【鬼表現力】Seymour Duncan Alex Skolnick レビュー:メタル×ジャズ二刀流ハムバッカー徹底解説
👆 Seymour Duncan Alex Skolnick シグネチャーハムバッカーをレビュー!
目次
本日もギタいじへようこそ!ハジメマシテな君は『コチラ』をチェック!
記事一覧はサイトマップへGO!
👑今が旬のギターピックアップランキング
Seymour Duncan Alex Skolnick メタルもジャズもこなせるシグネチャーハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) から、カスタムショップで人気を博した Alex Skolnick をレビューします。Alex Skolnickはご本人の名を冠する通り、TESTAMENTなどで活躍するアレックス・スコルニック氏のシグネチャーハムバッカーです。
1980年代にスラッシュ・メタルから始まった氏のキャリアは、ニュースクール大学で音楽を学びジャズやフュージョンの世界へと広がっていきました。故にシグネチャーモデルはブリッジ用とネック用で異なるコンセプトの元、メタルからジャズまでこなせる二刀流なチューニングを求めたのは必然だと言えるでしょう。
マグネットはブリッジ用もネック用も共通でアルニコ5ですが、あえて表面を研磨していないラフキャスト仕様となります。このマグネットの選定が非常に重要で、濃密な中音の倍音とナチュラルなコンプレッションを実現しているのです。
ALEX SKOLNICK HB-b 限界を超えた歪みとミッドレンジが唸るブリッジ用!
ブリッジ用のALEX SKOLNICK HB-bは抵抗値が17.7kΩと非常に高く、限界を超えた歪みを生み出せる高出力型となっております。トーンはミッドレンジに重点が置かれ、フロイドローズ搭載ギターでも太く伸びやかなサスティーンを創出です。
メタルのアグレッシブなスピードプレイをこなせる高音のキレも備えており、倍音豊かな音色はギターが歌うかのようにメロディアスに響きます。弾性のある瑞々しい独特の粘りも見逃せず、氏の代名詞とも呼べるブリッジミュートを交えたソロにも柔軟に対応です。
ALEX SKOLNICK HB-n アーティスティックなクリアさが光るネック用!
ネック用のALEX SKOLNICK HB-nは抵抗値が7.86kΩと控えめで、往年のローゲインハムバッカーを彷彿とさせる高音の伸びを備えます。SH-2 Jazz Modelがベースとなっている模様ですが、ラフキャスト仕様のアルニコ5により明瞭さが浮き彫りとなるサウンドです。
クリーン~クランチにおけるブリッジミュートは壮麗極まりなく、時間が止まったかのようなアーティスティックな音色を奏でます。アレックス・スコルニック氏はコイルタップもフル活用しており、クリアな音像がブリッジ用の猛るような歪みの勢いを際立たせるのです。
Alex Skolnickをセットで搭載した同名シグネチャーギターも発売中!
ESPでは氏のシグネチャーギターとして、本ピックアップと同じくご本人の名を冠するESP ALEX SKOLNICKを手掛けております。ピックアップは勿論Seymour Duncan Alex Skolnickを2基搭載し、ブリッジの異なるTOMタイプとフロイドローズタイプをラインナップです。
ESP ALEX SKOLNICKがToneProsのTOM、ESP ALEX SKOLNICK FRがフロイドローズオリジナルとなります。どちらも完全受注生産モデルとなるため、受注後2年ほど製造に時間を要する点にご注意ください。
オプションはトレムバッカー!
カスタムショップ時代のAlex Skolnickは、オーダーメイドセットとしてブリッジ用とネック用2つ揃いでの提供が人気でした。
2023年のレギュラーライン化に伴い、ALEX SKOLNICK HB-bとALEX SKOLNICK HB-nは単独で購入可能です。更にブリッジ用はオプションとして、弦間0.414インチ仕様のトレムバッカーALEX SKOLNICK TBも選択出来ます。
他のダンカン製トレムバッカーの例に漏れず、ALEX SKOLNICK TBも標準ブリッジ用と比較して抵抗値が高めです。トレムバッカーの方がゲインが高い訳ではなく、ピッチが広がる分だけ長くエナメル線が必要になるためとお考えください。
本記事では ALEX SKOLNICK HB-b (標準品) と ALEX SKOLNICK HB-nを使い、倍音特性や周波数特性の変化を解析!
