Guild SURFLINER レビュー!多彩な音色を奏でるレトロモダンなオフセットボディエレキギター!
目次
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Guild SURFLINER オフセットボディから漂うレトロモダンスタイルに熱視線!
Guild Guitarsでは2022年より、完全新作エレキギターとして『SURFLINER シリーズ』を展開しています。SURFLINERはGuild USA工場所在地となる、カリフォルニアの海岸線にインスピレーションを受けて誕生したモデルです。
人目を引く左右非対称オフセット・ソリッドボディは、ビンテージGuildから続く伝統的曲線美と変化急な仕様を踏襲しています(冒頭動画参照、計6モデルのデザインを注入)。ピックアップにノブ、ピックガード、ネックプレートなど、随所にオリジナルパーツを搭載です。
ネックはGuildでは希少となる25 1/2インチ(648mm)レギュラースケールを採用し、フレット数も23という特殊性が光ります。オリジナルピックアップが繰り出すサウンドは汎用性が高く、鋭いクリーンからローファイなドライブまで作成可能です。
1950~70年代Guild風ルックス&スペックに現代的な機能性が盛り込まれた、レトロモダンと称すべき斬新なスタイルを構築しています。
カリフォルニア州沿岸の激しい高波は『世界有数のビッグウェーブ・スポット』として有名だね!
SURFLINERシリーズはビンテージ感溢れる3モデル!
現在SURFLINERシリーズは3モデルが発表されており、ユニークかつビンテージ感溢れる仕様から解き放たれるエネルギーが満点です。
SURFLINER (カラバリ3色)
基本となるSURFLINERは汎用性の高いHSSピックアップに、ロッカー・ピックアップ・スイッチング・システムを搭載です。各ピックアップには出力のON-OFFを切り替え可能とする、専用のロッカースイッチが1つずつ割り振られています。全てのピックアップを同時に出力することも出来るため、合計7通りのピックアップの組み合わせを創出です。
SURFLINER HH (カラバリ2色)
SURFLINER HHはアルニコIIマグネットのHB-2ハムバッカーを2基搭載し、ボリュームとトーンがコイルスプリットに対応しています。ポジション毎にハム・キャンセリングかコイル・スプリットを選べるので、合計8通りのピックアップの組み合わせを選択可能です。グロス・ボディのメタリック・フィニッシュも洗練された印象を与え、ロックやメタルに最適なサウンドを再生します。
SURFLINER DELUXE (カラバリ3色)
SURFLINER DELUXEは上位モデルとして剛性と安定感を高めており、新開発のフローティング・ビブラート・テイルピースが鮮烈です。ローステッド・メイプル・ネックとバウンド・ローズウッド指板を採用し、シリーズ中唯一のマッチングヘッドとなっております。指板に輝くブロック・インレイもインパクト十分で、SURFLINERの『真価と進化』が両立したモデルだと言えるでしょう。
ヤマハミュージックジャパンがGuild日本国内輸入代理店へ
2024年3月1日よりヤマハミュージックジャパンは、Guildを含むCordoba Music Group社製品3ブランドの取り扱い開始です。2024年2月29日まではキクタニミュージックが日本国内輸入代理店を務めており、全てのサポート業務を引き継ぐ形となりました。2024年3月1日以降に新規購入されたモデルのみならず、国内正規品として過去に販売されたモデル(※)もサポート対象となります。
(※)「Cordoba」「Guild」「DeArmond」の国内正規品として流通した全商品
ニュースリリース参考リンク
日本国内におけるCordoba Music Group社製品取り扱い開始のお知らせ – ニュースリリース – ヤマハ株式会社
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2024/24020101/
【終了】SURFLINERギターor特製グッズが当たるキャンペーン【キャンペーン期間:2024年4月19日(金)迄】
Guild Guitars Japan 公式Xアカウント (@GuildGuitarsJP) では、SURFLINERや特製グッズが当たるキャンペーンが開催されました。SURFLINERやGuildオリジナルグッズを試せるまたとない機会となるため、Xアカウントをお持ちの方は奮ってご応募ください。応募条件はGuild Guitars Japan 公式Xアカウントフォローした上で、上記ポストをリポストするのみとなっています(キャンペーン期間:2024年4月19日AM10:00迄、当選者確定済み)。
本記事ではキャンペーンの景品となっているSURFLINERの別カラーバリエーション、サンセットオレンジ(ORG)をレビューするよ!
