【ハウリング対策】 ポッティング でピックアップ固めちゃうよ💖【ロウ責め解説】
👆 パラフィンワックス ステアリン酸 混合パック 1kg ポッティング
👺「がぁああ!ハウリングがウッゼぇえええ💢💢」
ギターピックアップは通常、弦振動以外は拾わないように設計されています。それにも関わらず、少し歪ませただけでハウリングしやすい個体が存在するのです。こういったピックアップはハウリング対策が不十分で、何等かの理由で弦振動以外の音を常時拾っています。更に周辺パーツと干渉する事で、共振によるノイズやハウリングを発生させるのです。
俗に言うマイクロフォニック現象は、ギタリストの頭を悩ませる種となります。イコライザーの補正で対処出来る場合もありますが、演奏に支障をきたす事が大半です。とりわけ『普通に歪ませる』だけでも難しく、音作りの幅が極端に狭くなります。
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ハウリングの要因あれこれ
ハウリングの原因として最も多いのは、コイルの巻き方が緩すぎるケースです。大手メーカー製のピックアップはハウリング対策として、予めこの緩みを防ぐために『含浸』を行っています。パラフィンワックス等を使用し、振動しないようにコイルを予め固めておくのです。一般的にポッティングと呼ばれる工程で、ハウリング対策に効果的となっています。
ただしこの含浸も不十分な場合、マイクロフォニックの解消にはならないのです。経年でコイルが緩む場合も多く、様々な要因が重なりハウリングを発生させます。金属カバー収納のピックアップは共振しやすく、ハウリングが発生しやすい傾向です。いずれのケースでも、正しいポッティングを再度行う事が解決策となり得ます。
ハウりやすいピックアップは交換する前に、ポッティングを実施すると良いでしょう。
お決まりのお断り
改造をはじめとするギターいじりは、全ての作業を自己責任で行う事が基本です。本ブログでは詳しい手順の紹介は行わず、あくまで『方針』のみの提示を行います。その情報を読者様で消化し、個々で作業実施可能かどうかをご判断下さい。
当管理人は作業工程で発生しうる全ての怪我や事故について、一切責任を負う事が出来ません。当然ながら新品購入で保証期間内の場合でも、僅かでも手を加えた場合はメーカーでの修理対応が一切不可となります。少しでも疑問点がある場合や安全面の確証が得られない場合は、作業を中止するのが無難です。
ポッティング に必要なもの
家庭内でハウリング対策のポッティングを行う場合は、事前準備をしっかりする事が重要です。最低限必要となる必需品と、あった方が便利な推奨品に分けて紹介していきます。
必需品
- パラフィンワックス(ペレット状推奨)
- ステアリン酸
- PUを投入可能なサイズの耐熱容器
- 耐熱容器を投入可能なサイズの鍋
- クッキング用温度計(油対応のもの)
- デジタルスケール(最低1g単位)
- 水道水
- コンロ等水を沸騰出来る環境
- テスタ
ハウリング対策のポッティングはパラフィンワックスだけでなく、ステアリン酸も必須です。パラフィン単体では強度が弱く、亀裂や気泡がどうしても発生してしまいます。ステアリン酸を加える事で硬度が増し、長期間コンディションの維持が可能です。
パラフィンを融かす際は、基本的に『湯煎』で行う事が推奨されます。よって耐熱容器(タッパー等)に上記2種の個体を混ぜ、鍋で湯煎するのです。もちろん湯煎用の水と熱源も必要なので、キッチンコンロ等を活用しましょう。
必要以上に熱するのは厳禁なので、液度を計測出来るクッキング用温度計は欠かせません。
配合割合も重要になるので、1g単位で計測可能なスケールを用意します。ポッティングの前後には動作確認のため、直流抵抗値の計測出来るテスタも必要です。
推奨品
- 保温トレー(ワックスの融点以上)
- マスキングテープ
- 針金
- 割り箸
- 耐熱ラップ
温度が高過ぎる場合はピックアップを傷めるため、適温の維持が求められます。しかしコンロのみで作業を行うと温度維持が難しく、作業も少し危険です。沸騰したお湯を70度前後で維持できる、保温プレートがあると作業が安定します。またポッティング後の工程として、不必要なパラフィンを剥がす作業が結構大変です。
マスキングテープでPUを保護すると、パラフィンを剥がす作業が楽になります。ピックアップは素手で掴めないため、取り付け穴に針金等を通しておく方が無難です。ピックアップワイヤーを引っ張って作業すると、最悪断線する場合があります。
