【完全解析】Traveler Guitar Travelcaster Deluxe レビュー!極小ボディギターは木材高騰時代の救世主!?
👆 極小ボディが魅力の TRAVELER GUITAR Travelcaster Deluxe (Surf Green) をレビュー!
目次
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Traveler Guitar Travelcaster Deluxe で木材を節約しよう!
近頃楽器業界を悩ませる話題の一つに、木材価格の高騰が挙げられると思います。価格高騰は輸入木材のみならず、国産材や合板材にも影響を及ぼすなど深刻な状況です。
👆 Bacchus Universe Series も2022年6月6日より値上げ
身近な所ではホームセンターの木材コーナーなど、品薄や値上げ傾向が続いております。楽器用の木材は言わずもがなで、気軽に手を出せなくなった品種が増えてきました。
ここはひとつ発想を変えて、木材に極力頼らないギタースタイルを模索しましょう。という訳で今回ご紹介するのはこちら、
Traveler GuitarのTravelcaster Deluxeです。
Travelcaster Deluxeはポータビリティー全振りの削り過ぎSTタイプ!
いかがでしょうか、
この極限フォルム!
見事な木材の削りっぷり!
お、おまえボディはどこに置いてきたんだよ……
無駄な木材は自ら置いてきた。
各メーカーも頑張ってはいるが、
ハッキリいってこの木材高騰ペースにはついていけない……
Travelcaster DeluxeはSTタイプを元に、限界までボディ材を削いだ構造をしています。木材はピックガードに合わせてカットされており、なんとボディエンドが存在しません。
代わりにブリッジエンドがそのまま剥き出しで、後方からブロックがモロ出し状態です。その肉体に度の過ぎた省スペース化を施した結果、重量はSTタイプの約6~7割となっております。
更に本機はポータブルギターでありながら、25.5インチレギュラースケールを実現です。重ねてダブルサイドヘッドを採用する事により、全長は僅か857mmに留まっています。
『STタイプ』の原型を保ちつつ、ポータビリティー全振りな姿勢は見事ですね。制作サイドの執念すら感じるその姿には、ほとばしる程の浪漫とIQの低さを感じます。
問題はこれほど珍妙な構造で、ギターとしての演奏性と音が保たれているのか否かです。率直に申し上げて、このフォルムからは『見えている地雷臭』が漂っています。
それでもこのスタイルで『イケる!』となれば、木材難時代の救世主になれるハズです。果たしてTravelcaster Deluxeはギターの新時代を築けるのか、じっくり見ていきます。
頭の悪い音が鳴りそうでワクワクする……💖
お前ギター本体まで変な外観の布陣で固める気かよ
Travelcaster Deluxe 開封の儀
今回は店頭で購入した商品につき、開封の儀はありません。ただし購入した店舗では、商品段ボールを持ち帰ってもOKとの事でした。
開封の儀再現用に一応持ち帰りましたが、本ギターは専用ケース付きの商品です。軽量タイプとは言え、段ボールに入れた状態で持ち運ぶのは少し苦労します。
箱に取っ手が無くかかえて運搬する事になるため、ケースで背負った方が相当楽です。不要ならば付属ケースで持ち帰り、箱は店舗側に処分してもった方が良いでしょう。
ちなみに箱はTRAVELER GUITAR専用品で、大きさが本体サイズ同様特殊となっています。宅配便準拠では140サイズ相当となっていて、通常のギター用段ボールよりも小型です。
派手な印刷等はありませんが、ヘッド側やエンド側にラベル類が添付されていました。本体を専用ケースに収納した状態で、隙間なく箱の中に収まる設計となっています。
Travelcaster Deluxeは専用ケース付き
ケースは小型ですが薄手のクッション入りなのに加え、ロゴに刺繍が使用されています。自立性が高くて見栄えも良く、小物収納用のポケットを大小2か所完備です。
運搬は側面ハンドル、ヘッド裏ハンドル、ショルダーベルトの3通りに対応しています。ショルダーベルトは片肩掛けのみですが、とても軽量なので特に問題は無いでしょう。
付属品は神田商会の銘入り保証書の他、六角レンチが3本、アームバーが1本です。
通販で購入する際は、画像の白い化繊カバーで本体が養生されているとの事でした。
(こちらも箱同様に処分可能だったが、念のため持ち帰った)
基本スペック:Traveler Guitar Travelcaster Deluxe
■Travelcaster Deluxe
