Chicken Picks レビュー:数か月使える長寿命&高音質ハイグリップ高級ピック Bermuda III-XL

👆 オランダ発の高級ピック Chicken Picks レビュー!
目次
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Chicken Picks オランダ発の長寿命、高音質、快適な高級ピック!
今回は Chicken Picks (チキンピックス) より、ギターやベース、マンドリンなどあらゆる弦楽器に使える高級ピックをレビューします。
Chicken Picksはオランダのドルトレヒト発となる、樹脂製ピックブランドメーカーです。代表のエッポ・フランケン氏は自身の望むピックが見つけられず、1985年のロッテルダム音楽院学生時代よりピック制作を開始しました。
学生時代のエッポ氏はScotty’sの赤い0.6mm厚のナイロンピック (上記画像) を使用していましたが、より厚みのあるピック材を探求します。80年代に厚手のピックはJim Dunlop 2.0mmくらいしか流通していなかったため、当時は複数のピックを接着剤で重ねて試行錯誤を繰り返していた (下記画像) 模様です。
やがて様々な素材を探求する中で2.6mm厚の熱硬化性プラスチックと出会い、1987年に父と共に独自のベベル加工を持つChicken Picks第一号を開発しました。以後エッポ氏は自身と音楽仲間のためにだけピックを制作していたものの、2010年にジョランダ夫人の提案でWebサイトを開設します。
エッポ氏は半ば冗談のつもりだったと述懐していますが、旧Twitter (現X) での反響を経て正式に会社設立の手続きを行ったそうです。開業1年半で制作したピックモデルは1,400個にも及び、その全てをエッポ氏が1つ1つハンドメイドされていました。
ピックの売れ行きが好調となった2013年以降は、ベルギーとドイツの工場でピックの原型を機械で製造しています。現在Chicken Picks全モデルは『半ハンドメイド方式』にて、ピックシェイプの最終仕上げと確認が手作業で行われているのです。
Chicken Picks は全モデル硬度と密度に優れた熱硬化性樹脂を採用!
Chicken Picksが手掛けるピックは全モデル熱硬化性樹脂 (Thermosetting plastic) を採用し、優れた硬度と密度を備えています。ピック厚は2.0~3.5mmと総じて厚く、しなりやすい薄手のピックよりも少ない力で良質なトーンを創出可能です。
硬度と密度の高さに厚みと手の負担低減が重なることで、何か月も使える耐久性と演奏の快適性を両立しています。また手の負担が少ない分だけ指先のコントロールが向上し、ピッキングニュアンスに集中しやすいプレイ環境をアシストです。
ちなみに寿命は家弾き程度であれば数か月~数年は持つと公式に発表されており、極めて長寿命なピックだと言えるでしょう。
Chicken Picks Bermuda III シリーズはギターにもベースにも使えるトライアングル型!
ヨーロッパで大人気のChicken Picks Bermuda IIIシリーズは、ギターにもベースにも使えるトライアングル型ピックとなります。2025年2月の時点で3モデルが販売されており、ハイグリップで滑りにくいフィット感と豊かな低音、そしてクリアなトーンが鮮烈です。
Bermuda III
Bermuda IIIはFENDER 346 Shapeよりも一回り小さく、丸みのある中央の角と鋭い両端の角で異なるサウンドを有します。厚さは2.1mmと2.7mmの2種から選択可能で、箱物エレキギターやアコースティックギター、ステンレス弦とも相性抜群です。
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Bermuda III-P (Pointy)
Bermuda III-P (Pointy) はBermuda IIIを元に、より鋭く尖った3つの角を有効に使えるシェイプとなります。厚さは2.1mmと2.7mmの2種が用意されており、弦離れの良さとダイレクトなレスポンスは高速フレーズにも最適です。
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Bermuda-III XL (The Bass Pick)
Bermuda-III XLは『The Bass Pick』と表記されていますが、FENDER 346 Shapeに最も近いサイズ設計が施されています。ベースのみならずギター用としても演奏性が高く、刻みを多用するメタルやハードメタル、パンクとも好相性なシェイプです。
太いギター弦やステンレス弦、多弦ギターやアコースティック弦楽器全般 (※1) に順応するため、汎用性の高さは随一となります。厚さは2.1mm限定となるものの、Bermuda III同様に丸みのある中央の角と両端の鋭い角で幅広いサウンドメイクが可能です。
※1.メーカーサイトではベースとギターの他、マンドリン奏者のユーザーも多いことが公表されている
Bermuda-III XL (The Bass Pick) を売場で確認!

