DR BLACK BEAUTIES レビュー:倍音を抑えた漆黒コーティング弦を徹底解説
👆 DR BLACK BEAUTIES 漆黒のコーティング弦をレビュー!
目次
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DR BLACK BEAUTIES K3テクノロジー・コーティング弦をブラックカラーで実現!
今回は DR (ディーアール) より、 BLACK BEAUTIES をご紹介です。BLACK BEAUTIESはDR独自のK3テクノロジー・コーティング(※) を用いて、完全なブラックカラーを実現したコーティング弦です。
※K3™ウルトラハードコーティング、K3ブラックカラーコーテッドなど表記揺れあり
芯線に精度とアタックに音が向上するヘクスコアを採用し、楽器毎に異なるチョイスのワイヤー材が豊かな音色を奏でます。種類はBKE (エレキギター用)、BKA (アコースティックギター用)、BKB (エレキベース用)と、各楽器毎に様々なゲージをラインナップです。
材質はBKEがニッケルプレートスチール、BKAがフォスファーブロンズ、BKBがステンレスだよ!
不要な倍音を抑え出力とアタックを重視したコーティング弦!
“sounds as good or better than uncoated strings."
『アンコーティングを凌駕する響き』をテーマに掲げるBLACK BEAUTIESは、洗練されたルックスのみならずサウンドも一味違います。K3テクノロジー・コーティングは通常のコーティング弦よりも硬質で、出力が損なわれにくい設計です。
加えて不要な倍音を抑えることにより基音の輪郭がクッキリと際立ち、キレのあるアタックを再現します。故にそのサウンドはアンコーティング弦ともコーティング弦とも異なり、倍音に左右されぬ独自性の高い表現力を備えているのです。
本記事ではYAMAHA REVSTAR RSE20 NYWを使い、エレキギター用のBKE-10 BLACK BEAUTIES Medium (.010~.046) をレビューします。
『漆黒のギター弦』というルックスにグっと来た方や、いつもと違うギター弦の音を楽しみたい方は要チェック!
外観
DR BLACK BEAUTIESはエレキギター用だけでなく、アコギ用やベース用も含めて全モデル紙箱のパッケージを採用です。パッケージデザインはブラックで統一されており、表面中央に弦の本数が記されたティアドロップ型のピックが描かれています。
弦楽器の種類はパッケージ表面左上に、弦のゲージはパッケージ表面右上と裏面下側に掲載です。パッと見ではエレキギター用とアコースティックギター用の区別がつきにくいため、店頭で購入する際はよくご確認願います (通算2敗) 。
弦のパッキング
DR BLACK BEAUTIESはNEONシリーズなどと同じく、やや特殊かつ簡素な弦のパッキングを採用です。パッケージを開封すると出てくる3枚の紙袋には1弦と4弦、2弦と5弦、3弦と6弦がセットで包まれています。
弦を取り出す際は各袋裏面記載事項の通り、開封時に弦がバネのように飛び出してくる可能性に注意です。環境に配慮しているとのことですが簡素なパッキングにつき、長期保管する際は弦の劣化に配慮する必要があります。
空気に晒し放題なパッキングとなるため、たとえコーティング弦と言えど多湿環境ではボールエンド付近から劣化しやすいです。シリカゲルや脱酸素剤を入れた気密容器を使用するのがベストですが、最低限チャック付きのビニール袋に入れて保管しましょう。
弦のデザイン
K3テクノロジー・コーティングによるブラック仕上げは、BLACK BEAUTIESの名に相応しい漆黒度が満点となっております。ボールエンドを除く全域が真っ黒で、遠目に見ても標準的なニッケル弦とは異なる存在感ですね。
ワウンド弦はヘクスコア (六角芯) とニッケルメッキされたスチール製巻き線の組み合わせとなっており、先端部で芯線が露出しない構造となります。ボールエンドはブラス製ですが弦毎に色分けが行われていないため、初見時はプレーン弦の太さを間違えないようにご留意ください。
後述しますがK3テクノロジー・コーティングは独特の触感故に、弦の太さの感覚を掴むまで慣れを要するのです。各弦の全長は1000mm前後あるものの、リバースヘッドへ使用する際はペグポストに巻く分も含めた必要弦長をご確認願います。
BKE-10 弦の太さと弦長実測値一覧
BKE-10 MEDIUM
E10 B13 G17 D26 A36 E46
・プレーン弦
1弦:1015mm / 2弦:1015mm / 3弦:1010mm
・ワウンド弦
4弦:965mm / 5弦:980mm / 6弦:980mm
BKE エレキギター弦一覧はコチラからチェック!