開封の儀:Guild SURFLINER
Guild SURFLINERは店頭で正規品を購入した場合、付属のGuild Premium Electric Gig Bagに収納してお持ち帰り可能です。通販ではギグバッグに収納された状態で発送される場合と、SURFLINER本体とギグバッグが別々に発送される場合があります。
Guildのギター用段ボールは紙質が厚手となっており、底面にシリカゲルがセットされているなど輸送に配慮された梱包です。
段ボールの中にはSURFLINER本体の他、ブランドロゴ入りの白いポーチにサンクスカードやレンチ、ピックが封入されていました。
SURFLINERのファーストインプレッションは想像以上に軽く、ボディのクリア感が目に飛び込んできます。実物も宣材写真のイメージそのままといった感じで、とにかくレトロモダンなオーラが超クールですね。
管理人が購入したのは初期調整済みの個体につき、各部不具合無く良好なコンディションで入手出来ました。
基本スペック
Guild SURFLINERは公式サイトにて、他ブランドの標準的スペック表よりも詳しい情報が掲載されています。紹介ページの『Show Full Specs』をクリックorタップすると、実に40項目以上にも及ぶスペックを確認可能です。
ナットやブリッジの弦間ピッチ、デフォルト弦、各部ボディサイズも詳細に公表されているのには驚くかもしれません。全文引用すると長くなるため一部引用とし、更なる情報は下記参考リンクより公表スペックをご確認願います。
ボディ
ボディ・タイプ ソリッドボディ
ボディ・シェイプ Guild Surfliner
ボディ・トップ N / A(ソリッドボディ)
ボディ・ウッド(ソリッドボディ) ポプラネック
引用:Guild Guitars|Surfliner サンセットオレンジ
ネック材 メイプル
弦長 25 1/2インチ(648mm)
ネック・シェイプ Cシェイプ
ナット幅 1.11/16インチ(43mm)
ネック厚 1フレット 21mm
ネック厚 9フレット 23.5mm
トラスロッド デュアルアクション
トラスロッド・レンチ 4mm六角レンチ
フィンガーボード メイプル
フィンガーボード・ラジアス 10インチ(254mm)
フィンガーボード・インレイ 5mmドット-ブラックABS
指板インレイの位置 3, 5, 7, 9, 12 (x2), 15, 17, 19, 21
フレット数 23
フレットタイプ ナロー・ジャンボ
ハードウェア
ブリッジ 弦間ピッチ 2インチ(50mm)
ハードウェア・フィニッシュ/メッキ ニッケル
ブリッジ チューン・オー・マティック
テイルピース スティングスルーフェルール
ナット材質 コンポジット
チューニング・マシン ギルド・ヴィンテージ・インライン
ストラップ・ボタン ビンテージ・スタイル – ラージ
ピックガード Surfliner HSS 3プライ ホワイト/ブラック/ホワイトエレクトロニクス
引用:Guild Guitars|Surfliner サンセットオレンジ
ブリッジ・ピックアップ GuildLB-1ブリッジ・ピックアップ
ネック・ピックアップ DeArmond Aerosonic Single Coilピックアップ Neck Nickel/Black
ピックアップ・ スイッチ ブリッジ・ピックアップ – ON/OFF、ミドル・ピックアップ – ON/OFF、ネック・ピックアップ – ON/OFF
コントロール マスター・ボリュームとトーン、3 x ロッカー式 ON/OFFピックアップ・スイッチ
製造はMADE IN INDONESIAだよ
スペック参考リンク
Guild Guitars|Surfliner サンセットオレンジ
https://guildguitars.com/ja/g/surfliner-sunset-orange/
ルックス:Guild SURFLINER
