GROTE レビュー 徹底解説&評価:LPS-023 Amazonで激安のステンレスフレット&P90搭載エレキギター

👆 GROTE LPS-023 Amazonで激安のステンレスフレット&P-90搭載ギターをレビュー!
目次
本日もギタいじへようこそ!
急ぎの人は開封の儀から読もう!ハジメマシテな君は『コチラ』も見てね!
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Amazonで買えるステンレスフレット&P-90搭載激安ギター GROTE LPS-023 があまりにも安過ぎる!?
GROTE LPS-023 をレビューする人

ブログ『ギターいじリストのおうち』の全権を司るよくわからない存在。性別年齢不詳の無機物。国内の僻地に遠征していたので海外安ギター購入は数か月ぶり。
ここはギターいじリストのおうち
……の管理人が贔屓にしている激安ホテル
そしてここは、
激安ホテルの一番安い部屋
- 物語はここから始まる -


はーーーっ(溜息)

頭が真っ白でお買い物する闘志が湧かねぇ……
管理人はここ数か月の間、ホテル暮らし続きでお買い物が出来ない状態です。おまけにホテル暮らしに入る前、最後に受け取った荷物が管理人の心にトラウマを植え付けていました。

話は数か月前に遡りますが、管理人は安売りされていたゴールドのネックプレートを注文しています。サイズはフェンダー規格と同等で、入り数は6枚ながら送料込み数百円という代物です。ところが管理員宅に届いたのは、

亜鉛合金タイガーを裏返しにすることでゴールドプレートを装った代物でした。
変な部品レビュー第32回にて、亜鉛合金タイガーが13頭に増殖していたのには理由があったのです。海外の安物に耐性のある管理人も、さすがにこの一件は頭を抱え一昼夜泣き通します。
再び買い物に失敗して、山盛りの亜鉛合金タイガーが届いたらどうしようか……
何かの手違いで、我が家が亜鉛合金タイガー放牧地帯に認定されたらどうしようか……
こうして亜鉛合金タイガーに人格を支配された管理人は、
めでたく物欲イップスを発症です。
ギタいじ用語辞典
外来種の変な三流安ギターパーツ。他の部品に勝手に混入して管理人宅に侵入してくる不法入居者。装着すると愛機の音質が低下する上に人格を支配される。詳しくはコチラ(初出)とコチラ(増殖の過程)の記事を読もう!
ボクの考えた最強の激安ギターを考えてみよう!
物欲イップスを克服するには、新たな成功体験を積み重ねるより他ありません。よって管理人はイップスに抗うべく、いやでも物欲が沸き上がる商品探索の旅に出ました。ここはひとつ買って良かったと思える商品として、属性爆盛りなギターを想像してみましょう。

とりあえずステンレスフレットは必須だよね

なんならEARTみたいにフレット末端のラウンド仕上げを希望

LPタイプは沢山あるけどLPスペシャルっぽい安ギターも欲しいところ

ピックアップは最近人気のP-90タイプだとなお良し!

ついでに金欠だから予算は送料込み1万台まで!!

……なーんてね

こんなボクの考えた最強の激安ギターみたいなふざけた商品売ってる訳ねーだろ!!

……探したら売っていました。
GROTE LPS-023 謎多きAmazon激安ギターについて
Amazonに出店中のGroteGuitarsでは、2023年3月23日よりLPS-023の販売を開始しています。商品説明欄には情報がほとんど掲載されておらず、その多くが謎に包まれたギターです。
型番や商品画像から、LPスペシャルを意識したギターであることは伝わってきます。またタイトルに記載されている通り、塗装仕上げはマットフィニッシュの模様です。いくら1万台の商品といえど、これだけではいささか情報不足のように感じられます。
GROTE公式サイトで明らかになった驚きの属性過多
そこでGROTE公式サイトを調べたところ、LPS-023はステンレスフレットを搭載していることが発覚です。またフレットの末端は手作業にて、綺麗に丸められたラウンド処理が施されています。
更にナットはボーンを採用し、ボディとネックにはマホガニーを使用したセットネック構造です。ピックアップはP-90タイプが2基で、カラーはTS、Green、Yellowのポップな3種から選べます。
その他の情報は公式サイトでも言及が無いものの、送料込み1万台のギターとしては考えられない仕様ですね。これほど属性爆盛りな激安ギターを前に、管理人がみすみす見逃す訳がありません。
物欲イップスなぞどこ吹く風、あっさりとGreenのカートインをキメてしまいます。果たしてGROTE LPS-023の実力は如何ほどのものなのか、随所まで徹底的に解説&評価しながらレビューです!