DR Strings BLACK BEAUTIES (キクタニミュージック)
https://www.kikutani.co.jp/DR/blackbeauty_e.html
細部の加工
BLACK BEAUTIESは他のDR弦と同じく製造国はMADE IN USAで、全モデル受注生産品です。しかしながら細部の加工精度は受注生産品としては甘く、開封した段階で若干コーティングが剥離している箇所が散見します。
とりわけボールエンドの巻き返し部分はコーティング剥離が目立ち、管理人の個体は1弦と2弦の内部が完全に露出していました。出音や演奏性に影響の小さい箇所とは言え、この価格帯の受注生産品であれば品質管理を徹底して欲しいというのが本音です。
またK3テクノロジー・コーティングは導通が無いため、ある程度ノイズの少ない楽器への使用が推奨されます。弦アースを取らないと常時ジージー鳴るギターなどは、コーティング弦を試す前にノイズ対策をご検討ください。
触感
K3テクノロジー・コーティング弦は触感がとても独特で、アンコーティング弦ともコーティング弦とも異なるタッチです。低摩擦でツルっとした触り心地のElixir Nanowebに対し、BLACK BEAUTIESは『陶器のような硬さとウェットな滑り』を内包します。
汗などの水分や油脂に強いコーティングにつき、弦周囲の湿気や手汗等が一般的な弦よりも指先に伝わりやすいのです。湿度変化に強い裏返しであるものの、こういった触感を持つ弦はDRのK3テクノロジー・コーティング弦のみだと考えられます。
更にK3テクノロジー・コーティングは、他社製品のコーティング弦よりも硬度が高いのが特徴です。薄皮のように弦を覆う標準的なコーティング弦とは異なり、コーティング層と弦が融合するような一体感を備えます。
捻じれ等は一切無く注意書きにバネと記載されるほど弾性がありますが、コーティングの硬さに反し弦のテンション感は緩やかです。コーティングの硬さ、弦本体の弾性、緩やかなテンション感、これら3つの要素がBLACK BEAUTIESの独特な触感を構成しています。
交換
ここからは実際にYAMAHA REVSTAR RSE20 NYWを使い、DR BKE-10 BLACK BEAUTIES Mediumの使い勝手や音質を確認です。
やはりBLACK BEAUTIESは漆黒のルックスが素晴らしく、弦が『余すところなく黒い』というイレギュラー感だけで気分が高揚します。最早音質や演奏性などは全て度外視にして、このルックスのみを目当てに使い続けている人も一定数存在するハズです。
DRではBLACK BEAUTIES以外にも真っ赤な『DEVILS RED』や発光する『NEON』など、多数のカラー弦をラインナップしています。弦をルックス面から演出することに長けているDRらしさが全開で、音だけではなく色という選択肢を与えてくれるありがたいブランドですね。
気になる点としては交換する際に弦を通す『色々な穴』と接触すると、どうしてもコーティングが剥がれてしまいます。ストリングフェルールやテールピース、サスティーンブロック、ペグポストの穴など、弦を穴に擦り付けないように留意しましょう。
生音
アンプを通さない生音は拍子抜けするほど丸く、奥行の感じられない無味無臭な響きです。出力自体はそれなりに高いものの煌びやかな高次倍音が得られず、体感的には実際の出力よりも音量が低く聞こえます。
ですが基音がクッキリと際立つ響きなので、歪ませた際は倍音の制御に頭を悩ませる心配は無さそうです。メーカーが『余分な倍音を抑える』と主張する通り、ライブ等大音量での演奏時やハイゲインセッティングには適任となります。
グレードアップパーツを盛り過ぎて倍音が前に出過ぎるギターなど、倍音の『下方修正』に真価を発揮する弦ですね。
プレイスタイルやピックとの相性にご用心
BLACK BEAUTIESはメーカーサイト等で長寿命を謳っていますが、コーティング自体は思いのほか剥がれやすい部類となります。コーティングの剥離は開封直後の新品の弦でも発生するため、長期間漆黒の美観は保てないと割り切った方が良さそうです。