完全新作モデルとして発売されたSURFLINERですが、クラシカルなビザールテイストに近代的ハードウェアと電装系が融合です。左右非対称のオフセット・ソリッドボディは薄手に設計されている反面、ボディの表面積は広めとなっております。
コンター加工やジョイント部の滑らかさが曲線美を強調しており、まさに海岸線を想起させるボディシェイプです。一方電装系はメカニカルなスイッチレイアウトやオリジナルピックアップのルックスが、近未来感を醸し出しています。
宣材写真を見てジャガーやジャズマスターに近い形状と感じる方が多いと思われるものの、実物を前にすると雰囲気は全く別物です。Cシェイプでありながら薄手のグリップや23フレットという特殊性からも、伝統一辺倒に囚われぬ遊び心が感じられます。
注目するポイントによって『かっこいい』とも『カワイイ』とも映る、型破りなルックスはGuildならではですね。フロンティアスピリットに満ち溢れたオリジナリティは、必ずや使い手の心にビッグウェーブを巻き起こすことでしょう。
ヘッドシェイプ
ヘッドシェイプはリバースサイドのSTヘッド風に見えてL6配列という、イレギュラーなフォルムが楽しめます。
FirebirdとThunderbirdの中間的イレギュラー感がトリックアートのようで、初見時に脳が二度見を要求してきました。
maderaの筆記体ロゴを彷彿とさせるビンテージ風筆記体ロゴも味わい深く、ギルド・ヴィンテージ・インラインペグも良い塩梅です。
うねりのある形状と緩やかなヘッド角度が相まって、ボディと同じく海原の波を連想させる『上下の統一感』が絶妙となっております。
ボディもネックもサーフというテーマで統一された流線的フォルムが◎!
フィニッシュ
フィニッシュはボディ側は透明感を意識したグロスフィニッシュ、ネックは全域にサテンフィニッシュを採用です。
ボディ材のポプラはキメが細かく木目が真っすぐですが、その木目が塗装から薄っすらと透けて見えます。グロスの艶感も強めに出ており、キュートでオシャレなシースルーを演出しています。
ネックは艶を抑えたサラサラのサテンフィニッシュで、ボディと対照的にマットな質感です。ヘッドもグリップ面と同じサテンフィニッシュにつき、上位モデルのSURFLINER DELUXEと差別化が図られています。
メイプルとサテンフィニッシュの組み合わせは、低価格帯ギターで多用されることもあり安っぽく見えるかもしれません。ヘッドロゴもヘッド面積が広い割に小ぶりのせいか、のっぺりとした空間の味気なさが少し惜しいですね。
ただし滑りが良くべた付かないグリップの触感は、手汗をかきやすい体質の方や初心者の方でも扱いが容易と思われます。
キョンセームで健やかなフィニッシュを保とう!
ハードウェア
ハードウェアには専用規格のものが多く使用されており、中でもHSS 3プライピックガードの不規則な形状が秀逸です。樹脂プレート類はロッドカバーも3プライとなっていますが、バックキャビティ用のプレートのみブラック1プライとなります。
3つのピックアップとロッカー・スイッチはオリジナルのもので、ストラップピンも特殊形状のラージスタイルです。
ノブはトップに輝く『G Shield ロゴ』のみならず、スカート部のダイヤル表記に拘りが感じられます。
ネックプレートは取付けピッチこそFender規格準拠であるものの、中抜き文字風のロゴデザインが存在感抜群です。ナロータイプのチューン・オー・マティックブリッジは、弦のボールエンドから距離をとってテンションバランスを稼いでいます。
加えてスティングスルーフェルールがヘッドのペグ配列とは真逆の配列につき、ナットとサドルにかかるテンションが均等です。ボディ厚が薄く通常の裏通しではテンションが稼げないことを考慮してか、創意工夫が感じられるレイアウトとなっています。
アウトプットジャックはボディダイレクトマウント仕様ですが、使用されているジャック自体はいたって普通の汎用品です。ギルド・ヴィンテージ・インラインと銘打たれたペグも、外観・性能共に標準的なクルーソンスタイルとなっております。
ペグとジャック以外は代替品の少ないパーツとなるため、不用意に扱って破損しないように注意!
