【異種混合】Seymour Duncan SH-16 レビュー!本当にSH-1とSH-5を合体させた音なのか検証【ダンカン解析】
👆 Seymour Duncan SH-16 59 Custom Hybrid の音質を解析!
目次
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Seymour Duncan SH-16 59 Custom Hybrid はどれくらいSH-1とSH-5が合体した音なのか知りたい!
本記事ではSeymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、SH-16 59 Custom Hybrid の音質を解析です。SH-16はダンカン製品でも珍しい、異なるモデルのコイルを組み込んだハムバッカーとなっています。
元になったコイルはヴィンテージ系のSH-1b 59 modelと、モダン系のSH-5 Duncan Customです。稼働式ポールピース側にSH-1bが、フラットポールピース側にSH-5が組み込まれています。
59 Custom Hybridという名称そのものズバリの構造となっており、浪漫満点のモデルですね。言わずもがなSH-16が発表された当初は、それはもう大層激しく興奮したものでした。
定番のSH-1bとSH-5が一度に楽しめる、ハイブリッドなコイルアレンジだとぉ……!?
んほおおおおおおお!!!かっこいいいいいいいいいいいいい!!!!
人気モデルを合体させるという発想に、かつてないほどの最強オーラが漂っていますね。まさにドラゴンボールのフュージョンにも似た、
反則級の凄みを感じざるを得ません。
SH-16のミスマッチコイル構造
SH-16のコイルアレンジを、ダンカン公式では『The mismatched coils』と表現です。新たな音色を確立すべく、異種コイルを意図的に組み込む実験中にSH-16が誕生します。
SH-1b 59 modelはPAFをアレンジした高音の伸びに、適度に絞った中音域が特徴です。SH-16では歪ませた際の歪み質にも特色が出やすく、心地良いバイト感をプラスします。
SH-5 Duncan CustomはSH-1のオーバーワウンド版で、高出力なドライブ感が魅力的です。鋭い高音とタイトな低音を兼ね備え、SH-16のローエンドとクリアな音の輪郭を再現します。
またSH-5はコイルスプリットも担当し、シングルモードではより伸びやかな高音を演出です。SH-16は両者を足して2で割った音に留まらず、個性が絡み合ったサウンドを構築します。
SH-1bとSH-5の長所が融合し、別次元のサウンドを生み出したモデルだと言えるでしょう。
ブリッジ専用のSH-16は3ハムギターのセンターでもOK!
他のSH-1bカスタムモデルの例に漏れなく、SH-16もブリッジマウント専用の設計です。オプションはトレムバッカーのみとなっており、カタログにはSH-16とTB-16が掲載されています。
ただしカスタムショップ経由にて、受注生産の多弦モデル仕様もオーダー可能です。サウンドハウスでは過去に注文があった模様で、商品一覧にSH-16-7が加わっています。
SH-16の公式セットアップはネックにSH-1n 59 model、またはSH-2n Jazz Modelを推奨です。ミドル出力の特性を活かし、3ハム仕様ギターのセンターに搭載するモデルもあります。
👆 KILLER / KG-TRIUMPH-V REFLEX SILVER
KILLER GUITARSのKG-TRIUMPH-V REFLEX SILVER (※) は、センターにSH-16をマウントです。ブリッジにSH-6b、ネックにはSH-2nをセットし、絶妙な出力バランスを実現しています。
※聖飢魔II ルーク篁氏 シグネチャーモデル
今回はSH-16をブリッジにマウントし、同一設定のSH-1bとSH-5と比較検証を行いました!
SH-16の倍音や周波数特性に、どれほど両モデルの個性が反映されているのかを解析です!
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公表データの確認:Seymour Duncan SH-16 59 Custom Hybrid
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル: 59 Custom Hybrid (Medium Output Passive Humbucker)
型番:SH-16 / TB-16 (Trembucker)
マグネット:アルニコ5 (Alnico V Bar)
直流抵抗値:11.2kΩ / 11.7kΩ (Trembucker)
※コイルタップ時はSH-5側の7kΩコイルが作動
アウトプットタイプ:Medium
出 力:7.5
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 8 / 高音域 8
レゾナントピーク:5.95 kHz (Bridge)
ワイヤー:4芯シールドワイヤ― (4c Shielded)
SH-16の倍音特性 (E2/82.407Hz) をSH-1とSH-5で比較!
