80年代YAMAHA風ロック式トレモロ って何だよ…… [変な部品レビュー第8回]

👆 80年代YAMAHA風ロック式トレモロ はまともに使えるのかレビュー!
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前回の変な部品レビュー
75mm支持の 80年代YAMAHA風ロック式トレモロ !
以前当ブログでは、80年代YAMAHA製ギターについて取り上げました。部品の規格が特殊故に、部品が欠品していると再生に苦労するという内容です。とりわけブリッジは基本的に代替品が皆無なので、当時物を探すしかありません。支持間隔が特殊なロック式トレモロが多く、フロイド系の搭載が難しくなっています。

しかし世界は広いもので、近頃はYAMAHA風のブリッジも見かけるようになりました。該当商品はおそらく、Rockin’Magic IIを意識した設計です。
決め手となったのは支持間隔で、該当モデルと同じく75mmで設計されています。見た目もRockin’Magic系統に近く、もしかすると代替品になるかもしれません。
というよりも、支持間隔が75mmでは通常のフロイド対応ボディに搭載不可です。本品は実質的に、80年代YAMAHAのボディ専用ブリッジになると思われます。問題は支持間隔がマッチしても、ボディの特殊なザグリに適応出来るか否かです。実際に取り寄せてみたので、1985年製SESSION II 612Pを使って確認していきましょう。
<参考記事>
外観
商品はビニール封筒の中に、気泡緩衝材に包まれた状態で届いています。

そしてブリッジとその他の小物は、別々のチャック付きビニール袋に封入です。

破損や欠品等はなかったのですが、第一印象は正直な所かなり汚いと感じました。
メッキの仕上がりについて
金属パーツの表面は油汚れが多く、指紋などでベタベタに白濁しています。

スチールパーツは部分的に錆びており、袋に赤い錆が付着している始末です。価格相当の扱いといった所で、商品管理環境の悪さを想起させます。

商品を取り出してみると、メッキそのものの質もイマイチでムラだらけです。液垂れしたような形で凝固している箇所があったりと、香ばしさが漂っています。

汚れを拭き取ってみましたが、やはりメッキの加工自体が良く無いですね。表面にポツポツと点サビが浮いており、光を当てると仕上がりの悪さが目立ちます。中古品といっても通じるレべルなので、外観はあまり期待しない方が良いでしょう。
各パーツチェック
付属品はアーム、スタッド、ナット、スプリング、ホルダ、レンチ&スクリューです。ダブルロック式ブリッジとして、必要なパーツは一通り網羅されています。

アーム

アームはハウジング付きのブリッジにつき、キャップで固定するタイプです。角度はあまりきつくなく、幾分平坦な設計に思われます。
スタッド&アンカー

スタッドのネジはM6対応で、外径10mmのアンカーが付属です。Rockin’Magic IIのスタッドは特殊につき、今回は純正のスタッドを使用します。
ロックナット

ロックナットは幅42mmですが、80年代YAMAHA風のものではありません。通常のフロイド系ロックナットに近い形状なので、当時物には使用出来ないです。またスクリューが合っておらず、何故かペグ用のφ2.4mmが付属していました。
スプリング&ホルダ

スプリングはユニクロームの安っぽい色合いに加えて、グニャグニャしています。張力が足りないように思われるため、場合によっては別途スプリングが必要です。固定用スクリューも短く、かなり深くねじ込まないと危険かもしれません。
部品の抱き合わせ感
レンチはブリッジ用とナット用の2種で、こちらもブリッジ同様に錆びています。使えない事はありませんが、指や手が汚れるので乾拭きしておきましょう。
ブリッジに合わせて作られた部品というよりは、抱き合わせ感が強いです。安価なナットやスプリングなどを、適当に見繕ったものと推察します。良質とはいえないパーツ類につき、ブリッジ以外はおまけ品質と考えましょう。
仕様

ここではブリッジの仕様について、気になる点のみチェックです。外観はRockin’Magic系統の本品ですが、色々なブリッジの要素が混ざっています。
3機種混合?