本記事ではヨーロッパで好評を博している Bermuda-III XL (The Bass Pick) をベースではなくギター用としてレビュー!

オランダが誇る新鋭ブランドChicken Picksの真価を多方面から掘り下げていくよ!
外観
Chicken Picksのパッケージはヘッダー付きのビニールタイプで、台紙にモデル名と厚さが記載されています。

全モデルホワイトカラーオンリーということもあり、ブラックを基調としたエモリティの高いパッケージですね。

パッケージ表面下側にはChicken Picksの特徴が、裏面にはより詳しい特徴と製造環境、注意書き等が英語で掲載されています。

Bermuda-III XL本体を取り出してみると、まずは熱硬化性樹脂の持つ独特の触感に驚くかもしれません。

セルロイドともナイロンとも異なる手触りで、あえて別の素材で例えるのならばケーキ等のメレンゲドールに近いでしょうか。

一見スベスベしているようでザラっとしたブレーキ感が心地よく、無機質なのに手に吸い付くような粘りも感じられるのです。
デザイン
色は混ざり気の一切無いホワイトが美しく、丁寧に研磨されているエッジは無垢と表現したくなるほどの上品さが漂います。ピック本体表面にはデボス加工のChicken Picksロゴが入り、裏面にはエンボス加工でミリ規格のピック厚を表記です。

両加工ともグリップ力を高める目的を兼ねていますが、裏面のエンボス加工の方が強力なブレーキがかかります。慣らし演奏の際に表と裏のどちらに親指を添えるのかを試し、握り方を決めた後にフォームを固めると良いでしょう。

形状は角やエッジの鋭さこそ全く別物であるものの、おおまかなサイズ感はFENDER 346 Shapeよりも若干横幅が広い程度です。表面積が広いので中南米のジャズプレーヤーに多く見受けられる、中指を交えた3本指で支えるフォームにも順応します。

写真では伝わりにくい要素として、実物に触れて長時間構えていても指先に手汗が滲みにくいのが好印象です。エッジは全ての辺が想像以上に鋭く加工されているため、文字通り『ナイフエッジ』そのものとなっています。

使い始めはエッジが硬過ぎるよう感じるけれども、15分程度慣らし弾きするだけで滑らかなタッチに変化!

高級ピックにありがちな妙なクセも無いので346 Shape使いであればすぐに使いこなせるよ!
仕様
ピック材の熱硬化性樹脂は冒頭で述べた通り硬度と密度が非常に高く、低音にアドバンテージが得られる野太いサウンドです。太い弦にも負けない剛性で強力無比なアタックを繰り出せるので、ステンレスベース弦を愛用するプレーヤーにも強く推せます。

加熱によって硬化する素材なので耐熱性と機械的強度も秀逸につき、環境変化に強く長期間使用しても変形しにくいです。セルロイドピックやナイロンピックにありがちな反りも滅多なことでは発生せず、多少ラフに扱っても全く問題がありません。

注意点としてはホワイトカラーなので色が移りやすく、弦との接触で発生する微小な金属紛や鉄の炭化物で汚れやすくなります。DR等のカラーコーティング弦も色が移りやすいので、使用に伴い汚れが目立ちやすくなるピックであると割り切りましょう。
異なる2種類の角
ピックのロゴが正しい向きで読める位置でピックの下側にくる中央の角は、やや丸みを帯びたゆるやかなカーブ加工です。サウンドは鋭さの中にも丸みと暖かさがあり、ロングトーンやオクターブ奏法、アルペジオなどにマッチします。

ピック上側両端の角は剣先のように角が鋭く、サウンドも鼓膜に鋭く切れ込むようなパワーとスピードが実にアグレッシブです。テクニカルなソロやワウンド弦を中心とした高速リフに高速ブリッジミュート、勢い漲るブラッシングも破壊力満点となります。

即ちピックの『角替え』だけで音色を一変させることが可能で、本体にトーン調整を持たないアコースティック楽器では効果絶大です。いずれの角もエッジの鋭さは共通となっているため、立ち上がりの良いダイナミックなピッキングレスポンスを実現しています。

中央の角は丸みがあっても淵のエッジ自体は鋭いのがポイント!

