【狂暴】Seymour Duncan El Diablo レビュー:激歪み全振りマグネットブレードハムバッカー徹底解説
👆 Seymour Duncan El Diablo をレビュー!
目次
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Seymour Duncan El Diablo 熱すぎるほどに極上ホットな狂暴ブレードハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、カスタムショップ発の El Diablo をレビューです。El Diabloはマグネットが剥き出しのブレードポールピースを採用した、メタルディストーション専用ハムバッカーとなります。
ANTHRAX の Scott Ian (スコット・イアン) 氏のシグネチャーピックアップとして、Worship Musicのギターレコーディングに使用されました。カスタムショップでは20年以上受注生産品のベストセラーモデルとして君臨し続け、2023年より晴れてレギュラーラインの仲間入りです。
日本国内では日本総代理店であるESPから、2024年2月22日より全国の Seymour Duncan 取扱い楽器店で入手可能となっております。
El Diabloの直流抵抗値は21kΩ超!
El Diabloはアルニコ2ブレードポールピースのインパクトのみならず、サウンドも他のハイゲインモデルとは一線を画す狂暴さです。極端に高音をカットして爆発的な低音を実現したEl Diabloは、大胆な見た目と同様に極上のホットなドライブを轟かせます。
直流抵抗値は21.72kΩと高い値で設計されており、クリーントーンは度外視に歪みに特化したコイルデザインを採用です。El Diabloについて度々クリーンサウンドが話題になりますが、ダンカンサイドは公式ホームページ上で下記の通り返答しています。
El Diabloのクリーンサウンドについて教えてください!
why you would play the El Diablo clean…?
(直訳:何故 El Diablo でクリーントーンを奏でるのか?)
引用: Seymour Duncan
まさかの吉良吉影も真っ青な質問に質問で返す姿勢に、全ハイゲインピックアップマニアは大興奮間違い無しでしょう。
若干トリックの上田みがあるのも良し。
特殊設計コイルに対応した専用エスカッション付属!
El Diabloの直流抵抗値21.72kΩという値は、極細ワイヤーで過剰に巻き上げない限り通常のハムバッカーサイズでは実現が難しいです。そこでSlugなどと同じく SH-9 SilverBird と同じボビンを用いた、特殊設計のコイルを採用しています。
ダンカン標準ハムバッカーのボビン長は2.624インチに対して、El Diabloは2.870インチと約9.4%増しの設計です。故に通常のハムバッカーザグリにはマウントが難しく、取付け用として特殊設計コイルに対応した専用エスカッションが付属します。
ピックガードにマウントする際も曲者で、ピックアップの支持間隔が通常は3.063インチに対してEl Diabloは3.050インチです。ボビンが長く支持間隔が短いサイズ設計につき、El Diabloを搭載するギターは独自のザグリやピックガードが必須となります。
市販されている大半のギターには無加工で搭載出来ないので注意してね!
El Diablo 実は2代目!?
ド派手なルックスと歪みに割り切ったサウンド、独自性の高い専用コイルを備えるなど、まさにEl Diabloは浪漫の塊です。しかし当初El Diabloというモデルは現在のEl Diabloとは異なり、SH-12 Screamin’ Demonをベースに開発されました。
後に紆余曲折ありブレードタイプのEl Diabloが誕生しますが、こちらも開発当初は SHTI-1B (Tony Iommi氏シグネチャー) という型番が割り振られています。著しくややこしい経緯があるため割愛しますが、ダンカンマニアの間でもEl Diabloの話題は非常に混迷を極めるテーマの1つです。
実は2014年9月に来日した Evan Skopp (エヴァン・スコップ) 氏 にそれとなく聞いた時に、それとなく流されちゃったんだよね
※Evan Skopp (エヴァン・スコップ) 氏:ダンカン副社長を歴任、13年前まではダンカン公式YouTubeチャンネルや各種イベント会場にてインタビュアーも兼任されていた
その話はいずれ機会があったらということで、本記事では多くのメタルファンを虜にし続けたEl Diabloの性能を解説していくよ!
