Amazon 激安ピックアップ 調査第15回 HOMELAND Everything Axe Set風

2021年9月6日2023年11月1日激安パーツ&商品情報,激安ピックアップ,ハムバッカー,シングルサイズハムバッカー,HOMELAND,パーツ,Amazon,ピックアップ

👆 HOMELAND Everything Axe Set風 シングルサイズハムバッカーセット

目次

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HOMELAND Everything Axe Set風 は外観攻めすぎ！

Amazonで漁れる激安ピックアップ第15弾は、HOMELANDのシングルサイズハムセットです。外観から分かる通り、ダンカンのEverything Axe Setを直球でコピーしています。プラスネジのポールピースに加え、ミドル用はスプリットレイルデザイン採用です。さすがに怒られそうな見た目ですが、激安モデルでは良くある事なのでスルーします。

👆 Seymour Duncan / Everything Axe Set 

様々な店舗で取扱いのある商品ですが、価格の上下幅が非常に激しい部類です。2倍以上の価格差があるケースも見受けられるので、購入時は良く吟味しましょう。管理人の購入時は非常に安価でしたが、ここ数か月間は大幅値上がり傾向となっています。果たして値上がりするほどの完成度のピックアップなのか、ザックリご紹介です。

開封の儀

激安ピックアップ系にしては珍しく、本品は専用ケースに封入されています。商品説明欄には一切記載がありませんが、ブランド名は『HOMELAND』です。

外箱は厚手で衝撃に強く、内部も本体サイズにピッタリのスポンジで保護されています。他のブランドよりも製品への配慮が感じられるため、梱包状況については◎ですね。

仕様と実測値等について

梱包が良かったため製品にも期待がかかりますが、仕様は問題点が多数見つかりました。本セットの抵抗値はブリッジ側から順に、10.6kΩ、10.4kΩ、10kと説明されています（何故か仕様書が斜め）。

ところが外箱に記載の抵抗値は、ブリッジ側から6.5kΩ、5.7kΩ、5.3kΩです。どちらが正しい値か気になる所ですが、実測値はどちらとも異なる値を示します。

正解の無い抵抗値

直流抵抗値の実測値は、ブリッジから15.53kΩ、14.81kΩ、12.31kΩです。さすがにこれほどまでに仕様と値が離れていると、購入者サイドが困惑すると思います。

よく見ると外箱の製品画像も異なるので、別箱に本品が混入していると推測です。ピッチは商品説明欄記載の通り、全ポジション共通で10.2mmで設計されています。

管理人は慣れ過ぎて感覚がマヒしていますが、激安ピックアップでは日常茶飯事です。こういった大幅な仕様違いにも寛容な方以外には、このジャンルはおススメ出来ません。むしろ仕様と同じケースが稀なので、購入する際は一歩踏みとどまって考えて下さい。

ポールピースのねじ込みについて

追い打ちとして、ポールピースのねじ込みが雑でトップが不揃いになっています。若干斜めにねじ込まれている箇所もあるため、至近距離で見ると見栄えが悪いです。

遠目には気にならないかもしれませんが、価格相当に仕上がりの粗が目立ちます。ネジを回しても山が潰れているのか、大半のネジは空回りするだけで調整不可能です。仕方が無いので限界までねじ込み、ポッティングを行って強制的に固定しました。

HOMELAND Everything Axe Set風 搭載！

早速本品を搭載してみましたが、ポールピースピッチの狭さが気になりますね。本来Everything Axe Setのブリッジには、 SJBJ-1b JB Jr. Stratを搭載です。該当モデルはピッチが0.414インチにつき、ミリ換算では約10.5mmとなります。

そのため10.2mmピッチの本品は、ブリッジ用の1弦側がズレている状態です。外観自体はそれほど悪く無く、Everything Axe Setの雰囲気は味わえると思います。

サウンドの主観的感想

肝心のサウンドに関しては、出力の低さに加えてローエンドがスカスカです。全くと言って良いほど低音域が出ておらず、とても軽い音が飛び出します。ミッドハイは強めの印象で、高音域は汎用のシングルコイル的な響きです。全体的にハイ上がりになっており、ハムバッカー感は皆無となっています。

当然ながらEverything Axe Set的な音は微塵も感じず、再現度はほぼゼロです。音もアルニコのコシの強さが無く、セラミックシングルの音色に聞こえます。倍音も体感的にはイマイチで、金属的な冷たいサスティーンが何とも言えません。

長所としてはノイズ耐性が高く、深く歪ませてもノイズレスにプレイ可能です。低出力とノイズレス仕様を活かし、エフェクターを多用した音作りを目指しましょう。

倍音&周波数特性

最後に周波数特性を計測し、客観的かつ視覚的に音のデータを確認していきます。今回はリアのみ倍音特性も調べたので、購入後の音作りの参考になれば幸いです。

ブリッジ用倍音特性 (A2/110.00Hz)

倍音自体はそれなりに含まれていますが、全体的に奇数次倍音の主張が強すぎます。基音よりも第3倍音の出力が大幅に強く、金属的な響きを決定づけている模様です。第9倍音もやや目立っており、ミッドレンジが奇数次倍音に傾いていますね。高音域は第15、第17倍音が際立つなど、満遍なく奇数次倍音のデパート状態です。

ブリッジ用周波数特性

体感的にハイ上がりな印象でしたが、波形的にもローの弱さが浮き彫りとなっています。波形は800～1kHz付近に集中しており、音の重心が標準的STよりも400Hz程度高いです。1k～5kHz前後はとても出力レベルが高く、ジャキっとしたアタック感が耳に刺さります。奇数次倍音が目立つ特性を考慮すると、サウンドメイクが難しいかもしれません。

ミドル用周波数特性

ミドルポジションでも、標準的シングルコイルのブリッジよりローが弱いです。120Hz付近まではパワーがなく、350～400Hz付近に波形が集中しています。高音域の伸びも弱くなるため、中音域のみモコモコした質感のサウンドです。良い言い方をすれば個性的ですが、ストレートに言えば使いにくいと思います。

ネック用周波数特性

なんとネックポジションでも、標準的シングルコイルのローより弱めです。おそらく構造的にローが出ない設計なので、多くは望まない方が無難でしょう。各帯域も山と谷が何度も凸凹していて安定感が無く、音にまとまりがありません。

波形の周波数目安（左から順に）

赤線：100Hz,200Hz  
橙線：400Hz,800Hz  
桃線：2kHz,3kHz,6kHz

HOMELAND Everything Axe Set風 総評

外箱に全力を注ぎ過ぎたのか、設計とサウンドの両面で粗が目立ちます。個性的と割り切れるか、音楽的ではないと嫌悪感が前に出るか意見が割れそうです。他に類を見ない音には違いありませんが、取り扱いが困難な部類に入ると思われます。奇数次倍音が長所になるように、ファズ専用にするなどして活路を見出しましょう！

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