■カラー:サーフグリーン(※1)
■ボディ:ポプラ
■ネック:メイプル
■指板:メイプル(※2)
※1.カラーは他にキャンディアップルレッド、グロスブラックを完備
※2.グロスブラックは指板材がカタルパとなる
引用:TRAVELER GUITAR ( トラベラーギター ) Travelcaster Deluxe (Surf Green) 送料無料 _ サウンドハウス
■ナット幅:42mm(1.65″)
■スケール:648mm(25.5″)
■ピックアップ:3 Ceramic Single Coil (DC Resistance 5.5kΩ Neck,5.7kΩ Middle,6.0kΩ Bridge)
■コントロール:1Volume 2Tone
■全長857mm
■付属品:ギグバッグ
引用:TRAVELER GUITAR ( トラベラーギター ) Travelcaster Deluxe (Surf Green) 送料無料 _ サウンドハウス
1992年に誕生したTRAVELER GUITARは、トラベルギターの本格的な設計と製造におけるリーディング・イノベイター。
旅するミュージシャンに「高品質で持ち運びやすい製品を提供する」という目標は、誕生から20余年経った今でも変わりません。
旅行に、キャンプに、出張先に。軽量でコンパクトな頼れる相棒。
引用:Amazon _ TRAVELER GUITAR トラベラーギター Travelcaster Deluxe トラベルキャスター_Surf Green
ルックス:Traveler Guitar Travelcaster Deluxe
まず本機を最初に見た時の印象ですが、筆舌に尽くしがたいものがあります。おそらく大半の人は実物を見た際に、
『マジかよ……』
という感想を抱く事でしょう。それほどにTravelcasterのインパクトは絶大で、店頭でも異様な存在感を発揮です。もしかするとツボに入ってしまった場合、本機を前に爆笑してしまうかもしれません。
Travelcaster Deluxeの醸し出す圧倒的な『無』
とにかくストラトタイプとして、通常はあって当然なフォルムが『無』となっています。木はピックガードの輪郭に沿う形でのみ存在し、あとは文字通り『無』が広がっているのみです。
6弦側はホーンが無いだけでなく、ピックガードギリギリまでくびれが絞られています。当然ながらエルボーカットは存在せず、ボディエンドも木材がありません。
故にエンド側はブリッジが派手に飛び出しているため、なんとも言えない仕上がりです。脳内年齢が15歳前後なら大ウケ必至ですが、苦笑いする方も多いような気がします。言わずもがな、
管理人の脳内ジャッジでは余裕の『カッコいい』判定です。
購入前の第一段階として、この手のギターを楽しめる余裕は絶対的に必要だと思います。使い勝手や利便性の前に、奇妙なフォルムを『良し』と受け止めなければなりません。好みは著しく分かれそうですが、好きな人にはたまらない形状だと言えるでしょう。
Travelcaster Deluxeのヘッドスタイル
先のボディ構造は全長を短くする故の仕様ですが、ヘッドスタイルにも一工夫です。分類としてはST型であるものの、本機は3×3のダブルサイドヘッドを採用しています。
ヘッド自体もとても小型につき、表面積は必要最小限といった感じですね。ほぼ面影はないですが、よく見てみるとどことなくSTヘッド風なのが面白く感じます。
きちんと左右非対称になっており、先端はストラトのように丸みを帯びた形状です。1~3弦ペグ付近もスロープ状になっているなど、基本は抑えて設計されています。
パっと見では不格好に見える反面、真意が分かると『なるほど』と頷く事でしょう。先端までの長さをスモールヘッドと比較すると、約20mm程度短くなっている模様です。
Travelcaster Deluxeは無茶に無茶を重ねるスタイル
冒頭やスペック表でも記載しましたが、本機はレギュラースケールを採用しています。ギターの運搬性を重視する場合、どうしてもネックの全長を短くする事が不可欠です。
そのためこの手のギターでは、ショートスケールが多用される傾向にあります。ミディアムスケールのギターもそれなりにあるものの、レギュラースケールは稀です。
レギュラースケールは文字通り、長さがネックとなり運搬性が損なわれてしまいます。ですが本機は先の通りヘッドを短く設計し、648mmフルスケールを可能としたのです。
ストラトタイプのトラベルギターを作ろう!
→ショートスケールだとありきたりだからレギュラースケール!
→でもって、全長は限界まで短く!
→だけどヘッドもボディもSTらしさは残す!
