Furious Note Guitar HMX Pb-Dol. 音響用ハンダ試供品チェック💖

2021年9月13日ハンダ,Furious Note Guitar,HMX Pb-Dol.,音響用ハンダ,小島半田製造所

Furious Note Guitar HMX Pb-Dol. 音響用ハンダ試供品チェック

👆 Furious Note Guitar HMX Pb-Dol. (試供品)

目次

2021.08.02 追記 ウェブショップ開設のお知らせ

2021年8月2日公式ショップ開設に伴い、HMX Pb-Dol.の発売が開始となりました!

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嗚呼、ヴィンテージハンダが消えていく!

楽器や機材にヴィンテージな音を求める場合、使用するハンダの選択は重要となります。特にヴィンテージ楽器の修理の際は、当時物のハンダでしか再現出来ない音が大半です。しかしヴィンテージハンダは枯渇する一方で、保存状態の良い物が年々減少しています。ならば当時と同じハンダを作れば良い話ですが、そう簡単に作れない事情があるのです。

👆 ヴィンテージ Kester 44

現在はRoHS指令により、電気・電子機器等における有害物質の使用が制限されています。ハンダは鉛の含有率が規制されているため、鉛入りハンダが使用出来なくなりました。(=鉛を含むハンダを使用した電化製品等が欧州に出荷出来ない)

OYAIDE SS-47 0.6mm 20g 音響専用ハンダ

👆 OYAIDE SS-47 音響専用ハンダ(鉛フリー)

かつては鉛入りしか存在しなかったハンダも、現在は鉛フリーハンダが主流です。当然ながらヴィンテージのハンダは、ほぼ全てが鉛入りのハンダとなっています。故に各メーカーがヴィンテージを再現しようとしても、量産することが出来ないのです。

Furious Note Guitar HMX Pb-Dol. 弾き比べ!

Furious Note Guitar

という訳で今回は、Furious Note Guitarが開発したHMX Pb-Dol.(ドルチェ)を取り上げます。HMX Pb-Dol.は現代の技術で、消えゆくヴィンテージハンダの再現を目指した銘柄です。ヴィンテージハンダの音は個人的に、音のロスが限りなく少ないものだと考えています。この辺りは主観の問題となりますが、音が良い以上に『音が劣化しない』印象です。

過去の経験則から、ヴィンテージのハンダには溶接に近い音の質感を抱いていました。ハンダは基本的には不純物なので、大なり小なり使う程に音質が低下していきます。音響用ではないハンダはその傾向が顕著で、銘柄によっては音を曇らせるのです。鉛の含有率や溶けやすさなど、多方面で昔の方が『音に都合が良かった』のでしょう。

HMX Pb-Dol.は発売に先駆けて、ツイッター上で試供品キャンペーンが実施されました。幸いにも管理人はキャンペーンに当選したため、一足先に試供品を入手しています。そこで発売前ではありますすが、HMX Pb-Dol.と市場で流通している他のハンダを弾き比べです。果たしてHMX Pb-Dol.はどのような音で魅せてくれるのか、じっくり計測していきましょう。

HMX Pb-Dol. 検証方法

ハンダの比較は実際に同一機材へ使うのが一番ですが、複数銘柄の比較には向きません。ハンダ付けを繰り返すと残留物が残るため、純粋なハンダの音が分かりにくくなります。そのため以前別記事で紹介した、端子台パーツテスタを使用して周波数特性を計測です。

計測方法は鋼線ワイヤーを使用し、コールド側にハンダを線状のまま加えています。回路にもよりますが、多くの場合はコールド側の方がハンダの使用量が増える傾向です。よってワイヤーのコールドにハンダを足す事で、はんだ付けに近い音色が再現出来ます。

比較用ハンダ

比較に使用する銘柄は、メーカーも太さも配合率も統一性がありません。公平性を保つために、加えるハンダは試供品の体積に合わせました。 試供品は600mm×φ1.2mmだったため、体積が720mm3になる長さでカットです。(※)その上でDIからインターフェースへ信号を送り、周波数特性を計測しています。

※補足

600mm×φ1.2mm=720mm3

900mm×φ0.8mm=720mm3

720mm×φ1.0mm=720mm3

947mm×φ0.76mm(.030)≒720mm3

波形の周波数目安(左から順に)

赤線:100Hz,200Hz 
橙線:400Hz,800Hz 
黄線:2kHz,3kHz,6kHz

ハンダ無し(鋼線ワイヤーのみ)

ハンダ無し(鋼線ワイヤーのみ)

音の良さの目安となるのは、ハンダを加えていない鋼線ワイヤーのみの周波数特性です。鋼線ワイヤーのみの音と比較すれば、損失が少ない程に原音の再現度が高い事になります。

ハンダ無し(鋼線ワイヤーのみ) 周波数特性

比較用のハンダは有名どころを多数揃えたので、読み手にも音が想像しやすいハズです。それでは次項からは、比較用のハンダを加えた周波数特性のデータを紹介していきます。

使用した鋼線シールド線

👆 MONTREUX ( モントルー ) / Vintage braided wire 1M [1011]