互換ネックプレート
パーツグレード
専用パーツが多いため判断基準が難しいとは言え、パーツグレードは実売価格に相応しい品質のもの揃いです。強いて挙げるとすればアウトプット用のモノラルジャックと配線材、コンデンサがややチープな程度でしょうか。
金属パーツは総じてメッキの質が良く、ペグのギアもブリッジのイントネーションスクリューもストレス無く動きます。密かにトラスロッドもダブルアクション仕様が組み込まれているなど、価格帯の制限がある中で企業努力が伝わってくる構成です。
決して高級パーツではありませんが、後にサウンドの項で詳しく紹介するオリジナルピックアップなどには価格帯以上の魅力が詰まっています。
ギグバッグ
ハイクオリティなSURFLINER本体のみならず、付属のGuild Premium Electric Gig Bagも隙がありません。オフセット・ソリッドボディは適切に収まるケースが見つかりにくく、収まりの良いギグバッグが付属するだけでも満足度高めです。
ベルクロ式で位置を任意に設定出来るネックピローを内蔵し、ネックホールドバンドも固定力が高いため使いやすく感じます。ネックヘッドとブリッジの接触する箇所には補強生地があてがわれており、運搬は片手持ちにも両肩掛けにも対応です。
ショルダーベルトは金具部分が脱着可能で、ベルト収納用ストッパー内に収めることでかさばらずに保管出来ます。収納はポケットが1つのみであるものの、A4サイズの楽譜やファイルが楽々入る大型設計です。
サービスケースとは侮れない品質につき、ハードケースが必要な空輸や宅配サービスを除いて持ち運びに困る事は無いでしょう。
演奏性:Guild SURFLINER
ここからは演奏に関わる要素に焦点を当てて、各パーツ単位で細かくチェックしていきます。ギターに手を加えた状態で評価するのではなく、購入直後のデフォルトコンディションを評価です。部品の機能性と組み込みの精度も含め、可能な限り主観を除いた視点を心掛けました。
ペグ
ギルド・ヴィンテージ・インラインはL6配列の7点止めクルーソンスタイルペグで、ギア比は1:16で設計されています。ブッシュも含めて丁寧に組み込まれており、6個全てムラがなく安定したトルクです。現状のままでも問題無さそうですが、交換する場合はペグポスト間隔23.8mmのタイプが必要となります。
激安ロック式ペグレビュー
弦高&オクターブチューニング
先述の通り初期設定済みの店舗で購入したため、弦高もオクターブチューニングも万全です。
デフォルト弦のD’Addario EXL110を使用した状態で6弦側弦高が約2.2mm、1弦側弦高が約1.8mmに調整されています。
ネックの状態が良く1.2mm程度まで弦高を下げることも可能でしたが、SURFLINERは高めの弦高の方が真価を発揮出来そうです。握り応えと音のハリがうまく連動しており、メイプルネックのレスポンスの速さや音像の鋭さを際立たせてくれます。
オクターブチューニングは全弦12Fを基準に、ほぼ狂いなく調整されていました。サドルは全ての弦で前後にまだ余裕があるので、フレットの使用頻度に合わせて12F以外を基準に再調整することも可能です。
激安弦高ゲージ!
