【凸凹磁石】Seymour Duncan SH-3 レビュー！Stag Magはシングルみたいな明るい音がするの？【ダンカン解析】

2022年9月22日2024年2月12日アルニコ2,Seymour Duncan,Versatile Humbucker Pickups,SH-3,Stag Mag,ピックアップ,ハムバッカー

👆 Seymour Duncan SH-3 Stag Mag の音質を解析＆レビュー！

目次

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Seymour Duncan SH-3 Stag Mag ハムバッカーとシングルコイルの音を両立！

本記事ではSeymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、変わり種ハムバッカーのSH-3 Stag Magを解析です。SH-3はシングルコイルと同様に、スタッガードポールピースを搭載しています。

手磨きのアルニコ2ロッドマグネットを採用した、凸凹のあるボビントップが特徴的です。

SH-3 Stag Magはスタッガードポールピース+高出力コイル搭載！

一般的にロッドマグネットは、バーマグネットよりも磁力が低い傾向にあります。そのためSH-3はオーバーワインドによる、出力の高いカスタムコイルを搭載です。

シリーズ配線のSH-3は標準的ハムバッカー相当の太さを保ち、明瞭な高音域を奏でます。

コイルスプリットでは、ピュアシングルコイルと遜色の無いサウンドを再現です。スタッガードポールピースに高出力コイルが加わり、粘りと明るさを備えた音が飛び出します。

SH-3 Stag Magはトラディショナルなギターをシングル化！

SH-3にトレムバッカーは用意されていないため、トラディショナルなギター向きです。目安として、ブリッジポジションの弦間が約9.78mm程度のギター全般にマッチします。

レスポールをシングルコイル化する場合、無改造で実現出来る点が大きなメリットです。ナローピッチのシングルコイルも少なく、LPのシングル化は難易度が高めと言えます。

スイッチポットを活用すれば、ハムバッカーサウンドを同時に切り替える事も可能です。しかしハムバッカーの本分である、シリーズ配線の音が良くなければ意味がありません。

今回はSH-3をブリッジ側にシリーズ配線でマウントし、各種音質データを解析しました。外観から音が想像しにくいSH-3が、どのような音響特性を持つの調べていきましょう。

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公表データの確認：Seymour Duncan SH-3 Stag Mag

Seymour Duncan SH-3 Stag Mag の倍音特性 (E2/82.407Hz)

最初はアンプをクリーンにセットした状態で、SH-3のE2開放弦の倍音特性を計測です。

波形はハムバッカー的なのですが、非整数倍音の大きさがシングルに近いと感じます。高出力コイルで出力を補っている分、低音4設定の割に音程を感じさせない重い空気感を内包です。

倍音自体は偶数次と奇数次を問わず良く出ており、高次倍音はシングルと遜色ありません。

ただし400～800Hz付近は出力が低く、第7～第8倍音が極端に低く計測されています。中音域3の設定が倍音にも影響を与え、ハイ上がりでブライトな倍音を構成です。

参考：Seymour Duncan SH-1bの倍音特性

標準的ハムバッカーの例として、同一設定でSH-1bのE2開放弦倍音特性を計測しました。基音以下の非整数倍音を比べると、SH-3の方がかなり大きな値である事が分かります。

各倍音間の谷間もSH-1bは鋭角的なのに対し、SH-3は根元で非整数倍音と融合した状態です。SH-3は倍音も非整数倍音も多い傾向にあるため、エフェクターとの相性に注意しましょう。

倍音特性波形の周波数目安

左端の山(中央灰色線)が基音82.407Hz
偶数次倍音：第2倍音(164.814Hz)、第4倍音(329.628z)……
→ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も
奇数次倍音：第3倍音(247.221Hz)、第5倍音(412.035Hz)……
→金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き
非整数倍音：各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない

クリーンの Seymour Duncan SH-3 Stag Mag はこんな音！

続いて倍音計測と同じ設定のままで、クリーントーンの周波数特性をみていきます。

第一印象としてはSH-1bの低音をスリムにして、高音を鋭くしたような音質です。低音は150Hz付近に集中していますが、山の頂点が鋭角的でレンジは広くありません。

SH-1bと比較した場合、150Hzの前後の帯域がかなり絞られてスッキリしています。中音は3の設定そのままに、400～600Hzにかけて深い谷間を形成です。

参考：Seymour Duncan SH-1bのクリーン周波数特性

SH-3は1kHz付近から一気に盛り返し、中高音と高音はSH-1b以上の伸びを誇ります。

高音が8設定のSH-1bよりも上手で、シングルに負けない煌びやかさを演出可能です。

オーバードライブの Seymour Duncan SH-3 Stag Mag はこんな音！

アンプのGAINを深めに設定すると、ハイ上がりなトーン傾向が加速していきます。シングルライクなクリスピー感が強く、アタックの瞬間に高音が強く歪む感触です。

低～中音はフラットな音質に変化するため、サウンドのボトムが滑らかに響きます。1kHz～6kHzはクリーン同様高い値を維持し、6kHz以降の超高音も非常に鋭い切れ味です。

参考：Seymour Duncan SH-1bのクリーン周波数特性

SH-1b以上にアタックで高音が歪む感触は、超高音域の伸びの影響が大きいと推察します。

故にSH-3はフィードバックも良く拾いますが、オーバードライブ以上の歪みではハウりやすいです。耳にキンキン刺さり過ぎる場合、イコライザー等で6kHz以降を上手く調整しましょう。

波形の周波数目安（左から順に）

赤線：100Hz,200Hz
橙線：400Hz,800Hz
桃線：2kHz,3kHz,6kHz

Seymour Duncan SH-3 Stag Mag 音質解析＆レビューまとめ

SH-3はトーンチャートの設定に反して、SH-1b以上にブライトな音色が楽しめます。ハムバッカーとしては特筆すべき伸び率であり、高音が不足気味のギターに最適です。

コイルスプリットによるシングルコイル化は勿論のこと、ハムバッカーサウンドも強い個性で魅了してくれます。2H配列の他にS-S-H配列では、ミドルポジションと高音のバランスを整える事が可能です。

奇抜なルックスも中毒性が高く、ハイエンドの輝きを求める奏者は試す価値があります！

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