修理工房で22年間売れ残った FERNANDES MH-24 ギターペグ 買ってみた【長期在庫の主を狩ろう 第5神】
👆 22年間売れ残ったギターペグ FERNANDES MH-24 (GOTOH SG30-04) を発掘&レビュー!
目次
本日もギタいじへようこそ!
序盤は会話形式のお買い物日記となっています!すぐに本編を読みたい方は『ギターペグ~』の項から読もう!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!
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前回の長期在庫の主!
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修理工房に22年間封印されていた長期在庫 国産ギターペグ FERNANDES MH-24 を発掘!
ここは日本のどこかにある
楽器修理工房E
若手従業員の年齢が38歳という
どこにでもある普通の工房である
(これは楽器界では本当に普通)
今日はどこにでもある普通の楽器修理工房を訪ねてみるよ
どうにもこの工房、ミレニアム前後の混沌としたスメルが漂っているね……
神(客)見習いの嗅覚が疼くぜ!
初見向けに『長期在庫の主を狩ろう』簡単なシリーズ概要説明!
『長期在庫の主を狩ろう』は、ギタいじ管理人が神(客)を目指す実録お買い物シリーズ!
各所の知人の店等を訪ね、倉庫の主と化した長期在庫品を管理人が『お布施』として発掘!販売店には『神の恩恵』として、在庫減&収益微増という有難い加護を授けます!詳しい説明を知りたい人は、初回の『第1神』へGO!
レンコーン好きです!レンコーン好きです!
お、工房の方から名作空耳が聞こえてきたぞ
たのもーっ!!!
🍥「いらっしゃいませぇ!」
うおおおおッ!Daddy’s car!!
なんだ、どこにでもある普通の生首マネキン管理人じゃねーか
失敬な、最近は上半身差分もあるぞ!
ダイアナ・キングが俺の思ったことを空耳で代弁しているぜ
そんなことより、この度は神が自主的にお布施を回収しに来てやったから感謝しろよ!
可哀想に、しばらく会わない内に脳がジャンク品になってしまったか
管理人、神(客)化の経緯説明中――
うーん、長期在庫品ねぇ……
何かこう、ウチの読者層が見て脳汁が湧きそうな代物とか無い?
新古品というか中古品というか、使い道が無くなった古いパーツならあるぞ
良いね、何なら多少壊れていてもオッケーさ!
これは我が工房に22年前から封印されているチューニングギア……
本職も混乱必死なFERNANDESでGOTOHなギターペグ(チューニングギア)
おお、MH-24ってことはGOTOHのSG301型ギターペグか!
左様、現行品で言うところのGOTOH SG 301-04 C STANDARDポスト仕様に該当するな
GOTOH SG 301-04 C STANDARD
22年前のペグにしては綺麗だし、今でも普通に使えそうじゃないかこれ?
使えるには使えるんだがな、1回だけ修理依頼品に装着した『外し品』なんだよ
ああ、なるほど
元々は2001年にBurny LS-80の修理部品として仕入れたのだが……
このMH-24って型番は色々複雑でな、生産時期によってポストの穴位置が異なるのさ
分かったあれだ、型番がSG30-04だった時代の少し低い穴位置のペグか!
ご名答、FERNANDESでMH-24という型番が使われ始めたのは確か1993年頃だっけかな
その前はMH-22 (LCシャーラータイプ) Crとして、GOTOH SG30-04 Cの中期仕様が使われていたんだよ
カタログでも巻末のパーツリストにMH-22が2種類存在していた時代 (※) があったなそういえば
※後半で詳しく解説
1992年製LS-80のペグはMH-22 (LCシャーラータイプ) Crなのだが、SG301-04より1mm弱ポストの穴が低いってことを知らなくてな……
ほ、本職でもそういうのに気が付かないことがあるのか
当時はまだ俺も若手だったから(白目)
結局LS-80は依頼主様に相談した上で、弦高を調整出来るH.A.P.機構付きペグに交換したんだよ
でも何故22年も使わずに保管していたの?
モノはGOTOHでも帳簿上はFERNANDESとして仕入れている上に外し品だからな、他の依頼者様に回せなくてね
ややこしい事情を説明した上で引き取ってくれる猛者が現れるまで封印していたのさ!
意訳:誰も買おうとしてくれず売れ残った
お値段はいかほどで……?
少しペグボタンに傷があるから……
200000ラオス・キープ(LAK)でどうだ!!
買ったあああああああああああああああ!!!!!!!
こうして管理人は長期在庫の神となるべく、FERNANDES MH-24 (LCシャーラータイプ) Crを二十万LAKで購入しました。ペグを供物に捧げた楽器修理工房Eには神のご加護として、いずれ本当の意味で若手が入社を希望してくるでしょう(予定)。
またとない機会だから、型番の変遷を含めてFERNANDES MH-24をレビューするよ!
