【激歪】Seymour Duncan Slug レビュー!抵抗値47kΩ超のモンスターハムバッカー!!【ダンカン解析】
👆 Seymour Duncan Slug 直流抵抗値47kΩ超のモンスターハムバッカーをレビュー!
目次
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Seymour Duncan Slug カスタムショップ発のモンスターブレードハムバッカー!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、Slug の音質を解析です。Slugは『前例の無い驚異的な直流抵抗値』で設計された、ダンカンカスタムショップ発の人気モデルとなります。
これまでは受注生産品でしたが、昨年よりめでたくレギュラーライン入りとなりました。日本国内でも2024年2月22日から、日本総代理店であるESPを通し流通開始です。既にBIGBOSS名古屋では入荷済みであることがSNS上で告知されているため、今後ますます流通が盛んになることが予想されます。
Slugの直流抵抗値は驚異の47kΩ超!
Slugの人気を不動のものにしたのは、件の『前例の無い驚異的な直流抵抗値』です。その値はブリッジ用で47.12kΩにも及ぶため、最早頭がおかしいとしか言いようの無い領域に達しています。

ネック用も21.72kΩと非常に高い値につき、2ハム仕様ギターに同時に乗せることで異次元のメタルマシーンが完成です。トーンは爆発的なローエンドを構築し、ストーナーやドゥーム・メタルに最適なヘヴィドライブを轟かせます。
Slugは特殊高出力コイルに対応した専用エスカッション付属!
通常のハムバッカーサイズのボビンを使用した場合、エナメル線の径を細くしない限り47kΩ超のコイルを設計するのは困難です。そこでSlugはダンカン標準ハムバッカーのボビン長2.624インチよりも長い、2.870インチの特殊高出力コイルを採用しています。

標準ハムバッカーよりもボビン長が約9.4%増しで、トレムバッカー (2.780インチ) と比較しても約3.2%増しです。故に一般的なエスカッションではサイズが合わないこともあり、Slug専用のエスカッションが別途付属します。

一方ピックアップの支持間隔は3.050インチと気持ち短く、ピックガードマウントの際はSlugに合わせた専用品の制作が必須です。ザグリの掘り直しも必要になる場合があるため、導入の前に必ずESP公式サイトや販売店で寸法表を確認しましょう(1敗)。
Slugは直流抵抗値最強≠出力最強
これまでのSlugの特徴からすると、ダンカン製パッシブピックアップ最強出力モデルであることを疑わないと思います。ただし公式出力設定は『Medium』に設定されている通り、Slugはあくまで『直流抵抗値最強モデル』です。

その理由はマグネット数に起因し、Slugは他のレギュラーラインのハムバッカーと同じ2本で設計されています。例としてSH-8 InvaderやBlack Winterは、ラージタイプのセラミックマグネットを3本搭載です。
ベースプレートの足の裏面からボビントップの厚みを比較すると、SH-8は0.866インチに対しSlugは0.814インチとなります。直流抵抗値による歪みやすさとマグネットの磁力による出力は、それぞれサウンドに与える影響が異なるものとお考えください。

実はダンカンマニアでは定期的に噂になるSH-9 SilverBirdと同じ設計のボビンが使われているんだよね!

本記事ではブリッジ用のSLUG RAIL HB-Bを使い、倍音特性とゲインによる周波数特性を確認するよ!
公表データの確認:Seymour Duncan Slug
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Slug ( Rail Humbucker Pickups )
型番:SLUG RAIL HB-B (Bridge) / SLUG RAIL HB-N (Neck)
マグネット:セラミック ( Ceramic Bar )
アウトプットタイプ:Medium
ワイヤー:4c Shielded
SLUG RAIL HB-B (Bridge)
直流抵抗値:47.12kΩ
出 力:6.0
トーンチャート:低音域 7.5 / 中音域 6.3 / 高音域 4.0
SLUG RAIL HB-N (Neck)
直流抵抗値:21.72kΩ
出 力:5.2
トーンチャート:低音域 9.0 / 中音域 7.8 / 高音域 2.7

