Seymour Duncan Antiquity II Tele Bridge レビュー:錆付きで蘇る1960年代Fenderグレーボビン

👆 Seymour Duncan Antiquity II Tele Bridge をレビュー!
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Seymour Duncan Antiquity II Tele Bridge グレーボビンテレキャスターピックアップを忠実に再現!
今回は Seymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、Antiquity II Tele Bridge をレビューです。Antiquity II Tele Bridgeは、1960年代中期のグレーボトムテレキャスターピックアップを外観と音質の両面で再現しています。
アルニコ5マグネットにグレーボビン、白いコイル保護糸を使用し、銅メッキ加工のスティール・ボトムプレートを搭載です。ダンカンでは明確に年式を発表しておりませんが、これらの特徴を有するのは1964年以降のテレキャスターピックアップとなります。
Antiquity II Tele Bridgeの元となったテレキャスターの年式を考察
1964年はいわゆるプリCBS期 (Pre CBS) 最終年で、Fenderからも公式に1964年製リビルドモデル (Pure Vintage ’64 Telecaster Pickup Set) が発売済みです。しかしダンカン氏曰くAntiquity II Tele Bridgeは、下記年代のテレキャスターピックアップを元にしていると公表しています。
60年代のフェンダー社では、ローズウッド指板のテレキャスターしか製作していなかった為、私のためにメイプル指板のネックを作るようにビル・カーソンに頼み続けました
そのテレキャスター(非常にお気に入りの一つ)のためにワインディングしたピックアップとほとんど同じ物
引用:Seymour Duncan Pickup Sourcebook 2012 Version-3.0
またダンカン氏自身の好みとして、下記ブリッジを搭載したテレキャスターを好んでいるとのことです。
(テレキャスターは) 3連ブラスサドルが好き
引用:How to replace pickups in a Telecaster by Seymour Duncan (0:55~日本語翻訳)
メイプル指板を採用したテレキャスターは、1965年以降のCBS期にローズ指板に代わるオプションとして登場しました。またテレキャスターは1968年前後を境に、サドルがスチールタイプへと変更になっております。
これらの公式発言と時代考証から、Antiquity II Tele Bridgeの元となったテレキャスターの年式は1965~1967年と推測です。
Antiquity II Tele Bridge は新品、錆付き、劣化有り!
Antiquity II Tele Bridgeは1960年代当時と同じ製法と素材を遵守しつつ、全面的に強烈なエイジド加工が施されています。まずグレーボビンはForbon (加硫繊維) の安定化のため、ワインド前にラッカー塗布が行われているのが特徴です。

マグネットのアルニコ5は手作業で研磨されており、巻き上げ後はハウリング対策としてワックス含侵処理が行われています。最後にダンカン工場内に存在するAntiquity専用施設『Antiquity Room』にて、ゆっくりと時間をかけてエイジングされるのです。

エイジングは使用と経年による変色や錆、振動による摩耗とコイルの緩み、数十年の月日の流れを実感出来るデガウス処理まで徹底されています。サウンドはデガウス処理によりクリアかつブライトで、十分に枯れ切った『Twang』そのものです。
『新品、錆付き、劣化有り』という唯一無二の再現性に、ダンカンならではの変態的ピックアップ愛が伝わってくることでしょう。

Antiquityシリーズは世にも珍しい『新品、錆付き、劣化有り』なヴィンテージガチ再現ピックアップだよ!
ギタいじでは定期的にAntiquity&Antiquity IIを取り上げています!
ネック用 Antiquity II Tele Neck もラインナップ!
Antiquity II Tele Bridgeと対になるモデルとして、ネックマウント用のAntiquity II Tele Neckもラインナップされています。Antiquity II Tele Neckも1960年代中期のテレキャスターピックアップを元に、細部の仕様まで忠実に再構築です。
マグネットはBridgeと同じく手作業で磨いたアルニコ5を使い、少し抵抗値が高くなる特殊なパターンのコイル巻きを採用しています。ボビンはブラックですがラッカー塗布が行われているのは共通で、カバーはクロームメッキのブラス製です。
Neck側は RW/RP(逆巻き/逆磁極)につき、2つ揃いで搭載するとミックスポジションでハムキャンセル効果が得られます。CBS黎明期のテレキャスターに憧れを抱くギタリストにとっては、これ以上にない選択肢のピックアップとなることでしょう。

本記事では60年代中期がベースとなるAntiquity II Tele Bridgeを、54年製がベースとなるSTL-1 Vintage ’54 Teleと比較検証!

