【ノイズレス】Seymour Duncan STK-T3bはクラシックな音が鳴るの?【ダンカン解析】
👆 Seymour Duncan STK-T3b Vintage Stack Tele Bridge の音質を解析!
目次
本日もギタいじへようこそ!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!
記事一覧はサイトマップへGO!
👑超最新ギターピックアップランキング
Seymour Duncan STK-T3b Vintage Stack Tele Bridgeでノイズレスにクラシックな音を奏でたい!
本記事ではSeymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、STK-T3b Vintage Stack Tele Lead (Bridge) を取り上げます。STK-T3bは低雑音化と低出力化を両立した、テレキャスターブリッジ用ピックアップです。
種類としてはスタックタイプで、ノイズキャンセル用のボトムコイルを備えています。特筆すべきはノイズを抑えつつ、標準的シングルコイルの音色を実現している点です。
低音の暖かさと中高音のスパンキーさを失わずに、明瞭で美しい高音が輝きを放ちます。
STK-T3bのルックスとサウンドに溢れるヴィンテージ感!
外観面でもヴィンテージ感を大切にしており、コイルの保護には黒い綿糸を採用です。背面には銅メッキ仕様のスチールボトムプレートを搭載し、雰囲気は十分楽しめます。
ミドル出力仕様のSTK-T2bと比較して、そのトーンはシングルコイルと遜色ありません。クラシックなテレキャスサウンドそのままに、ハムノイズのみを除去して演奏可能です。
ノイズに悩むテレキャス使いにとっては、救世主に成り得るモデルだと言えるでしょう。
STK-T3bのマッチングは出力重視!
STK-T3bの直流抵抗値は18.0kΩもあるため、一見するとハイパワー仕様に思えます。しかし出力は4.0で設計されており、ダンカンの出力分類ではVintage扱いです。
ハムバッカーらしい響きは一切なく、シングルコイルより少し強めの力感に留まります。ネックポジションの公式セットアップは、同じくスタックタイプのSTK-T1nとの事です。
ところがSTK-T1nは、ダンカン製品の中でも極めて出力が低いモデルとなっています。ヴィンテージ系シングルコイルのSTR-1が出力1.4に対し、STK-T1nは僅か1.1の設計です。
👆 Fender / Brent Mason Telecaster (STK-T3b搭載)
出力4.0のSTK-T3bと組み合わせる場合、どうしても両モデルの音量差が鬼門となります。公式セットアップに拘らず、出力重視で組み合わせを考えても良いでしょう。
STK-T3bはザグリの深さに要注意!
もう一点スタックタイプの構造的問題として、STK-T3bはシングルコイルより厚手です。例えばSTL-1はコイル底面からポールピース先端まで、0.736インチで設計されています。
一方STK-T3bは0.859インチで設計されており、ミリ換算ではおよそ21.8mmです。深めのザグリが必要となるため、事前にザグリの深さを確認した方が良いと思われます。
プレイテック等のミリ規格TLタイプ安ギターはザグリの拡張も必要になるので注意
今回はSTK-T3bをブリッジにマウントし、倍音や周波数特性をSTL-1と比較してみました。
あわせて読みたい記事
» 【精密レビュー】Seymour Duncan STL-1 Vintage ’54 Tele 伝統的テレキャスターの音を再現!
比較対象とするSTL-1の音質解析はこちらの記事をチェック!
公表データの確認:Seymour Duncan STK-T3b Vintage Stack Tele Lead (Bridge)
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Vintage Stack Tele ( Classic Noiseless Tele Pickups )
型番:STK-T3b (Lead / Bridge)
マグネット:アルニコ5 (Alnico 5 Rods)
直流抵抗値:18.0kΩ / 9.0kΩ (コイルスプリット)
アウトプットタイプ:Vintage
出 力:4.0
トーンチャート:低音域 6 / 中音域 4 / 高音域 4
レゾナントピーク:7.50kHz
弦間:0.44インチ (≒11.2mm)
厚み:およそ0.859インチ(≒21.8mm / ポールピース頂点からボビンの底まで)
ワイヤー:4芯シールドワイヤ― (4c Shielded)
STK-T3bの倍音特性 (C3/130.813Hz) をSTL-1と比較!