割り箸はワックスをかき混ぜたり、ピックアップを掴んだりと色々な利用法が可能です。使い道の無い棒状のものなら何でも代用出来るので、揃えて置く方が良いと思います。作業中はかなりパラフィンが飛び散りますが、付着して凝固すると除去が難しいです。テーブルや床で作業を行う場合は、ラップ等を使って養生すると片付けやすくなります。
ポッティング の事前準備
まずはハウリング対策としてポッティングを行うピックアップの周囲を、マスキングテープで養生です。ポールピース用の穴付近など、極力隙間が無いようにテープで覆いましょう。ワックス除去が楽になるだけでなく、液漏れが少なくなるため仕上がりが強固となります。
養生が済んだら取り付け穴に針金を通して、水平移動が可能な状態に整えてください。
ハウリング対策のポッティングに使用するワックスは、絶対に目分量で混ぜてはいけません。指定された分量が記載されている事も多いので、適切な量のステアリン酸を混ぜてください。ほとんどの製品でパラフィン80~90%、ステアリン酸が20~10%の割合が多いハズです。配合作業が面倒という人向けに、これらが配合済みのワックスも販売されています。
管理人が使用しているideaのパラフィンは80%に対し、ステアリン酸20%を推奨です。ちなみに使用済みの同配合率パラフィンは、融かして再利用する事も出来ます。
ピックアップが浸る量が必要なので、合計200g近いパラフィン配合物が必要です。今回は以前ポッティングした余りがあったため、計100g分のみ配合しました。PUの抵抗値をメモしたら準備は完了なので、いよいよポッティングの本編へ参りましょう。
湯煎開始
パラフィンの融点は60℃台が多く、80℃以上の温度で湯煎する必要があります。
水が沸騰したら火を弱火にして、パラフィンが融けるまで辛抱強く待ちましょう。
200g分のパラフィン配合物が液状になるには、15~20分程度の時間を要するハズです。
容器が傾かないように気を配りつつ、完全に融け切ったら鍋を火から下ろします。
レッツ ポッティング !
ピックアップのワイヤーやカバーの樹脂は、高温環境で変形するため注意が必要です。パラフィンの種類にもよりますが、70℃以下になってから含浸を行ってください。樹脂が痛まない温度まで冷ました後に、適温を確認してからピックアップを浸します。この作業の際に、適温を維持し続けられる保温トレーがあると大変便利です。
メーカー毎に維持温度が異なるため、60℃後半程度で保温出来る機種は重宝します。管理人は30年位前の結婚式で頂戴した、鍋料理用保温プレートを長年愛用です。維持温度が68℃と大変都合が良く、長時間の作業も安定してこなす事が出来ます。
投入直後はピックアップの金属部が冷えているため、周囲が白く濁るハズです。
白く濁った箇所が再び透明になるまでは、じっくりとピックアップを浸します。
パラフィンが浸透しきったら引き上げる
ピックアップを浸透させる時間は、絶対的に正しい目安というものがありません。完全に浸透したかどうかの見極めは個体差があるため、経験則の積み重ねが勝負です。初めての方は、ピックアップの気泡を注意深く観察しましょう。
含浸が不十分な段階では、定期的にピックアップ内部の空気が浮き上がります。ポコポコと小さな気泡が浮いてくるので、これが一つの目安となるハズです。気泡が発生しなくなったら、ピックアップを『水平のまま』引き上げてください。傾けてしまうとせっかく浸透したパラフィンが零れ、内部で偏りが出来てしまいます。
真空状態での作業は注意が必要
空気抜きのために、いわゆる『真空ポッティング』を目指して容器内を真空状態に出来るキッチン用具を使用する方も多いと思います。たしかに大変便利ではあるのですが、使用年数が長くコイルが緩んでいる場合はお勧め出来ません。
空気を抜く際にコイルの緩みが悪化し、最悪断線してしまう事もあるのです。パラフィンの温度によっては、樹脂が通常より変形しやすくなる場合もあります。
そもそも真空ポッティングはスキャッター・ワインド (※) を採用したピックアップの製造時や、リワイヤリング時に多用される含浸工程の一種です。後述しますが音質の面からも空気を抜ききることが正解とは限らず、空気を抜ききらなくとも十分にハウリング耐性は強化出来ます。
(※) 往年の手巻きの適度なラフさを意図的に再現するピックアップワインド方法、コイル内に空間が生じやすく真空ポッティングが必要となることが多い
ピックアップメーカーもモデル毎に含浸率を変えていることが多々あるため、コイル内の空気を全部抜ききることだけに囚われないように!
