【 MOD 】最高のモディファイを目指すならやるべきコンデンサ選定作業

2021年5月14日計測器,LCRメーター,Longruner,トランジスタテスター,コンデンサ,改造指南

👆 MOD の大定番 ニッセイ電機 MMT 50V 1μF

同じ製品や MOD で個体差が出るのは何故?

皆さんはお気に入りの機材を、複数個手元に揃えた経験はありますか?例えばオーバードライブなどは、2台連結して使用する方もいると思います。ところが同じモデルにも関わらず、微妙に音が違うケースが頻繁にあるハズです。

オーバードライブ回路1

👆 歪みが荒っぽい

オーバードライブ回路2

👆 高音域が若干大人しい

いわゆる個体差というものですが、これは製造時期が同じ製品でも発生します。(製造時期が異なる場合は、回路そのものが変更されているケースが多い)

誤差±20%は“誤差範囲”40%

工場で大量生産される製品は基本的に、部品レベルの吟味が行われていません。頻繁に使用される電解コンデンサは、静電容量の誤差が20%となっています。この数字を見た時に、大半の人は「誤差が20%」と考えるでしょう。ですが静電容量の誤差は+と-の範囲があるため、実質40%の誤差が発生するのです。

👆 Nichicon FG シリーズ

コンデンサは使用される個数が多く、搭載数が増えるほど誤差も広がっていきます。1ヵ所だけならまだしも、基板上全ての部品を考慮すると相当な差が生まれるのです。

製品の個体差は部品誤差のトータル!

同じメーカー製のエフェクターを、一度に2台まとめて購入したと仮定しましょう。基板上ではA-B-Cの3か所で、100μFの電解コンデンサが使用されているとします。1つ目の個体では、全てに100μF丁度の静電容量のコンデンサが使われていました。2つ目の個体を見ると、Aは80μF、Bは120μF、Cは85μFと誤差にムラがあったのです。

Longruner トランジスタテスター

2台を比べた場合、やはり1台目の方が高精度かつ高音質である可能性が高くなります。こういった誤差が積み重なり、一定値を超えると機体の個体差として顕在化するのです。

MOD の仕上がりを左右する部品選定作業

これはMODの際も同じで、個々の部品を吟味する行為は極めて重要だと言えます。購入してきた部品をそのまま使用すると、工場生産製品と同様に大きな誤差が発生です。いくら定数を練って高品質な部品を搭載しても、回路全体の誤差が大きくては意味がありません。

そのためMODの前準備として、電子部品の選定作業を必ず行うようにしましょう。この作業を行うか否かだけでも、改造後の仕上がりの良さに大きな格差が生まれます。最高の MOD を目指すならば、地味で面倒な部品選定の沼へ一歩踏み出すべきです。

マイクアンプ MOD

今回はコンデンサの選定を、激安LCRメーターを片手に実践していきます。一度も部品選定を行ったことの無い方は、ぜひ本記事を参考に挑戦してみてください。貴方のMOD人生が一変し、ライバルに違いを見せつける手助けとなれば幸いです。

部品にあった機材を揃えよう

MOD に限らず電子部品は、全てに程度の差こそあれ個体差があります。一流メーカーの高精度な部品といえども、100%誤差の無い部品は絶対に存在しません。抵抗器やコンデンサは特に個体差が多く、どちらかだけでも選定した方が無難です。コンデンサを計測する場合は、静電容量が計測出来る計測器を選択します。

ESRや誘電正接なども、全て1台で計測出来るタイプなら言うことがありません。該当のテスタやLCRメーターを準備し、部品性能を計測できる環境を整えましょう。本記事では以前紹介した、Amazonで購入可能な激安LCRメーターを使用します。

プロ志向の方の場合は、大手メーカー製のLCRメーターを調達してください。

STEP1: MOD 用コンデンサはロットを揃える

選定作業の第一段階にやる事ですが、計測器や難しい知識は一切必要ありません。ただシンプルに、コンデンサの製造ロットを揃えて使用しましょう。端的に言ってしまえば、コンデンサを必要数ではなく1袋単位で購入するのです。そして1台の機体には、絶対に別のロットのコンデンサを使わないようにします。