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公表データの確認:Seymour Duncan El Diablo
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:El Diablo ( Rail Bridge Humbucker )
型番:EL DIABLO RAIL HB (Bridge専用)
マグネット:アルニコ2 ( Alnico 2 )
直流抵抗値:21.72kΩ
アウトプットタイプ:Medium
出 力:4.8
トーンチャート:低音域 8.1 / 中音域 6.5 / 高音域 3.9
ワイヤー:4c Shielded
Seymour Duncan El Diablo クリーン 倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通し、El DiabloのD3倍音 (4弦開放) を解析していきます。ダンカン公式サイドがクリーン向きではないと暗喩するEl Diabloですが、事実クリーンにはド不向きのサウンドです。
基音の出力 (縦軸) が弱い割には波形の山はすそ幅 (横軸) が広く、強烈な低次倍音がもやっとした強い濁りのある響きを生みます。クリーンが難しいと言われる同社SH-4 JB Model以上にモヤのかかった音色で、SH-4を無理矢理ネックにマウントしてトーンを絞ったかのようです。
高次倍音は出力が低く倍音が計測される帯域も狭いため、ベースピックアップをブリッジにマウントした倍音特性とも似ています。基音より低い帯域にも小さな山が発生するなど、全体を覆いつくす音程を感じさせぬ低音の唸り感が強烈です。
ギタいじで取り上げたネタとしては、ベース用のGreco VBS-500ハムバッカーに近い倍音特性だね!
クリーン D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz
偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)……
→ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も
奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)……
→金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き
非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
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Seymour Duncan El Diablo クリーン 周波数特性
続いて倍音特性計測時のクリーンセッティングを保ったまま、周波数特性を確認していきます。El Diabloの周波数特性は倍音特性の影響が大きく反映されており、潔い程に低~中音に集中している模様です。
低音は200Hz付近をピークとしつつ、800Hz付近までほぼ同等の出力をキープする台形状の波形を形成です。中高音では1kHz付近を境にして急激に出力が低下していき、3kHz以降の高音域は潔すぎるほどにバッサリと絞られています。
ところが超高音域は出力が低く聴覚的には認識しにくいものの、10kHz以降まで計測されていることを確認です。この僅かな超高音域が歪ませた際に『ある用途』で良い方向に作用し、爆発的なローエンドを引き立てる役目も果たします。
とりあえずクリーントーンに関しては、ダンカン先生の言っていることが全面的に正しい!
El Diabloを抜擢する場合、クリーントーンは『無いもの』と割り切って運用しよう!
クリーン 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan El Diablo オーバードライブ 倍音特性 (D3/146.832Hz)
今度はアンプのゲインを上げて、アンプ単体で深く歪ませたオーバードライブ時の倍音特性を解析です。
歪ませた途端にEl Diabloは別次元のサウンドへ昇華し、狂暴と称するのが相応しい暴力的ディストーションを創出します。基音の出力がクリーン時の倍以上に増幅する上に、波形の山のふもとが極太に変化するためパワフルかつラウドなアタックです。
低次倍音から高次倍音までほぼ均等かつ高めの出力を維持しつつ、6kHz以降の超高音域は主張し過ぎぬように絶妙に調整されています。図太くパーカッシブなアタックと伸びやかな中音のハーモニクス、そして適度に明るい高音が得られるメタルに最適化された倍音特性です。
オーバードライブ D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan El Diablo オーバードライブ 周波数特性
最後はオーバードライブ倍音特性計測時の設定を保ったまま、周波数特性の変化を調べていきましょう。
El Diabloのオーバードライブはトーンチャートの設定そのままといった感じで、強力無比なローエンドで無双出来ます。低音は120Hz付近に狂暴過ぎるほどのピークが生まれ、400~3kHzにかけての帯域はムラが少なく安定感が抜群です。
3kHz以降は控えめなので深く歪ませても耳に刺さる痛さが無く、思う存分に『低音で空気を殴れる』ディストーションを奏でます。クリーン時に計測された超高音域は歪ませた際に音の輪郭に明るさを生み、尚且つボリュームを絞ることでハリのあるクリーンを再生可能です。
爆弾のような低音と安定した中音が奏でるリフは鼓膜が燃えるような超高熱ドライブ!
サチュレーションレベルは文句なしに高く、圧倒的な迫力に熱狂すること間違い無し!
オーバードライブ 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
まとめ
ダンカンカスタムショップでロングセラーを記録したのも納得がいく、メタルディストーションに特化されたサウンドを楽しめます。ひたすらに太くパンチのあるドライブが実にアグレッシブで、低音の潜在能力は他のバンドメンバーが吹き飛ぶほどの破壊力です。
その代償としてクリーンは扱いが難しい上に、サイズが特殊でザグリやピックガードの加工が必要となる点はご愛敬となります。決して万人受けするとは言えないものの、轟く低音と直進力漲るパワーで荒ぶるリズムを制することが出来るピックアップです!
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