Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル って何だよ……[変な部品レビュー第29回]
👆 変なケーブル Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル (自称) をレビュー!
目次
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Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル (自称) って本気?
世界に蔓延る変な部品第29回目は、久しぶりにケーブル類を取り上げたいと思います。HK CABLEという名称のシールドについて、見覚えのある方はいらっしゃるでしょうか。アリエクやAmazonなどで流通している、中国製の激安シールドの事です。
名前ではピンと来なくても、上記商品画像を見て思い出す人が多いかもしれません。被覆がビニールではなく布巻きなので、普通のケーブル類よりもお洒落に感じます。加えて色の種類も多いらしく、販売店毎に異なる色を取り扱っている事を確認です。
非常に素晴らしい商品説明の数々!
追い打ちをかけるように、説明欄では魅力的な製品アピール文がズラリと並びます。
低ノイズ高忠実度
静かな操作のためのノイズ除去を提供します
引用:Amazon _ プロ用楽器ケーブル,ノイズシールドなし1_4インチTSケーブルエレキギター用 – 5m
まずは先制ジャブとして、低ノイズ&ノイズ除去を大々的に主張です。ノイズに関しては自信があるらしく、アリエクでは下記商品名で販売されています。
Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル,周波数,アコースティックギター,ベース,楽器,5 m
引用:Hk ノイズリダクション付きハイエンドケーブル,周波数,アコースティックギター,ベース,楽器,5 m_ – AliExpress
ケーブルなのにノイズリダクション付きとなれば、最早革命にも等しい商品ですね。
スマートホーム、カラオケスピーカー、プロのステージオーディオなどのインストールに広く使用されています
引用:Amazon _ プロ用楽器ケーブル,ノイズシールドなし1_4インチTSケーブルエレキギター用 – 5m
何のプロかは不明ですが、とりあえずプロステージに使える性能である事が伺えます。
非常に素晴らしい、フレキシブルケーブル!
引用:Amazon _ プロ用楽器ケーブル,ノイズシールドなし1_4インチTSケーブルエレキギター用 – 5m
自画自賛もここまでくると清々しく、信じてもいいような気がしてきました。
色: ランダムカラー船!
引用:Amazon _ プロ用楽器ケーブル,ノイズシールドなし1_4インチTSケーブルエレキギター用 – 5m
商品画像では複数の色が掲載されていますが、色はランダムカラー船との事です。eBayやアリエクでは誤翻訳されやすい単語で『ship=輸送』を指すと思われます。
つまり色は複数からランダムで送るので選べません、という意味合いに近いですね。ランダムカラー船と書かれていたら、色は任意で選択出来ない商品とお考え下さい。
さりとて商品画像のケーブルの色は、どれも面白いカラーリングとなっています。どの色が当たってもハズレ感は少なく、むしろガチャ要素的に楽しめそうな気分です。
値段も大した事ないため、試しに5m仕様のものを1本取り寄せてみました。本品は本当にプロ御用達ノイズリダクション付きシールドなのか、調べていきます。
購入時の価格について
管理人は本品を昨年入手しており、購入時の価格は2022年2月時点よりも安価です。現在Amazonでは商品価格が高めに、アリエクでは送料が高めに設定されています。
外観:Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル
商品の発送はいつも通り灰色のビニール封筒で、封筒の内部は気泡緩衝材入りです。
シールドの色がランダムとあり、何の色が出てくるのか期待に胸が膨らみます。
管理人が入手した個体は、10mの方のサンプルに使用されていた青白のシールドです。
商品画像を見る限り5mと10mで3色ずつだと思っていたため、結構ビックリしました。それでも管理人好みの青系の色とあり、今回はSSRを引いたと考えて良いでしょう。
布巻きとしては珍しい鮮やかな色なので、見ているだけでテンションが上がります。品質を考慮しないのであれば、個人的には満点に近いケーブルカラーですね。
仕様:Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル
パッケージの表には商品名が、裏面には会社概要と商品説明が記載されていました。翻訳して要点を簡単に整理すると、以下の通りとなっています。
・製造会社は2001年設立のHongkun instrument company
・商品の分類は『プレミアム楽器ケーブル』
・6.5mmの国際標準のダブルストレートヘッド(※1)金メッキ
※1.おそらくS/S型プラグの事を指す
・アルミニウムマグネシウム合金のケーシング(※2)
※2.キャップがアルミ製という意味合いだと思われる
Hongkun instrument companyについては、中国の検索エンジンでもヒットしません。その他もいまいちピンと来ない説明ですが、何も分からないよりはマシですね。
説明を見る限りプレミアム感は薄いので、実物を良く観察してみましょう。まず国際標準のプラグを見てみると、金メッキはホットの部分のみとなっています。
両極全体にメッキを施す予算が無かったのか、プレミアムには程遠い安っぽさです。
極間の絶縁体は加工が乱雑で、樹脂を切断した際の繊維屑が残っていました。
更に内部の構造を確認した所、コールド側のハンダが外れて銅線が1本泳いでいます。
これでは振動等で銅線がホットに接触した場合、ノイズ源になる可能性が高いです。
仕上がりの面ではプレミアムの域には達しておらず、汎用品グレードだと思われます。
本当に5m?