……カートイン直後の管理人はまだ気が付いておりませんでした
ボクの考えた最強の激安ギターが
1万台で買えるほど
安ギ界の現実は甘くない
という事を……
GROTEについての詳しい説明は下記記事をチェック!
開封の儀:GROTE LPS-023 解説&評価レビュー
今回管理人は海外発送ギターの標準的納期を考慮し、自宅へ帰る3日前に注文を済ませています。GROTE直販ではプライム配送対応商品を除き、2週間以内に到着することが多かったためです。

しかし当日の担当者に気合が入っていたのか、注文から僅か4日で管理人宅まで到着しました。このように超短時間で到着することは稀なので、通常は2週間程度かかるとお考えください。

商品の梱包はGROTEではお馴染み、ギター専用の発泡スチロール箱が使用されています。全体が黄色いテープで覆われているため、開封時に発砲スチロール片が散らばりやすいです。

サイズも大型につき、自治体によっては自己搬入で処分しなくてはならない場合があります。開封作業よりも処分が大変なので、予め自治体の廃棄物処理方法を確認しておきましょう。

内部はギターが綺麗に収まるトレイ式となっており、耐衝撃性の高い梱包形態です。ギター本体も緩衝シートで養生されているなど、海外安ギターとしては丁寧な梱包だと思います。


付属品も輸送時に動かぬよう、ポケット状の隙間にまとめて収納です。目立った外傷等ははなく、工場出荷時の状態を保ったまま手元まで届いております。
付属品
LPS-023を箱から取り出す前に、説明欄に記載のなかった付属品の内容を確認です。付属品はロッド調整用レンチが1本にピックが2枚、S/Lプラグのシールドが1本となっています。シールドは以前別のGROTE製ギターレビューで紹介した、power cableと同一のものです。

初耳の方に説明しますと、パワーとは名ばかりのチープなシールドとなっています。お世辞にも良品とは言えない性能につき、愛用のシールドがあればそちらを使うべきですね。

ピックは2枚ともセルロイドのティアドロップ型で、絵柄はランダムとなります。ギターケースは付属しないため、別途レスポールタイプに対応したケースを用意しましょう。
ケースも色々紹介しているから見てネ!
リーズナブルなギターケースの使い心地を教えてアゲル💖
基本スペック
大まかなスペックは先述の通りですが、使用部品等細部の情報は非公開です。公表情報と実物を調べた上で、分かる範囲内の仕様を下記に掲載いたしました。

Name:Matte Finished Electric Guitar with P-90 Pickups- LP Style Mahogany Solid Body Guitar Model:LPS-023 Color:Green (TS/Yellow) Finish:Matte Hand Orientation:Right Body Material:Mahogany (thin body design) Neck Material:Mahogany Fretboard Material:unknown (※) Fret:22F Medium Jumbo Stainless Steel
※Amazon商品欄では『ローズウッド』とあるものの、公式ページでは表記無し。ナゼカナー?

Nut:41×6 mm Bone Width At 12th Fret:52mm Joint:set in Neck Shape:C Scale:24.75”(628mm) Tuners:Chrome JIN HO Type Pickups:P-90 Type×2 Controls:3-way switch,1 tone,1 volume Guitar Bridge System:Tune-O-Matic Binding:single binding at fingerboard
価格について
海外製品固有の問題として、販売価格の上下が激しい傾向にあります。Amazonで購入する際は送料込みで高めの場合と、送料別途で安めの場合がある様子です。
本記事公開時点ではまだ1万台であるものの、今後高騰する可能性も考えられます。購入の際は必ずKeepaを活用し、価格調査を行うことを推奨です。
2023.05.17追記

Greenは再販分より値上がりしているので注意!
ルックス:GROTE LPS-023 解説&評価レビュー
仕様に惹かれて購入したLPS-023ですが、遠目に見たルックスは上々となっています。正面のフォルムはレスポール・スペシャルを元にしつつ、随所に手が加えられたデザインです。

