フォークロックギターブラック用ギターロックギア って何だよ……[変な部品レビュー第26回]
👆 フォークロックギターブラック用ギターロックギア (中略)
目次
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前回の 変な部品 レビュー!
フォークロックギターブラック用ギターロックギア (中略) ???
世界に蔓延る変な部品レビュー第26回は、ロングタイトル系商品を見ていきましょう。その名もズバリ、
『フォークロックギターブラック用ギターロックギアチューナーチューニングペグマシンヘッド3R3L – 銀02(6R)』です。
ロックとギターが2回も被っている名前は、某アームストロング砲を彷彿とさせます。
辛うじて『ペグかな?』とは思えるものの、長くて分かりにくい商品名ですね。Amazonで検索に引っ掛かりやすそうなワードを、全乗せした感が否めません。
異様な安さ
名前はさておき、本品はペグはペグでもロック式タイプのペグとなっています。ロック式タイプのペグは構造の複雑さから、お値段の設定も割高となる傾向です。
GOTOH製SG381を例に出すと、標準タイプとMGTの価格差は1.8倍以上となっています。(※) MGT=裏面に設けられたダイヤルでロックするタイプ
SPERZELやFENDERのロック式ペグも、安ギターが1台買える程度の価格設定です。一方変な名前のペグの販売価格は、なんとうまい棒160本前後で推移しています。
大手メーカー製L6ロトマチックペグでは一番安い、ARIA AT-235Gよりも安価です。これほどの低価格でペグをロック式に変更出来るとなれば、驚異的に感じます。
分かりにくい反転配列表記
ただし安パーツの例に漏れず、本品は商品名だけでなく商品仕様もどこか変です。まずペグ配列表記に関して、一般的な正面配列表記の真逆となっています。
通常ペグの配列を表記する場合は、ヘッド正面から見て左ならL、右ならRです。右利き用のシングルサイドヘッドはL6となり、ギター界では特に多用されています。ところが本品は一般的なL6タイプのペグが『R6』として販売されているのです。
商品画像を見ると一発で分かるものの、誤記なのか仕様なのか判断が出来ません。間違えてL6画像を掲載しているだけで、実際に届く商品はR6の可能性もあります。L3+R3配列の場合は問題ありませんが、買い手にとってはかなりの不安要素ですね。
異様な説明文
続いて説明文に目を向けると、いつものあの素材の名前が記載されています。
材質:鉄&亜鉛合金
引用:Amazon _ フォークロックギターブラック用ギターロックギアチューナーチューニングペグマシンヘッド3R3L – 銀02(6R)
変な部品ではお馴染みの素材となった、亜鉛合金と今日も元気にエンカウントです。
鉄と亜鉛合金製
引用:Amazon _ フォークロックギターブラック用ギターロックギアチューナーチューニングペグマシンヘッド3R3L – 銀02(6R)
なんという事でしょうか、念を押すように2行連続で亜鉛合金をゴリ押ししてきます。
密閉型密閉設計
引用:Amazon _ フォークロックギターブラック用ギターロックギアチューナーチューニングペグマシンヘッド3R3L – 銀02(6R)
構造的な話となりますが、ダイヤルロック式ペグは密閉型ではありません。ギアカバーを外してダイヤルを設けているため、多少は隙間の出来る設計となります。
ヘビーデューティインターナルギア付きエレクトリックアコースティックフォークギターの交換部品
引用:Amazon _ フォークロックギターブラック用ギターロックギアチューナーチューニングペグマシンヘッド3R3L – 銀02(6R)
更なる付加価値を狙っているのか、ダイヤルに大層なネーミングを付けてきました。管理人にとっても大きな誤算でしたが、
とってもカッコいいネーミングセンスですね!
名前から察するに、最先端の特殊な技術が盛り込まれている事も考えられます。これは一刻も早く取り寄せて、HDIGをグリグリしなくてはならないでしょう。爆発寸前の期待を胸に、とりあえず『R6』タイプをチョイスです。
外観
納期は9~17日と半端な表記でしたが、注文日より14日目の到着となっています。商品に専用パッケージはなく、ビニール袋にまとめて詰め込まれた状態です。
中ではペグ毎に個別包装となっており、輸送時に擦れて痛む心配は少ないと思います。
しかしながら輸送時に痛む以前の問題として、
ペグの汚れや指紋跡が著しく目立ちました。
管理人が暇さえあれば科捜研を見ている事を、異国の地から見抜かれたのでしょうか。
拡大して見ると油分の混ざった指紋跡の様子で、脱脂しないと跡が残りそうです。
細部の仕上がり
汚れはまだ綺麗に出来ますが全体的に小さな傷も多く、部分的に錆も発生しています。ウォームやペグボタン用のワッシャーなど、無垢鉄パーツの赤錆が少し厄介ですね。
メッキの質も高いとは言えず、凸凹に歪んだ状態で加工が施されています。
ペグ取付け用のネジ穴に関しては、液垂れしたままメッキが凝固していました。
遠目に見る分には大丈夫ですが、至近距離で見れば見るほど粗だらけです。
トルク調整用ネジのネジ頭も舐め気味で、クロスで触れると繊維が絡まります。
最先端の技術が盛り込まれているなどと最初に言い出した人は、一体誰でしょうか。個体差もある事は承知ですが、仕上がりに関しては多くを望まない方が無難です。
仕様
懸念されたペグ配列は商品画像の通り、一般的に言うところのL6配列となっています。ネジ穴位置は斜め45度のスタンダードタイプで、GOTOH SG381と同等の位置関係です。
取付け部の最大径は9.8mm程度となっており、こちらも標準的な大きさだと言えます。GOTOH SG381タイプのロトマチックペグであれば、ほぼポン乗せで交換可能です。
ペグボタンはEART等と同じGOTOHのS5風を採用し、重量は6個合わせて208.2gでした。
