【GOTOH】ギターペグポストの弦穴の高さの違いでどれくらい音が変わるの?【ナットテンション】

👆 ギターペグポストの弦穴の高さでどのくらい音が変わるのか検証!
目次
本日もギタいじへようこそ!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!
記事一覧はサイトマップへGO!
👑ギターペグランキング
ギターペグポストの弦穴の高さの違いでどれくらい音が変わるのかGOTOH製ペグで検証!
本記事ではGOTOH製の旧型SG30系ペグを使い、ペグポスト弦穴の高さが音質に与える影響を検証します。
先日投稿した長期在庫の主を狩ろう 第5神にて、SG30-04 後期仕様を流用したFERNANDES MH-24を取り上げました。


SG30-04は現行品のSG301-04に該当し、生産年によって寸法が大まかに3通りに分類可能です。

1999年~2001年頃の後期仕様は現行品SG301系とペグポストの弦穴の高さが共通で、およそ22.2mmで設計されています。

ところが1982年から1998年頃まで生産された初期~中期仕様は、弦穴の高さが約21.4mmと低めに設計されているのです。
ギターペグポスト弦穴の高さが変わるとナットにかかるテンションも変化!
古いGOTOH製ペグを現行の後継モデルと交換した際に、使い勝手が変化しやすいのはこの弦穴の高さの違いが要因の1つとなります。弦穴の高さはヘッド側の弦高を左右するため、同時にナットにかかるテンションも大きく変化するためです。

許容範囲であればさほど変化は無いものの、適切なテンションが得られない場合は0.数mmの差でも音質やチューニングに影響します。GOTOH製ペグは新旧モデルの外観がほぼ一致していることもあり、この弦穴の高さの違いに気が付かないケースが多々あるのです。
ペグ交換後に悪影響が出た場合は弦穴の高さをチェック!
これはGOTOH製のみならずペグ全般に言えることにつき、ペグ交換の際はポストの全長よりも重要な確認事項となっております。

ペグ交換後にチューニングが安定しない場合や、倍音が暴れるように変化した場合はテンションが適切ではない可能性が大です。とりわけ細い弦を使用した際やゆるやかなヘッド角のギター、ストレートヘッドのギターでは影響が顕著となります。
GOTOHでは軸オプションとして、ポストの高さを任意に変更出来るH.A.P.軸をラインナップです。H.A.P.軸搭載のペグはナットにかかるテンションを、各弦毎に微調整することが出来ます。
ストリングガイドの無いヘッドスタイルでは重宝するため、テンション不足の疑いがある場合の切り札として活用しましょう。
再掲 GOTOH SG-30 (FERNANDES MH-24) 変遷一覧表

スマホ利用時は横向きに回転させてから見よう!
年式 | FERNANDES 型番 | GOTOH 型番 | 寸法 |
~1988年頃 | 該当型番無し | SG30-04 C 初期仕様 | ポスト穴位置21.4mm/ワッシャーφ16mm/ナット首下15.7mm |
1989年 | MH-22 (LCシャーラータイプ) Cr | SG30-04 C 中期仕様 | ポスト穴位置21.4mm/ワッシャーφ14mm/ナット全長14.7mm |
1993年 | MH-24 (LCシャーラータイプ) Cr | 同上 | 同上 |
1999年 | 同上 | SG30-04 C 後期仕様 | ポスト穴位置22.2mm/ワッシャーφ14mm/ナット全長14.7mm |
2002年 | 同上 | SG 301-04 C STANDARD | ポスト穴位置22.2mm/ワッシャーφ14mm/ナット全長12.2mm |
弦穴の高さが異なるGOTOH旧製品SG30系ペグを使いナットにかかるテンションの変化による音質を比較!
ここからは生産年の異なるGOTOH SG30を使い、ナットにかかるテンションの変化でどれほど音質が異なるのかを確認です。検証には現行品と同じ弦穴の高さで設計されているSG30-04 後期仕様と、現行品よりも低い設計のSG30-P2 中期仕様を使用します。