41mmというナットの仕様からも分かる通り、ネック幅はスリムに設計されています。ヘッドトップは引き締まった形状で、ボディも標準的LPSタイプよりは薄手です。

その分重量が本家より軽く、手に取った際に重さをほとんど感じませんでした。色は商品画像で見た印象よりも、マット感が強い仕上がりとなっています。
ラウンド仕上げのステンレスフレット
真っ先に確認せずにはいられないのが、LPS-023のウリとも言えるステンレスフレットです。以前紹介したLPF-001もステンレスフレットを搭載していたものの、本機は1/2以下の価格帯で販売されています。

国内で購入出来る現行品のGROTE製ギターでは、なんと2番目に安い販売価格設定です。あまりにも安過ぎる価格設定故に、その仕上がり具合が気になると思います。

結論から申し上げますと、LPF-001とはそれほど仕上がりに大差はありません。若干表面にコンパウンドが残っているものの、全フレット末端まで丁寧な処理です。

EARTと比較しても遜色なく、この価格帯では十分な見た目だと感じます。気になる点は見た目以外の要素につき、後述の演奏性『フレット』の項で解説です。
ヘッドシェイプ
これまで当ブログではGROTE製ギターについて、全価格帯の商品をレビューしてきました。LPS-023は新たな価格帯の商品となり、これまでとは異なるヘッドシェイプを採用しています。

形状自体はLPタイプのLP-03に近く、バインディングが省略された簡易的な設計です。LP-03と異なるのは横幅で、LPS-023は最大78mmの細長いスタイルとなっています。

突板も使用されておらず、ボディやネックと同じくマット仕上げのブラックです。
フィニッシュ
先に『遠目に見たルックスは上々』と表現しましたが、その理由がフィニッシュの品質にあります。率直に申し上げて、フィニッシュの質に多くを望まない方が無難です。

LPS-023はボディとネックが選択したカラーとなり、ヘッドトップはカラーを問わずブラックで統一されています。ですがボディとネックは塗装前の研磨不足が目立ち、随所にボコボコとした凹凸が発生です。

加えて塗料が厚塗り傾向で、油絵具を塗りたくったような雑な仕上がりとなっています。

厚塗り過ぎて気泡が発生している箇所も著しく多く、ジョイント部は液垂れして固まった状態です。

きちんと塗装されずに隙間が発生した箇所もあるなど、総じて価格帯の限界を感じます。ヘッドトップは塗装の境目が曖昧で、まんべんなく黒い塗料が滲んでいる始末です。

ネックもバインディングと塗料の境目が滲んでいるため、減点要素多数となります。表面はマット特有のサラサラした肌触りが得られるものの、この塗装状態で気持ち良く使えるかは疑問符です。

商品画像に惹かれた方も多いかもしれませんが、近くで見ると相当に粗が目立つ品質だと言えるでしょう。

フィニッシュ格付けチェックがあれば映す価値無し相当
ハードウェア
搭載されている金属パーツはクロームオンリーで、樹脂パーツはボディカラーによって変化します。グリーンとサンバーストはクリームのPUカバーとSWノブに、ゴールドのスピードノブを搭載です。

イエローは樹脂パーツが全てブラックとなり、第一印象が大きく変化します。バックパネルはカラーを問わずブラックで、コントロールキャビティはやや小型です。

本家LPSと異なる点として、ピックガードレスと電装系の簡略化が挙げられます。ピックガードは任意で増設可能ですが、電装系は1Volume1Toneのシンプルな構成です。

ブリッジもラップアラウンドではなく、スタンダードなTOMタイプが採用されています。
パーツグレード
各パーツのグレードはボーンナットとステンレスフレットを除き、標準的仕様の量産品のみです。Amazonやアリエク等で販売されている、激安パーツと大差のないグレードのものが使用されています。ピックアップはマグネットが表記されていないものの、GROTEの傾向から推察するにおそらくセラミックです。

GROTEではアルニコピックアップを搭載している場合、商品情報で露骨に強調する傾向があります。LPS-023ではそういった説明表記が確認出来ないため、セラミックマグネットの汎用P-90タイプと考えて間違いないでしょう。

なおパーツは全てミリ規格で設計されており、インチ規格パーツへの交換が難しいです。LP系のパーツはインチ規格が多いので、交換の際は規格をよくご確認願います。
ハイグレードなノブに交換しよう!
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演奏性:GROTE LPS-023 解説&評価レビュー