もう一点気になった事としては、明らかにシールドの長さが5m未満です。30cmの定規と10feetケーブルを本品に添えると、5mも無い事が一目瞭然となります。
念のためシールドの長さを実測した所、管理人の元に届いたシールドは3m仕様でした。商品ページでは5m/10mの二択でしたので、2m短い分だけ損をした気分ですね。
注文をする際は、色だけでなく長さも適当に送られてくる可能性を考慮願います。
音質:Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル
なんとなく結果が予想出来ますが、もしかすると音だけはプレミアムかもしれません。そこで同価格帯で販売されている国内流通品より、ARIA JG-10Xを使って比較検証です。
ARIA JG-10XはOFCケーブルを採用の激安シールドで、あらゆるお店で入手出来ます。初心者セットに付属する事も多いため、低価格帯シールドの中でも普及率が高いです。
音質としては高音が暴れやすく、原音よりも幾分歪みやすい事を確認しています。価格帯的には十分な品質で、普段使いとしては問題の無い性能だと言えるでしょう。
詳しくは過去に投稿した、ARIAブランド3種のケーブル比較記事をご参照下さい。
使用ギターはノイズ量が少し多めである、Aria Pro II 615-AE200をチョイスです。
弾き比べてみた主観的感想
JG-10Xを使用した音と比較すると、HK CABLEはもっとハイ上がりな音となっています。低音も少し弱めで、テレキャスらしいジャキッと感が強調される音像ですね。
極端に高音が目立つ訳ではありませんが、音色の違いは実感出来ると思います。OFC感の無い音質につき、銅線はCCAW(銅被覆アルミニウム線)なのかもしれません。
肝心のノイズリダクションについては、全くそれらしい効果が得られませんでした。むしろ高音の主張が強くなった分、高い周波数のノイズが目立ちやすいです。
アンプ直で歪ませて使った印象として、ノイズ耐性に関してはJG-10X以下と感じます。
周波数特性
管理人の主観はアテにならないため、音質とノイズに関するデータを計測です。まずは各ケーブルを使用して、DIに直接接続したギターの周波数特性を調べます。使用したピックアップはリアポジションで、ボリュームとトーンは10で固定です。
1.JG-10X
615-AE200をレビューした時と大差はなく、ほぼ同等の山状の波形を記録しました。
2.HK CABLE
JG-10Xよりも600Hz以下が若干弱めで、2.5kHz以降は本品が上回っています。これは高音の伸びが良いというよりも、原音以上に高音が増幅された状態です。先の通りJG-10Xは高音が歪みやすく、本品はそれ以上に歪みやすいと考えられます。
波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2kHz,3kHz,6kHz
ノイズ耐性
ノイズ耐性については、同じくDI直でギターの素のノイズを計測です。インターフェースのボリュームを限界まで上げ、ノイズを分かりやすくしています。
a.JG-10X
JG-10Xのノイズ耐性は可もなく不可もなく、いたって標準的な性能です。ノイズ対策を行ったギターであれば、目立ったノイズを感じずにプレイ出来ます。615-AE200はシールド処理が行われていないため、6kHz以下全域でノイズを計測です。
b.HK CABLE
700~6kHzの広範囲にかけて、JG-10Xよりも一回り大きいノイズが発生しています。15kHz以上の超高音域でもノイズが増えており、ノイズ耐性は高く無い模様です。
波形の周波数目安(左から順に)
赤線:350Hz 橙線:1kHz,2kHz 桃線:6kHz,15kHz
ノイジーなエフェクター通過後のノイズ
最後にノイズの多いエフェクターを使用して、アウトプットのノイズを調べました。エフェクターはACETONEのQH-100で、400Hz以下にトランスノイズが発生しています。
c.JG-10X
DI直のノイズと比べると、1kHz以下全域のノイズ量が大きくなった状態です。
d.HK CABLE
800Hz以下に絞ると、JG-10Xよりも僅かにノイズ量が少なくなっています。ところが800Hz以上はJG-10Xよりも微増しているため、トータルで大差は無いです。これらの結果から、本品にノイズを低減させる効果はほとんど無いと考えられます。
波形の周波数目安(左から順に)
赤線:350Hz 橙線:1kHz,2kHz 桃線:6kHz,15kHz
Hk-ノイズリダクション付きハイエンドケーブル (自称) まとめ
・正体はHongkun instrument company製の自称プレミアム楽器ケーブル
・カラーは長さを問わず6種類以上ある中からランダムで送付される
・長さは選択可能だがランダムで送付される可能性がある
・ツイード織布シースを採用したカラフルなデザインは上々
・細部の品質はプレミアムには程遠く粗が目に付く
・音質は高音がJG-10X以上に鋭く歪みやすい
・ノイズリダクション効果は皆無でノイズが増える可能性もアリ
・性能を盛り過ぎなペガサス盛り系変なケーブル
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