ネック
ネック材は本体も指板もメイプルを採用し、25 1/2インチ(648mm)レギュラースケールの23フレット仕様となります。市販モデルのエレキギターで23フレット仕様は珍しく、SURFLINER固有のフィンガリングやフレーズを作れるのが良いですね。
またゆるやかな角度のついたアングルドヘッドにつき、ヘッド側は2フレット裏側付近からスカーフジョイントの繋ぎ目が見えます。どうしてもスカーフジョイントは見た目の好みが割れますが、当然ながら段差等は無くすべすべの仕上がりです。
グリップはボディと同じく薄手の部類で1フレット付近が厚さ21mm、9フレット付近が厚さ23.5mmとなります。ナット幅は43mmで12フレットの幅は52mmとなるため、慣れるまでローフレットは『薄く広く』感じるかもしれません。
グリップはCシェイプで指板のRは10インチとなっており、ネックとボディのジョイントは17~18フレット付近です。
ハイフレットに思いのほかアクセスしやすく、サテンフィニッシュの馴染みやすさも演奏性向上に一役買っています。
ボディ
曲線美とクリアなフィニッシュに視線が集まるボディですが、立位でも座位でも奏者の身体とのフィット感が上々です。
大胆なバックコンターと繊細なエルボーカット、そしてボディトップ1弦側のくびれにもコンター加工が施されています。
座って演奏する際にふとももとギターボディの密着感が得られるのは、他モデルではあまり見かけない利点です。
ボディ厚は平均38mmと薄く軽量なので取り回しが良く、傘が広くてストラップが外れにくいピン形状も有り難く感じます。
しかしストラップピンは大型なだけでなく高さもあるため、ストラップブロックを装着すると隙間が発生です。ストラップブロックを使用する際は二枚重ねで装着するなど、ストラップエンドの厚みによっては何かしらの対策が必要となります。
ロックピン&ストラップブロックのレビューはコチラ!
ナット
ナットはコンポジット材でLPタイプの形状に近く、サイズは43.0×6.0(mm)です。溝の深さや弦間が適切に設計されており、面取りも含めて表面が綺麗に整えられています。
1フレットを押さえてピッチが狂う箇所はなく、チューニング時に弦が引っ掛かる感触もありません。ナットの頂点は低めにつき、弦高を下げたり細い弦に交換すると弦落ちしやすくなるため注意しましょう。
フレット
公式サイトではページによって、『ナロー・ジャンボ』と『ミディアム・ジャンボ・フレット』の表記ゆれを確認です。管理人の個体はフレット幅2.6mm程度で、材質は普遍的なニッケルシルバーと思われます。
全弦&全フレットを確認したところ、音詰まりやピッチの狂い、高さのムラや表面のザラつきなどは一切無しです。同価格帯のギターに求めるべきフレットの仕上がりを十分クリアしているため、演奏性は総じて快適となっております。
サイズに関してはもしかすると年式により微妙な差異があるかもしれないので、気になる方は店頭で実物を確認しましょう。
ブリッジ&スティングスルーフェルール
チューン・オー・マティックとしか表記の無いブリッジですが、別段安っぽい代物でもありません。サドルは溝付きでイントネーションスプリングは使用されておらず、スタッド部分のみスチール製です。
手の腹を乗せやすい形状なのでブリッジミュートが演奏しやすく、ミュートの跳ね具合もノリノリでパワーがあります。スティングスルーフェルールによるテンションバランスの影響が大きいのか、ノーブランド品のブリッジでありながら好印象です。
激安ローラーサドルーラーサドルレビュー
センター
管理人の個体はネックとボディの組み込みが良く、各パーツもこれ以上に無いレベルでセンターに収まっています。ナット、ピックガードのピックアップザグリ、ブリッジと、それぞれの位置関係が適切というか完璧に近いです。
ピックアップはビザールギターを意識してか、意図的にアンマッチなピッチを設定していると推察します。ブリッジサドルが実測ピッチ10.2mmに対しブリッジPUが9.8mm、ミドルPUが10.4mm、ネックPUが10.0mmです。
ミドルPUとネックPUは1弦ポールピースがセンターに来るように配置されているため、6弦側にいくほど弦とズレが生じています。ブリッジPUは逆にピッチが狭いので、3弦と4弦が中央に来るような配置です。
ポールピースピッチを合わせるというセオリーからは外れていますが、ピッチをズラすことで出力を整えているようにも感じます。現にサウンド面で各弦の出力不足は感じられず、SURFLINERではアンマッチなピッチが最適解となる設計なのでしょう。