公表データの確認:Seymour Duncan Alex Skolnick
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Alex Skolnick ( Signature Humbucker Set )
型番:ALEX SKOLNICK HB-b (Bridge) / ALEX SKOLNICK HB-n (Neck) / ALEX SKOLNICK TB (Trembucker)
マグネット:ラフキャスト・アルニコ5 ( Alnico V Bar – Rough Cast )
アウトプットタイプ:High
ワイヤー:4芯シールド (4 Conductor Shielded)
ALEX SKOLNICK HB-b (Bridge)
直流抵抗値:17.7kΩ
出 力:8.8
トーンチャート:低音域 5.2 / 中音域 6.1 / 高音域 7.6
ALEX SKOLNICK HB-n (Neck)
直流抵抗値:7.86kΩ
出 力:7.0
トーンチャート:低音域 5.0 / 中音域 3.0 / 高音域 9.0
ALEX SKOLNICK TB (Trembucker)
直流抵抗値:19.1kΩ
出 力:8.8
トーンチャート:低音域 5.2 / 中音域 6.1 / 高音域 7.6
下段はInstagramに投稿されたnisebelle氏によるダンカン公式デモ、画面をタッチで再生
Seymour Duncan Alex Skolnick 倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通し、Alex SkolnickのD3倍音(4弦開放)を解析します。
ALEX SKOLNICK HB-b (ブリッジ用) 倍音特性
ALEX SKOLNICK HB-bの基音の波形は山の出力 (縦軸) が高い上にすそ幅が広く、低次倍音も基音と同等以上の出力です。基音と第2倍音間や各低次倍音間の谷間には鋭く尖った非整数倍音の山が発生し、程良く音が散らばるラフさが加味されています。
また中高音に該当する帯域は部分的に出力の高い箇所と低い箇所が存在するため、俗に言う『バイト感』を得やすい倍音特性です。高次倍音は出力が高めかつ非整数倍音が控えめで、高音のクリアさとキレの良さ、そして瑞々しい余韻を内包しています。
出力の高い基音と低次倍音が迫力のある音像を、クリアな高次倍音がシズル感に満ちたエモさをアシスト!
メロディアスなフレーズをハーモニックに演出しつつ、高音の瑞々しさがブリッジミュート時の弾性を引き立てているね!
ALEX SKOLNICK HB-n (ネック用) 倍音特性
ALEX SKOLNICK HB-nはブリッジ用と同様に、基音の力強さと谷間に発生する鋭く尖った非整数倍音の山が適度なラフさを演出です。ただし抵抗値が低い分だけ非整数倍音の値も低く計測されており、ブリッジ用以上に澄み切った高音の伸びが楽しめます。
またネック用は通常ブリッジ用よりも高音が伸びにくい傾向にありますが、ALEX SKOLNICK HB-nはブリッジ用よりも高次倍音が計測された帯域 (横軸) が広いです。ハムバッカーで高音9.0というハイトーンチューニングは伊達では無く、ジプシージャズのラ・ポンプなどとも相性抜群となります。
野太いブリッジ用と対を成すどこまでもクリアで伸びやかな高音が絶品!
元来丸みのあるネック用に明鏡止水の如く澄みやかな高音が加わることで、広がりのある鮮やかなブリッジミュートが飛び出すよ!
クリーン D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz
偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)……
→ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も
奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)……
→金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き
非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan Alex Skolnick クリーン 周波数特性
続いて倍音特性計測時のクリーンセッティングを保ったまま、周波数特性を確認です。
ALEX SKOLNICK HB-b (ブリッジ用) クリーン 周波数特性
低~中音のバランスが良いトーンチャートの通り、200~800Hzにかけて抜きんでた安定感を誇ります。中高音はバイト感が得られやすい倍音特性の影響が大きいのか、出力が高い帯域と低い帯域が混在している様子です。
抵抗値の高いダンカン製ハムバッカーの例に漏れず、クリーンでは高音の伸びの真価は発揮できません。それでも超高音は聴覚的に認識が難しい16kHz付近まで計測されており、歪ませた際にど派手な歪みを形成する起爆剤となります。
ALEX SKOLNICK HB-n (ネック用) クリーン 周波数特性
ブリッジ用よりも中音が低く調整されているため、ピークは低音寄りの200Hz付近に集中する波形です。400~800Hzは抑え気味なので低音の勢いが強調されやすいものの、3kHz以降はネック用としてはかなり高い数値を記録しています。
特に4k~7kHzにかけてはブリッジ用とほぼ等しい値につき、キレのあるアタックと高音の繊細さが印象的なサスティーンです。あえて中音を絞ることでブリッジ用の中音が引き立つ設計で、併用することで緩急のある二刀流サウンドメイクを可能としています。
クリーン 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Alex Skolnick オーバードライブ 周波数特性
最後はアンプのゲインを上げて、アンプ単体で深く歪ませたオーバードライブ時の周波数特性を解析です。
ALEX SKOLNICK HB-b (ブリッジ用) オーバードライブ 周波数特性
歪ませたALEX SKOLNICK HB-bは広範囲で平均以上の値を叩き出し、レスポンスの速度とダイナミクスをフル活用出来ます。低音は140Hz付近に集中しつつ重低音はカットされており、尚且つ高音は煌びやかなのに耳が痛くならぬ調整具合が秀逸です。
帯域ムラが少ないためフィードバックが拾いやすい上に制御しやすく、大音量でもナチュラルな明るさの高音は安らぎさえ覚えます。倍音豊かなブリッジミュートは弦から汁気が滴るほどにジューシーで、アーミングとフィードバックの合わせ技でオーディエンスも興奮必至です。
ALEX SKOLNICK HB-n (ネック用) オーバードライブ 周波数特性
ALEX SKOLNICK HB-nの歪みはネック用とは思えぬほど、高音のキメが細やかなハイトーンが味わえます。イメージとしては3PUレスポールにPAFを3基搭載し、ネックの低音、ミドルの中音、ブリッジの高音を合わせたようなトーンですね。
美しい高音が他の帯域を牽引し、密度の濃い中高音と揺るがない低音がブレンドされたヴィンテージライクな歪みを再生します。中音の400~600Hzを絞ることでハーフトーン的な空洞感が加わり、ブリッジ用とは一味違う軽やかさのあるドライブです。
オーバードライブ 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
まとめ
アレックス・スコルニック氏の多様なテクニックに相応しい、メタルとジャズの二刀流を支えるサウンドに仕上がっています。ブリッジ用はスラッシュメタルの過激なプレーに最適で、切れ味の鋭い高速レスポンスと良質なフィードバックは破壊力絶大です。
ネック用は余裕たっぷりの高音が織りなすアーティスティックなクリアさが光り、ジャズ映えするヴィンテージ・ボイスを奏でます。いずれのポジションもブリッジミュートの響きが素晴らしく、ジャンルの垣根を超えた表現力で心を震わせるピックアップです!
