【極太轟音】Seymour Duncan STL-3 レビュー!Quarter Pound Tele Bridgeでテレキャスが唸る!
👆 Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridge の音質を解析&レビュー!
目次
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Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridge はテレキャスターのパワー爆発!
今回はSeymour Duncan (セイモア・ダンカン) より、STL-3 Quarter Pound Tele Bridgeを解析です。ダンカンではSTL-3とSTL-2を、
『High Output Telecaster (Tele) Pickups』と位置付けています。
両モデルの出力設定は同じですが、トーンチャート3帯域の総和はSTL-3が上手です。
よってSTL-3はテレキャスターブリッジ用シングルコイルとして、ダンカン最高出力 (※) を誇ります。その力感はハムバッカーに負けない程で、パンチの効いたサチュレーションを実現です。
(※) シングルサイズハムバッカーでは更なる高出力モデル有り
STL-3の極太ポールピースは0.25インチ!
STL-3にテレキャスらしからぬパワーを与える秘訣は、巨大なポールピースにあります。他のダンカン製TLブリッジピックアップの場合、ポールピース径は0.187 (STL-1等) ~0.197 (STL-1b等) インチです。
STL-1bの0.197インチでも大きめなのですが、STL-3は0.25インチと更に大型で設計されています。Quarter Poundという名の由来となっている要素で、とにかくルックスは相当派手です。
遠目に見てもポールピースの太さが目に付くほど、異様な存在感を発揮しています。
そこへカスタムオーバーワウンド仕様の高出力コイルが加わり、類稀なるパワーを発揮です。追い打ちにSTL-2と同じくボトムプレートを無くし、低中音の迫力が一層増しています。
P-90のニュアンスに近い音と評される事も多く、歪みでは唸るようなドライブ感です。明瞭な高音とパワフルな中高音を併せ持ち、見た目通りの図太い音を奏でてくれます。
要ブリッジアース配線!
ボトムプレートレス構造の宿命として、別途弦アース対策が必要です。新品購入の場合は付属品として、専用のアース線が同梱されています。(中古購入時は付属しない場合が多いため注意)
STL-3は中間タップモデルもラインナップ!
STL-3は他のハイパワーシングルコイルモデルと同様に、タップ対応モデルを完備です。ただしハムバッカー構造ではないため、中間タップ(ハーフターン)を採用しています。
フルターンはハイアウトプットとして、ハーフターンはヴィンテージアウトプットとして切り替え可能です。
ポールピース径の巨大さ故に、STL-3は出力を落としても磁界の広さが失われません。通常のヴィンテージ系とは異なる味付けとなるので、音作りの幅もグッと広がります。
STL-3とSTL-2、どちらを選べば良い?
STL-3の大まかな特徴を説明しましたが、ここで気になるのはSTL-2との音質の違いです。STL-2も出力が高いテレキャスターピックアップな上に、同じ出力設定となっています。
商品のアピールポイントに関しても、中音域のパワーを強調する点が両モデル共通です。下記引用文はSTL-3についての公式商品説明文で、カタログにも掲載されています。
ロー&ミッドレンジがファットなサウンドになっています。
引用:Quater Pound™ Tele _ SEYMOUR DUNCAN
次にこちらの引用文は、カタログにも掲載されているSTL-2公式紹介文です。
ロー&ミッドレンジが強力でファットなサウンドに仕上がりました。
引用:Hot Tele _ SEYMOUR DUNCAN
なるほどなるほど。
STL-3はロー&ミッドレンジがファットで、STL-2はロー&ミッドレンジがファットなサウンドって事だな!
…………
コピペ大好きっ子かよ!?
これは楽器ブランドあるあるですが、同系統商品の説明がモロ被りとなっています。『ダンカン製、テレキャスターブリッジ用、シングルコイル』以上の縛りで中音域に力感を求めるならば、STL-2とSTL-3が候補の筆頭です。
しかしながら両候補の説明が共通では、具体的な音色の差をユーザーが判断出来ません。漠然とテレキャスの中音域を底上げしたい場合、どちらを選ぶべきか迷うと思います。
分かりにくい例え
例えばジョジョの奇妙な冒険に詳しい知人に、第4部と第5部の主人公について聞いたと仮定です。そうして返って来た答えが
第4部の主人公も……
第5部の主人公も……
名前から音をとると“ジョジョ”になるよ💖
だった場合、間違いではないものの最適解ではない気がします。もう少し突っ込んで両主人公のスタンドの特徴を訪ねた際、
仗助のクレイジー・ダイヤモンドも……
ジョルノのゴールド・エクスペリエンスも……
近距離パワータイプの人型スタンドで回復持ち💖
と返ってきたら、やはり大筋は間違いではないものの期待した答えとは異なるハズです。
という訳で本記事では、STL-3の音質データを解析しつつSTL-2と比較していきます。可能な限り両モデルの特性を詳しく調べましたので、購入の参考になれば幸いです。
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公表データの確認:Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridge
ブランド:Seymour Duncan ( セイモア・ダンカン )
モデル:Quarter Pound Tele Bridge (High Output Telecaster Pickups)
型番:STL-3 (ブリッジ) / STL-3t (ブリッジ・タップモデル)
マグネット:アルニコ5 (Alnico 5 / 0.25″)
直流抵抗値:17.0kΩ / 8.00kΩ (タップ)
アウトプットタイプ:High