まずはクリーンにセットしたアンプを通して、STK-T3bのC3倍音を計測です。
全体的に倍音が多く、大まかな波形は標準的テレキャスブリッジPUと一致しています。低次倍音は基音と同程度の出力を保ち、偶数次奇数次を問わず高次倍音も芳醇です。
違いとしてはテレキャスの音を決定付ける、中高音の倍音がやや控えめとなっています。具体的にはC3を基音とした場合、第18~20倍音付近がシングルコイルよりも伸びません。
STL-1の倍音特性 (C3/130.813Hz)
同一条件でSTL-1の倍音を計測すると、2k~3kHz付近がSTK-T3bよりも鋭い事が明白です。5kHz付近のピークもSTL-1が上手で、テレキャスらしいスパンキーさを強調します。
ただし倍音が計測された帯域に関しては、STL-1よりもSTK-T3bの方がより広範囲です。STK-T3bは高次倍音の鋭さが控えめですが繊細で、高音の響き方が滑らかだと言えます。
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音のC3(130.813Hz) 偶数次倍音:第2倍音(261.626Hz)、第4倍音(523.252Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(392.439Hz)、第5倍音(654.065Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
STK-T3bのクリーン音質をSTL-1と比較!
続いて倍音計測時のセッティングを保ったまま、クリーンの周波数特性を解析します。
コード演奏時やサスティーンなど、聴覚的にはかなりSTL-1に肉薄している音質です。特に300~2kHzの再現度が素晴らしく、輪郭のクッキリとしたローエンドを構成します。
出力はSTL-1よりも+2dBほど高めの値で、計測せずとも音量の大きさを実感可能です。2k~3kHz付近の中高音は出力差があるにも関わらず、極端な差はありませんでした。
3k~4kHzのみSTK-T3b若干が下回りますが、4kHz以降は出力差からSTK-T3bが上回ります。
STL-1のクリーン周波数特性
STL-1のクリーン波形と比較すると、STK-T3bは高音や超高音の値がやや大きめです。
同一設定のアンプを使用すると倍音特性の通り、STK-T3bの高音の方が繊細に聞こえます。裏を返せば両者の音量を揃えると、STL-1はSTK-T3b以上に中高音が目立つ音に変化です。
STK-T3b特有の高音が出るor出ない論争
この辺の使い勝手が、STK-T3b使用者の感想で割れやすい要素となっています。STL-1より高音が出るor出ないという二分した評価は、ある種どちらも正解なのです。
・『素の音の比較』では出力が高い分、STK-T3bの2k~4kHzが強調される(=高音が出る派)
・『音量を揃えた比較』では素の中高音が同等である分、STL-1の2k~4kHzが強調される(高音が出ない派)
STK-T3bはSTL-1に近い音質だけど、出力差から『設定を流用出来ない点』に気を付けよう
STK-T3bのオーバードライブ音質をSTL-1と比較!