ギターペグ FERNANDES MH-24 型番の変遷
レビューの前に、楽器修理工房Eを混乱させたFERNANDES MH-24の型番の変遷を解説です。先述の通りFERNANDESでは、保守部品として社外製商品に本来の型番とは異なる自社型番を割り振ったものが多く存在します。
ギターペグはその最たる例で、1980年代から2000年代前半までカタログのパーツリストに掲載されているペグはGOTOH製です。
MH-〇〇という型番は1989年頃からカタログに登場し、当初はMH-22が2種類のペグに割り振られています。1つは当時GOTOH SG30-01 (現行:SG301-01) として別売されていたペグで、もう1つは今回管理人が購入したタイプと同一型番となるSG30-04 (現行:SG301-04) です。
その後しばらくはMH-22が2種カタログに掲載される時期が続きますが、1993年よりSG30-04タイプは型番がMH-24に変更となります。
GOTOH SG30~SG301シリーズ 型番と仕様の変遷
一方GOTOHのSG30シリーズは1982年のカタログに登場した後、2002年頃より現在のSG301という型番へ移行です。ところがSG30は大きく分けて3回寸法の変更があったため、SG30シリーズはSG301と完全同一品ではありません。
~1989年頃までの初期仕様はペグワッシャーがφ16mmとなっており、1990年頃から中期仕様のφ14mmタイプへ変更となります。
この間ペグポストの穴位置は21.4mmで設計されていますが、
1999年頃の後期仕様より現行品と同じ高さである22.2mmに変化です。
以降2022年版の最新カタログに至るまで、STANDARDポストの穴位置は22.2mmで設計され続けています。
その他の違いとしては、固定用ナットも微妙に長さが変化している点に注意です。初期型SG30は『首下』が15.7mm、中期型と後期型が『全長』14.7mm、SG301は『全長』12.2mmとなります。
故にFERNANDES MH-24はGOTOH SG30-04の中期仕様、SG30-04後期仕様、SG301-04、以上3モデルが混在している時期があるのです。
文章だけだと思いっきり分かりにくいね!
管理人は読者の皆が大好きなので、見やすいように型番の変遷を一覧表にまとめたよ
FERNANDES MH-24 変遷一覧表
スマホ利用時は横向きに回転させてから見てね!
年式 | FERNANDES 型番 | GOTOH 型番 | 寸法 |
~1988年頃 | 該当型番無し | SG30-04 C 初期仕様 | ポスト穴位置21.4mm/ワッシャーφ16mm/ナット首下15.7mm |
1989年 | MH-22 (LCシャーラータイプ) Cr | SG30-04 C 中期仕様 | ポスト穴位置21.4mm/ワッシャーφ14mm/ナット全長14.7mm |
1993年 | MH-24 (LCシャーラータイプ) Cr | 同上 | 同上 |
1999年 | 同上 | SG30-04 C 後期仕様 | ポスト穴位置22.2mm/ワッシャーφ14mm/ナット全長14.7mm |
2002年 | 同上 | SG 301-04 C STANDARD | ポスト穴位置22.2mm/ワッシャーφ14mm/ナット全長12.2mm |
寸法の違いに関してはもう1点、SG30-04初期仕様はナットの二面幅が11mmで中期以降は10mmだよ!
楽器修理工房Eの事例は……
MH-22搭載のギターへ2001年以前に生産されたMH-24を搭載した結果、ポスト穴位置が高くなって不具合が出たということだね!
外観:22年間封印されていた長期在庫 国産ギターペグ FERNANDES MH-24
続いて簡単なレビューに移ると、外し品ということもあり残念ながらパッケージ等はありません。ペグボタンに少し傷があるとのことですが、管理人が普段愛用している海外の安ギターペグに比べるとかなり綺麗だと感じます。
特に磨かずともメッキには艶があり、経年ペグにありがちなグリス漏れ等も無しです。摺動部に使用されているミニワッシャーも割れは無く、少なくとも外観は◎となっています。
カラー
MH-24のカラーバリエーションはクローム(Cr)、ゴールド(GL)、ブラック(BL)の3種類です。管理人の個体はクロームで、ゴールドやブラックよりも販売価格が幾分安価となります。
ゴトーでは年式によりカラー表記が異なり、中~後期SG30ではクローム(C)、ゴールド(GG)、ブラック(B)と表記されていました。SG30初期仕様ではブラックがブラッククロームと表記されているものの、こちらが一般的なブラックに該当です。
現在人気のコスモブラック(CK)とは別色につき、旧型のゴトーペグを中古等で入手する際は注意しましょう。
仕様:22年間封印されていた長期在庫 国産ギターペグ FERNANDES MH-24
楽器修理工房Eが本ペグを仕入れた時期は2001年となるため、2001年以前に製造されたGOTOH SG30-04と推察されます。年式の特定は難しくとも、先の寸法表を元に初期~後期仕様のいずれかを判断することは可能です。
加えて言うのであれば、生産年がハッキリしているSG30シリーズ型番のペグが手元にあれば確実性が高まります。