……といった具合に、Travelcasterは普通に考えて無茶な要素が詰め込まれています。
ネタのように見えて、本機はポータブルギターの常識を覆す創意工夫が満載なのです。無茶に無茶を重ねた末にたどり着いたその姿に、ある種の美学を感じると思います。
Travelcaster Deluxeのフィニッシュバリエーション
カラーはサーフグリーン、キャンディアップルレッド、グロスブラックの3種です。3種の内グロスブラックのみカタルパ指板を採用し、マッチングヘッド仕様となります。
他の2種はメイプル指板となり、本体は艶を抑えたサテンフィニッシュです。けれどもヘッドトップはグロス仕上げにつき、写真で見る以上に光沢があります。
ボディの塗料はコテコテのポリエステル塗装となっていて、こちらも艶感が強めです。仕上がりは標準的で雑な箇所も無く、好みの色や指板に合わせて選ぶと良いでしょう。
Travelcaster Deluxeのハードウェア
ピックガードはホワイト3プライを搭載し、ネジ穴は11点止めタイプとなっています。Fenderの規格とはやや異なるため、Fender純正ピックガードのポン乗せは不可です。
どうしてもネジ穴やネック位置がブレるため、交換する際は加工が必要となります。その他の樹脂パーツはホワイトカラーを採用で、バックパネルは特殊形状です。
ストラト系のバックパネルよりも、2/3ほどの面積の大きさのパネルを搭載しています。
統一感のあるクロームパーツ
金属パーツは全てクローム仕上げを採用し、全体的に統一感のある外観です。ペグはSquierの廉価モデル等と同じく、ネジ穴の無いタイプが搭載されています。
ブリッジは2点支持のピボットタイプで、サドルはプレススタイルです。商品画像ではビッグブロックですが、管理人の個体は薄手のブロックとなっています。
というよりも、店頭で確認したTravelcasterは全て薄手のブロックのブリッジでした。もしかすると製造ロットにより、ブリッジの仕様が異なるのかもしれません。
通販で購入する際は、予め販売店にブロックの仕様を確認した方が良いでしょう(Amazonの商品画像では『ビッグブロック搭載』と明記されているものの真偽不明)。
クセの強い配置
ネックプレートはスターカット風の五角形状で、6弦ヘッド側にストラップピンを搭載です。
エンドピンはバックパネル6弦側にあるため、ややクセの強い配置となっています。
形状はキノコ状の傘が広いタイプにつき、標準ピンよりもストラップが抜けにくいです。
しかしピン配置以上にクセが強いのが、なんといってもジャックの配置に尽きます。
あろうことか本モデルは、トーンコントロールの真裏に舟形ジャックを搭載です。とてつもなくイレギュラーなポジションのため、演奏性の項で詳しく紹介いたします。
パーツグレード
このようにざっと眺めると分かりますが、本機のパーツグレードは高くありません。使用に難のある部品は使用されていないものの、コストを重視している様子です。SquierのAffinity Seriesと同レベルにつき、多くは望まない方が良いでしょう。
演奏性:Traveler Guitar Travelcaster Deluxe
ここからは演奏に関わる要素について、各パーツ単位でチェックしていきます。分解しての評価ではなく、開封後の動作確認時に調べるべき事柄を重視です。部品の機能性と組み込みの精度も含めて、フラットな視点で精査しました。
ペグ
ペグのギア比は1:14を採用し、チューニング精度はごくごく標準的となっています。高精度ではありませんが、弦が安定した後は極端に狂うような事もありません。
普段使いとしては十分につき、そのまま使い続けても特に問題なさそうですね。交換する場合はネジ穴が無いため、新たに穴を開ける必要がある点に注意しましょう。
弦高&オクターブチューニング
管理人が購入した店舗では、店頭のモデルは全て基本調整済みの個体が並んでいました。店売り分は大丈夫だと思われますが、通販で購入する際は調整の有無をご確認願います。
オクターブは全弦12Fを基準に調整されており、ピッチも全く問題無しです。弦高は1弦側が1.8mm程度、6弦側が2.1mm程度と気持ち高めに設定されています。
現状でも演奏に支障はないものの、ロッドを調整するともう少し低弦高を狙えそうです。
イモネジが8mmなので、低弦高に調整する場合は6mmに交換した方が良いと思われます(8mmでもネジ頭が飛び出る)。
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ネック
ネックは貼りメイプル2P仕様で、グリップはCシェイプで設計されています。9.5Rの指板設計となっているため、同じ9.5Rの汎用機種と握った感触はほぼ同等です。
先にも挙げたSquierのAffinity Seriesは、特にフィーリングが近いと思われます。異なる点としては、ダブルサイドヘッド仕様なのでテンションバランスが独特です。