まずはクリーンセッティングのアンプを通して、E2解放弦の倍音特性を調べていきます。
SH-16は倍音バランスが非常に良く、1.5k~4kHz付近の倍音が芳醇かつ高い値を計測です。400Hz以降は不規則に倍音の出力が上下する箇所があり、絶妙なバイト感 (※) を体感出来ます。
※中~中高音の倍音にて、出力の高低が計測されると『バイト感がある』傾向
高次倍音がしっかり出力されているため高音の伸びが良く、音の余韻も煌びやかです。ミドル出力相当に非整数倍音が計測されていて、基音以下の低音の重さを担う要素の一つとなっています。
SH-1の倍音特性
元より高音にアドバンテージのあるモデルですが、SH-16よりも高次倍音が控えめです。基音や低次倍音の出力が高めで、3モデルの中で最もアタック感を主張しています。
中音を大胆に絞った設計につき400~500Hz、1k~3kHz付近の倍音は出力が低いです。代わりに非整数倍音が少なく、中音付近の倍音の激しい高低差が粒の荒いヴィンテージなバイト感を織り成します。
SH-5の倍音特性
高次倍音の出力の高さが物語るように、高音の伸びや広がり方が実に華やかです。中音は6に設定されているものの、700~2kHz付近の倍音は3モデルで最も高い値を計測しています。
出力の高さから全体的に非整数倍音が多いため、常に音程を伴わぬ空気感を内包です。意外にも低次倍音の主張が一番控えめで、高音が目立つ軽めのアタック感となります。
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音82.407Hz 偶数次倍音:第2倍音(164.814Hz)、第4倍音(329.628z)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(247.221Hz)、第5倍音(412.035Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
SH-16倍音考察フェーズ
SH-16は……
・低次倍音、高次倍音ともにSH-1とSH-5の中間的倍音特性
・SH-1よりもバイト感がマイルド
・両モデルではそこまで強くない中高音(2k~4kHz付近)の倍音が濃密
・SH-5より非整数倍音が幾分低めだがSH-1ほどクリアではない
DBのフュージョンより、ファイアーエムブレムの子供ユニットに近いかもね
「どうやら俺の出番のようだな!」
SH-16のクリーン音質をSH-1とSH-5で比較!
続いて倍音計測と同じセッティングを保ったまま、各モデルの周波数特性を解析です。
SH-16はジャランとコードを弾くと、中高音~高音にかけ良く響くという印象を受けます。低音は綺麗に整ってサッパリしており、硬さよりも跳ねるような弾性を感じる音です。
周波数では2kHzと3kHzに小さな山があり、6kHz以降の高音も安定して高い出力を維持します。中音は8設定ですが倍音のバイト感を反映し、強い箇所と弱い箇所が半々といった塩梅です。
600、800、1.2kHzは高い値であるものの、その谷間は出力が低めに計測されています。クリーンの段階では図太いミッドではなく、バイト感に影響する中~中高音の上限値が8判定なのかもしれません。
SH-1のクリーン音質
SH-16やSH-5よりも出力が低い分、全体的に波形のピークが他のモデルよりも低めです。
低音はSH-16と同じ設定ですが重みはなく、クリアで繊細な響きに感じられます。それでも3k~5kHz付近がとても鮮やかなので、ハイ上がりかつ抜けの良い高音です。
中音は3モデルの中で最も控えめですが、500~3kHzにかけてほぼ同等の出力を保ちます。故にコンプレッションが効いており、なおかつバイト感のあるクリーンを再生です。
SH-5のクリーン音質
3モデルの中で最もローエンドの迫力があるため、低音に唸るような重さが漂います。
500~3kHz付近はパワーとコンプレッションを備え、SH-1を膨らませたような中音です。倍音特性の計測結果から高音が強そうですが、低~中音の主張に比べるとおとなしめとなります。
9KHz以降の超高音域も計測されているものの、出力自体は低く音の余韻に集中です。高音は脇役的に低~中音のキレを鋭くする方向に作用しており、空気感溢れるハイエンドを奏でます。
SH-16のクリーンはSH-1とSH-5の中間的特性かつ、ミッドのコンプ感が強くないのが肝!
SH-16のオーバードライブ音質をSH-1とSH-5で比較!
最後にアンプを深く歪ませて、3モデルのオーバードライブ周波数特性を比較です。
ドライブさせたSH-16はミッドにズンとした芯があり、音にパワーと直進性があります。400Hz付近をピークとして、250~1kHz付近まで爆発力を維持する歪み方が強烈です。
1k~2.5kHzは大きな谷を形成しつつも、鼓膜に食い込むパワフルなバイト感が得られます。2.5kHz~6kHzはSH-5に近い高音の伸びを記録し、6kHz以降はSH-1とSH-5の中間的特性です。
SH-1のオーバードライブ音質
クリーン同様に両モデルより低音が軽やかで、鋭い中高音と適度な高音を併せ持ちます。2k~3kHzの伸びは3モデルの中でも突出しており、クリアなドライブ感を後押しです。
800~1.7kHz付近はSH-16ほどではないものの、緩やかな谷間を形成しています。しかしSH-16とは異なり谷底が均等な値につき、中音のコンプレッション感は強めです。
SH-5のオーバードライブ音質
SH-16にもう少しヘビーさを加えたような、重心のしっかりしたドライブが飛び出します。1kHz付近にデッドポイントが発生しますが、基本的に中音は暖かみを感じる歪み方です。
低音も高音もSH-16を上回る特性で、3モデルの中で最も高い全帯域の平均値を計測しています。高出力ながら歪ませても潰れにくいキレがあり、高音が他の帯域を牽引しているかのようです。
SH-16は歪ませると芯が太くなり、なおかつ暴れないためリードトーンの厚さは随一!
SH-1やSH-5は歪みの粒が細かいのに対し、SH-16ではクランチ感が残るのもポイントだね
400Hzは強いのに1kHzが弱めと、均一な中音ではないからドンシャリは作りにくいかもね
各波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2kHz,3kHz,6kHz
Seymour Duncan SH-16 59 Custom Hybrid 音質解析 まとめ
59カスタムハイブリッドの名に偽りはなく、SH-16はSH-1とSH-5の特色がブレンドされています。更に両モデルとは異なる控えめなコンプ感が、ダイナミクスを活かしたプレイに最適です。
濃厚な中高音の倍音とバイト感も秀逸で、ハードロックやメタルもOKな守備範囲を誇ります。異種混合コイルが新たなトーンを創出する、隙の少ないオールラウンドなハムバッカーです!
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