【星型ギター】ド派手に可愛い Daisy Rock スター・アーティスト はテンション爆上がり!【外観評価/演奏性/音質解析】


👆 ド派手に可愛い星型ギター『Daisy Rock スター・アーティスト (LDSY6161)』をレビュー!
目次
本日もギタいじへようこそ、貴方は管理人の希望の星です!!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!急ぎの人は 基本スペック の項から読もう!
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可愛い星型ギター Daisy Rock スター・アーティスト を実質新品の状態で入手しテンションがK点越えしたお話
Daisy Rock
スター・アーティスト をレビューする人

ブログ『ギターいじリストのおうち』の全権を司る星を愛する者。性別年齢職業不詳の無機物。人格が星に支配されている。
ほんの少し昔の物語
~ 時は2022年12月23日 ~

\ とうおるるるるるるるる /
珍しく管理人宅の
固定電話が鳴りました

こちらギターいじリストのおうち管理人のおうちです、只今居留守を使っております💖

あのさー、今ちょっと困ったことがあって助けて欲しいんだよねー

そ、その声の主は……!?
🧠「骨みたいな楽器屋さん!!」

一体こんな夜分に何があったというのだ……

いやーマジ困っててさー

今すぐ注文書送るから何も言わずに請書FAXして欲しいんだよね

絶対にヤだよ、まず要件を言え要件を

それがさー、ウチのスタッフに欠員が出ちゃって夜間搬入作業の人手が必要なんだよ

そうか社長業も大変だな、じゃあおやすみ

まてまてまて!何もタダ働きとは言わない、緊急事態だから金は3人工分出す!

!?

なんなら私が大切にしている、例の画太郎ギターを相殺処理で譲ってやってもいい!

何、まことか!!
Daisy Rock Star (スター) シリーズについて
ここからが本題で、管理人の仲間内では画太郎ギターと呼ばれているギターがあります。言わずもがな、かつてDaisy Rockが販売していた『スター・アーティスト』のことです。
Daisy Rock Girl Guitarsは2000年に創立された楽器メーカーで、現在はKMC Musicの子会社となっています。日本では2006年頃に、旧ヤマハミュージックトレーディング(現ヤマハミュージックジャパン)経由で流通が開始となりました。

Daisy Rockの特色と言えば、何と言っても若年層の女性にターゲットを絞った可愛く華やかなデザインです。中でも凄まじい存在感を放っていたのが、今回取り上げる『Star(スター) シリーズ』となります。

Starシリーズは2006年当初、アーティスト、ショートスケール、ベースの3機種をラインナップです。

👆 スター・アーティスト / アトミック・ピンク(LDSY6160)

よくショートと混同されるけど『アーティスト』はミディアムスケールだよ!
2006年モデルは色の選択肢が少なく、アーティスト(LDSY6160)とベース(LDSY6170)はアトミック・ピンクのみとなっています。

👆 スター・ベース / アトミック・ピンク (LDSY6170)
ショートはアトミック・ピンク(LDSY6150)に加え、コズミック・パープル(LDSY6151)が用意されていました。この中でアーティストは出荷台数が少なく、2022年の中古市場でも年に数回程しか見かける機会がありません。

👆 スター・ショートスケール / コズミック・パープル (LDSY6151)
続く2007年に入ると、ひっそりコズミック・パープルのアーティスト(LDSY6161)とベース(LDSY6171)が加わります。ただし2007年に追加されたモデルは更に生産数が少なかったのか、2006年モデルよりも割高です。

👆 スター・アーティスト / コズミック・パープル (LDSY6161)
LDSY6160とLDSY6170が税抜き38,850円だったのに対し、LDSY6161とLDSY6171は色以外共通の仕様で49,000円に設定されています。あまり難しく考えず、スター・アーティストまたはベースはピンクより紫の方が高額という認識でOKです。
Daisy Rock スター・アーティストが画太郎ギターと呼ばれている理由
派手なカラーと可愛いルックスが目立つスターシリーズですが、類似したモデルが架空の物語に登場したことがあります。それは週刊ヤングジャンプの2001年1月1日号に掲載された、漫☆画太郎氏による『ハデー・ヘンドリックス物語』です。
該当作品では、主人公であるハデー・ヘンドリックス少年(18歳)の激動の人生が描かれています。本作は笑いアリ、涙アリ、男の友情もゲロも流血も大アリの圧倒的スケールで綴られる、ロックでアタオカでアオハルな感動巨編です。
未読の方向けにネタバレを回避すると、物語の中盤でハデーは憧れのギターと邂逅します。それは『ヤマバ スターダストメモリー』というモデルで、彼はそのギターと共にステージに立つ事が夢でした。