ここからは演奏に関わる要素について、各パーツ単位に焦点を当てチェックです。分解しての評価ではなく、開封後の動作確認時に調べる要素を重点に置きました。部品の機能性と組み込みの精度も含めて、可能な限り主観を除いた視点で精査します。

しかしながら前項の通り、LPS-023のパーツグレードは最低水準です

深掘りする程の品質ではないため、特徴のみ簡潔に列挙していくことをご了承ください
ペグ
ペグはL3+R3配列のノーブランド品で、ギア比は実測したところ1:15となっています。大型のグローバー風ペグボタンはカッコいいのですが、トルクは安定感に乏しいです。

管理人の個体では6個の内3個、ギコギコと内部で擦れるような触感があります。チューニング自体に差支えはないものの、精度はそこまで高くありません。

ネジ穴が45度のタイプにつき、GOTOH製SG381タイプのL3+R3配列がポン乗せ可能です。とりあえず現状のまま運用し、保証期間が切れた後は交換を検討しても良いでしょう。
頭の悪いペグの軽量化!
弦高&オクターブチューニング
工場直売ギターの場合、大半は弦高とオクターブが未調整のまま出荷されます。けれども管理人の個体は調整済みとなっており、すぐに演奏可能なコンディションでした。

弦高は.010-.046の弦を張った状態で6弦側が2.1mm、1弦側は1.7mmと気持ち高めのセットアップです。オクターブも12Fを基準として、特に問題の無い範囲内にチューニングされています。

弦高とオクターブは調整幅が残っているため、好みに合わせて再調整しましょう。Gibsonの標準弦高となる6弦側5/64インチ(約1.98mm)、1弦側3/64インチ(約1.19mm)にセットすることも可能でした。
激安弦高ゲージはこちら
ネック
マホガニー材のミディアムスケール安ギターとしては標準的で、12Fが52mmの設計です。ただし0フレット(ナット)は41mmの設計につき、ローフレットは細目に感じます。

グリップは標準的なCシェイプを採用し、指板のRが幾分フラット寄りです。GibsonのLPSとは握り応えが別物となり、インレイの面積が広い点もクセがあります。
妥協ポイントにご用心
指板は表面こそ整えられていますが、良く見ると茶色く着色されている木材です。メーカーが指板材を公表していないのは、着色前提の材を使用しているためと思われます。

バインディングは接着が乱雑で段差があるため、演奏時に指の腹が触れると違和感全開です。加えてバインディングも着色されているのか、不自然に白く盛り上がってる箇所が散見します。

こちらも指板と同様に、クリーム等のバインディング材を着色して流用しているものかもしれません。マットフィニッシュの恩恵でグリップ面は触感が良いものの、指板や指板側面の滑り心地は今一歩です。

メーカー的に妥協ポイントになっているのか、細部の仕上がりが他のパーツよりも雑に感じました。一応ネック本体に変な捻じれや反りはなく、ロッドも正常に稼働することを確認しています。

指板材はAmazonのぺージではローズウッドと書いてあるけど、公式サイトには材質表記無し


でもバインディング上に茶色の塗料が付着しているんだよね……
ボディ
ネックと同じくボディ材はマホガニーで、厚さが41.4~41.6mmのフラットトップです。バックコンターやエルボーカットは無く、重心バランスは良好となっています。

ジョイント部は一段低く設計されており、ハイフレット演奏時は親指置きとして活用可能です。

ホーン部もトップ側が軽く抉られているため、ライトハンド奏法時は小指を置くのに都合が良かったりします。

フィニッシュの情けなさこそ玉に瑕ですが、それなりに演奏性に配慮したボディ構造ですね。ハイフレットへのアクセスも良好につき、ネックと比較すると扱いやすく感じることでしょう。
ギターとの付き合いで乾拭きは必須!
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ナット
ナットサイズは41×6(mm)で、無漂白と思しきボーン製を搭載しています。適切な溝切りが行われており、1Fを押さえてシャープorフラットする箇所はありませんでした。

難点としてはバインディングやヘッドトップと一体感がなく、側面に段差が生じている状態です。角も面取りが行われておらず、開放弦を交えたコードでチクチクした痛みを感じます。