ギア比は1:19と高精度仕様になっていますが、稼働が滑らかではありません。せっかくの精度を活かしきれておらず、宝の持ち腐れ感が否めない雰囲気が漂います。
ロック機構の確認
ロック式ペグは装着する前に、必ずロック機構が正常に動作する事を確認です。本品はダイヤル式につき、全てのダイヤル(HDIG)を限界まで締めてチェックします。
ダイヤルを限界まで締めた状態で、ポスト内の天井まで固定用の芯が届けばOKです。余裕があれば廃棄予定の弦などを使用し、固定具合も調べておくと尚良いと思います。
ロック機構に問題がある場合、芯が天井まで届かず半端な位置までしか届きません。
なんとなくは想像していましたが、6個の内2個は不良個体となっていました。
1つは3弦程度の太さまでギリギリ固定可能で、もう1つは6弦以外は固定不可です。
今回は不良個体を5弦と6弦用に使用する事で、対処可能な範囲となっています。
ですが無理に使う必要は無く、1つでも不良個体があれば返品を考えて良いでしょう。というよりも外観が指紋と錆だらけの時点で、返品対象になるような気もします。
変なパーツ類は金額が安いだけに、不良個体とのエンカウント率がとても高いです。想定通り上手くいかず、時間だけを浪費する事になる可能性も十分にお考え下さい。
ロックペグは基本最短距離で固定するけど、ディバイザーでは1弦のみ弦通しの穴を2回通す方法を採用しているよ
取付け
それでは手持ちのギターを使って、本品を実際に装着していきます。使用したギターはARIA RETRO-1532Jで、購入後未改造のまま使用している個体です。
ペグはAT-235Gに近いタイプですが、ペグボタンがGOTOH 05型となっています。
重量は6個あわせて185.3g程度となっており、それなりの重さといった感じですね。
ギア比は1:14~15程度で、精度もトルクもいたって普通のロトマチックペグだと思います。ペグ穴のサイズとネジ穴の位置は全く問題無く、交換自体は滞りなく済みました。
交換前の05型ペグボタンも良かったですが、S5型のボタンも見栄えが良いですね。
ヘッドの大きさとマッチしており、ルックスという点では満点かもしれません。
裏面のダイヤルも重厚感があり、良い個体を引ければホクホク顔となる事でしょう。
弦の固定について
弦の固定方法は記載が無いため、マグナムロック・トラッド式で固定しています。ポストに弦は巻かないようにし、ストレートに弦を通した最短距離でロックです。
ネジ切りが甘いのか、ダイヤルを締める際に微妙なひっかかりを感じます。完全に締めても調弦中に緩くなる個体があるなど、精度はとても低いですね。
マグナムロック・トラッドのような固定感は、望まない方が賢明でしょう。管理人の個体は正常に固定出来ましたが、個体差が激しい事が予想されます。
音質
ペグは音質の変化に影響のある部品ですが、ロック式は倍音量が減少する傾向です。理由は巻き数が減り弦が短くなる事、弦の固定でブレが少なくなる事が挙げられます。これは音質が低下するという意味ではなく、ペグの構造上仕方が無い変化ですね。
弦が動きにくくなる構造と弦の張り方につき、倍音が控えめになるとお考え下さい。重量が増える場合は、周波数特性の変化に与える影響も大きくなります。参考までに、交換前と交換後の倍音特性と周波数特性を掲載です。
倍音特性の比較 (A2/110.00Hz)
倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦のスペクトラムを採用しています。
1.交換前
RETRO-1532Jはトレブリーな音色と飽和感のある響きの通り、倍音量が芳醇です。基音付近は非整数倍音も少ないですが、高音域は非整数倍音が若干増えていきます。第15~20倍音付近は枝毛状の波形になるため、シャギーな響きがビザール感全開です。
2.交換後
交換後は倍音の大きさも量も減少し、枝毛状の非整数倍音も少なく計測されています。倍音のバランスが変化し、第2、第4、第6と偶数次倍音が大きくなる傾向です。交換前よりも暖かな響きですが、ビザールらしさが損なわれているかもしれません。
倍音特性波形の周波数目安
左から2つ目の山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性の比較
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを比較しました。
a.交換前
700Hz付近に波形が集中しており、高音域側の伸びも良い周波数特性となっています。『ジャキジャキしたシングルコイル』のイメージ通りで、軽やかに弾むトーンです。
b.交換後
中心周波数の700Hzが盛り上がり、前後の周波数もより大きく計測されています。2kHz以降の伸びも凄まじく、交換前以上にトレブリーなサウンドに変化です。非整数倍音が減少した影響からか、低音や重低音は交換前より弱くなっています。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
周波数特性の変化の傾向について
ちなみに本品と交換すると、全てのギターで同等の変化が起こる訳ではありません。重量の変化、スケール、ヘッド角、使用弦など、他の要素との兼ね合いが大きいです。周波数の変化は一概に断言出来ないので『交換すると変わる』程度に考えましょう。
フォークロックギターブラック用ギターロックギア まとめ
・長い名称の実態は激安ロック式ペグ
・ヘビーデューティインターナルギアというダイヤルの名称はカッコいい
・加工精度が低く汚れや錆も目立つ個体が含まれる可能性有り
・ロック機構の芯が届かない個体が含まれる可能性有り
・ペグボタンやダイヤルなどのデザイン面は良好
・他のロック式ペグと同様に倍音量が減少する
・交換前のペグ重量やその他の要素により周波数特性が変化する
・名前を先に考えて燃え尽きた感溢れる中二病ネーミング系変なパーツ
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