以前Seymour Duncan SH-18の記事で触れたけれども、狙うサウンドによってはピッチを『合わせない選択肢』もあるからね
Seymour Duncan SH-18 レビュー
電装系
電装系は3つのロッカースイッチからなる、ロッカー・ピックアップ・スイッチング・システムが最大の特徴です。他のコントロールはシンプルで、マスターボリュームとマスタートーンのみで構成されています。
ポットは韓国製のALPHAが使用されており、フィルムコンデンサは耐圧100V、静電容量0.033μF、精度誤差Jランク(誤差±5%)です。
ロッカースイッチはピッキング時の接触で誤動作しないように表面が低摩擦で、淵に丸みのある低背タイプが搭載されています。
スイッチには確かなクリック感が備わっているため、購入後はスイッチの切り替えが楽しくて時間を溶かすことになるでしょう。ですがスイッチ切り替えの楽しさに反し、演奏中にスイッチ切り替えは慣れるまで時間がかかるハズです。
単独のピックアップ出力を切り替える際はON-OFFを同時に2か所行う必要があるので、レバー式スイッチよりも高難易度となります。多彩な音色を作成出来るとは言え、瞬時に切り替えるのが極度に難しい組み合わせもあるのです。
例としてネック&ブリッジONからミドル単独ONに切り替える場合など、スイッチを3つ同時に切り替えるテクニックが求められます。各ポットのトルクは気持ち渋めで、小指で操作するのには向かないかもしれません。
電装系交換前に要チェック!
重量
本体重量は実測2,990gと軽量な部類となっており、正面から見た際のボディ幅からは想像出来ない身軽さです。立って演奏する際は腰や肩への負担が少なく、座って演奏する時もコンター加工と相まって良好なフィット感が得られます。
難点としてはヘッドが大型であるのに加え、トラスロッドが重量のあるダブルアクションなので重心バランスがイマイチです。化繊等の低摩擦ストラップはネックヘッドが傾きやすいため、レザー製やコットン製ストラップの方が好相性となります。
サウンド:Guild SURFLINER
SURFLINERは軽量かつ薄手のボディから生音が大人しそうに思えて、予想よりもジャランと響く大き目の音量です。生音からはパキっとした音の輪郭と鋭さが感じられ、体感的に上部ストラップピン付近にまで弦振動が伝わってきます。
LB-1 Little Bucker (ブリッジ)
ブリッジピックアップはLB-1 Little Buckerを搭載し、ハムバッカーとシングルコイルの中間を狙ったサウンドです。抵抗値はミドルとネックよりも控えめの5.05kΩですが、代わりにAWG41と太めのワイヤーが使用されています。
マグネットはアルニコ5で、小径タイプのアジャスタブル・ポールピースが独特の磁界を形成です。クリーンではミッドが広範囲で良く出ており、鼓膜に切れ込むようなアタックの強さを併せ持ちます。
歪ませるとローゲインながらもいい意味でグランジ感が加味されて、空気を含んだようなスモーキートーンが個性的です。ハリのあるクリーンがローファイなディストーションに変貌する音は、パンクやスカなどのジャンルで即戦力となります。
DeArmond Aerosonic Single Coil (ミドル&ネック)
LB-1に負けず劣らずの異彩を放つDeArmond Aerosonic Single Coilは、ミドルとネックのマッチド・セットです。マグネットはアルニコ5を搭載でミドル用が6.46kΩ、ネック用が6.29kΩとなっています。
ミドルもネックも高音の煌びやかなベルトーンを再生しミドルはミッドハイに、ネックはローミッドにアドバンテージ有りです。ゲインを上げると芯のあるドライブを作成可能で、いずれもリードプレイに相応しいホットトーンが飛び出します。
ミドルとネックを同時に出力するハーフ・トーンは、強めのコンプレッションとアヒルのような高鳴りが『ど・サーフ』です(ステレオタイプ的サーフサウンドよりも勢いがある)。アンプ内蔵のスプリングリバーブを強めに設定すること、往年のサーフ・ギターに肉薄する音色が楽しめます。
ワイヤーはLB-1より一回り細いAWG42となっており、ブリッジ側の方が低い抵抗値であるにもかかわらず理想的な出力バランスですね。
ピックアップ組み合わせ一覧(7通り)
7番のポジションでは全部のピックアップを同時に出力することが出来るよ!