1万台でボーンナットは得難い要素である反面、ナットの仕上がりは安ギター準拠なのが惜しいですね。ナットの修正が出来る場合は側面を整え、面取りを行った方が良いと思われます。
フレット
LPS-023を購入するにあたり、最大の利点となるのがステンレスフレットの仕上がりです。ルックスだけでなく演奏性も悪くなく、全フレットで音詰まりやビビりが無いことを確認しています。表面もツルツルに整っているため、チョーキングやビブラートの手応えが抜群です。

フレットは安ギター最大の泣き所になることが多いので、短所が長所になっている点は評価に値します。気になる要素は指板の横幅に対し、フレットが気持ち短くカットされている点です。例として12フレットは指板横幅が52mmですが、フレットの最大横幅は51mm前後となっています。

バインディングの淵までフレットが到達しておらず、見た目ほどラウンド仕上げを活かせていない点に注意です。ラウンド仕上げは外観の美しさだけでなく、フレットの有効幅を広げることが利点とされています。

本品はフレットの有効幅を広げているとは言い難いので、外観の良さ以上の恩恵は得られません。フレットの有効幅自体は、通常仕上げのフレットと大差がないとお考えください。
ブリッジ
ブリッジ周りは普遍的なTOMタイプを採用し、サドルはオクターブスプリング無しです。材質はスタッドとサドル、オクターブスクリューがスチールですが、本体は亜鉛ダイキャスト製と思われます。テールピースもスタッドはスチール、本体は亜鉛ダイキャスト製です。

安価な組み合わせですが、これといって共振等はなく組み込みが良好となっています。支持間隔は74mmと81.5mmにつき、GOTOH製やWilkinson製パーツと互換性有りです。音質面は可もなく不可もない平凡な性能なので、徐々にグレードアップしていくのも一興でしょう。
これはIQの低いテールピース改造
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提案者の品性が問われるぜ!
センター
ネックとボディの組み込みに加え、TOMの各スタッド位置は合格点となっています。ピックアップザグリはブリッジ側は適切ですが、ネック側は1弦側に1mmほどズレていることを確認です。

そのためネックPUは1弦側ポールピースがギリギリで、辛うじて弦がかする程度の配置となっています。ブリッジPUが綺麗に収まっているため、ネックPUも頑張って欲しいところでしたね。


とは言え販売価格を考慮すれば、管理人の個体でも極端に悪くない部類です。個体差が激しいことが予想される要素につき、PUザグリやポールピースのズレはあるものと割り切りましょう。
電装系
電装系は1Volume1Tone3wayスイッチの構成で、スイッチは真横に動くようにセットされています。コントロールノブはゴールドのスピードタイプを採用し、エンボス仕様ではなく安価なプリント式です。


配線はビニール被覆のシールド線で行われており、コンデンサが100V0.027μFと特殊な値を採用しています。ポットの抵抗値は表記が無く、実測したところ500kΩであることを確認です。

ケースサイズが小型のミリ規格シャフトで、トルクは汎用品らしく強くも弱くもありません。アウトプットはプレート形式となっていて、金属製のものを側面に搭載しています。

プレートのネジ止めがラフ過ぎるため、演奏前にきちんと増し締めした方が良いでしょう。スイッチも安価なオープンタイプを搭載し、電装系は貧弱そのものです。

価格帯以上の品質は望めず、使用に伴う不具合が発生したらまとめて交換しても良いと思います。

キャビティ内は誘電塗料が塗布されていますが、塗料が薄く抵抗の強い箇所がチラホラです。有効なノイズ対策とは言えず、気持ちホワイトノイズが低減される程度の効果となっています。
電装系交換前に要チェック!
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余裕があればトルク以外に音質もこだわりたいポイント
重量
LPS-023の重量を実測したところ、約3.25kgとLPSタイプとしては非常に軽量な部類です。重心バランスの良さと相まって、長時間立った状態で演奏しても疲れにくく感じます。

スカジャン等のツルツルした繊維の衣装を除いては、ヘッド落ちの心配もなさそうです。身体への負担が少なく、ステンレスフレットと並びメリットになる要素だと言えます。

ストラップピンが大型につき、早急な交換は必要無い点も好印象ですね。ストラップ抜けに万全を期す場合のみ、ストラップブロックの併用やロックピンの導入を検討しましょう。
ストラップブロック&ロックピンで暴れよう!
サウンド:GROTE LPS-023 解説&評価レビュー
軽量&スリムボディの機種全般の宿命ですが、LPS-023は生鳴りの迫力に欠けています。通常のLPタイプよりも1kg以上軽く大きな音が出せないため、サウンドの大部分はピックアップ頼りです。