このヤマバ スターダストメモリーは、名前の通りYAMAHA(ヤマハ)をパロディにした星型のギターです。
星型の弦楽器自体はブーツィー・コリンズのベースなどを筆頭に、2001年以前にも既に存在しています。しかしながら星型という類似性だけでなく、Daisy Rockの輸入元がYAMAHA関連会社であったという点が運命的ですね。
漫☆画太郎氏は2001年1月という21世紀の幕開けと同時に、YAMAHA絡みの星型ギター誕生を予知していたのかもしれません。故に漫☆画太郎氏を敬愛するギタリストにとって、スター・アーティストは別格の憧れがあります。
形状、メーカー、未来予知、
漫☆画太郎印という
ネタ性の高さ……

これら複数の要素が重なったことが、本機を画太郎ギターと呼ぶ所以です!
追い予知ギター
余談ですがスターダストメモリーの1つ前のコマに、東京タワー型ギターの『フェンター トキオ333(1964年)』が登場します。驚くことにトキオ333も予知ギターとなっており、
2020年にL’Arc~en~Cielのライブに登場して話題となった『ESP Eiffel Guitar』と瓜二つです。
10年以上ほぼ新品のまま管理され続けたDaisy Rock スター・アーティスト
余談はさておき……
当時管理人もスター・アーティストの購入を目論みましたが、残念ながら行動範囲内の楽器店に良い個体が入荷しませんでした。

極端なくらいに個体差が激しいんだコレが
そしていずれ良い個体があればと考えている内に、Daisy Rockの国内流通自体が終了となります。

画太郎ギターが見果てぬ夢となり幾年月、管理人は件の骨屋がLDSY6161を所持していることを知ったのです。紹介欄でも簡単に述べましたが、
骨屋はスラダンのチエコスポーツ店長みたいなことをしています。
つまり社長室内にフラットドライの化け物みたいなのを自作して、

自費で購入したギターを見せびらかしているのです。
ところが本人は

機能が泣くから売らない!
と豪語するものの、やっていることは店長側ではなく店長に靴の購入を迫る清田信長風ロン毛コレクター側となっています。
この骨屋、展示用ギターは絶対に弾かないというギター界にありがちな性癖を発症していました。触れるのは月2回の定期メンテのみで、後は演奏することなく背後で見せびらかすのみです。
自身の生誕年と同じGibson……
VOXやTEISCOのビザール……
そうそうたるギターが並ぶ中、

何故か末席にDaisy Rock スター・アーティストが座しています。

孫が可愛いギターが良いってせがむから混ぜちゃった💖
そんな入手経緯を10年前に語っていましたが、お孫さんも今や生意気盛りになった頃合いでしょうか。思うにお孫さんのじいじラブ期間が終了し、スター・アーティストの存在価値が希薄になったのだと推察です。
Daisy Rock スター・アーティストの入手条件は……?
とは言えそこは腐っても楽器屋社長、楽器の管理にはかなり金をかけています。金に物を言わせ24時間体制で温度・湿度・換気を管理している上に、見かけによらず楽器整備の腕も一級品です。
骨屋が所有するのは2007年当時の新品同様とまではいかなくとも、新品入手後15年間極限まで劣化を抑えたスター・アーティストとなっています。優良な個体を求め続けた管理人にとって、これ以上は求められないレベルの一台です。
手のひらを返したように骨屋へすり寄った管理人を、一体誰が責められるというのでしょうか。

オーケーオーケー、そんなに好条件ならもう何でも手伝ってあげちゃう💖

……ていうかさ、いつどんな作業をすればいいの?

それなんだけどね……

明日12月24日深夜から日をまたいでピアノの玉掛け(※)に加わって欲しいんだよね
※資格と養生テクや現場慣れが必要となるクレーン掛け外し作業

く、クリスマスイブの深夜に搬入作業だと……?
こうして管理人は星ギター入手の代償として、貴重なクリスマスイブを労働に費やすことになります。
世間がぼっち・ざ・ろっく!の最終回と聖夜に歓喜の声を上げる中、

ゴーヘイ!ゴーヘイ!ゴーヘイ!
ゴーファイ!!

うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
管理人は労働と星の悦びと一抹の悲しさに思わず絶叫です。
果たして長年恋焦がれたDaisy Rock スター・アーティストの実力は如何ほどなのか、ザックリ見ていきましょう!
補足
旧ヤマハミュージックトレーディング →骨屋の会社(新品仕入れ) →骨屋本人(自費で購入&未使用のまま保管) →骨屋の会社(個人の中古品として売却) →骨屋の会社(中古品部門で販売) →管理人(中古品として相殺取引で購入)

流れ星みたいな流れで管理人の元にやってきました
基本スペック
国内向けのDaisy Rock公式サイトは既に閉鎖済み(※)につき、情報を引用することが出来ません。公表スペックについては、2007年発行の『FALL 2007 DAISY ROCK GIRL GUITARS ALL ACCESS (海外向けカタログ)』を参照しています。
※海外向け公式サイトはこちら:Daisy Rock

MODEL: Star Artist (スター・アーティスト) MODEL NUMBER: LDSY6161 (海外向け/14-6161) CONSTRUCTION: Bolt-On BODY: Basswood NECK: Rock Maple FINGERBOARD: Rosewood FRET: 22 Medium SCALE: 24 3/4” INLAY: Star

BRIDGE: Daisy Custom TUNERS: Custom Chrome w/Daisy Logo HARD WARE: Chrome PICKUPS NECK: Duncan Designed Lipstick [LS-101] PICKUPS BRIDGE: Duncan Designed Humbucker [HB-103B] ELECTRONICS: Master Volume, Master Tone, 3-Way Selector STRINGS: D'Addario EXL 110 FINIS :Cosmic Purple (コズミック・パープル)
ルックス:Daisy Rock スター・アーティスト (LDSY6161) ド派手に可愛い星型レアギター
普段は開封の儀から始めるレビューですが、今回は純正の段ボール等は無しです。純正ケースは他のアーティストモデルと同じく、共通のブラックタイプが付属します。

生地は若干厚手の化繊製で、生地内部に気持ち程度のクッション材入りです。持ち運びはハンドルによる片手持ちのほか、ショルダーベルトによる両肩掛けに対応します。

ボディ側に設けられたポケットは二層構造となっており、いずれもA4の楽譜が収納可能なサイズです。変則的ボディのギターにつき、中古購入の際は純正ケースの有無を必ず確認しましょう。

ギター本体を取り出してみると、その見事な星っぷりの良さに惚れ惚れしてしまいます。星の向きがブーツィー・コリンズのベースとは真逆となっていて、正面から見るとVシェイプの進化系のような形状です。
ピックガードやインレイも星型が搭載されているなど、

星柄好きの脳汁分泌をこれでもかという程に煽ります。

うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
当然の如く管理人のIQも急激に低下し、
空前絶後の高揚感でセロトニンが爆発寸前です。
果たして燦然と煌めく本機を前に、正常な精神と理性を保てる類人猿などいるのでしょうか。

いやいない(反語)!
先ほどから管理人は過呼吸を発症している模様で、心臓のBPMも9999(カンスト)に到達しています。

クリスマスまで生きていてよかった……!
運命に勝った!!
意味不明な勝利宣言が脳内をこだまするほど、今の管理人はテンションが有頂天です。時刻はとうに性の6時間を過ぎてしまいましたが、ここからは星の無限時間がスタートします。

管理人の人生は星ギターの入手により、かつてないほどの全盛期を迎えることになるのです。
ヘッドシェイプ
ボディからネック先端に目を移すと、ヘッドは雫や葉っぱのような形状をしています。左右非対称のL3+R3配列で、ゆるやかな角度のついたアングルドヘッドを採用です。

マッチングヘッド仕様につき、トップはボディと同じカラーリングとなっています。ヘッドロゴは少し小さくて見えにくいですが、ギターケースのロゴと同じデザインです。

ショートモデルと異なる点としては、ロッドカバーの搭載が挙げられます。他では見かけないフォルムが面白く、ヘッド単体で見てもなかなかの『映え度』ですね。

唯一難点として、低価格帯機種の宿命でもあるスカーフジョイントが採用されています。正面からは見えないものの、繋ぎ目が気になるという方が多いかもしれません。
フィニッシュ
コズミック・パープルは紫のスパークルフィニッシュで、ホログラム系のラメ入りです。通常のスパークルフィニッシュと異なり、光の反射で虹色に輝く塗料が使用されています。

