【進化系JB】Seymour Duncan Warren DeMartini RTM レビュー！高出力アルニコ2!!【ダンカン解析】
👆 Seymour Duncan Warren DeMartini RTM ウォーレン・デ・マルティーニモデルの音質を解析＆レビュー！
目次
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Seymour Duncan Warren DeMartini RTM 高出力アルニコ2ハムバッカー！
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) から、Warren DeMartini RTM (Rattus Tonius Maximus) の音質を解析です。Warren DeMartini RTM はその名の通り、ウォーレン・デ・マルティーニ氏のシグネチャーモデルとなります。
これまではダンカンカスタムショップにて、受注生産で販売されていたモデルです。78 Modelなどと同じく非常に人気が高く、昨年2023年より晴れてレギュラーライン入りとなりました。
Warren DeMartini RTM 誕生経緯
Warren DeMartini RTM が誕生した経緯は、ウォーレン氏のシグネチャーギター開発前に遡ります。時期は本人の弁によると、Fenderとシグネチャー契約 (※1) を結んだ直後とのことです。
※1.おそらくFender Stratocasterヘッドシェイプ使用に関するライセンス
CHARVEL / Warren Demartini French Snow White
シグネチャーギターに関するプロジェクトの一環に、専用のピックアップを開発することが含まれていました。そこでウォーレン氏はかねてからSH-4 JB Modelを愛用していたこともあり、ダンカンのサンタバーバラ工場を訪ねます。
https://customshop.seymourduncan.com/warren-demartini-rtm/
工場ではダンカン氏とトーンの女王として名高いマリセラ・ジュアレス氏(通称MJ)立ち合いの元、様々なピックアップを試奏です。ダンカンサイドの両氏がリアルタイムでハムバッカーを試作する姿を、ウォーレン氏は驚くべき光景だったと述懐しています。
開発期間は時間にして僅か半日足らず、両氏の共同作業によりWarren DeMartini RTMは爆速で完成したのです。
開発期間半日はシグネチャーピックアップ誕生RTA世界記録保持者かもしれないね！
Warren DeMartini RTM は自然なコンプレッション！
Warren DeMartini RTMは巻き数を上げたオーバーワインドコイルと、アルニコ2マグネットの組み合わせが特徴となります。高出力ハムバッカーはアルニコ5やセラミックなど、磁力の高いマグネットを組み込むのが一般的です。
WARREN DEMARTINI RTM HB-b (ブリッジ専用)
しかしあえて磁力の低いアルニコ2を抜擢することで、大音量と自然なコンプレッションを両立しています。また磁力が低いということは弦を引っ張る力も弱く、弦振動を損なうことがありません。
以上の要素により全ての弦がバランス良く大迫力で響き、どこまでも伸びやかなサスティーンを実現です。故に複雑なコードの音の重ね方にも、指板を縦横無尽に駆け回るアグレッシブなソロフレーズにも素晴らしい適応力を発揮します。
ブリッジ専用なのでバリエーションはHB-b (標準ピッチブリッジ用) と TB (トレムバッカー) のみ！
Warren DeMartini RTM のサウンドは進化系JB！
Warren DeMartini RTMのサウンドは、高音域のヘッドルームと引き締まったローエンドがポイントです。ウォーレン氏の公式インタビューではSH-4 JB Modelを『基準』とした際に、上記2点が『最高』と賛辞を贈っています。
高音域のヘッドルームに余裕を持たせることで、深く歪ませても高次倍音が暴れにくい滑らかなディストーションを再現です。加えてタイトに引き締まったローエンドが、低音のぼやけにくいメリハリのある音像を構築します。
本記事ではウォーレン氏の礎となったSH-4 JB Modeを比較対象に、Warren DeMartini RTMを多方面から解析です！
主に歪ませたサウンドに焦点を当てて『進化系JB』の秘密に迫ります!!