積層メタライズドコンデンサ1

以前MODした際に余った別ロットの部品を、混ぜて使用しない自制心が必要です。オーディオ界では常識ですが、何故かエフェクターMOD界では軽視されています。ロットの異なる部品は、それだけで別部品と言える程に性質が異なるのです。とりわけステレオ回路は左右揃える必然性があるため、シビアな結果を招きます。

積層メタライズドコンデンサ2

予算的に厳しいのならば、事前に販売店に質問してみましょう。オーディオに理解のある店舗では、ロットを揃える対応をしてくれる場合も多いです。購入者に言われるまでもなく、全部品のロットを揃えて販売している店舗もあります。日常的に電子部品を使用するならば、信頼の出来るお店を探すことも重要です。

STEP2:コンデンサを任意の実測値で分類する

ロットの揃ったコンデンサが用意出来たら、さっそく選定作業を開始します。用途にもよりますが、エフェクターやアンプは静電容量とESRの2つを重視です。静電容量はそのまま回路の精度に、ESRは精度以上に故障予知に役立ちます。極端にESRの高い個体は後の破損リスクが高く、予め除外しておくのが賢明です。

静電容量が大きいコンデンサの場合は、誘電正接も高周波特性の目安になります。アンプやエフェクターの自作やMOD用なので、静電容量実測値を基準に定めました。

積層メタライズドコンデンサ 4ロット分

上記写真は積層メタライズドコンデンサで、1ロット500個×4袋分です。このうちの1ロットから、合計100個のコンデンサを静電容量実測値で仕分けします。コンデンサの静電容量は1μFで、静電容量誤差は±5%です。まずは静電容量ごとに、+5%、±1%、-5%、±5%超過と分けると良いと思います。

MOD 用途には向かない異常コンデンサ
静電容量が明らか足りずESRも高い個体
MOD 用途には向かない異常コンデンサは除外
異常値の個体は混ざらないように除外しておく

更にESRのおおまかな平均値を見て、平均を20%超過している個体は全て除外です。こちらは静電容量に関係なく、使用せずに破棄するか試作用に回してください。とはいえ極端な不良品はごく少数で、1ロットの中に1つも無い場合もあります。100個を全部仕分けすると、おおよそ四等分された数に収まるのではないでしょうか。

非常に地味で退屈な作業ですが、ここさえ乗り切れば神MODへ大きく前進です。何度も繰り返すと滅入るため、暇な時間を見て一気に作業することをお勧めします。

STEP3:実測値の分類ごとに用途を決めて使用する

容量別に4つに分類したコンデンサですが、これらも混ぜて使用してはいけません。

±1%

±1%は神クラス

実測値が±1%のコンデンサは高精度につき、肝入りのMODに優先活用してください。

+5%、または-5%

+1~+5%以内
-1~-5%以内

続いて+5%は+5%だけで、-5%は-5%だけの中からモディファイ予定機にあてましょう。+5%と-5%を合わせると相殺出来るような気がしますが、当然ながら相殺不可能です。加えて+5%組と-5%組に優劣の差は無いため、どちらから先に使っても構いません。

一般的なMODであるならば、誤差範囲を5%以内に揃えるだけでも効果覿面です。±1%組ほどとまではいきませんが、十分に質の高い仕上がりとなる事でしょう。

基準値未満

±5%超過組は、残念ながら製品仕様の静電容量誤差を満たしていません。実際に調べてみると分かりますが、意外と基準値を上下している個体は多いのです。やや信頼性に欠ける個体につき、精度を必要としない箇所に割り振りましょう。

基準値未満といっても、その大半は±6~7%に収まっていると思います。1μFの電解コンデンサと交換するのには最適で、尚且つ精度も大幅に向上です。先述の通り電解コンデンサは誤差±20%と高く、±7%なら十分『改良』となります。

地味な作業を『全部品』で繰り返す

以上の選定作業を、使用する予定の全ての容量で実施するのです。余裕があるならば抵抗器についても、同様に選定作業を行いましょう。この手間を加えるだけで、今までの貴方のMODとは別次元の音が飛び出すと思います。

1週間かけて部品選別を行った MOD 基板

とりわけ安定感が命となる電源周りでは、凄まじいほどの効果が期待出来るのです。せっかく練りに練った定数の調整も、部品の精度がイマイチなら全て無駄となります。貴方のアイデアを最高の形にするために、性能を十分に吟味した部品を使用してください!

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