宇宙を想起させるような輝き方は、本機の星型ボディと相性が抜群です。ネックは指板側面を含め、艶のあるグロスフィニッシュを採用しています。

この価格帯のメイプルネックはマットフィニッシュが主流につき、塗装全般でも差別化を図っている印象です。ボディもネックも良く磨かれていて、価格以上に頑張った感が尋常ではありません。

ただの色物枠とは侮れぬ、低価格機の底力が存分に発揮されています。
ハードウェア
金属製パーツはクローム仕上げオンリーで、樹脂パーツはパールとブラックが半々です。ペグやブリッジ、ペグ、ネックピックアップもクロームなので統一感があります。

光沢が強く少しだけ安っぽさを感じますが、洗練された雰囲気を後押しです。ピックガードとロッドカバーは共通で、トップがパールの3プライ(パール-ホワイト-ブラック)となっています。

スイッチノブとバックパネルはブラックとなっており、エスカッションは無しです。専用規格のオンパレードにつき、市販パーツと互換性のない部品が大半とお考えください。
パーツグレード
スター・アーティストの販売価格を考慮すると、パーツ構成は企業努力の賜物となっています。金属パーツは安ギターにありがちな、メッキの質が悪いものが使用されておりません。

ペグとネックプレートには、表面にブランドロゴが入っている装飾タイプを搭載です。遠目に見てもデザイン性が高く、メーカーの小さな拘りを感じる要素だと言えます。

ブリッジは裏通し型のハードテイルで、サドルはスリムネックに合わせたナロー設計です。ピックアップはショートが1ハムなのに対し、アーティストはSHの2PU仕様となります。

ハムバッカーはHB-103、リップスティックはLS-101とダンカンデザインを採用です。2007年版に関しては、カタログにてD’Addario(ダダリオ)とのタイアップも公表されておりました。

👆 D’Addario ( ダダリオ ) / EXL 110
出荷時の弦はEXL 110でセットアップされるなど、当時の低価格帯の限界を攻めています。2022年準拠ではコスト的に不可能な構成につき、時代の変化を実感する要素ですね。

本機は決して安パーツの寄せ集めではなく、エントリー機としてビギナー層への配慮が感じられます。
ストラップピンもお洒落にする

演奏性:Daisy Rock スター・アーティスト (LDSY6161) ド派手に可愛い星型レアギター
ルックスに関しては著しく満足度の高いギターで、管理人の脳汁も量産体制に突入です。さりとて楽器である以上、見た目以上に演奏性も十分な精査が必要となります。

続いては演奏に関わる要素について、各パーツ単位に焦点を当て細かくチェックです。分解しての評価ではなく、開封直後の動作確認時に調べる要素を重点に置いています。

部品の機能性と組み込みの精度も含め、可能な限り主観を除いた視点でみていきましょう!
ペグ
ペグは1:14のギア比を採用し、ペグボタンの形状はGOTOHの07番タイプです。ギア比は大きくありませんが、トルクがほどほどに滑らかで扱いやすく感じます。

弦が安定した後はチューニングも狂いにくく、デザイン性の高い見た目もナイスです。アーム機構が搭載されていないモデルにつき、現状のままでも問題無いと思われます。

👆 GOTOH ( ゴトー ) / SGS510-HAPM-S5-L3+R3 X-Chrome
ネジ穴位置は斜め45度のタイプなので、GOTOHのSG381やSG510系統がポン乗せ可能です。
ペグの星度を上げよう!
弦高&オクターブチューニング
きちんと調整して管理されていた個体だけあって、弦高もオクターブも万全となっています。ネックの矯正や擦り合わせはしていないことを確認しているため、元が非常に良かった個体みたいですね。

弦高はEXL110(.010-.046)を張った状態で6弦側1.4mm、1弦側で1.0mmにセットされていました。各ネジ類は滑らかに稼働し、オクターブチューニングも12Fを基準に調整されています。

サドルも前後に余裕があるため、変則的なオクターブチューニングにも対応可能です。丁寧に保管していたとしても、2022年までにこれほど調整幅のある個体は珍しいかもしれません。
激安弦高ゲージはこちら
ネック
カタログスペックでは分かりませんが、スター・アーティストのネックはスリムに設計されています。0Fが40mmのナロータイプで、12Fでも実測51.2mm程度と標準的ミディアムスケ―ルよりも2mm弱細いです。

