【1950年の音】Seymour Duncan STL-1bレビュー!Vintage Broadcaster Teleは再現度が神【ダンカン解析】
👆 Seymour Duncan STL-1b Vintage Broadcaster Tele の音質を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan STL-1b Vintage Broadcaster Tele で太くてシャープな音を奏でたい!
本記事ではSeymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、STL-1b Vintage Broadcaster Teleを取り上げていきます。『Vintage Broadcaster Tele』の名を冠するSTL-1bは、
そのものズバリなFender Broadcasterのオリジナルピックアップ再現モデルです。
1950年初頭(※)に登場したBroadcasterですが、1949年秋にパイン材ボディとロッド無しのボルトオンネックを搭載して発売されたEsquireを原型としています。
Broadcasterは量産ギターの在り方だけでなく、そのシャープで伸びの良いトーンが音楽シーンに大きな影響を与えました。
(※)当初はレオ・フェンダー氏の証言から1948年とされていたが現在は1950年とされている
ところが発売から僅か数か月、スネアドラム(現在はセミアコにも使用)に『Broadkaster』の商標を有するGRETSCHの申し立てによりBroadcasterの名称変更を余儀なくされたのです。
そのため既に製造されていた個体はデカールを除去したNocasterとして、1951年からは『Telecaster』としてギター史にその名を刻んでいく事になります。
これらの経緯からオリジナルと呼べるBroadcasterの製造数は非常に少なく、公式発表では250本生産されたのみです。
このような歴史の中でオリジナルのBROADCASTERはわずか250本のみ生産されただけで、今となっては非常にレアなコレクターズアイテムとして認識されています。
70th Anniversary Broadcaster® _ Fender
STL-1b Vintage Broadcaster Teleは製法もオリジナルに忠実!
STL-1bはオリジナルBroadcasterのブリッジピックアップを元に、素材や製法、サウンドに至るまで忠実に再現されています。マグネットはアルニコ5を採用し、ポールピースは0.197インチという大口径仕様です。
ポールピースは手磨きで研磨されており、ボビンは伝統的な加硫繊維(NVF社のForbon)を採用しています。組み立ても手作業となっていて、ワインド前にラッカーを塗布するのが特徴です。
ラッカーは加硫繊維を安定させ、何十年も型を保つために必須となっています。(7~80年代に国内で流通した加硫繊維ボビンはラッカー無しが主流で変形が非常に多い)
STL-1b Vintage Broadcaster Teleは特殊なワインドや高めの出力も完全再現!
ワインドは特殊なオリジナルの製法を踏襲しつつ、巻き上げ後に黒い綿糸で養生です。アセテートテープとは異なる味があり、ヴィンテージの雰囲気作りに一役買っています。
布製フックアップ・ワイヤーは蝋付け処理されたもので、こちらもヴィンテージ感満点です。本体自体にもワックスポッティングを施し、ハウリングへの配慮がなされています。
底面には弦アース対策として、銅メッキ仕様のスチールボトムプレート搭載です。こういった細部まで拘った製法により、Broadcasterの太くシャープな音色を現代に蘇らせました。
音色は1954年製テレキャスターと比較すると、多少ミッドが強く出力も高めとなっています。
ヴィンテージ仕様に付加価値過剰な昨今、STL-1bは1950年のFenderの構想通り『量産品』から逸脱しない価格設定である点にも注目(公式通販ではたったの$89.00)
STL-1b Vintage Broadcaster Teleは型番表記に注意
さてダンカンでは型番表記の通例として、ブリッジ用ネック用の識別に『b』と『n』を採用です。ところがSTL-1bは例外となっていて、bはそのままBroadcasterの事を指しています。
STL-1は54年製テレキャスターを再現したブリッジピックアップにつき、どちらもブリッジ用なのです。この点のみとても分かりにくいため、STL-1bとSTL-1は別物であるとお考え下さい。
今回はSTL-1bと件のSTL-1を比較しつつ、倍音特性や周波数特性を解析していきます。
参考記事
» 【精密レビュー】Seymour Duncan STL-1 Vintage ’54 Tele 伝統的テレキャスターの音を再現!
1954年製テレキャスターを再現したSTL-1のデータはコチラでチェック!
» 【54年製再現】Seymour Duncan STR-1 ヴィンテージテレキャスターはどんな音?
STL-1やSTL-1bと組み合わせるネックピックアップはSTR-1で決まり!
