最高級の銅6弦エレキギターブリッジ って何だよ…… 【変な部品レビュー第14回】
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前回の変な部品レビュー
コレ本当に 最高級の銅6弦エレキギターブリッジ ??
変なパーツレビュー第14弾は、安ギターに使えそうなブリッジを見ていきます。その名もズバリ、 『 最高級の銅6弦エレキギターブリッジ 』とのことです。

高品質でゴージャスな仕上がり、細部まで細部まで
材質:銅
引用:Amazon _ gazechimp 最高級の銅6弦エレキギターブリッジスクリュースプリングトレモロアーム _ エレキギター・ブリッジ・サドル・アーム _ 楽器・音響機器
安パーツの割には自己評価が高過ぎる気がしますが、字面が面白いのでOKとします。本品は安ギター用の安ブリッジとはいえ、材質が銅と表記されている点に注目です。ブリッジプレートの素材はスチール製が一般的で、安価になると亜鉛等が用いられます。

高級品ではブラスなどが採用されるものの、銅が使用される事はほとんどありません。商品画像では青銅のような色合いをしているため、ブロンズ製なのでしょうか。気になるのはこの価格帯で、本当にブロンズ製ブリッジが手に入るのか否かです。

近頃は銅の価格が高騰しているため、コスト的に製造が難しいように思われます。果たして本当に最高級の銅6弦エレキギターブリッジなのか、取り寄せてみました。
外観

納期は2週間から20日の予定となっていましたが、注文後13日目での到着です。

安パーツの単体発送では珍しく、きちんとした段ボールが使用されています。段ボールの上からビニール封筒で防水されており、輸送中の外傷当は無い様子です。

箱を開けるとアーム等の付属品は長袋に、ブリッジはティッシュに包まれていました。傷つかないように配慮したものと思われますが、緩衝材として適切かは分かりません。

セット内容はブリッジ本体に加えて、関連パーツが一通り全て付属します。アームはブリッジと同じ色で、スプリングは派手な赤色のコーティングタイプです。

FLOYD ROSEから発売されている、ノイズレススプリングを模したものと思われます。
カラーについて
ブリッジはブロックとスクリュー類を除き、青銅系の鈍い銅色なのが特徴的です。安ギターはクロームが多いため、この色合いだけでもオリジナリティを主張出来ます。

表面も整った感じではなく、レリック風の仕上がりとなっている点が好印象です。渋い光沢が味わえるため、アンティーク嗜好の方はかなりグっと来る事でしょう。

ただし加工精度は高くないため、目を凝らすと随所に雑な箇所が散見します。サドルの内側などは研磨されていない様子で、アームも接着剤が漏れていました。

ブロックも表面が凸凹の箇所があるなど、品質は価格相当であるとお考え下さい。
仕様
寸法は商品画像に添付されている表の通りで、極端に大きな誤差は無い模様です。しかしピッチは10.4mmではなく、10.5mmの方が近い値ではないかと思われます。

安ギターブリッジとしては標準のピッチにつき、エントリー機と互換性が高いです。PLAYTECHやLegend、Photogenic、Squierなど、多くの下位モデルに適合します。
問題の素材について
今回の要点ともなるブリッジの素材について、磁性体どうかを調べてみました。サドルを分解してマグネットトレーに近づけると、サドル本体は反応無しです。

スクリュー、スプリング、イモネジ、ホルダは、全てスチール製だと思われます。
サドルの材質
これだけでは特定が出来ないため、今度はブラスサドルと重量を比較です。快削黄銅2種の比重は8.65、鉄は7.8、亜鉛合金は6.6、青銅は8.8程度となります。

同一形状のブラスサドルと重さを比較する事で、素材の目星が付くハズです。ところが本品とブラスサドルの重量は、ほとんど差がありませんでした。

サドルは青銅製の可能性よりも、ブラス製の可能性が高いかもしれません。判別が難しいため、ここはひとつ謎の合金製という事にしておきましょう。
ベースプレート&アームの材質
続いてベースプレートとアームですが、いずれもマグネットに吸着します。

そのため見た目こそ青銅風であるものの、十中八九素材はスチールです。ブロックは勿論亜鉛合金製なので『銅製表記』は語弊があると思います。(銅を使用した複数の合金製が正しい)

その実態はスチールプレートと謎合金サドルを、青銅風に着色しているだけです。アームも同じくスチール製で、素材的な銅の要素が限りなく薄くなっています。

青銅は使われていない事が予想されるため、購入時は注意して下さい。
無価値な薄過ぎるサスティーンブロック
ブリッジが銅製ではないと分かり、管理人のテンションは下降気味です。外観が青銅風でも、性能自体は安ギターのブリッジと大差が無いと思います。