比較対象となるSH-4 JB Modeのレビューはコチラ！
公表データの確認：Seymour Duncan Warren DeMartini RTM
ブランド：Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル：Warren DeMartini RTM ( Signature Bridge Humbucker )
型番：WARREN DEMARTINI RTM HB-b (Bridge) ／ WARREN DEMARTINI TB (Trembucker)
マグネット：アルニコ2 ( Alnico II Bar )
アウトプットタイプ：High
ワイヤー：4c Shielded
WARREN DEMARTINI RTM HB-b (Bridge)
直流抵抗値：17.2kΩ
出 力：7.6
トーンチャート：低音域 5.2 / 中音域 6.1 / 高音域 7.6
レゾナントピーク：4.40kHz (カスタムショップ時代公表値)
インダクタンス：8.83 Henry (カスタムショップ時代公表値)
WARREN DEMARTINI TB (Trembucker)
直流抵抗値：19.1kΩ
出 力：7.6
トーンチャート：低音域 5.2 / 中音域 6.1 / 高音域 7.6
Warren DeMartini RTM オーバードライブ倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはアンプを適度に歪ませたオーバードライブにおける、Warren DeMartini RTMのD3倍音(4弦開放)を解析します。
Warren DeMartini RTMは歪ませても基音が際立つ、クリーンサウンドのような倍音特性を計測です。基音より出力(縦軸)の高い倍音が全域で存在せず、複雑なコードでも各弦毎にメリハリが感じられる音の分離の良さを誇ります。
余計な倍音を適度に抑えているという点では、アクティブピックアップやフレットラップを使用した際の歪み方に近いですね。更に低次倍音も高次倍音も『おおまかには同等の出力』ですが、厳密にみると各倍音間に適度な出力差が存在します。
同じ出力の倍音がほとんど存在しない(※2)ため、変な癖の無いナチュラルなコンプレッションを決定付けている模様です。
※2.完全に出力が揃っていた場合、コンプレッサーをかけたようにパコっと凹むような強烈な癖が加わわる
SH-4 JB Model オーバードライブ倍音特性 (D3/146.832Hz)
SH-4 JB Modelは基音に迫る出力の倍音が低次倍音を中心に計測されており、高次倍音の出力も高めの値を示しています。濃密な倍音は豪華絢爛と称するに相応しい賑やかさで、アンプの限界を軽々と越えて歪んでいくイメージです。
裏を返せば倍音が独り歩きしやすく、弾き手のテクニックでコントロールするのが高難易度となります。複雑なコードにおける音の分離を比較した場合、Warren DeMartini RTMよりも各弦の倍音が幾分干渉してしまう弾き応えです。
SH-4 JB Modelは決して音の分離が悪いモデルではないけれども、Warren DeMartini RTMのメリハリのある響きは圧倒的！
D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音：第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音：第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音：各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Warren DeMartini RTM ODブリッジミュート (G#2/103.826Hz)
続いて同じオーバードライブのセッティングを保ったまま、ブリッジミュート (6弦4フレット) における倍音特性を確認します。
ウォーレン氏がタイトなローエンドを絶賛している通り、Warren DeMartini RTMは基音以下の非整数倍音がフラットです。基音より低い音域に雑味 (特に重たい空気感) が無く、ズンズンと軽快に刻めるドライなミュートをアシストしてくれます。
強くアタックしても高次倍音は依然として自然なコンプレッションを保ち、限界以上に歪まぬコントロールされたサウンドです。火花が散るような高音の爆ぜ具合が抑えられているため、高音域に十分なヘッドルームが確保出来ていることを物語っています。
SH-4 JB Model ODブリッジミュート (G#2/103.826Hz)
SH-4 JB ModelのブリッジミュートはWarren DeMartini RTMと対照的で、基音以下の非整数倍音が高めの値です。音程を伴わぬ空気感が漂い、轟々と唸るような重さが低音に加味されています。
低次倍音は基音に近い出力を計測しており、基音と倍音が絡みあうウェットなハーモニクス感です。高次倍音もWarren DeMartini RTMより遥かに高い値を示すなど、高音や超高温がバチバチと暴れるスリリングな刻みとなります。
ブリッジミュートで比較するとタイトなローエンドと高音域のヘッドルームがとても分かりやすいよ！
ザックリ表現するとWarren DeMartini RTMはドライでアグレッシブな刻み、SH-4 JB Modelはウェットでジューシーな刻みだね！
G2#ブリッジミュートの周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音103.826Hz 偶数次倍音：第2倍音(207.652Hz)、第4倍音(415.304Hz)…… 奇数次倍音：第3倍音(311.478Hz)、第5倍音(519.13Hz)……
Warren DeMartini RTM 周波数特性
ラストも共通のオーバードライブセッティングにて、開放弦～15Fまでの音域における周波数特性を計測です。
両モデルのトーンチャートは近い数値に設定されていますが、100～400Hz付近に明確な違いがあります。Warren DeMartini RTMは控えめな低次倍音が影響し、低音弦側の低～中音域がやや大人しめとなる傾向です。
1k～2kHz付近の中高音域や5kHz以降の高音域も若干絞り気味となり、対照的にほとんど変化の無い低音域が強調されています。ただし高音域はヘッドルームのおかげで歪みにくいだけで、SH-4 JB Modelの歪みから高音の刺を抜いたような滑らかさです。
SH-4 JB Model 周波数特性
SH-4 JB Modelは100Hz以下の帯域を除き、ほぼ全ての帯域でWarren DeMartini RTMよりも高い値を記録しています。とりわけミッドレンジのブースト感が牽引する、ソロフレーズのパワフルさはJBサウンドの代名詞です。
力感溢れる中音域を派手に歪み散らかす高音域が支え、多くのギタリストを虜にしたハーモニクスを響かせます。中音の主張や高音のギラ付きが強過ぎると感じるプレーヤーには、Warren DeMartini RTMが最良の選択肢となるでしょう。
近年複雑化するバンドサウンドにおいて、ギターサウンドが帯域的に『出しゃばり過ぎる』とマイナスになる側面も有り！
Warren DeMartini RTMは使用楽器の多いバンドや楽曲、大規模会場での演奏やライブ配信において真価を発揮するよ！
周波数特性 波形の周波数目安（左から順に）
赤線：100Hz,200Hz 橙線：400Hz,800Hz 桃線：2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Warren DeMartini RTM レビュー まとめ
高出力コイルとアルニコ2の融合により、絶妙な各弦の出力バランスと自然なコンプレッションを両立したサウンドです。引き締まったローエンドがメリハリのある音像を形成し、余裕のある高音域のヘッドルームが滑らかな歪みを約束します。
弾き手では制御が難しい勝手に暴れる倍音を抑えることで、複雑な和音や緻密なソロプレイでもアグレッシブさを損ないません。Warren DeMartini RTMは音楽シーンの変化に即した適応力で弾き手を支えてくれる、進化系JBと称すべきハムバッカーです！
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WARREN DEMARTINI RTM HB-b (ブリッジ専用)
WARREN DEMARTINI TB (トレムバッカー)
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