全てのピックアップを同時に出力する際のミッドハイが極端にカットされたエキセントリックなサウンドは必聴!
倍音特性 (A2/110.00Hz)
最後にピックアップの各ポジションにおける、倍音と周波数特性を計測しました。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) を解析しています。
1.LB-1 Little Bucker (ブリッジ)
ハムバッカーとシングルコイルの中間的音色を裏付けるように、基音は波形の山のすそ幅(横軸)が広く出力(縦軸)も力感十分です。基音~第5倍音まではハムバッカーの倍音特性に近く、第6倍音以降はシングルコイル的な倍音特性となっております。
力感と中高音以降の煌びやかさを備えているだけでなく、500~1kHzにかけて倍音の出力が低く非整数倍音の値が高い点にも注目です。中高音の倍音が大人しいのに雑味が強いため、歪ませた際に空気を含んだようなスモーキートーンに変化するものと考えられます。
2.DeArmond Aerosonic Single Coil (ミドル)
お手本にしたいようなキラキラベルトーン系倍音特性で、高次倍音の計測範囲(横軸)が広く出力(縦軸)も総じて高めです。第7倍音以降は非整数倍音がほとんど計測されておらず、賑やかな鈴鳴りを一層鮮やかな響きに昇華させています。
3.DeArmond Aerosonic Single Coil (ネック)
ミドルと同じく高次倍音の計測範囲(横軸)の広さは据え置きのまま、基音と低次倍音の迫力をアップさせた倍音特性です。基音~第3倍音までの出力が爆発的に高く、高次倍音は音の輪郭に艶を加えるように作用しています。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
a.LB-1 Little Bucker (ブリッジ)
100Hz以下の重低音が控えめな点を除き、広い帯域で高めの値を計測です。特に300~800Hzにかけて高い出力を記録しており、ミッドの塊のような暖かいトーンが味わえます。2kHz前後の帯域も伸びが良く、シングルコイルに引けを取らないメリハリを演出可能です。
b.DeArmond Aerosonic Single Coil (ミドル)
ミドルマウントのシングルコイルとは思えないほど、1.5kHz以降の帯域でとても高い値を計測です。100~1kHzにかけても満遍なく出力が高めで、生々しさを抱くほどアグレッシブな音色を奏でます。3kHzより上の帯域がブリッジマウントのLB-1より上手である点からも、本ピックアップの高音の伸びの良さが想像しやすいハズです。
c.DeArmond Aerosonic Single Coil (ネック)
100~400Hzにかけて極めて高い値を計測しており、太く芯のあるリードプレイに相応しいサウンドを再現します。500~1.2kHz付近はミドルよりも圧縮されたような波形につき、その分ローミッドが前に出やすいのかもしれません。2kHz以降はミドルと大きな変化が無くネック用としては高音の伸びが良いため、全面的にエッジの効いたサウンドです。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
Guild SURFLINER サウンドデモ
Guild SURFLINER レビュー まとめ
左右非対称のオフセットボディから漂う新旧融合レトロモダンスタイルが、弾き手の魂を震わす多彩なサウンドメイクを実現します。普及クラス相当の価格帯とは言え高い品質管理は老舗ブランドの成せる技で、エポックメイキングなアイディアも満載です。
サテンフィニッシュなど個人の好みで評価が割れる要素はあるものの、熱量漲るオリジナリティは見る者の心を鷲掴みにします。決してサーフ一辺倒なサウンドでは無く、幅広いレンジと力強く芯のあるトーンでビッグウェーブを巻き起こせるポテンシャルです!
🏃💨 Guild SURFLINER で音楽シーンにビッグウェーブを巻き起こす🌊🌊
SURFLINER
SURFLINER HH
SURFLINER DELUXE
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