その最たる理由はやはり、安物である事を雄弁に物語る極薄のブロックです。

サスティーンブロックの厚さは僅か7mmで、必要最低限の厚みしかありません。

薄い上に比重の軽めな亜鉛製とあり、ブリッジ重量は僅か131.5gでした。

これではサスティーンが期待出来ないどころか、耐久性にも疑問符が浮かびます。

下手をすると安ギター標準のブリッジより、更に性能が低下する可能性が高いです。率直に申し上げて、外観以外の全ての面が虚無としか言いようがないでしょう。
Musiclily Ultra 10.5mm フルブラス 搭載可能💖
このままでは不燃ゴミが増えるだけになりそうですが、意外な抜け道がありました。本品はAmazonでも名高い、Musiclily Ultra フルブラスブロックが搭載出来ます。

ブロック固定ピッチ、弦通しの穴、アームの穴、全ての穴がほぼ問題無しです。

若干アーム穴の中央がズレるのみで、各部干渉せずに使用可能となります。

フルブラスを搭載する事により、本品は一気に安ギターブリッジの救世主に覚醒です。ブラスの音を楽しみつつ、アンティークな外観を実現出来るのは魅力的だと思います。
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取付け
ブラスブロックとフュージョンした事により、管理人のテンションも再燃焼開始です。この見た目で極厚ブラス搭載ときたら、是が非でも安ギターに使ってみたくなります。そんな訳で早速、本品をSquier Affinity Stratocaster HSSに取付けてみました。

ブリッジ本体に手を加えた箇所はブロック固定用ネジと、先のブラスブロックです。

スプリングホルダは穴間隔が異なるため、そのままSquier標準搭載品を使用します。セッティングは音の良し悪しを見極めるため、スプリングを強めに張ったベタ付けです。
落ち着きのある高級感✨
ブロンズカラーはブラックやゴールドと相性が良く、見栄えはかなり良好だと思います。鈍い光沢のアンティーク感が際立っており、ブリッジ周りの存在感が倍増ですね。

デスバッカーやノブの光沢と対照的に、落ち着いた雰囲気が良い塩梅となっています。

バックパネルを外した状態では、赤いスプリングとブラスのマッチングが最高です。とても安ギター&安ブリッジには見えない、高級感溢れる色合いが楽しめる事でしょう。
音質

音質変化が気になると思い、ブリッジ交換前後のデータを計測します。交換前のブリッジは、スチールブロック搭載のWilkinson WV6SB-BKです。計測したのは周波数特性ですが、交換後のみA2倍音(5弦開放弦)も調べました。
計測に使用した機材一覧
ギター:SQUIER / Affinity Stratocaster HSS
交換前ブリッジ:Wilkinson WV6SB-BK
交換後ブリッジ:最高級の銅6弦エレキギターブリッジ + Musiclily Ultra 10.5mm フルブラス
使用PU:LACE / Alumitone Deathbucker Gold(リア)
倍音特性 (A2/110.00Hz)

フルブラスの恩恵もあり、交換後は凄まじい量の倍音が計測されました。通常は倍音が途切れるものですが、本品は基音から第25倍音まで途切れません。第3倍音が大きいためやや冷淡な響きであるものの、倍音成分の多さが上回っています。極端に低い偶数次倍音も存在しないため、音の密度の濃さを実感出来るハズです。
倍音特性波形の周波数目安
左から2つ目の山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性の比較
周波数特性はDI直で同一のフレーズを30秒録音し、スペクトラムを比較しました。
Wilkinson WV6SB-B

スチールブロック特有のローエンドが力強く、その他の帯域も標準以上となっています。

ミッドハイ相当の1k~2kHz付近が控えめな程度で、ムラの無い優秀な周波数特性です。200~400Hzに音が集中しているため、低音を活かしたサウンドメイクが可能となります。
最高級の銅6弦エレキギターブリッジ + Musiclily Ultra 10.5mm フルブラス

スチールブロックと比較して、全体的に音の重心が高くトレブリーに変化しました。音の中心が400~800Hzにシフトしつつ、800Hz以上の帯域全体が大幅に増幅です。音の輪郭がクッキリしている上に、煌びやかで賑やかな響きの高音域が楽しめます。

対照的にローエンドが弱くなるため、ピックアップを交換したレベルに音が激変です。ブリッジ以上にスプリングの影響が大きい様子で、剛性が足りないのかもしれません。(Wilkinson製スプリングよりも柔らかい)とにかく明るく歯切れの良い音が欲しい場合は、非常に良い選択肢になると思います。
波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
最高級の銅6弦エレキギターブリッジ まとめ

・残念ながら銅製ブリッジと言うには語弊がある
・正確には鉄製プレートと謎合金サドルを青銅色に染めたブリッジ
・サスティーンブロックが薄過ぎるため交換価値が希薄
・Musiclily Ultra 10.5mm フルブラスが適合可能
・フルブラス交換後は外観と音の両面で優秀なブリッジに変化
・虚無からメシアに生まれ変われる覚醒型変なパーツ
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🐶<我は Amazon が好き♪
🐴<余は Yahoo! である♪
※Yahoo!ショッピングの取扱店ではスプリングの色が異なります
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