Seymour Duncan Slug クリーン 倍音特性 (D3/146.832Hz)
まずはクリーンセッティングのアンプを通し、SlugのD3倍音(4弦開放)を解析です。

Slugは直流抵抗値の高さから『どクリーンな音』は作成が難しく、極端な話Roland JCに繋いでもやや歪んだクリーンとなります。基音と第2倍音の谷間、あるいは各倍音の谷間には総じて鋭く尖った非整数倍音の山が発生する枝毛状の波形が特徴的です。
低音重視のトーンチャートそのままに基音と低次倍音の出力の高さが目立ち、基音以下の帯域も非整数倍音が高い値を示しています。常に音程を伴わぬ重い空気感を内包しつつ、鋭く尖った非整数倍音の山が荒々しくもラフな響きを構築です。
高次倍音の出力(縦軸)は基音や低次倍音の約半分以下の値となるものの、計測された範囲(横軸)自体は広い点が肝となります。決して煌びやかな響きではありませんが、アタック時に低~中音の輪郭を引き立てるように作用する高次倍音です。

トーンもレスポンスも鈍重でベタっとしているけれども、妙に高音がヌルっとしていて音の輪郭を引き立てているね……

SLUG(ナメクジ)そのものじゃん!
タイトル回収!
クリーン D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan Slug クリーン 周波数特性
続いてクリーンセッティングを保ったまま、周波数特性を確認していきます。

低音はおよそ200Hzをピークとして、2kHz前後までかなり高い出力を維持です。ローエンドの迫力は勿論のこと、中音だけでなく中高音まで網羅するパワーに勢いがあります。
2kHz以降は波形が緩やかに降下していき、6kHz付近の高音を境目として急激に収束です。歪みやすさに反して超高音域はあまり計測されず、低~中高音に振り切った音色は潔さを通り越して不気味にさえ感じます。
クリーン 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Slug オーバードライブ 倍音特性 (D3/146.832Hz)
今度はアンプのゲインを上げて深く歪ませた、オーバードライブ時の周波数特性を解析します。

通常はオーバードライブ程度に歪むゲインでも、Slugの場合は凄まじくハードなディストーションに変貌です。基音の波形はふもとが極太に変化していることからも、ワイルドかつパワフルなアタックに無敵感が漂います。
クリーンでは低出力だった高次倍音も高い値を計測し、低次倍音と出力差がほとんど無くなったためコンプレッション感が強めです。それでも基音の出力が突出しているため音像がパコっと潰れにくく、鋭く鼓膜へ切れ込むような轟音ドライブを奏でてくれます。
オーバードライブ D3倍音特性波形の周波数目安
灰色の線が基音(D3)の146.832Hz 偶数次倍音:第2倍音(293.664Hz)、第4倍音(587.328Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(440.496Hz)、第5倍音(734.16Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Seymour Duncan Slug オーバードライブ 周波数特性
ラストはオーバードライブセッティングにおける、周波数特性を調べていきましょう。

Slugはゲインを上げるほど全帯域がグングン強化されていくため、重低音から超高音まで高い出力を計測です。低音は200Hzから120Hz付近にピークが変化し、200~6kHzにかけて高い数値を記録しています。
500~700Hzにかけて幾分谷間となるウィークポイントがあるとは言え、補って余りあるローエンドの暴れっぷりの良さが痛快です。ブリッジミュートを交えたリフは鳩尾を抉る破壊力で、リードではギターを数本重ねて録音したかのような厚みを堪能出来ます。
オーバードライブ 周波数特性 波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan Slug 音質解析&レビュー まとめ
直流抵抗値47.12kΩという限界を超越した設計が、弾き手をメタルサウンドの危険水域へ誘うモンスターハムバッカーです。誰しもが一度は妄想する『僕の考えた最強のハイゲインピックアップ』を、優れて正しい頭のおかしさで具現化に成功しています。

ボビンサイズが特殊で専用エスカッションやザグリ加工が必要になるなど、浪漫の代償として物理的制約が発生する点はご愛敬です。ハイゲインアンプのフルテン程度では満足出来ない身体の歪み狂信者でさえも、即堕ち不可避なヘヴィードライブを実現します!
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