ここでふと、管理人は過去にGOTOH P2ペグボタンを取り上げた記事の存在を思い出しました。ギタいじ最初期に投稿した記事につき、記憶にある方は相当な古参ギタいじ読者ですね。
大まかな年式の特定
該当記事では、安ギターもGOTOH P2ボタン搭載ペグに変更するとヘッドが豪華になる説を提唱しています。直近の読者様はギター界のマントル層たるギタいじが、そこそこ高額なP2ボタンを紹介していることに違和感を覚えるハズです。
率直に申し上げますと、20世紀は脳汁がドバる『普通の見た目と違う商品』はある程度お金を出さないと買えませんでした。ここからは久しぶりに登場となる、変部品鬼(クレイジーパーツデビル)先生に代弁していただきましょう。
👹「白状します」
管理人の脳汁の異変にはすぐに気づいていた……
気付いていながら、なけなしの金で GOTOH SG30-P2 を乱獲して脳汁がドバり続ける管理人を止めなかった。
……止めたくなかった。
…………
即ち当時変な部品枠代わりにP2ボタンペグを乱獲した管理人は、
1995年製GOTOH SG30-P2 中期型を未使用のまま所持しているのです。
👹「それも……3セットも同時にだ………谷沢……」
寸法
という訳で長期在庫品よりも長期間保管している1995年製GOTOH SG30-P2を召喚し、FERNANDES MH-24のポスト穴位置と比較します。
ちなみにSG30やSG301に続く04やP2はペグボタンの形状を示すもので、2023年となった今でも番号は共通です。
04は金属製のキーストーンタイプ、P2はべっこう風のプラスチック製となります。色とボタンはペグ本体の仕様に影響を与えないため、末尾の番号が異なるモデルでも同一シリーズであれば比較可能です。
画像左側が1995年製GOTOH SG30-P2 GG 中期仕様、画像右が入手したMH-24 (LCシャーラータイプ) Crとなります。比較すると穴位置の違いが明白でSG30-P2 GG 中期仕様は21.4mm、MH-24は22.2mmです。
よって管理人が入手したFERNANDES MH-24は、1999~2001年に製造されたSG30-04 後期仕様に該当する可能性が高いと思われます。
何故ポストの穴位置が異なるとダメなの?
ギタいじでも過去に何度か取り上げましたが、ストリングガイドはヘッド側のテンションやチューニング精度、音質に影響です。ストリングガイドが無い場合はヘッド角に加え、ペグポストの穴位置でテンションが変化します。
一般的にヘッド側の弦高が高いとテンションが緩くなり、倍音が暴れるような音質に変化する傾向が強いです。テンション設定がシビアなギターヘッドに関しては、ペグポストの穴位置が高くなっただけでもチューニングが不安定となります。
ヘッド側の弦高はナットにかかるテンションを左右する重要な要素だよ!
細い弦を使用しているギターはその影響が顕著となるため、0.8mm程度の差でも使い物にならなくなる場合があるのです。手持ちのギターに両ペグを搭載して弦を張った状態の弦高を調べたところ、22.2mmの後期仕様は弦高が平均0.3mmもアップしました。
いまいちピンと来ないかもしれませんが、もしストリングガイド搭載のギターをお持ちでしたらガイドのネジを緩めてみましょう。ヘッド側弦高が0.数mm上昇するだけでも、チューニングの安定感や音質に与える影響が大きいことが理解出来ると思います。
この辺は面白い題材なので、別記事にて詳しく音質面の変化を検証するよ!
ギア比とトルクの確認
最後に経年品が実用に耐えうるのか、ギア比とトルクを確認です。MH-24 (SG30とSG301) はギア比が1:18で設計されており、FERNANDES搭載モデルの中では高精度となります。
ギア比のチェックにはハンダの切れ端などを使い、トルクも同時に確認すると良いでしょう。稼働中に引っ掛かりを感じる場合や、緩くなったりキツくなったりする場合は内部のウォームギアやグリスに異常有りです。
グリスの乾燥や不足は正常な個体よりも若干重量が軽いことが多く、分解前にグリスアップを判断する目安に使えます。重量に差が無い時はウォームかウォームギアが故障している可能性があるため、無理して使わない方が賢明です。
幸い管理人の個体は6個全てが動作正常につき、そのままの状態で使用可能でした。
22年間封印されていた長期在庫 国産ギターペグ FERNANDES MH-24 まとめ
FERNANDES MH-24は年式や仕様の特定が面倒な点を除き、経年を感じさせぬコンディションは流石のGOTOH製だと感じます。ペグ穴位置は現行品のSG 301-04 C STANDARDと共通なので、21世紀に生産されたギターに使う分にはむしろ好都合ですね。
ミレニアム前後のGOTOH製ペグは中古市場では数千円で取引されているため、長期在庫&外し品を考慮しても超お買い得でした。次回は続編として本記事に登場した穴位置が異なる2種のペグを使い、ヘッド側弦高が音質に与える影響を調べていきます!
弦穴の高さの違いによる音質を検証した続編記事はコチラ!
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