ネックシェイプもCの頂点をなだらかにした成形につき、手の小さな方向けとなります。小柄な体躯の方は握りやすいものの、指先が太い方や手が大きな方には不向きです。

手の大きなプレーヤーの場合、ローフレットは爪先を立てるようなフォームになるかもしれません。フィニッシュはコテコテのグロス仕上げなので、手汗をかくとナチュラルにブレーキがかかります。

湿度によっても滑らかさが左右されるなど、フィーリングの好みが分かれる質感です。弦のテンションは控えめとなっていて、この辺は緩やかなヘッド角が影響している様子でした。

本体の材はロックメイプルと表記されていますが、ハードメイプルの別名称となります。ローズウッドの指板は可もなく不可もなく、同年代の普及機相当の滑り具合ですね。
演奏性の高いハイフレットと制限のあるジョイント周り
ハイフレットはVシェイプに近く、あらゆるフォームでアクセスが良好となっています。強いて挙げるとすれば、セットネックよりはジョイント部に段差がある程度でしょうか。

ネックプレートは専用規格のスリムサイズで、ストラップピンを搭載しているタイプです。このタイプはロックピンに変更するのが難しく、ストラップロックの使用を推奨します。

プレートの取付け間隔も特殊につき、市販のグレードアップパーツへの交換が不可能です。ジョイント周りに制限がある点は、ボルトオンタイプ変形ギターの宿命として受け入れましょう。
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ボディ
ルックスと対照的に諸刃の剣となっているのが、特殊過ぎる星型ボディの設計です。管理人のテンションを爆発させた星型ボディは、演奏性に関しては高度な技量を要します。

どのようなフォームで構えても、左右に広がる星の頂点が奏者の肉体と接触するのです。この左右の頂点を結ぶ横幅が400mmもあるため、ボディ上幅がセミアコのボディ下幅に匹敵すると言えば伝わるでしょうか。

演奏中はこの角があらゆる方向から猛威を振るい、腕やわき腹、胸に鳩尾などを攻め立てます。右腕も前腕や手の腹が角と接触しやすく、本機専用のフォームの習得が不可欠です。

パワーコードを思いっきり掻き鳴らそうとすると、肘が角にぶつかりキーンと来るこも日常茶飯事となります。
絶妙に微妙なアウトプット
ならば座って弾けばOKと考えたいところですが、今度はアウトプットが干渉するのです。星型シェイプは太ももに収まりが良いものの、その収まりの良い箇所にアウトプットが設置されています。

座った状態ではS型プラグやワイヤレスが使用出来ず、L型プラグでもモッコリした触感が否めません。アンプを通す場合は立位専用になるので、長時間の練習にはあまり向かない設計です。

即ち本機は星への愛で己にバフをかけ、ノリとバイブスだけで使い切るのが正解となります。細かい事を気にしたら負けにつき、常に全速前進な深夜のテンションで扱いましょう。
ボディのお手入れにも拘りを
ナット
ナットはブラックのプラスチック製を搭載し、サイズは40.0×5.0mm程です。ネックの横幅からはみ出さぬように合わされており、簡単に面取りも行われています。

ローフレットを抑えてシャープする箇所は無く、溝切りの間隔や深さが適切です。けれども角の面取りが多少ラフなので、開放弦を交えた際に角に触れると痛みを感じます。

接着もネックの塗装前に行われているため、ナットの側面にグロス仕上げの塗料が付着している状態です。ピッチに問題はなくとも、いかにもな量産機らしい仕上がりとなっています。
フレット
公表ではミディアムサイズのニッケルフレットを搭載し、幅は実測で2.3~2.4mm程度です。高さが標準より幾分低めとなっており、弾き応えはヴィンテージタイプ寄りに感じられます。

切断面は整えられているため、クロスを上下に移動させても繊維がからまりません。ですがフレットそのものの質感が脆いのか、整えられた表面にも関わらず弦の滑りがイマイチです。

表現が難しいのですが、ベンド時は指に弦とフレットの強い摩擦感が伝わってきます。音詰まりやフレット音痴は無く、コードワークやカッティングでは特に気にならない要素です。

複雑なリードプレイを演奏する際は、独特なフレットの摩擦感に慣れを要します。
ブリッジ
ブリッジはDaisy Customと公表されている通り、アーティストモデル専用のタイプです。弦の装着は裏通しのみとなっていて、表通し(トップローディング)には非対応となっています。