🏃💨今すぐ Seymour Duncan Alex Skolnick で二刀流に転向する🎸⚾
ALEX SKOLNICK HB-b (ブリッジ用)
ALEX SKOLNICK HB-n (ネック用)
ALEX SKOLNICK TB (トレムバッカー)
ESP ALEX SKOLNICK
ESP ALEX SKOLNICK FR
Seymour Duncan ハイゲインピックアップ 関連記事
» 【爆音極歪】Seymour Duncan Black Winter レビュー:どれくらい強烈に歪む音なのかを徹底解説
パッシブ最強候補筆、頭のヤベー奴!
» 【激歪】Seymour Duncan Slug レビュー!抵抗値47kΩ超のモンスターハムバッカー!!【ダンカン解析】
カスタムショップ発の抵抗値47.12kΩを誇る最凶モンスタードライブ!
» 【狂暴】Seymour Duncan El Diablo レビュー:激歪み全振りマグネットブレードハムバッカー徹底解説
メタルディストーションに全振りしたスコット・イアン氏シグネチャー!
» 【進化系JB】Seymour Duncan Warren DeMartini RTM レビュー!高出力アルニコ2!!【ダンカン解析】
ウォーレン・デ・マルティーニ氏シグネチャーモデルはSH-4 JB Modelの進化系!
» 【LAメタル】Seymour Duncan Exciter レビュー:伝説の歪みが蘇るハイゲインハムバッカー徹底解説
1980年代前半のLAメタル最盛期を狙ったスタックアンプを唸らせる大迫力ドライブ!
» 【ダンカン解析】Seymour Duncan Jupiter Rails 透明感溢れる歪みで無双せよ!【Wes Hauch】
『透明な歪み』がさえるウェス・ハウク氏シグネチャーブレードハムバッカー!
» 【高火力】Seymour Duncan SHR-1 レビュー!Hot Rails Stratは攻撃的シングルサイズハム🔥
ストラトのミッドにパワーとガッツを与えるロックギターの友!
» 【爆裂激歪】Seymour Duncan AHB-1 Blackoutsはどれくらい高出力で歪む音なの?
全方位メタルに最適された爆裂に歪むアクティブピックアップ!
» 【転生PU】Seymour Duncan alt.metal Blackouts レビュー!友達をなくすまで出掛けられない音!?
広大なダイナミクスレンジ、ロー・チューニング時の優れたトーンバランス!
» 【ジェフ・ルーミス】Seymour Duncan Jeff Loomis Blackoutsは本当にオーガニックな音色なの?
ヘッドルームに余裕をもたせたジェフ・ルーミス シグネチャーアクティブPU!
» 【倍音キング】 Seymour Duncan Nazgûl (ナズグル) はどんな音?
歪ませたギターの倍音でジュンジュン言わせたい貴方へ!
» 【倍音開花】Seymour Duncan Pegasusはどれくらい音の分離が良いの?
ドロップチューニングや多弦で歪ませてもメリハリの利いた音の分離の良さ!
» 【新旧合体】Seymour Duncan Sentientはどれくらい古くて新しい音なの?
59 ModelとJazz Modelの中間的特性を持つネック専用メタル向けピックアップ!
» 【精密レビュー】Seymour Duncan SH-6 Duncan Distortion 音は問答無用ハイゲイン!
ハイゲインといえばコレの王道ロングセラーモデル!
» 【精密レビュー】Seymour Duncan SH-8 Invader 最強ローエンドはどれくらい獰猛な音なの?
破壊力満点のローエンドで鼓膜をぶち壊せ!
» 【全90種以上】Seymour Duncan ピックアップ 音質解析 一覧
当ブログでは90種以上のダンカン製PUを解析済み!キミの求めている音もきっと見つかるよ!!
管理人SNS
人生ヒマでヒマでしょうがない人は、ぜひギタいじ管理人のXアカウントもフォローしてね!ギタいじへのご支援はコチラから!【鬼表現力】Seymour Duncan Alex Skolnick レビュー:メタル×ジャズ二刀流ハムバッカー徹底解説でした!!