サドル形状はタケウチ製TRS-PROに近いものの、弦を固定する仕組みが特殊です。

弦はボールエンドを切らずに、サドルの後方から挿入するタイプとなっています。

この構造はFloyd Rose IIのサドルに近いですが、本品はロック機構を搭載です。サドルトップの六角穴付きネジを回す事で、弦の固定が可能となっています。故に本品はRockin’Magic II、Floyd Rose II、TRS-PROを足して3で割った感じです。

3機種の要素が混ざっているものの、主となるのはRockin’Magic IIとなっています。Floyd Rose IIやTRS-PROとは支持間隔が異なるため、代替品としては使えません。
ピッチについて
仕様書ではピッチが10.8mmと表記されていますが、実測した所10.5mm前後でした。フロイドローズ系統とは異なり、Rockin’Magic IIと同等のピッチです。誤記ではありますが、YAMAHAへの使用の場合は特に問題は無いものと思われます。
Rockin’Magic IIと比較

取付けを行う前に、純正のRockin’Magic IIと簡単に比較です。

重量はRockin’Magic IIが500g以上あるのに対し、本品は300g台でした。仕様書の555gというのは、全てのパーツの重量の合計でしょうか。大幅に重量が減少してしまうため、音質面の変化は避けられません。

サスティーンの低下や低音域の衰退など、ある程度は覚悟しておきましょう。

比べてみるとRockin’Magic IIより背が低く、逆にサドル位置は高めとなっています。弦高が高くなる事が想定されるため、シビアな調整には対応出来なさそうな予感です。

弦を張らずにポン乗せしてみると、支持間隔に関しては100%OKでした。ただし横幅やナイフエッジの構造が異なるため、ボディにブリッジが引っ掛かります。

このままでは弦を張れないため、やむを得ずハウジングを取り外して対応です。

それでもザグリに収まらず、無加工ではベタ付けでしか使用出来ないと思われます。
取付け
それではSESSION II 612Pに搭載し、無改造でどの程度使用出来るかを確認です。ベタ付けにするために、スタッドは限界まで下げた状態で取付けています。

スプリングも3本では張力が足りず、別途ウィルキンソン製スプリングを準備です。ウィルキンソン製を中央に3本、左右に本品の付属品スプリングを搭載しています。スプリングホルダは限界まで締め上げ、完全にベタ付けになるように設定です。

更にロッドの増し締めを行い、気持ちストレート寄りにセットしました。ここまで調整してはじめて、まともに弦を張って演奏出来る状態になります。
無改造の限界ライン
にも関わらず弦高は6弦側で1.7mm、1弦側で1.8mm程度です。1弦側はこれ以上弦高を下げる事は不可能なので、シムが必要となります。6弦側の方が低いのも使いにくいため、スタッドを上げて調整した方が良いですね。

若干高めの弦高ですが、無改造で対応出来る範囲ではこの程度になると思われます。勿論ザグリを加工したり、シム調整で弦高を下げる事は可能です。とは言えそこまでの労力を要し、本品を使うメリットは無いかもしれません。
使い勝手
主観的な感想となりますが、重量減少が大きいのか低音の鳴りが弱くなります。スプリング5本でも一応アームダウンと僅かなアームアップは可能で、操作感はそれなりですね。

ただし精度があまり良く無く、チューニングは狂いやすく感じられました。ファインチューナー等も動きが渋いので、ネジ類の精度も標準以下だと思います。

あくまでRockin’Magic II欠品モデルを使い、なんとか音を出したい方向けです。Rockin’Magic IIの入手が難しい場合に、遊び感覚で試す程度にお考え下さい。
まとめ

アームを使う予定がなく、弦高が2mm程度でもOKという場合は狙い目となります。安価な上に見た目の変化が大いので、音や使い勝手は二の次という方にもおススメです。音質や品質、使いやすさを求める場合は、無難に中古のRockin’Magic IIを探しましょう!
🏃💨興味本位で 80年代YAMAHA風ロック式トレモロ を試す💖


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