ピッチの設計がナットに合わされているためブリッジ本体が10.5mm、サドルが10.0mmです。そのためサドルの位置関係が真っすぐではなく、1弦と6弦がほんのりハの字状になります。

よってサドル先端部の実際のピッチは、10.5mmでもなく10.0mmでもなく10.2~10.3mm程度です。あまり使用されないピッチにつき、ハイフレットの弦ピッチが狭く感じるかもしれません。

サドル自体はトレモロタイプと同等で、イモネジやオクターブネジによる調整が容易となっています。
センター
左右対称のボディシェイプということもあり、ネックとボディの組み込みは合格点です。1弦から6弦まで均等に指板上に収まっていて、ナットやPUザグリ、ブリッジもほぼ中央に配置されています。

価格帯の割に綺麗なセンターですが、ブリッジピックアップのピッチがアンマッチです。10.3mmという独特なピッチに合わせたモデルではなく、通常の10.4mmピッチのダンカンデザインが搭載されています。

弦よりもピックアップのピッチが広いため、6弦のみポールピースの中央を通過している状態です。市販品でピッチを合わせるのが難しいので、交換の際はダンカン SH-13等のブレード型ポールピースが候補になると思います。
Seymour Duncan SH-13ってどんなピックアップ?
電装系
本機は2つのピックアップに対し、トーンもボリュームも共通のマスターコントロールを採用です。コントロールは1Volume、1Tone、3wayとなっており、スイッチはトグルスイッチ型となっています。

ポットは大型で渋めのトルクですが、なんとかボリューム奏法も可能な範囲です。スイッチは安価なオープンタイプなので、接点不良の発生に注意しましょう。

パーツグレードは価格帯相当といった塩梅につき、劣化が目立つ頃合いを見て交換しても良いと思います。
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重量
画像だけで判断すると重量級に見えるスター・アーティストですが、重量は3.36kg程度とやや軽量です。ボディ厚は計測箇所毎にムラがあり、46.3~47.2mmとバラ付きがあります。

形状自体はしっかり切り出せているものの、厚みの加工精度がそれほど高くないですね。一方重心バランスはネック側が軽いのか、ヘッド落ちがしにくく相当に安定感があります。

座って演奏するのが難しい形状なので、重心バランスの良さを活かして立位演奏専用機にするのがベターです。ホールド力の低い化繊ストラップを使っても問題無く、ストラップを好みの柄だけで選べる点は大きなメリットに感じます。
ウチのブログ、ナイスなストラップ情報も満載!

サウンド:Daisy Rock スター・アーティスト (LDSY6161) ド派手に可愛い星型レアギター
スター・アーティストは他に同型モデルがないため、外観から全く音の予想が出来ないハズです。見た目通り尖った音なのか、星のように煌びやかな音なのか、色々妄想が膨らむことでしょう。

実際にはどのような生音がするのかというと、完全に長方形状の板ギター系列の音となります。いわゆる弦の真下だけが鳴る感覚のあるギターで、ボディに振動が伝わりにくい心象です。

中心部に振動が集中するとも捉えられますが、ネックだけがキンキン鳴るような機械的で冷たい響きとなっています。冷たいといっても高音が鋭いという訳でもなく、トーン自体は没個性的かつ平坦です。

ジャカジャカ鳴らして楽しい生音ではなので、素直にアンプを通して演奏した方が良いと思います
板ギターもレビューしているよ💖
ブリッジピックアップ (Duncan Designed HB-103B)
生音の希薄な存在感を補うように、ピックアップは個性的なモデルを搭載です。ブリッジに搭載のダンカンデザイン HB-103Bは、ダンカンSH-6bの廉価版に該当します。

SH-6系統のハイパワー系セラミックハムバッカーで、とにかく出力を稼げるのが魅力です。当ブログでも過去にポールピース抜きの音を試したことがあり、実験用の素材としても面白いモデルとなっています。

抵抗値は15.57kΩのシリーズ配線、ポールピースピッチは10.4mmです。

出力が高い分歪みやすく、中~中高音にかけてガッツのある伸びを誇ります。
本家SH-6の音質解析はコチラ!
» 【ギタリストの疑問】ギターピックアップはポールピース無しでどれくらい音が変わるの?
HB-103Bのポールピースを抜く実験
ネックピックアップ (Duncan Designed LS-101)
ネックはこの価格帯では意外性の強い、リップスティックタイプのLS-101を搭載です。こちらは既存の2機種を合体したようなモデルでチューブのサイズがSLD-1、取付け方式がSLS-1となります。