ただし両モデルはペグボタンの重さに差があるため、重量を揃えるためにSG30-04 後期仕様の部品を全てSG30-P2 中期仕様へ移植です。ペグボタン、ワッシャー、摺動部のミニワッシャー3枚、取付け用スクリューはSG30-04 後期仕様のものへ交換しました。


部品交換後の重量差は最大でも僅か0.1gとなっており、純粋な弦穴の高さの違いを浮き彫りにすることが可能となります。また弦を通す際の穴位置、巻き数、使用弦も揃えた上で、交換前後の倍音と周波数特性を計測です。
ペグポストの弦穴の高さが0.8mm異なる以外全てが共通という条件において、どれほど音に違いが生まれるのかをみていきましょう。

ペグは重量や形状も音質に影響を与えるので重量と使用部品を揃えて比較しました!
計測に使用した機材
計測に使用したのは2年前のハロウィン回に登場した、Daisy Rock製Rock Candyに変な部品を山盛り詰んだものとなります。TOMの構成がMusiclily製ローラーサドルとゴールデン髑髏蝙蝠テールピースにつき、半端な設定では共振を誘発しやすい代物です。
弦に高音の伸びが控えめなDR NEONをチョイスすることで、ブリッジ由来の高音の雑味を抑えて全体的なバランスを取っています。ブリッジ側の弦高を0.数mm下げるだけでも倍音が暴れるような変化があるため、本検証に相応しいと判断しました。
ギター:Daisy Rock / Rock Candy
使用ピックアップ:HLB 木目調ハムバッカー (ブリッジ)
ブリッジ:Musiclily / ロッキング ローラーサドル ブリッジ
テールピース:ゴールデン髑髏蝙蝠テールピース
弦:DR / NGE-9 NEON GREEN Light
使用ピック:Aria Pro II / P-HT01/080 YL
シールド:ARIA / JG-10X (10ft/3m, S/S)
マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P
誘電塗料:SONIC / SP-01 (2回塗り)

ほぼハロウィン回の仕様のままだけれども、弦穴の高さが21.4mmでナットに適切なテンションがかかるように調整済みです!

ブロンズ&シルバーウイング!、ブロンズのカギ!、ひげペンダント!、亜鉛合金タイガーは外しています!
2年前のハロウィン回についてはコチラ
各ペグの基本情報
続いて音質測定の前に、各ペグの基本情報をまとめていきましょう。
GOTOH SG30 中期仕様

年式:1995年
弦穴の高さ:21.4mm
ヘッド側弦高:6弦側4.2mm~1弦側5.5mm
重量:36.6~36.7g
ボタン、および他のパーツは全てSG30-04後期仕様に変更
GOTOH SG30 後期仕様

年式:1999~2001年
弦穴の高さ:22.2mm
ヘッド側弦高:6弦側4.5mm~1弦側5.8mm
重量:36.5~36.6g

弦穴の高さ自体は0.8mmの差があるけれども、実際のヘッド側弦高は各弦平均0.3mm程度変化するね!
倍音特性 (A2/110.00Hz)
倍音特性の確認には、5弦開放弦のスペクトラムを採用です。
1.GOTOH SG30 中期仕様 (21.4mm)

変な部品の集合体でありながらも、それなりにバランスの取れた倍音特性となっております。基音よりも低次倍音の出力が高く、体感的にも倍音が前に出やすい傾向です。
各倍音の出力は適度に散らばっているため、コンプレッションはさほど強くありません。中音の暖かみを実感出来るNEON弦の特性により、低次倍音の偶数次倍音が気持ち高めに計測されています。
2.GOTOH SG30 後期仕様 (22.2mm)