1~3弦がストラトヘッドよりも短く、若干違和感を抱くかもしれません。本体に変な反りや捻じれはなく、ロッドも左右に正常稼働する事を確認しました。
指板の滑り具合も程々で、汎用グレードのメイプル指板そのものとなっています。木目も含めた木取りも価格帯相当の仕上がりとなっており、総じて平均的です。
問題点としてはボディが軽すぎるせいで、ヘッド落ちしやすい構造となっています。摩擦の少ない化繊系のストラップと相性が悪く、気を抜くとすぐに傾いてしまうのです。
コードチェンジの一瞬の隙さえもブレるので、取り扱いにかなり慣れを要します。ヘッド落ちは構造的に避けられない問題につき、そういうものと割り切りが重要です。
ボディ
本モデルを象徴する独特なボディ形状ですが、意外にも厚さは44.4mmとなっています。例としてSquierの低価格帯機種は、およそ40mm前後の薄いボディを採用です。そういったボディと比べると、中心部に関してはガッシリとした質感を備えています。
とは言ってもあまりにもボディが小さいため、演奏時に影響を与える箇所が多いです。まずエルボーカットが無いため、肘や前腕がブリッジと干渉する事があります。肘や前腕をエルボーカットで支えるフォームの場合、演奏がとても難しいです。
加えて本機は2点支持ブリッジにつき、腕がブリッジに触れるだけでピッチが狂います。無意識に前腕をサドルに乗せてしまうなど、日ごろの癖がモロに影響しやすいです。
これは立った状態だけでなく、座った状態で演奏しても頻発すると思います。本機専用のフォームが必要となるので、人によっては慣れるまで時間がかかる事でしょう。
2kg台前半の軽量ボディを活かし、独自の奏法を体得しても良いかもしれません。パフォーマンスに徹した奏法など、新しいフォームを模索してみるのも面白いですね。真面目に弾き倒すだけでなく、見た目通りの『遊び』を奏法に盛り込んでみて下さい。
小さくても乾拭きは欠かさないでね!
ナット
ナットはボーン製で横幅は約41.8mm、縦幅は約2.8mmとスリムなタイプとなっています。推察するに個体毎に加工したものではなく、溝切り加工済みのナットを装着している模様です。溝の深さはいずれも適切で、1Fのピッチはシャープせず正常である事を確認しています。
ところが本当にポン乗せしただけといった感じにつき、角が鋭く丸みがありません。指で触れるとカサカサした感触があるため、入手時は良く調べた方が良いでしょう。気になる場合はナットの淵を少し丸めて、滑らかな質感に整えると使い勝手が向上です。
低価格帯の機種につき、ナットの仕上がりは個体差が大きい事が予想されます。店頭で購入する際は、ナット位置が中央に収まっているかどうかもチェック推奨です。通販利用時は個体差があるものと考え、調整前提で購入するのが無難だと思います。
フレット
Amazonの仕様は22 Medium Jumboとなっていますが、管理人の個体は細いフレットです。幅は実測で2.3mm程度につき、どちらかといえばスモール寄りではないでしょうか(※2.3mmでもミディアムジャンボを謳うメーカーは安ギター界隈では結構多い)。
店頭で確認した範囲では、ミディアムジャンボの個体はありませんでした。フレットもブリッジと同じく、製造時期によって仕様に差があるのかもしれません。安ギターではよくある事なので、フレットも購入前に良くご確認願います。
末端加工は価格帯相当であるものの、クロスを上下させても引っ掛かりは無しです。タングの切断処理は安ギターで主流となっている、チップ埋め方式となっています。
通常はタングを指板に合わせてカットしますが、本機は指板よりもタングが短いです。タングが短いと隙間が出来るため、そこへ指板と同じ色のチップが埋め込まれています。この方式は乾燥するとチップが浮きやすくなるので、湿度管理に留意しましょう。
ブリッジ
2点支持タイプのブリッジは6点支持タイプと比べて、アーミング性能が良い傾向です。
テンションバーが無いためピッチが不安でしたが、想像以上に安定していると思います。
ナイフエッジの加工も及第点につき、一定水準のアーミング性能をクリアです。
ハードウェアの項でも述べた通り、通販用の商品画像はビッグブロックとなっています。対して管理人の個体は薄手のブロックなので、サスティーンはあまり期待出来ません。
金額が同じである点を考えると、ビッグブロック搭載機種の方がかなりお買い得です。重複しますが購入する前に、必ずブロックの仕様を楽器店にお問い合わせ願います。
ブロックは音伸びに与える影響が大きいため、薄手のブロックの場合は交換を推奨です。Wilkinson製では交換可能なブリッジが多く、購入と同時に交換しても良いでしょう。
Travelcaster Deluxe向けおススメのブリッジ&トレモロ関連パーツ!