反りにくい剛性由来の弦振動ロスがピッキングノイズを抑え、ナイフエッジによる高速レスポンスが表現の幅を広げてくれるよ!
カラーバリエーションは無し
Chicken Picksは全モデルホワイトカラーのみとなり、ピックを色や柄で選ぶ方にはやや素っ気なく感じるかもしれません。熱硬化性樹脂は着色料の種類と配合率で硬度が変化するため、品質のばらつきを無くすために色を限定しているものと考察です。
非常に高い品質を有しながらも色で楽しめる要素が皆無に等しく、Chicken Picksの数少ないデメリットになると思われます。裏を返せばそれだけ強い拘りで制作されていると考えられるので、音質と演奏性を重視する方には最良の選択肢となり得るでしょう。
寸法
寸法はロゴが正しい向きとなる位置で計測して横幅が約32.9mm、縦幅が約31.2mmです。厚さはエンボス加工ロゴの突起部分があるため均一ではないものの、フラットな箇所は満遍なく2.1mmジャストでした (※2) 。
※2.各寸法は事前にアナログノギスでも計測済み


概ねメーカー公表サイズ表と一致しており、346 Shape系統のピックから持ち替えても違和感の少ないサイズ設計となります。普段346 Shape系のピックを使用しているプレーヤーで、エッジの鋭い厚手のピックに興味がある場合は打って付けの存在ですね。

The Bass Pickと銘打たれているBermuda-III XLですが、実はFENDER 346 Shapeに近いサイズ設計の厚手のピックは希少となっています。

高級ピックのシェイプはティアドロップ型やジャズ型に集中しているため、中々手が出せないと感じているギタリストが相当数いると推察です。346 Shapeと比べても違和感の無い厚手の高級ピックを試したい願望をお持ちであれば、Bermuda-III XLを強くおススメいたします。
耐久性
メーカーが数ヶ月にわたり使用することが可能と謳う耐久性について、本当に長持ちするのか気になる方が多いハズです。結論から申し上げますとChicken Picksの耐久性は尋常ではなく購入してから毎日1時間、2週間使い続けても減る気配がありません。

上記画像は実際に14日間使用したピックの先端ですが、弦と接触する箇所が黒く汚れているだけでほぼ購入時の形状を保っています。ステンレス弦を張ったセミアコを使い激しい曲目も交えてガンガン弾き倒したものの、削り屑すらほとんど発生していないのです。

消耗して淵がギザギザになったり欠けたりすることも無く、指先で触れても滑らかな角とカーブが綺麗に残っています。ヤスリやフレットレベラーを使ってゴリゴリと削りでもしない限り、高い演奏性を長期間キープしてくれそうです。

優れた硬度と密度の高さが織りなす驚きの長寿命は伊達じゃない!

自宅で毎日1時間弱演奏する使用頻度であれば本当に1年以上持つかもね!
サウンド
Chicken Picks Bermuda-III XLのサウンドは、公式に『豊かな低音とクリアなトーン』と説明されています。実際にアコースティックギターとエレキギター、エレキベースに使用してみると、確かにローエンドの迫力が際立つサウンドです。

ピックの厚さと剛性の高さが合わさるため力を入れずとも出力が高く、生鳴りレベルで音量が大きくなることを体感出来ます。2種類の角による音質の違いも思いのほか明確で、1枚のピックから丸い音と尖った音を使い分けることが可能です。

クリアなトーンについては雑味が少ないというよりも、狙った音を的確に再生しやすくメリハリがある……といった感じでしょうか。ピッキングノイズは皆無とまではいきませんが発生しにくく、低~中音の力感と高音の余韻がバランス良く楽しめます。
倍音特性 (A2/110.00Hz)
最後にトライアングル型のFENDER 346 Shape Shell Heavyを比較対象に、Chicken Picks Bermuda-III XLの音質を計測です。計測に使用した機材の詳しい情報については、本項の最後にまとめて掲載いたします。
倍音特性は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) のスペクトラムを計測しました。