スキャッター・ワインドを採用したピックアップはコチラ!
引き上げたら冷ましつつ様子見
無事水平を保ったまま引き上げられたら、パラフィンが凝固するまで放置です。この時ピックアップ内に空気が大量に残っていると、凝固の過程で気泡が発生します。隙間等から空気が溢れ、中途半端な形でパラフィンが固まった場合は再含浸です。
気泡が溢れず綺麗な形状で白く固まってきたら、完全に冷え切るまで待ちましょう。この時に千枚通し等を使用し、取り付け穴のワックスを除去しておいても構いません。完全に固まったら、再度テスタを使って抵抗値の確認を行います。
💀稀にゲームオーバールートも発生
この時点で抵抗値が異常値を示していた場合、残念ながら作業中に断線等が発生です。もう使い物にはならないので、涙を堪えて新しいピックアップを手配してください。もしも断線等が発生した場合は、作業時間や含浸温度を記録しておきます。次に作業を行う場合は、もう少し温度を下げたり時間を短くする等の対策に活用です。
中古のピックアップに100個程度ポッティングを行うと、1度位は断線に遭遇するかもしれません。その1回目が初回に来る事もあり得ますので、ある程度の破損リスクは覚悟しましょう。
不要なパラフィンを除去して ポッティング 終了
完全な凝固を確認したら、マスキングテープを外して余分なワックスを除去します。ステアリン酸配合のワックスは硬いため、傷つかないように注意して作業してください。樹脂部分だけでなく、金属カバーやポールピースも傷つく場合があるのです。
どうしても取れない場合は、お湯に浸したウエスを硬く絞って拭いてみましょう。少しだけワックスが緩くなるので、除去作業が簡単になると思います。
ギターに取り付けてハウらなければOK!
ピックアップが綺麗になった後は、さっそくギターに取り付けて出音確認です。ポッティング前にハウリングが発生した値までGAINを稼いでも、ピーっと唸らなければ成功となります。以前より悪化した場合や変化が無い場合は、作業前よりコイルが緩んでいる状態です。
まだ含浸不足なので、再度取り外して安定するまでポッティングを繰り返します。何度もうまくいかない場合は、作業そのものに問題があるか別の要因があるかです。現状では解決できないと思われるので、諦めて代替ピックアップを購入しましょう。
ポッティングによるサウンド変化
最後にハウリング対策としてポッティングを行う事で、サウンド面に現れる変化を解説します。エレキギターの弦振動は、ピックアップ本体の重量や構造も大きく影響です。ポッティングを行う事でピックアップは重量が増し、共振に強い構造へ変化します。つまりポッティング前よりも、高い周波数帯域が控えめになる傾向があるのです。
端的に言ってしまえば、倍音が大人しくなるケースが往々にしてあります。この変化は微小な場合もありますが、経年品では影響がかなり大きいです。ギター全体の重量も微増するため、生鳴りにも少なからず影響があります。ポッティングを行った後は、確実に音が変化する事実を念頭に置いておきましょう。
【参考1】あえて控えめなポッティングを採用して倍音強化を狙った人気ピックアップ
Seymour Duncan 78 Model はポッティング後にパラフィンワックスを意図的に溶かす実験などを経て、驚異的な倍音特性向上を狙ったハムバッカー!
【参考2】ポッティングを一切行わず開発者監修でPAFを完全再現したピックアップ
PAF開発当時はまだ『ギターを大音量で歪ませる概念』が存在しなかった時代!
PAF特許申請者本人であるセス・ラヴァー氏による厳しい監修のもと、SH-55はあえて含浸無しの仕様でPAFを細部まで完全再現!
まとめ
悩ましいハウリングから解放されれば、貴方のギターライフはストレスフリーまっしぐらです。これまで深く歪ませられなかったピックアップも、ガンガンドライブさせられます。サウンドメイクの幅が大きく広がるため、新たな音色に出会える可能性も大です。ピーピー泣き止まぬ困ったピックアップがあるのならば、ぜひポッティングに挑戦してみて下さい!
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