出 力:5.5
トーンチャート:低音域 7 / 中音域 5 / 高音域 7
ワイヤー:PVC Lead Wire
レゾナントピーク:3.50kHz / 6.10kHz (タップ)
Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridgeの倍音特性 (C3:130.813Hz)
最初はアンプをクリーンにセットした状態で、STL-3のC3倍音を計測しました。
一般的なTL型ブリッジピックアップの傾向として、中音域の倍音が控えめとなります。そして中高音域で倍音の出力が盛り返すため、煌びやかなアタック感を演出です。
さりとてSTL-3は中音域の倍音に谷間が少なく、中高音までほぼ同じ出力を維持します。
通常TL型ブリッジPUは第18~第20倍音が鋭くなりやすいものの、STL-3はフラット気味です。テレキャスらしい鋭いアタック感こそ抑えめですが、その分中~中高音の倍音感が濃密となります。
高次倍音はやや大人しい印象があり、基音以下の非整数倍音が強めでP-90的な傾向です。口コミでP-90に近いと評される要因は、こういった倍音バランスにあると推察します。
STL-2の倍音特性
STL-2もTLブリッジ型としては谷間が控えめで、中高音のピークも極端ではありません。それでも第18~20倍音は若干盛り返す特性となり、一見アタック感が強そうです。
ところが第2~第4倍音と非整数倍音がSTL-3より強烈につき、アタックが低音に偏っています。結果的にアタック感に関しては、STL-3の方が幾分鋭さが残っている響き方です。
STL-3はアタックが中~中高音域に集中し、弾き手にP-90的な太さを抱かせます。一方STL-2のアタック感は低~中音域の力感が強く、ベースの高音のような響き方です。
参考:SP90-1の倍音特性
STL-3はわりとP-90に近い倍音傾向と考えて良いかもね
» 【伝統再現】Seymour Duncan SP90-1 Vintage P-90ってどんな音?
SP90-1の解析結果はコチラの記事でチェック!
倍音特性波形の周波数目安
左端の山(中央灰色線)が基音のC3(130.813Hz) 偶数次倍音:第2倍音(261.626Hz)、第4倍音(523.252Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(392.439Hz)、第5倍音(654.065Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
クリーンのSeymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridgeはこんな音!
続いて倍音の計測環境を保ったまま、クリーントーンの周波数特性を解析します。低音7と高音7のトーンチャートのイメージとは異なり、中高音以降がパワフルです。
全体的に倍音特性とは打って変わって、テレキャスらしい特性を計測しています。とは言えSTL-1等とは出力の開きが大きく、コードワークで歪む事もしばしばです。
体感的にはSTL-1を使った際に、クランチ寸前まで音量を上げたイメージでしょうか。1.2k~3kHzにかけて鋭さを増すため、中高音にアドバンテージがあると言えます。
STL-2のクリーン
STL-3とは対照的で、1.2kHzよりも下の帯域がモッコリ増幅した波形です。特に100~800Hzにかけては満遍なく高く、極太かつホットなサウンドを響かせます。
1.2kHz以降はかなり絞られており、テレキャスの割には程よく丸みを感じる高音です。低~中音域が得意分野につき、STL-3よりも重心の低いクリーントーンを再生します。
オーバードライブのSeymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridgeはこんな音!
最後にアンプを深く歪ませてみると、ミッドレンジの特徴がより色濃くなりました。STL-3はトーンチャートそのままに、低音7、中音5、高音7のバランスを保つ波形です。
低音はクリーンよりも力強く変化し、280Hzを中心に150~400Hz付近に力感があります。
中音は500Hz付近に小さな谷間があり、2kHz付近までは絞り気味でフラットです。けれども2k~5kHzが実に鋭敏で、鼓膜にザクザク切り込むバイト感を演出します。
ドンシャリ歪む感じではなく、低音と中高音が不足気味の中音を引っ張る雰囲気です。表現が難しいですが、鉄芯というよりは中空芯的な独特のエアー感を備えています。
とにかく中高音が華やかに歪むため、サスティーンのハーモニクスも心地良いです。
STL-2のオーバードライブ
クリーンの時よりも低~中音域が強くなり、ハムバッカーのようなドライブを奏でます。1kHz以下はテレキャスらしからぬ出力で、ローエンドのパワーは地響き的破壊力です。
280Hz付近を頂点として、中音域は力感を保ちつつゆるやかに減衰していきます。
1.7kHz付近は谷間を形成し、中高音もは一般的なテレキャスのドライブより控えめです。低~中音域特化型につき、STL-3の華やかさとはベクトルが異なる歪みだと言えます。
クリーン&オーバードライブ各波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridge 音質解析&レビュー まとめ
STL-3はローミッドの力を備えつつ、ミッドハイに強烈な個性を持つピックアップです。歪ませる程に特性が色濃くなり、鋭く切れ込む倍音豊かなドライブが唸ります。
P-90的倍音傾向とバイト感も凄まじく、テレキャスターの線の細さを吹き飛ばす程です。テレキャスに太さを加えつつ、STL-2以上の鋭さが欲しい場合は最良の選択肢となります!
🏃💨 Seymour Duncan STL-3 Quarter Pound Tele Bridge で愛機を唸らせる💪
STL-3 Quarter Pound Tele Bridge
STL-3t Quarter-Pound Tele Bridge Tapped
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