一見すると大きな変化が無いように思えますが、基音の出力が低下している点に注目です。対照的に低次倍音は出力がブーストされ、倍音が前に出やすい傾向が強調されています。
高次倍音も部分的に増加しているものの、波形のふもとが枝毛状となっているため雑味の多い濁ったような高音の響きです。俗に言う倍音が暴れやすい状態につき、好みの差が大きく分かれるサウンドだと言えます。

基音が弱くなる上に雑味が増えるので音の直進性が損なわれやすいね

チューニングに影響が無い場合に限り、ラフなサウンドを求める手段としては有りかも……?
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性
波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを掲載です。
a.GOTOH SG30 中期仕様 (21.4mm)

100Hz以下の重低音はカットされているものの、100~800Hzにかけての低音と中音が安定しています。800Hz以降は緩やかに減衰していき、6k~11kHzにかけて高い値を維持する独特の波形です。
思いのほかレンジは広く、暖かみのある中音を主軸に超高音の煌めきが同居するサウンドを演出出来ます。
b.GOTOH SG30 後期仕様 (22.2mm)

こちらも大まかな変化は無いように見えて、中音~中高音が幾分減衰しやすい模様です。周波数としては300~2kHzが絞られており、6kHz以降の超高音は微増しています。
基音が弱くなったことの影響が大きく、音の暖かみが損なわれ超高音のギラギラ感が強めに変化です。やはり倍音特性同様に中音以降がラフになるため、交換前よりもまとまりが無い音と捉える方が多いかもしれません。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
ギターペグポストの弦穴の高さの違いによる音質変化 まとめ

ギターペグポスト弦穴の位置が高くなると……
・ヘッド側の弦高も高くなるためナットにかかるテンションが弱くなる
・基音の出力が低下しやすく相対的に倍音が強調されやすい傾向にある
・ナットにかかるテンションが弱いと共振しやすくなる影響で高次倍音の雑味が増える可能性がある
(≒俗に言う『倍音が暴れる』状態となる)
・中音が抑え気味となり超高音が微増するため音のまとまりが損なわれやすい
・チューニングや演奏性に影響が無い場合に限り、ラフな音を好む場合は意図的にテンションを緩める選択肢も有り

今回は音質面のみにスポットを当てたけれども、先述の通りチューニングやピッチに与える影響も大きいよ!

検証に使用したギターを例に出すと半音以上下げるか、弦のゲージを.008-.038に交換するとチューニングが不安定に!

かといって低すぎるポストも問題で、同じく検証に使用したギターにH.A.P.軸で無理やり弦穴位置を20mm前後に設定すると1Fを押さえた際のピッチがシャープ!

場合によってはヘッドに衝撃を加えただけで亀裂が入るなど、テンションが強過ぎても別の側面で悪影響があるから注意してね!
※弦穴高の差が大きいペグとしてはGibson PMMH-010(23.8mm)→GOTOH SD90(19.5mm)など
🏃💨GOTOHのH.A.P.軸でギターペグポストの弦穴の高さを調整する 👉👉

🧠「他の記事も読んで脳汁出していってね💖」
パーツ交換やちょっとしたテクニックで愛機の音質を改善しよう!
どこよりも詳しい圧倒的情報力と分析力で綴る世界一詳しいギターレビュー!
» 安ギター に音質の悪い部品だけを使うとどうなるの?[最低音質改造]
ギターの音を良くする改造なんて平凡過ぎる発想はもう時代遅れ!?
» 安ギターノブ選択会議 指名選手一覧 (※安価なギターノブレビュー)
たまにはリーズナブルで奇妙なフォルムのノブでもいかがかな?
頭の悪過ぎる商品や書いている管理人のIQの低さが露見するしょーもない記事満載!
管理人SNS
この記事が楽しめた&参考になった人は、管理人の𝕏アカウントもフォローしていただけると感激!【GOTOH】ギターペグポストの弦穴の高さの違いでどれくらい音が変わるの?【ナットテンション】でした!