音色は両モデルのネックタイプに近く、ミッドの抜けたチャリンと響く高音が鮮烈です。一般的な太く甘いネックピックアップとは異なる、鋭く切れ込むようなアタックを演出します。

賛否両論点としてはHB-103とは出力差が顕著で、バランスを取るのが難しいです。

その分ハーフトーンの響きがユニークですが、演奏時に単独で使い分ける際はエフェクターによる音量調整が必要になると思います。
SLS-1はSTサイズリップスティック!
倍音特性 (A2/110.00Hz)

せっかくの機会ですので、各ピックアップの倍音と周波数特性を計測しました。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) を解析です。
1.ブリッジピックアップ (Duncan Designed HB-103B)
低次倍音から高次倍音まで計測されているものの、枝毛状の波形が何か所か目に付きます。出力が高過ぎるのか、倍音と倍音の谷間にバズるような非整数倍音が発生です。

クリーンでは透明感に欠ける響きで、アンプによってはナチュラルにクランチするかもしれません。第3倍音が突出して高い点は、生音の冷たい響きが少なからず影響を与えています。
2.ネックピックアップ (Duncan Designed LS-101)
ブリッジよりも広範囲で高次倍音が計測されるなど、ネックPUらしからぬ煌びやかな倍音特性です。ストラトやテレキャスのネックPUと比較して、高音の広がりにアドバンテージが得られます。

しかれども偶数次倍音が極端に弱く、随所で奇数次倍音が主張する点が玉に瑕です。ネックPUに必要な暖かみはほとんど感じられず、鼓膜に鋭く切れ込む響きに特化しています。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない

ハイゲインで使用する際に余計な倍音が気になる場合はフレットラップを活用しよう!
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周波数特性

周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
a.ブリッジピックアップ (Duncan Designed HB-103B)
250~400Hzにかけて、パワフルなトーンを繰り出すハムバッカーモデルです。2k~5kHz付近こそ平均より少し上程度ですが、6kHz以降も高い値を記録しています。

低音の力感は標準的につき、本家SH-6を一回りスケールダウンさせた感じですね。歪ませると低音が強くなるのもSH-6と同じで、意外にもバランスの良いトーンにまとまっています。
b.ネックピックアップ (Duncan Designed LS-101)
HB-103Bでは平均的だった2k~5kHzにかけて、ネックPUとは思えぬ高い値を計測です。テレキャスターのブリッジPU並みに高音が響く上に、5kHz以降も衰えることなく伸び続けます。

400~2kHzにかけては絞り気味ですが、150~200Hz付近の低音は標準以上の力感です。出力はブリッジより-7dBも低いものの、星型ボディらしい尖った音色であるとも言えます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Daisy Rock スター・アーティスト (LDSY6161) ド派手に可愛い星型レアギター まとめ
良し悪しは抜きにして、星柄好きにとってはルックスだけでも全身が満たされるギターです。厳選されたパーツ構成や一定の水準をクリアしている加工面など、価格帯以上のポテンシャルを秘めています。

惜しむらくはボディ構造から演奏性と音質の両面で得られるメリットが少なく、奏者に求められる演奏技量は高くなりそうです。やはり本機はその見た目の良さを活かし、

限界までテンションをブチ上げ脳汁の促すまま演奏するのに相応しい一台に仕上がっています!

これまでの中古相場やオークション落札価格は諭吉3枚以上になる場合が多いみたいですが……

おそらくスター・アーティストにそこまでの価値を見いだせるのは星を愛する一部の層のみです!

決して元は高額なギターではないのでヒートアップし過ぎないようにね!
※ショートとアーティストの扱いがごっちゃになっているのも気を付けてちょ
🏃💨完全な星型のギターは諦めてランダムスターを狙う🌟

ハデー・ヘンドリックス物語
ツイートへの謝辞

ツイッターで呟いたら画太郎よりも6部承太郎という反応が圧倒的に多くてフフってなったぜ
年末にも関わらずツイートに反応していただいた皆様、本当にありがとうございました!!
🧠「他の記事も読んで脳汁出していってね💖」
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