【LAメタル】Seymour Duncan Exciter レビュー:伝説の歪みが蘇るハイゲインハムバッカー徹底解説
👆 Seymour Duncan Exciter をレビュー!
目次
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Seymour Duncan Exciter 伝説の歪みが蘇る1980年代LAメタル直球ハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、2023年に発表された Exciter をレビューです。Exciterは高出力コイルを採用し、1980年代に人気を博したギターサウンドを再現するように調整されたハムバッカーとなります。
婉曲的な言い回しではあるものの、グラムロックの影響を強く受けた『80年代初頭LAメタル』なディストーションを目指したコイルアレンジです。同社のSH-6 Duncan DistortionよりもLAメタルに最適化された調整で、確かなローエンドとクリアな透明感をプッシュしています。
オーバーワウンドとビッグマグネットでパワー×パワー!
Exciterはアンプを荒々しく歪ませるために、巻き数を増やしたオーバーワウンドコイルデザインです。更にマグネットにはセラミックを抜擢し、体積を大きくすることでクリアさを維持しつつ出力を稼ぐことに成功しています。
まさに『パワー×パワー』の重ね技であるExciterは、アンプのプリ管を増設したかのような歪みを生み出せるピックアップなのです。絶縁材の厚みにも調整が施されており、SH-4 JB ModelやSH-6 Duncan Distortionを超える音の広がりと立ち上がりの速さを備えています。
ブリッジ専用品でオプションはトレムバッカー!
Exciterはブリッジマウント専用に設計されているため、ネック用のピックアップは開発されておりません。ストラト系のフェンダーピッチのギターに使用する際は、別途弦間が0.414インチのトレムバッカーを選択可能です。
EXCITER HB-b (標準ピッチ) と EXCITER TB (トレムバッカー) の差はピッチのみですが、トレムバッカーは抵抗値が高めとなります。トレムバッカーの方がハイゲインという訳ではなく、ピッチが広がる分だけエナメル線が長くなるためとお考えください。
※巻き数が同じでもピッチが広がる分だけ線の全長が長くなり同時に抵抗値が増える
本記事では EXCITER HB-b (標準品) をブリッジにマウントしてクリーンと歪みの倍音特性や周波数特性の変化を解析!
ピックアップ参考記事
公表データの確認:Seymour Duncan Exciter
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Exciter ( Bridge Humbucker )
型番:EXCITER HB-b (Bridge) / EXCITER TB (Trembucker)
マグネット:セラミック (Ceramic Bar)
直流抵抗値:16.56kΩ (Bridge) / 17.06kΩ (Trembucker)
アウトプットタイプ:High
出 力:8.5
トーンチャート:低音域 6.8 / 中音域 6.6 / 高音域 8.0
ワイヤー:4c Shielded
Seymour Duncan Exciter クリーン 倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通し、ExciterのD3倍音(4弦開放)を解析です。
Exciterは基音と低次倍音の出力 (縦軸) の高さを備え、1kHz付近の中高音までほぼ同等の出力を維持しています。加えて基音の波形の山はすそ幅 (横軸) が広く、ダンカン製ハイゲインピックアップ特有の音程を感じさせぬ空気感を内包です。
ExciterとSH-6との大きな違いは基音の出力と低次倍音の関係で、Exciterの低次倍音は基音の出力を上回っておりません。高次倍音や非整数倍音は総じて出力抑えられている点も重なり、基音と低次倍音の力感が際立つ倍音構成となっております。
クリーン D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz
偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)……
→ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も
奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)……
→金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き
非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan Exciter クリーン 周波数特性
続いて倍音特性計測時のクリーンセッティングを保ったまま、周波数特性を確認です。
Exciterのトーンチャートは高音が8.0設定ですが、クリーンの段階では高音の主張が控えめです。超高音は最大で11kHz付近まで計測されているものの、3kHz以降は出力が低いためさほど煌びやかさは感じられないと思われます。
しかし11kHz付近まで計測されているというのが重要で、ゲインを上げた際にこの帯域がブーストされることで荒ぶる歪みの礎となるのです。低~中音はトーンチャート通り高めのフラットを記録し、安定感のあるローエンドと芯のあるサウンドを奏でます。
巻き数の多いダンカン製ピックアップはどうしてもクリーンの高音特性が失われがち!
ジャリンとしたクリーンが欲しい時はセラミックの立ち上がりの速さを活かしてコイルタップ配線なども活用しよう!
クリーン 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Exciter オーバードライブ 倍音特性 (D3/146.832Hz)
今度はアンプのゲインを上げて、アンプ単体で深く歪ませたオーバードライブ時の倍音特性を解析です。
やはりオーバーワウンドコイルは歪ませてこそ華、Exciterも深く歪ませることで火花が飛び散るような倍音に豹変します。基音の波形の山は出力もすそ幅も極太に変化して、鼓膜を抉り取るような破壊力を秘めたアタック感です。
そして基音以降の低次倍音と高次倍音は8kHz付近まで均等な出力を記録するため、歪みの勢いを削ぐことなく基音を際立たせています。立ち上がりの速い基音を追うように倍音が残像的余韻を残すのも印象的で、クリアかつ放射状な歪みの広がりをアシストです。
オーバードライブ D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan Exciter オーバードライブ 周波数特性
最後はオーバードライブ倍音特性の設定を保ったまま、周波数特性の変化を調べていきましょう。
Exciterは歪ませるほどに低音が場の空気を圧迫するような響き方で、SH-6と比較しても腹部にズドンと来るパワーがあります。低音は130Hz付近に強烈なピークを持ち、中~高音は400~6kHzにかけて広範囲で程よく高い数値を計測です。
超高音は聴覚的に認識するのが難しい16kHzまで記録されており、迫力満点の低音と鋭く切り込む高~超高音が炸裂します。近代的ピックアップではカットされがちな低音の主張が著しく、地を這うようなラウドな歪みもドンシャリな歪みも作製可能です。
昨今のモダンスタイルギターに搭載されるデジタルデバイスとの相性を考慮したトーンチューニングとは正反対の潔さ!
勿論LAメタルの礎となっている1970年代グラムロックのギターサウンドにもピッタリ!
伝説的なLAメタルバンドの歪みは勿論のこと、往年のハードロックやパンク、グランジもこなせる『古風なのにとてつもなく広い』サウンドだね!
オーバードライブ 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
まとめ
LAメタル最盛期のリアルタイム世代が使おうものなら泣いて喜ぶ、探していたあの音が蘇るハムバッカーに仕上がっています。モダンスタイルピックアップのアンチテーゼ的存在と捉えることも可能で、スタックアンプを唸らせるのに最適な歪みが大迫力です。
SH-4やSH-6以上にもっと深く古い音を追求出来るポテンシャルを持ち、1980年代の伝説的な歪みをオールラウンドに再現出来ます。ある種昔はよかった的な思い出補正を優れて正しい形で具現化しており、荒ぶる歪みで『今を黙らせる』ピックアップです!
🏃💨今すぐ Seymour Duncan Exciter で伝説をよみがえらせる🎸✨
EXCITER HB-b (標準ピッチ)
EXCITER TB (トレムバッカー)
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