【レビュー】 ZUWEI プリンス クラウドタイプ 王子様ご用心✋【Amazon限界安ギター】
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※注意!
この手の安ギターは、必ず個体差の幅が存在します。管理人の入手した個体より良い場合、または悪い場合もあるものとお考え下さい。手にした一台のギターだけで、仕上がりの中央値を判断する事は出来ません。当ブログの情報も含め『もっと悪い場合もある』事を意識して手を出しましょう。
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ZUWEI プリンス クラウドタイプ ってどうよ?
Amazonで異様な存在感を放つZUWEI製ギターですが、7~8月に新商品が発表されました。7月にはセミホロウギターに有名コピーモデル、8月には無塗装フランケン等が追加です。中でも7月より取扱い開始の、プリンスクラウドコピーモデルが気になると思います。クラウドといえば、2年前に勃発したエステートと製作者の商標争いが記憶に新しいですね。
そんな抗争を繰り広げる最中で、直球のコピー品を展開するとは肝が据わっています。商標なぞどこ吹く風、ZUWEI製クラウドが中指を立てるが如く颯爽とAmazonに降臨です。説明ではCNCの記載があるため、木工は機械制御のNCルーターによるものと推察します。商品画像では中々の外観ですが、細かな部分は実際に触れてみないと判断出来ません。
都合よく管理人はAmazonポイントが大量に溜まっていたため、実質0円で購入可能でした。タダなら失敗してもOKと、軽い気持ちでホワイトモデルをカートインです。ZUWEI肝入りのCNC加工クラウドの実力は如何ほどなのか、簡単に見ていきましょう。
開封の儀
梱包はギター用段ボールを使用しており、内部は発泡スチロールで養生されています。ボディの凹凸に合わせてスチロールが埋め込まれているため、輸送対策は万全です。本体は緩衝シートで保護されているので、輸送起因の外傷は一切ない状態で届きました。
付属品はS/L型シールドに替え弦1セット、ピック2枚、取扱い説明書が同梱されています。加えて簡単な反りの調整方法などが記載されている、テクニカルノートも付属です。低価格帯の安ギターの割には、それなりに充実した付属品のラインナップとなっています。
基本スペック
背面材質:バスウッド
ボディ材質:バスウッド
Is Discontinued By Manufacturer:いいえ
カラー:White
レット指板材質:メープル
ピックアップタイプ:SH
表板の材質:メープル, バスウッド
弦数:6
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なんとネック材もバスウッドの全身バスウッド仕様!
仕様は商品説明欄の内容を引用しましたが、さすがにこれだけでは情報不足です。最低限必要と思われる情報を、下記に追記いたしました。
フレット:22F スケール:ミディアムスケール(624mm) ピックアップ:いずれもパッシブタイプ コントロール:1Volume,1Tone,3-Way PU selector SW ブリッジ:バダスタイプ(10.4mm)
ルックス
商品画像では灰色に見えますが、実物はホワイトパール系のカラーとなっています。通常のホワイトではなく、うっすらとメタリックな光沢が確認出来る仕上がりです。パッと見はほぼ写真のイメージ通りで、大まかなフォルムはクラウド感が出ています。
ヘッドフォルムは商標に配慮したのか、デイヴ製とエステート製の中間形状です。彫刻はデイヴ製ヘッドに似ていますが、鋭角的形状はエステート製に似ています。完全に形状をコピーした感じではなく、適度にアレンジが加えられている印象ですね。
ボディも良く見ると形状が異なる雰囲気があり、短い方のホーンが鋭くありません。長い方のホーンも1フレット程度短く、適度に崩して再現しているものと思われます。ただしストラト系のギターをSTタイプと言う程度には、本品はクラウドタイプです。『クラウドっぽさ』は十分感じられるため、それなりに満足感は得られると思います。
こ、この仕上がりは……!?
しかしながら細部を見てみると、仕上がりの粗が目立って仕方がありません。塗装の仕上がりが異様に悪く、あちこちに木くずのようなゴミが混入です。ネックグリップとボディを中心に、何箇所もゴミが付着した状態で塗装されています。
塗装が下手というよりは、製造している工場のクリーン環境が整っていない模様です。作業中や乾燥中に粉塵が付着したような仕上がりにつき、大減点要素となっています。ザグリの加工も雑過ぎで、きちんとした直線が出ておりません。
フロントピックアップザグリがやたら酷く、淵がギザギザの状態です。指板の淵も一部塗装されていない箇所があるなど、難点ばかりが目に付きます。
ドライバーの使い方に難有り(初歩)
パーツの組み上げも程度が著しく悪く、半分以上のネジ山が潰れている始末です。ブリッジスタッドは特に酷く、いずれのトップもマイナスのネジ頭が崩壊しています。プラスネジも完全に号数の合ってないドライバーで作業されており、潰れ放題です。適切なドライバーを選ぶというのは、クラフトの初歩中の初歩ではないでしょうか。
ゴールドパーツは変色やクスミが散見するなど、パーツの保管状況も良くありません。これなら部品を一切組み込まず、なおかつ無塗装で販売した方が良かったと思われます。昨今の1万円台の安ギターでも、こういった仕上がりの粗はまず有り得ないです。フラットな視点で十分言葉を選んだ上でも、残念ながら辛辣な評価となります。
演奏性
カンの良い読者の皆様なら、演奏性は既にどのようなものか想像出来るハズです。大方予想通りだとは思いますが、パーツ類に焦点を当ててチェックしていきます。
ペグ
ペグは3×3のロトマチックタイプで、ペグボタンがGROVERの205タイプです。精度自体は汎用ペグと大差が無く、トルクもごく普通の強さとなっています。決して高級ペグではありませんが、特に問題になるような代物ではありません。