ブリッジエンドの注意点
ブリッジエンドの注意点として、ボディ構造的に『ベタ付け』のセッティングが出来ません。エンド側にベタ付けするボディが存在しないため、フローティング専用となります。
アームを使用しない場合は、トレモロスプリングを5本にするなどの対応が必要です。
なおギタースタンドを使用すると、ブリッジが接触した際にピッチが狂ってしまいます。ヘッドで支えるギターハンガーを使うか、ケースに収納した状態で立て掛けて下さい。
どうやら俺の出番のようだな!
これは絶対使ってはいけないギターハンガー
センター
センターについても、価格帯的にある程度個体差の幅が存在すると推測です。販売店のレビューを見る限り、ナットのズレている個体の報告を確認しました。
ナットの収まりが悪い個体では、十中八九センターも大幅にズレてしまいます。また木材の加工起因のズレが発生していた場合、調整で対応出来ない事が多いです。
通販では完全にガチャ要素となるため、自信が無い場合は店頭で実物を確認願います。管理人が店頭で見た範囲内では、特に問題となる個体は見当たらなかったです。
電装系
コントロールはストラトタイプ準拠となっており、1VOLUME,2TONE仕様となっています。スイッチは5wayセレクターを搭載で、ハーフトーンはハムキャンセル配線です。スイッチのクリックは気持ち硬めで、ポットのトルクはキツくも緩くもありません。
パーツグレードも汎用機のグレードにつき、いたって普通のST系レイアウトになります。
絶妙に微妙なアウトプットジャックレイアウト
ここで超イレギュラー要素として立ちはだかるのが、先述のアウトプットジャックです。トーンの真裏という絶妙に微妙な配置につき、どのように扱っても邪魔となります。
シールドを接続すると人体側に飛び出すため、L型プラグは使用出来ません。かといってS型プラグを使用した場合でも、人体へ干渉するため使い心地が悪いのです。正面にギターを構えて立位で演奏すると、右太もも内側付近にプラグが接触します。
ストラップの長さや構える位置によっては、モロに股間を直撃する可能性もアリです。管理人は性別年齢不詳の無機物につきノーダメージですが、紳士諸兄は注意しましょう。
ならばとギターを右脇に構える場合、今度は右太もも外側にプラグが干渉します。立って演奏する際は、どのように構えても肉体とプラグが接触してしまうのです。
プラグの耐久性にも影響を及ぼすため、可能な限り接触の少ない位置で構えて下さい。ワイヤレス等はプラグ折れが懸念されるので、使用しない方がよいかもしれません。
電装系交換前に要チェック!
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重量
重量は公表で2.35kgと軽量で、実測値も2.30kgとほぼ公表値通りでした。レギュラースケールとしては一級品の軽さですが、やはり重心バランスに難があります。
慣れるまでは大変であるものの、一度使いこなせればこの軽さは大きな魅力です。腰や肩への負担も少なく、バランス感の悪さがどうでもよくなるレベルだと思います。
綿毛のように軽いストラトタイプというのは、他では得難いアドバンテージです。運搬性にも秀でているため、行楽シーズンや旅行のお供に持ち運んでも苦になりません。
色の近いDANELECTRO HONEYTONE N-10 AQUA等と合わせて、野外ギターを謳歌しましょう。
サウンド:Traveler Guitar Travelcaster Deluxe
見た目からは想像出来ませんが、本機は『レギュラースケールの音』を奏でます。ストラトタイプの音というよりは、レギュラースケールのトレモロのサウンドです。生音も華奢という訳では無く、通常のストラトタイプと比較しても遜色無いと思います。
予想外に『普通の音』が出るため、最初に手に取った際は面食らうかもしれませんね。アンプを通した音色については、セラミックシングルのストラトサウンドそのものです。普及機のSTタイプとほぼ同じような音色で、独自性の高いサウンドではありません。
その分ストラト系に慣れているプレーヤーは、音作りも難なくこなせる事でしょう。『本機独自の音作り』は必要無く、その点は演奏性と大きく異なる要素となっています。
ポータブルギターでもきちんとSTサウンド!