公表データの確認:Seymour Duncan STL-1b Vintage Broadcaster Tele
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Vintage Broadcaster Tele ( Vintage Output Tele Pickups )
型番:STL-1b
マグネット:アルニコ5 (Alnico 5)
直流抵抗値:8.0kΩ (※)
アウトプットタイプ:Vintage
出 力:3.4
トーンチャート:低音域 3 / 中音域 7 / 高音域 8
レゾナントピーク:8.50kHz
ワイヤー:クロスワイヤー (Cloth Push-Back)
※STR-1とセット販売の場合は7.95kΩとの表記あり
倍音特性(C3/130.813Hz)をSeymour Duncan STL-1bとSTL-1で比較!
まずはアンプをクリーンにセットした状態で、STL-1bのC3倍音を計測しました。全体的に倍音量が多く、テレキャスらしいシャギーな非整数倍音も多数発生です。
特に基音以下の非整数倍音が強めで、STL-1よりもかなり高めの値を記録しています。
故に音程を感じさせない低音の唸りが感じられ、硬質かつファットな響き方ですね。テレキャスの中高音域を決定付ける、第18~20倍音付近も程よく出力されています。
基音~第6倍音付近までムラがない点も印象的で、アタックの力強さを後押しです。
STL-1と比較すると、STL-1bは低次倍音にアドバンテージがある事が分かります。対して高次倍音はSTL-1の方が芳醇となっており、より高音が鋭い傾向です。
両モデルは低次倍音と高次倍音がシーソーのような関係で、そのまま音色に反映されています。
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音のC3(130.813Hz) 偶数次倍音:第2倍音(261.626Hz)、第4倍音(523.252Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(392.439Hz)、第5倍音(654.065Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
クリーンの音をSeymour Duncan STL-1bとSTL-1で比較!
続いて倍音計測環境と同じ設定のまま、クリーントーンの周波数特性を解析です。まず出力にある程度の差がある様子で、STL-1bの方が+2dBほど高く計測されています。
しかし音色に極端な落差は無く、ハッキリした違いは低~中音域における安定感です。
STL-1bはSTL-1と比べると、300Hz以下の帯域が気持ち強めに出力されています。それも明確に太くなる感じではなく、輪郭線が一回り太くなったかのような音像ですね。
500~1.2kHz付近もややSTL-1の方が強めで、2kHz以降はほぼ同等の出力となります。
ですが高音域が近い特性とはいえ、STL-1は出力がSTL-1bより低い点に注目です。アンプ等で同程度の音量に出力を補正した場合、高音はSTL-1の方が目立つ形となります。
高音域8のSTL-1bと高音域9のSTL-1の差が、聴覚的にもほぼ設定通りに聞こえるハズです。
オーバードライブの音をSeymour Duncan STL-1bとSTL-1で比較!
アンプのGAINを上げると、クリーンに近いトーンを保ったまま歪む事が分かります。多くのテレキャスターPUと同様に、歪ませると低~中音域の力感が増していく傾向です。
STL-1bはSTL-1以上にその傾向が顕著となり、やはり300Hz以下が幾分上手となります。
音の中心となる250Hz付近の山もSTL-1より鋭角的で、低音の輪郭が実に明瞭です。400~1.2kHz付近はクリーンよりも差が大きく、ブリンと跳ねる中音域がクセになります。
出力は依然+2dBほどSTL-1bの方が高めにつき、ドライブ感が強めでサスティーンも良好です。
そしてクリーンの時と同じく、1.5kHz以降はそれほど両モデルに差がありません。STL-1は低~中音が一回り小さくなるため、その分高音域が目立つ形となります。
とは言えSTL-1bも高音は十分に鋭いので『STL-1より太いけどシャープ』という認識で間違い無さそうです。
STL-1bは適度な出力の高さと非整数倍音の多さから、アンプ直やファズのドライブ感が伸びやか!
エフェクターを多用する時は、出力も非整数倍音も少ないSTL-1の方が音を加工しやすいかもね
クリーン&オーバードライブ各波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan STL-1b Vintage Broadcaster Tele 音質解析&レビュー まとめ
STL-1bはBroadcasterの音色だけに留まらず、製法や外観も含めて高水準で再現されています。シャープな歯切れの良さを維持しつつ、音に太さを加えたコイルアレンジが絶妙です。
一般的なテレキャスで高音の出方を少し抑えたい場合、非常に良い選択肢となります。クリーンでも歪ませても音色は鮮やかで、倍音の煌めきも十分感じられるサウンドです!
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