オクターブチューニング
Amazon倉庫から直送のギターは、出荷前の調整が一切行われない点に注意です。オクターブは大雑把に合わされており、細かい部分で微調整が必要でした。調整幅は十分あるため、弦高等のセットアップ完了後に必ず再調整を行いましょう。
弦高
弦高も調整されていないため、初期はとても高い状態となっています。管理人の個体は1弦側が約2.2mm、6弦側は約2.5mm程度と適当な高さです。ネックがかなり反っていたため、調整については事項で触れる事にします。
ネック
セットネック構造ですが、ロッドが全開放されており極端過ぎる程の順反りでした。初期弦高の高さを決定づけているため、まずはネックの調整が必須です。幸いねじれやハイ起きは発生しておらず、増し締めのみ行っています。
ブリッジの微調整も含め弦高は1弦側1.2mm、6弦側を1.5mmに調整しました。ちなみにネック材に無理矢理バスウッドを使用しているためか、丸太のようにとてつもなくぶっといCシェイプです。剛性は確かなものがあるもののグリップの違和感が否めず、手の大きさが演奏性に影響するサイズ(太さ)となっています。
ナット
ナット材は公表されていませんが、質感的にプラスチックの汎用タイプです。最も安価なナット材につき、見た目の安っぽさが否めないと思います。加工も雑な所が多く、トップは目の粗いヤスリで削られたままの状態です。仕上げ加工が省略されているので、各自耐水ペーパー等で整えましょう。
フレット
本ギターで最も深刻な仕上がりを誇るのが、フレットの末端処理となっています。致命的なことに、全てのフレットの長さがバラバラで統一感がありません。指板淵まで届いていないフレットも多く、弦落ちが懸念される状態です。
追い打ちをかけるように、末端処理も雑で筆舌に尽くし難いものがあります。フレットが浮いている箇所も目立ち、演奏中に1弦が挟まるケースもありました。浮きを修正した上で、末端を最低限使用出来るレベルまで整えましょう。
極論を言ってしまえば、全部抜いて打ち直した方が賢明かもしれません。本機が個体差の下限だったと仮定しても、品質管理に問題があるレベルです。
ブリッジ
ブリッジはバダスタイプを採用ですが、先述の通りスタッドのネジが傷ついています。調整出来ない訳ではないものの、指先で触れると傷つくレベルのささくれです。ブリッジミュートをする際などは、ささくれが手の腹に引っ掛かってしまいます。
オクターブネジ等は問題無く、きちんと調整可能であることを確認しました。ですがサドルのRと指板のRが微妙に一致しないため、弦高の調整が難しいです。あまりにも弦高にバラつきがある場合は、ブリッジの交換を検討した方が良いでしょう。
電装系
コントロールは1Volume,1Toneの構成で、切り替えは3Pトグルスイッチとなっています。シンプルなレイアウトですが、ポット間の狭さなどはほぼ本家クラウドと共通です。パーツはあまり高価な物ではなく、いずれも汎用電子部品で組み上げられています。ジャックの挿入感がやや硬質で、抜き差しの際に少し力が必要かもしれません。
重量
重量は体重計を使った実測で、およそ3.0kg程度となっています。ボディ材がバスウッドかつ厚さも薄手の設計につき、ギターとしては軽量な部類です。その分ヘッド側が重くヘッド落ちしやすいため、演奏時には慣れが必要となります。
サウンド
期待値が高かっただけに疲労困憊ですが、もしかすると音だけは良いかもしれません。本機をDIに接続し、アンプ等を介せずダイレクトなサウンドを計測しました。倍音特性を解析しつつ、各ピックアップの周波数特性を見ていきましょう。
倍音特性 (A2/110.00Hz)
倍音の測定は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦スペクトラムを採用です。音色を決定付ける要素として、基音よりも第3倍音が非常に大きく出力されています。第6倍音は極端に小さく、その両端の第5、第7倍音の山は対照的に大きめです。全帯域で奇数次倍音の主張が強いため、耳障りがあまり良く無いと思われます。
周波数特性
周波数特性はDI直で同一のフレーズを30秒録音し、スペクトラムを比較しました。
ブリッジピックアップ
ミッドレンジのみ一定の力感がありますが、総じてパワー不足なサウンドです。低音は全く出ておらず、かといって高音域も標準以下の特性となっています。その力の無さは深く歪ませた際に顕著となり、直進性のある音が出せません。ブリッジミュートもペチペチした質感なので、迫力の無さを痛感する事でしょう。
ネックピックアップ
ザグリ加工が雑なだけでなく必要以上に深いため、ピックアップ高が低過ぎです。
限界まで高くしても弦と距離があるので、ブリッジ側との音量差が激しくなります。音の重心も不明瞭で、200Hzと400Hzに波形が分断されている状態です。ネック側にも関わらず高音域はブリッジより出るなど、音にまとまりがありません。
波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
ZUWEI プリンス クラウドタイプ 総評
👺「なんだこのギターはっ💢」
個体差にも上下があると思いますが、管理人の個体は限りなく下限だと思います。下限などと生易しいものではなく、地底とかマントル層とかそういったレベルです。さりとてボディやネックの形成やパーツ自体は、実はそこまで悪くはありません。
人為的要素が劣悪過ぎるため、何もかもが滅茶苦茶な仕上がりとなっています。同価格帯のGROTEとは正反対で、ほどほどの素材を最低の工法で組み上げたといった所です。良い個体もあるのかもしれませんが、その場合は個体差があり過ぎると思います。ギターフォルムは良いだけに、フレットも含め全部品を交換する覚悟で挑みましょう!
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