最後にアンプを深く歪ませた設定にて、両モデルの周波数特性を比較していきます。
クリーンよりも中音域のコンプレッション感が強く、ハイ上がりなドライブに変貌です。スタック構造により抵抗値と出力の大きさが、キメの細かい上質な歪みを演出します。
低音域のピークはSTL-1と差がないものの、重低音に雑味がなくスッキリしたトーンです。低周波ノイズは歪ませた際に、音程を感じさせない重めの唸り感を与えやすくなります。
STK-T3bは低周波ノイズの少なさ故、120Hz以下の帯域がカットされた波形です。低音の唸り感が控えめな反面、バンドサウンド内では明瞭な存在感を発揮出来ます。
STL-1のオーバードライブ周波数特性
STL-1の歪みはSTK-T3bよりも粒が荒く、低音の唸り感も心地良さを感じるスパイスです。古き良き伝統の味といった塩梅で、これぞテレキャスターと称すべき武骨さを体現します。
周波数的には300~1kHzの値がSTK-T3bより高いため、低~中音が暖かなドライブです。2kHz以降もSTK-T3bほどハイ上がりではなく、適度な空気感を備える高音域を展開します。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
深く歪ませると、STK-T3bはハムバッカーの特性が表面化しやすくなる傾向
歪ませると高音のヴィンテージ感が薄まるので、本体のトーン調整が肝になるかもね
Seymour Duncan STK-T3b Vintage Stack Tele Bridge 音質解析まとめ
倍音特性や低~中音において、ジシングルコイルの高い再現度を誇るピックアップです。
クリーンセッティングや指弾きなど、ローゲイン環境ではクラシックな音を響かせます。ノイズを大幅に削減しつつ、限界まで出力を低下させた設計はダンカンならではです。
よりスパンキーさを強調する場合や歪ませた設定の高音は、ある程度扱いに慣れを要します。GAIN増加に伴う高音のクセを把握して、ローノイズなヴィンテージ感を楽しみましょう!
🏃💨 Seymour Duncan STK-T3b Vintage Stack Tele Bridge でノイズレスな音に逃避する 👉👉
Seymour Duncan ピックアップ 関連記事
ダンカンについてもっと詳しくなりたいならコチラ!テレキャスブリッジピックアップは下記モデルも要チェック!
» 【2023年新製品】Seymour Duncan BG1400 カスタムショップ人気PUはどんな音?
カスタムショップで一番人気だったモデルがレギュラーライン入り!
» 【経年音質】Seymour Duncan ANTIQUITY Tele BRIDGE 1950年代テレキャスターを錆まで再現
1950年代初期テレキャスターの音を経年変化込みで再現!
» 【1950年の音】Seymour Duncan STL-1b Vintage Broadcaster Teleは再現度が神
1950年製ブロードキャスター搭載オリジナルピックアップを完全再現!
» 【52年テレ再現】Seymour Duncan APTL-3JD Jerry Donahue Teleはどんな音?
1952年製テレキャスを再現したジェリー・ドナヒューのシグネチャー!
» 【極太轟音】Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridge テレキャスが唸る!
0.25インチ極太ポールピースが生み出す爆音に恐れ戦け!
» 【中域爆発】Seymour Duncan STL-2 Hot Tele Bridge テレキャスの音が極太化!
オーバーワインドによる高出力コイルを採用したハイパワーモデル!
» 【精密レビュー】Seymour Duncan STL-1 Vintage ’54 Tele 伝統的テレキャスターの音を再現!
1954年製テレキャスター搭載ピックアップを完全再現!
» 【特許の力】Seymour Duncan STK-T2b Hot Stack Teleの音が気になる!
特許取得スタック構造でノイズレス&ハイパワー!
» 【テレPAF】Seymour Duncan ST59-1b Little ’59 Teleはどんな音?
テレキャスにヴィンテージPAFサウンドを注入!
» 【極太音質】Seymour Duncan STHR-1b テレ最強ミッドは超ブリブリ!
ダンカンのテレキャスブリッジモデルとしては全種最強の出力!
🧠「他の記事も読んで脳汁出していってね💖」
激安過ぎてむしろ不安になる奇妙なルックスのピックアップが大集合!
一体どの層に需要があるのか!?どこよりも詳しい圧倒的情報力と分析力で綴る世界一詳しいギターレビュー!
倍音よりも個性の煌めきが欲しい貴方に捧げるナイスなギターストラップが大集合!
» [PR] Ibanezの低価格帯エレキギター「Gio」シリーズに新モデル降臨!
ローステッド・メイプルネック&ジャトバフィンガーボードの二重奏!