのハンガーです。
きっちりL字に角度がついているのではなく、各部ゆるやかに設計されています。
形状は少しいびつですが、横幅や厚み、奥行き、高さ、穴間隔は標準的寸法です。
重量は13.6gとフロイドローズ純正よりは少しカルメで、なおかつ安ギターの汎用品よりは少し重めとなっています。
年式や形状にもよるけれども、安ギターでは10~15g前後のスプリングホルダが多いかな
補足
Travelcaster Deluxeの工場出荷時のスプリングは3本で、掛け方は川の字状です。
以前レビューで取り上げた際も、川の字スプリングの設定で各種特性を計測しています。
本記事ではスプリングを左右対称ハの字状3本に設定し、再度各特性を計測しました。あまり大きな違いはありませんが、該当記事内のデータと差異があるのはそのためです。
1.基本データ
材質:スチール
重量:13.6g
サイズ:横幅:50.3mm / 奥行:18.7mm / 高さ:13.8mm / 底面の厚さ:1.4mm /スクリュー穴間隔:34mm
2.倍音特性 (A2/110.00Hz)
倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦のスペクトラムを採用しています。倍音量はそれなりに多いのですが、随所で非整数倍音を含む枝毛状の波形を計測です。奇数次と偶数次の割合は半々程であるものの、部分的に偶数次が弱い箇所が含まれます。第14倍音などはほぼゼロに近く、高次倍音の密度や解像度も今一歩と言った所ですね。
倍音特性波形の周波数目安
左から2つ目の山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
3.周波数特性
重低音が控えめである反面、250~800Hz前後までムラの少ない均一なトーン傾向です。100Hz以下が少し弱く、1kHz以降は標準的なSTタイプ以上に強く計測されています。出力も適度に高いので、意外にもオールラウンドに対応出来る万能タイプです。ただし高次倍音が多く無い事が影響し、煌びやかさよりも音の角が目立ってしまいます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
4.サスティーン
サスティーンはシンプルに、開放弦Eコードを1ストローク鳴らして計測します。初期ハンガーの音伸びを基準となる0とし、交換後に±何%音が伸びたかを掲載です。
平均%:±0
→純正ハンガーの平均値との比較
最小%:±0
→純正ハンガーが記録した最小値との比較(平均や最大より値が大きくなる場合有)
最大%:±0
→純正ハンガーが記録した最大値との比較(平均や最小より値が小さくなる場合有)
人力でもデータの精度を上げるため、えげつない回数のストロークを繰り返しています。計測したサスティーンデータを元に、平均%、最小%、最大%の3通りを算出しました。
Creatifinity Parts CTSC-3 ブラス製 スプリングハンガー シンタイプ
画像では軽そうに映るCTSC-3ですが、実物は見た目以上にズッシリした質感です。
重量は純正ハンガーの3倍弱程あるため、少なくとも『軽い』と感じる事はありません。
細部の仕上がりはこれまでのハンガーと同様に、大変丁寧に加工されています。
寸法はほぼ公表値通りで誤差が少なく、表面はスベスベで縁の面取りなども滑らかです。
変更点としては奥行が縮小しているので、ラグ板を裏面に取付ける必要があります。
表面にラグ板を使うと、ハンガー中央に掛けるスプリングの取付け部に干渉です。
4本掛けで中央にスプリングを掛けない場合を除き、裏面で弦アースを取りましょう。
a.基本データ
型番:CTSC-3
材質:ブラス(快削黄銅)
重量:32.5g
サイズ:横幅:50.0mm / 奥行:15.0mm / 高さ:13.8mm / 底面の厚さ:3.5mm /スクリュー穴間隔:34mm
かなり省サイズ設計だけれども、安ギターであればおよそ2~3倍程度の重量増加が望めるよ!
b.倍音特性 (A2/110.00Hz)
まず交換後は生音レベルで音の分離が良くなり、倍音の鳴りを聴覚的に実感出来ます。倍音は偶数次と奇数次を問わずに最大値が向上し、高次倍音の計測量もかなり増加です。
基音から第8倍音付近までの非整数倍音も減少で、濁りの少ない澄んだ倍音が得られます。基音以下の非整数倍音は微増傾向となるため、重低音~低音は僅かに渋さを含有です。とは言えブラス特有の音の渋みに近く、隠し味的に良い方面へ作用していると思います。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
c.周波数特性
CTSC-1程ではないものの迫力は十分増しており、出力は最大で+1dBの増加を確認です。周波数特性はマイナスに作用した箇所が無く、ほぼ全ての帯域が底上げされています。
100~150Hz付近のみ変化が無いですが、100Hz以下の重低音の弱さがある程度改善です。低音より凄まじいのが中~高音域の伸びで、800Hz以降は満遍なく頭一つ分向上します。
相対的に純正よりハイ上がりとなるため、モダン系の煌びやかなサウンドに豹変です。ヴィンテージとは対極であるものの、ライトアップされたような明るい音色が響きます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
d.サスティーン
平均%:+3.7%
最小%:+1.1%
最大%:+8.1%
音伸びに関しては期待通りの結果で、伸びる時はどこまでも音が響き続ける印象です。重量の影響が大きいのか平均はCTSC-1やCTSC-2以下ですが、最大値は引けを取りません。
一方最小値は微増にとどまるため、伸びが良い時と悪い時の差が明確に感じられました。マイナスに作用する事はありませんが、制御する技量が弾き手に求められると思います。
Creatifinity Parts CTSC-3 ブラス製 スプリングハンガー シンタイプ まとめ
標準的ホルダーに近いサイズで、ブラスハンガーのアドバンテージを得られる製品です。倍音、出力の向上にサスティーンや中~高音の強化など、音質面に広く影響を与えます。
キャビティが狭く大型のハンガーを搭載出来ない場合、良い選択肢になりそうですね。ハイ上がりで煌びやかなトーンと音伸びを求めるプレーヤーは、ぜひ試してみましょう!
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