HOZAN(ホーザン) / H-42-3717

HOZAN(ホーザン) / H-42-3717

電子工作では広く馴染みのある、鉛入りハンダの大定番銘柄です。音響用ではありませんが、用途を選ばず多彩な回路に使用する事が出来ます。ヴィンテージ再現を目指していない鉛入りハンダ筆頭として、欠かせない存在ですね。

HOZAN(ホーザン) / H-42-3717 周波数特性

全体的に周波数特性の減衰が目立ち、出力も-1dB程小さく計測されました。重低音に不要な音が混ざる事もあり、少し違和感を覚えるかもしれません。

goot(グット) / 音響部品用はんだ SD-65

goot(グット) / 音響部品用はんだ SD-65

ホームセンター等のハンダコーナーで、必ずといって良い程常備されています。音響用の文字が躍るため、ハンダ初心者はなんとなく購入する事が多い銘柄です。

goot(グット) / 音響部品用はんだ SD-65 周波数特性

けれども全体的な損失はホーザンと同程度で、出力も同じく-1dBとなっています。ただし重低音がスッキリしているため、ホーザンよりも濁りの少ない音ですね。

goot(グット) / 銀メッキ部品用はんだ SD-64

銀入りハンダも音響用では多用されますが、こちらは最も入手しやすい銘柄だと思います。音は音響用よりも高音域が伸びず、ギラっとした倍音も控えめの傾向です。

goot(グット) / 銀メッキ部品用はんだ SD-64 周波数特性

僅かに低音域が持ち上がるため、音響用以上に音の重心がしっかりしています。出力に関しては上記2銘柄と同じく、-1dB程度の減少が確認出来ました。

HAKKO(白光) / HEXSOL 銀入りはんだ FS409-01

gootのハンダシリーズよりも、少しだけ価格帯が上になる銘柄です。銀入りハンダの特性が良く出ており、SD-64以上に高音域が抑えられています。

重低音も絞られているため、400Hz付近の中心周波数帯域が分かりやすいです。低&高音域の弱さは賛否が分かれるものの、音の輪郭が明瞭でクリアに響きます。

YOKOMO(ヨコモ) / シルバーソルダー YT-SS1

YOKOMO(ヨコモ) / シルバーソルダー YT-SS1

対象性別 :男の子というナイスな指定のついた、オーディオ用銀入りハンダです。当たり前ですが男女問わず使用出来るので、ハンダ淑女の皆様もご安心下さい。

YOKOMO(ヨコモ) / シルバーソルダー YT-SS1 周波数特性

出力的な損失はほとんど無く、音量差はほぼ±0dBと優秀な値を計測しました。低音域の再現度は非常に高いですが、中~高音域はかなり減衰してしまいます。

OYAIDE(オヤイデ) / 音響専用ハンダ SS-47

RoHS指令対応ハンダの中では、管理人的に現状では最高峰に近い銘柄です。決してヴィンテージハンダの音ではありませんが、損失が控えめとなっています。

OYAIDE(オヤイデ) / 音響専用ハンダ SS-47 周波数特性

ハンダが変に音を主張しないため、~300Hz付近までの再現度が非常に優秀です。以降は原音よりも減衰していきますが、高音域もかなりの再現度を誇ります。

KESTER(ケスター) / KESTER44

KESTER(ケスター) / KESTER44

ヴィンテージハンダの代名詞、KESTER44の.030ヴィンテージロットです。配線時の扱いやすさは勿論の事、音抜けの良さに圧倒的支持を集めています。~300Hzまでは無損失といっても良い程で、高音域の再現度も素晴らしいです。

KESTER(ケスター) / KESTER44

中音域は再現度がやや低く、ドンシャリな明るさが強調されています。出力はYOKOMOやOYAIDEほど高く無い模様で、-1dB程減衰が確認出来ました。それでもヴィンテージならではの原音再現度は、現行品では得難い魅力ですね。

Furious Note Guitar / HMX Pb-Dol.

Furious Note Guitar HMX Pb-Dol.

KESTER44を聞いた直後なら、『HMX Pb-Dol.の再現度』が良く分かると思います。KESTERが300Hzまで無損失なのに対し、本品はなんと500Hz付近までほぼ無損失です。高音域は同程度の周波数特性で、超高音域はHMX Pb-Dol.の方が僅かに優れます。

Furious Note Guitar HMX Pb-Dol. 周波数特性

出力±0dBに加え原音再現度がKESTER以上につき、信じられないレベルで音がクリーンですね。ヴィンテージハンダの音から、『経年劣化の損失』を丸ごと抜いた感じでしょうか。現代の技術で再現するという真意が、非常に良く伝わってくる仕上がりだと思います。

Furious Note Guitar HMX Pb-Dol. 総評

Furious Note Guitar HMX Pb-Dol.  総評

HMX Pb-Dol.の音を端的に表すならば、『新品のヴィンテージハンダの音』です。まるで20世紀前半にタイムスリップしたかのような、鮮烈な音が鼓膜を刺激します。とにかく原音再現度が並ではなく、現行品の音響用ハンダ以上に良好な波形を計測です。ヴィンテージハンダと比較しても、遜色無いどころか一歩上を行く完成度となっています!

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