特にピックを立ててアタックする際や力任せに弦を掻きむしるパワープレイを行うと、即座に剥がれたコーティングがボディへ付着します。1mmを超える厚手のピックやメタルピックなどとも相性が分かれやすく、この辺はBLACK BEAUTIESの評価が両極端となる要因です。
販売サイトのレビューを見渡してみても、コーティングの剥がれやすさを指摘する声が一定数確認出来ます。カラーコーティング弦のルックスの良さは同時に、コーティング剥離が目立ってしまうという事実を頭に入れておきましょう。
汗や皮脂による腐食に強いという観点では長寿命化にアドバンテージが得られる弦だけれども……
物理的衝撃にはそれほど強く無いという観点を考慮すると一概に長寿命だとは言えないかもね
サウンドデータをDR BLACK BEAUTIESとElixir Nanoweb Lightで徹底比較!
管理人の主観だけでは説得力に欠けるため、YAMAHA REVSTAR RSE20 NYWのデフォルト弦を対象にサウンドデータを比較検証です。YAMAHA REVSTAR RSE20 NYWは工場出荷時の弦として、Elixir Nanoweb Light (.010-.046) がセットされています。
新品のElixir Nanoweb Lightのサウンドを基準に、DR BLACK BEAUTIESへ交換するとどのような音に変化するのかを確認です。倍音特性 (ワウンド弦/プレーン弦) 、周波数特性、サスティーン、音の立ち上がり、以上4項目について順番に見ていきましょう。
倍音特性の比較 (ワウンド弦 A2/110.00Hz)
ワウンド弦の倍音は、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) のスペクトラムを比較しています。
a.Elixir Nanoweb Light
b.DR BKE-10 BLACK BEAUTIES Medium
DR BLACK BEAUTIESは基音の出力がElixir Nanowebよりも高く、尚且つ全帯域で非整数倍音が低い値を計測です。倍音は第2倍音こそ高い出力を記録していますが、第3倍音以降は全てElixir Nanowebよりも低い出力となっております。
基音の出力の高さを維持しつつ、非整数倍音も含めて余分な低次倍音と高次倍音を削いだ音の輪郭が際立つ倍音特性ですね。音量を絞ったアンプでは無機質な響きに感じられるものの、大音量ではパワフルなアタックとダイナミクスを存分に活かせます。
倍音特性波形 (ワウンド弦) の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
倍音特性の比較 (プレーン弦 B3/246.942Hz)
続いてプレーン弦は2弦開放音 (B3/246.942Hz) を使い、各弦のスペクトラムを比較していきましょう。
A.Elixir Nanoweb Light
B.DR BKE-10 BLACK BEAUTIES Medium
プレーン弦でもDR BLACK BEAUTIESは基音の力強さが発揮されており、第4倍音前後までは高い出力を計測です。第5倍音以降は緩やかに出力が減衰していき、高次倍音はワウンド弦以上に出力がカットされる傾向にあります。
ハイフレットは基音の出力の高さで高音の伸びを表現出来ますが、ローフレットは煌めくような余韻を表現しにくいかもしれません。音の輪郭やハリを重視したリードプレイやアルペジオには最適で、音像をぼかすフレーズやサスティーンの輝きが求められる楽曲には不向きです。
倍音特性波形 (プレーン弦) の周波数目安
左端の太長い山(中央灰色線)が基音246.942Hz
周波数特性の比較
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
1.Elixir Nanoweb Light
2.DR BKE-10 BLACK BEAUTIES Medium
DR BLACK BEAUTIESの周波数特性は倍音特性が大きく反映されており、400Hz付近に集中する山型の波形となっております。400Hzよりも高い周波数、及び400Hzよりも低い周波数は、まんべんなくElixir Nanoweb Lightより低い出力を計測です。