音質計測用のギターは楽器大賞2024大賞を受賞したYAMAHA REVSTAR RSE20をチョイス!
i.Chicken Picks Bermuda-III XL (中央の角)

ii.Chicken Picks Bermuda-III XL (両端の角)

iii.FENDER 346 Shape Shell Heavy

FENDER 346はセルロイドトライアングル型ピックの業界基準となるモデルで、基音と倍音のバランスが良好です。
Bermuda-III XLの中央の角は346よりも基音の出力 (縦軸) が高く、尚且つ低次倍音は偶数次倍音が優位となる傾向があります。パワフルな基音が低~中音の力感の礎となり、芳醇な偶数次倍音が丸みのある暖かな音色を奏でる倍音特性です。
Bermuda-III XLの両端の角は中央の角よりも基音と低次倍音の出力が上手で、部分的に奇数次倍音が僅かに主張しています。故に鋭くエッジの効いたアタックとパワーを兼ね備え、バンドサウンドの先陣を切り込むような鮮烈な倍音特性です。

基音の出力の高さは力感のみならず、狙った音を的確に再生しやすいというメリットが得られるよ!
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性

周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
1.Chicken Picks Bermuda-III XL (中央の角)

2.Chicken Picks Bermuda-III XL (両端の角)

3.FENDER 346 Shape Shell Heavy

FENDER 346は倍音特性が素直に反映された周波数特性で、欠点らしい欠点の無いオールラウンドな周波数特性となります。
Bermuda-III XLの中央の角は346よりも出力が+1dB以上高く計測されており、低~中音の安定感が抜群です。中高音や高音も良好な伸びを記録し、346を全帯域一回りグレードアップさせたような周波数特性だと言えるでしょう。
Bermuda-III XLの両端の角は200~700Hzにかけて、中央の角よりも+0.5dB出力がブーストされています。低音の安定感は据え置きで中音の厚みが増しているため、リードフレーズでもバンドサウンドに埋もれぬ存在感を発揮です。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz
橙線:400Hz,800Hz
桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
音の立ち上がり
音の立ち上がりはFENDERを基準にすると、Chicken Picks Bermuda-III X 中央の角は平均して6.4ms (0.0064秒) 速い値を記録です。両端の角は中央の角よりも更に1.0ms (0.0010秒) 速い値を記録しており、どの角を使っても立ち上がりが優秀となっています。

Chicken Picksは演奏の快適性が速弾きに適しているだけでなく、物理的な音のスピードも速いピックなのです。鋭敏な聴覚を持つプレーヤーは5ms以上の差を感知出来るので、インスピレーション派のプレーヤーも試す価値があります。
計測に使用した機材
ギター:YAMAHA / REVSTAR RSE20 NYW
ギター弦:YAMAHA / GSE10
ピックアップ:YAMAHA / VH3b (純正ブリッジPU / ドライスイッチOFF)
比較対象ピック:FENDER / 346 Shape Shell Heavy
ペグワッシャー:Hell Guitars / HB-STAR
スケールシート:Ren He / コントロールノブ A03
テールピース:ドライカーボンワッシャー併用ライオンヘッドパターンテールピース
ロッドカバー:animal friends / B2181127
シールド:ARIA / JG-10X (10ft/3m, S/S)
マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P×1
計測に使用したREVSTARは少しだけ手を加えています!
まとめ
優秀な硬度と密度を誇る高品質な熱硬化性樹脂を採用した、ハイグリップで握りやすく快適な高級ピックです。反りとは無縁の剛性の高さは弦振動ロスとピッキングノイズを抑え、鋭いエッジによる高速レスポンスが表現の幅を広げてくれます。

色で楽しむ要素は無いものの安定した低音と中音の厚みが素晴らしく、楽器や弦の種類を選ばずにパワフルなトーンを創出です。数ヶ月使用可能と謳う耐久性も偽り無しで、正確なピッキングを低負担かつ高音質で長期間維持出来るピックに仕上がっています!
🏃💨今すぐ Chicken Picks の売場に突入してチキンピッカーになる🐔✨

Bermuda-III XL (The Bass Pick)
Bermuda III
Bermuda III-P (Pointy)
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