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公表データの確認:Seymour Duncan Antiquity II Tele Bridge
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Antiquity II Tele (Vintage Telecaster Pickups)
型番:AQ-2 TEb (Bridge) / AQ-2 TEn (Neck)
マグネット:アルニコ5 (Alnico 5 Rods)
アウトプットタイプ:Vintage
ワイヤー:Cloth Push-Back
AQ-2 TEb (Bridge)
直流抵抗値:6.6kΩ
出 力:2.3
トーンチャート:低音域 3.0 / 中音域 6.0 / 高音域 8.0
AQ-2 TEn (Neck)
直流抵抗値:7.9kΩ
出 力:1.4
トーンチャート:低音域 5.0 / 中音域 4.0 / 高音域 4.0

Antiquity II Tele Bridge 倍音特性 (C3/130.813Hz)
まずはクリーンにセットしたアンプを通して、Antiquity II Tele BridgeのC3倍音(5弦3F)を解析です。
Antiquity II Tele Bridgeは他のテレキャス用Antiquityシリーズと比較して、高音域が8.0とかなり高い値に設定されています。倍音も3.0kHz以降の高音に該当する周波数の倍音の出力が非常に高く、対照的に基音の出力はやや控えめです。

中音域は6.0の設定通り中音~中高音に該当する帯域でほどよく高い値を示し、高音一辺倒に染まらぬバランス感を内包しています。STL-1と比較すると基音と第二倍音の出力はSTL-1が上手ですが、第三倍音以降はほぼ全域でAntiquity II Tele Bridgeが優位です。

非整数倍音も広い帯域でAntiquity II Tele Bridgeの方が低い値となるため、雑味の無いクリアでブライトな音が楽しめます。部分的に僅かに奇数次倍音の出力が高くなる傾向も見受けられ、鋭く切れ込むトゥワンギーな響きを決定付けている様子です。

STL-1は高音域が9.0設定だけれども、高音域に該当する倍音はAntiquity II Tele Bridgeが上手!

そのためサスティーンを含めた音の余韻はAntiquity II Tele Bridgeの方が煌びやかに響くよ!

もう一点、基音の出力の高さからSTL-1は力強くアタックするとアイスピックのような高音の鋭さ!

対してAntiquity II Tele Bridgeは基音の出力が若干ソフトなので耳が痛くならないのがポイントだね!
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音のC3(130.813Hz) 偶数次倍音:第2倍音(261.626Hz)、第4倍音(523.252Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(392.439Hz)、第5倍音(654.065Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Antiquity II Tele Bridge クリーン周波数特性
続いて倍音計測時のセッティングを保ったまま、クリーンの周波数特性を解析します。
Antiquity II Tele Bridgeは出力が2.5と低い値で設計されていますが、前項の通り高音域に該当する倍音は出力が高めです。故に低~中音域は平坦かつ低い値を示すものの、2.4kHz付近を境に高音域や超高音域は極めて高い値を計測しています。

とりわけ3kHz~5kHzにかけて爆発的に高い値を記録し、明るく抜けの良いパーカッシブなトーンが炸裂です。ジャキッというよりはチャキッと鳴る枯れた高音は独自性が強く、ハイ上がりで爽快なテレキャスサウンドが飛び出します。

低~中音は概ねSTL-1の方が安定して高い数値を維持するため、音の芯の太さや存在感では優位に立てません。ですが低いなりに150~400Hzは幾分出力が上昇する傾向があり、低音弦の弾性やスナップ感が隠し味的に機能する周波数特性です。

これほど高音が研ぎ澄まされていればピック弾きは勿論のこと、指弾きやハイブリッドピッキングとも好相性!
クリーン周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Antiquity II Tele Bridge オーバードライブ周波数特性
最後にアンプのゲインを高めに設定した、オーバードライブにおける周波数特性を比較していきましょう。
Antiquity II Tele Bridgeは歪ませると低~中音の力感が大きく増幅され、高音の煌びやかさに磨きがかかります。300Hz付近と2.5kHz付近に同等のピークが発生し、400~2kHzにかけては満遍なくフラットな谷間を形成です。

STL-1も高音が煌びやかなピックアップですが、Antiquity II Tele Bridgeは火花が散るような高音の爆ぜ方が心地よく唸ります。聞き比べるとSTL-1でも高音が籠っているように聞こえるレベルで、突出した高音の伸びが鮮やかなドライブ感を演出です。

特にリフなどでは音の分離も歯切れも良く、チョーキングでは滑らかに変化する中高~高音が中毒性満点となります。単音ではSTL-1ほど中音に芯が感じられない部分はあるものの、光るようにきめの細やかな歪み方が実にナチュラルです。
オーバードライブ周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
まとめ
1960年代中期のグレーボトムテレキャスターピックアップを、ルックスとサウンドの両面で高いレベルで再現しています。当時と全く同じ製法と素材選定は他ブランドでは中々得難く、現行品のFender純正モデルさえ凌駕する徹底ぶりです。

新品でありながら60年近い経年感を実現するエイジングも目を見張るものがあり、プレーヤーに『時代を超える体験』を提供します。ピック弾きにも指弾きにもマッチするトゥワンギーな高音の響きは、究極に迫る1960年代テレキャスタートーンです!
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