ただし400Hz付近はElixir Nanowebよりも0.5dBほど高い値を記録するなど、最大出力はDR BLACK BEAUTIESの方が上手となります。高音域も低音域も余分な倍音や非整数倍音が抑えられているため、中音域の力感が浮き彫りとなるクリアなトーンを再生です。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
サスティーンの比較
サスティーンはDI直で開放弦Eコードを1ストローク鳴らし、出力が0になるまでの時間を計測しています。Elixir Nanoweb Lightのサスティーンを基準に、DR BKE-10 BLACK BEAUTIES Medium交換後に±何%音伸びが変化したのかを確認です。
なお人力でもデータ精度を上げるため、えげつない回数のストロークを繰り返しました。計測された各サスティーンデータを元に、平均%、最小%、最大%の3通りを算出しています。
平均:+1.8%
最小:+6.2%
最大:-6.5%
弦と一体感のあるコーティングの影響が大きいのか、DR BLACK BEAUTIESはElixir Nanowebよりも弦振動が損なわれにくい模様です。最小サスティーンの値が大きく上回っている通り音が途切れるまでの長さにムラが少なく、サスティーンの再現性に秀でています。
一方最大サスティーンはElixir Nanowebの方が優位で、稀に起こる『謎にサスティーンが伸びる現象』がほとんど発生しません。Elixir Nanowebよりも思いっきりサスティーンが伸びる訳ではありませんが、サスティーンの安定感が高いと考えられそうです。
立ち上がりの速さの比較
サスティーンの計測と平行して、音の立ち上がりについても調査しました。Elixir Nanoweb Lightを基準にすると、DR BLACK BEAUTIESは4.9ms (0.0049秒) ほど速い値を記録しています。
体感的にノンコーティング弦の立ち上がりに肉薄するものがあり、アタックの直後にアンプから心地良く音が出力される印象です。あまり難しく考えずに、通常のコーティング弦よりも立ち上がりが速いという認識で良いと思われます。
計測に使用した機材
ギター:YAMAHA / REVSTAR RSE20 NYW
比較弦:Elixir / Nanoweb Light
ピックアップ:YAMAHA / VH3b (純正ブリッジPU / ドライスイッチOFF)
ペグワッシャー:Hell Guitars / HB-STAR
スケールシート:Ren He / コントロールノブ A03
テールピース:ドライカーボンワッシャー併用ライオンヘッドパターンテールピース
ピック:YAMAHA / GP101 Black Hard
シールド:ARIA / JG-10X (10ft/3m, S/S)
マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P×1
計測に使用したREVSTARは少しだけ手を加えています!
まとめ
『漆黒の美しさ』という名を冠する弦に相応しく、ブラックに染まったルックスがクールなコーティング弦です。適度に高い出力と不要な倍音を抑えた設計により中音域がクリアで、パワフルなアタックとダイナミクスを両立しています。
品質管理やコーティングの剥がれやすさは評価が割れるものの、引き締まった音像は大音量やハイゲイン環境に打って付けです。倍音が前に出過ぎないように下方修正する性質により、従来の弦とは異なるキレのある明確な表現を可能としています!
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BKE-10 BLACK BEAUTIES Medium
BKE (エレキギター用)
BKA (アコースティックギター用)
BKB (エレキベース用)
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