こういったボディフォルムでも、ストラトサウンドを再現出来る点は大きいです。気軽にストラトサウンドを持ち運べるというのは、ポータブル機の大躍進だと言えます。
ピックアップはスタッガードポールピースを搭載し、巻き数は少し多めの印象です。抵抗値の実測値はブリッジから順に5.29kΩ、5.00kΩ、4.90kΩとなっていました。標準的抵抗値となっていますが、体感的な出力は高めに感じられます。
倍音量も全体的にそこまで芳醇ではなく、ブリッジ側は気持ち低音が弱めです。高音は全ポジション伸びが良好で、ブライトかつ硬質なSTサウンドを奏でてくれます。
歪みのノリやエフェクターのノリも悪くないため、オールラウンドに活用出来そうです。
ピックアップをダンカン製に交換してみよう!
Travelcaster Deluxeの倍音特性 (A2/110.00Hz)
管理人の主観はアテにならないため、倍音と周波数の特性も簡単に調べておきました。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦のスペクトラムを採用です。
1.ブリッジ
ブリッジの倍音量はほどほどですが、全体的に枝毛状の波形が目立っています。倍音間の非整数倍音も多く、スッキリした透明感のある倍音傾向ではありません。奇数次と偶数次の倍音は半々程度であるものの、部分的に偶数次倍音が極端に弱いです。第4、第10、第14倍音が特に弱く、高音のサスティーンが刺々しく聞こえると思います。
2.ミドル
ミドルはぐっと倍音量が減少し、基音以下~第5倍音付近まで非整数倍音が強めです。第10倍音以降は微妙に枝毛状の波形に変化しているため、幾分高音がモヤっとします。倍音のバランスに規則性はなく、偶数次が強い箇所も奇数次が強い箇所も同程度です。極端に倍音が弱い性質もブリッジ同様で、歪ませるとワイルドなテイストになります。
3.ネック
ネックはミドルの波形を極端にした傾向で、偶数次倍音が弱めの箇所が多いです。第2倍音こそ強めですが、第4,第8、第12……と4の倍数の倍音が控えめとなっています。ふくよかなリードトーンには不向きで、ゴリっとした硬い響きの方が得意ですね。歪ませた際のワイルド感が強烈なので、ファズなどの荒々しい歪みに向いています。
倍音特性波形の周波数目安
左から2つ目の山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
Travelcaster Deluxeの周波数特性
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを比較しました。
a.ブリッジ
400Hz付近を中心としつつ、250~800Hz前後まで満遍なくムラの無いトーン傾向です。100Hz以下はやや控えめですが、1kHz前後から超高音域まで伸びの良い特性を誇ります。STタイプとしてはバランスが非常に良く、ジャンルを問わずに音作りが可能です。6kHz以降は伸び過ぎるレベルにつき、軽めの歪みでもハウリングに留意しましょう。
b.ミドル
ブリッジよりも音の中心が200~400Hzへシフトし、低音域に存在感が生まれています。800~3kHz付近は標準的STよりも控えめで、4kHz以降は標準よりも強めの傾向です。ドンシャリという程ではないものの、中音域を意識すると音作りがしやすくなります。むしろ波形としては綺麗な坂状でムラが少なく、バランスの良い音色を作りやすいです。
c.ネック
低音と高音はほぼミドルと同等で、より中音域を絞ったトーン傾向となっています。音の中心は200Hzに集中しており、ミドル以上に低音域の硬質なパワーが炸裂です。400~3kHz付近の主張が弱いですが、5kHz以降は隠し味的なアクセントがあります。出力もほどよく高いため、硬派な音色を活かしたパワープレイ向きです。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Traveler Guitar Travelcaster Deluxe 公式デモ
Traveler Guitar Travelcaster Deluxe 総評
極限までボディを削ったポータブル機でありながら、ストラト的な仕様を両立しています。小型でレギュラースケールを実現しつつ、ストラトの音も楽しめるのは実に魅力的です。その奇抜なフォルムが好奇心を刺激する事もあり、唯一無二の輝きを放っていますね。
旅行の相棒としては勿論の事、サウンド面も持ち運び用に留めるには惜しいです。外観が気に入ったのであれば、手を加えつつメイン機に昇格させても面白いと思います。
なによりもこのボディで音がイケる点は、木材難の世において進化の礎になりそうです。既存のボディ形状に囚われず、エコスタイルなギターの新時代が訪れるかもしれません。本機のフォルムにピンと来た方は、ぜひとも試してみる価値があると言えるでしょう!
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