ピックアップはセラミックのP-90タイプを2基搭載し、ハムバッカーとは異なる音色に期待がかかります。しかれどもこのP-90タイプが曲者で、まるでP-90らしさが感じられません。アンプを通した音は通常のシングルコイルに近く、P-90特有の太くて甘い響きには程遠いのです。
ブリッジピックアップ
ブリッジ側の直流抵抗値は8.39kΩ、ポールピースピッチは10.4mmで設計されています。出力は高いのですがローエンドが異様に弱いため、出力値ほど大きな音に聞こえません。

帯域もミッドハイに集中しているのか、TL用ブリッジピックアップのようなトーン傾向です。音に暖かみは一切感じられず、ゲインを上げても歪みにくいタイプとなっています。これはこれで面白いものの、チープさの否めない実に安ギターらしい音色ですね。
ネックピックアップ
ネック側の直流抵抗値は8.76kΩで、ポールピースピッチは10.0mmで設計されています。ブリッジよりはP-90に近いニュアンスを保っており、低~中音がしっかりした音色です。

トゲトゲしい耳ざわりな倍音も感じられますが、パワーのあるリードトーンが再現出来ます。さりとて安ギタ―的な音色の範疇につき、P-90としては物足りなく感じるのも事実です。ちなみにネック側の方が抵抗値が高くて出力バランスが悪いため、PU高を低めにセットしました。
ピックアップハイパワー系に交換してみよう!
倍音特性 (A2/110.00Hz)

管理人の主観はアテにならないので、倍音特性や周波数特性を確認していきます。倍音は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) のスペクトラムを採用です。
i.ブリッジピックアップ

非整数倍音が控えめな点は良いのですが、全体的に奇数次倍音に偏り過ぎています。偶数次倍音が優位に立てる帯域が少なく、無機質で冷たく聞こえる響き方です。コンプレッション感は控えめにつき、鋭く切れ込むアタックを活かせる曲に向いています。
ii.ネックピックアップ

ブリッジ側ほどではないものの、ネック側も奇数次倍音が前に出やすい傾向です。異なる点は非整数倍音の大きさで、常に音程を伴わなぬ重い空気感を内包しています。枝毛状の非整数倍音も多いため、音の太さに反して高音のサスティーンがシャギーです。バイト感とは異なる鼓膜に刺さるような痛さがあり、高音や超高音のカットが重要となります。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性

周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
1.ブリッジピックアップ

管理人が想像した以上に、TL用ブリッジピックアップのような周波数特性です。低音に関してはPLAYTECH TL280より弱く、800~2kHzの中高音が強烈となっています。どのような意図でこのようなトーンに調整されているのか謎ですが、おそらく何も考えないで設計しているというのが正解でしょう。使いどころがとても難しい音なので、交換ありきで購入した方が良さそうですね。
2.ネックピックアップ

ブリッジとは対照的に、全ての帯域でバランスが良好となっています。100Hz以下の重低音のみ多少控えめですが、低音から高音まで平均以上の値を計測です。倍音特性の兼ね合いで高音の調整に留意すれば、ゴリっとした硬太いサウンドを楽しめます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
GROTE LPS-023 解説&評価レビュー まとめ
GROTE LPS-023は1万台でラウンド仕上げステンレスフレット搭載という字面の浪漫感とは裏腹に、価格帯の限界を痛感せざるを得ない商品です。ステンレスフレットと軽さ以外に利点が少なく、評価としてはデメリットが目立つギターに仕上がっています。

とりわけ塗装の雑さは目も当てられず、これなら無塗装で販売してくれた方が良かったと感じるレベルです。管理人が個体差の最下限を引いた可能性も高いですが、いずれにしてもギャンブル要素が付きまとう商品だと思います。

下手をすると1万台でも高くつく場合があるため、コスパの良いお買い得ギターとは断言出来ません。デメリットをどの程度まで許容出来るのか、海外製品慣れと安ギター忍耐力が求められるギターです!

かなり酷評気味だけど、この仕様で価格帯の限界に挑んだ姿勢は◎!

自宅倉庫にGROTE製ギターが何十台も転がっている管理人のような人種など、一部のコアなGROTEファンは試す価値アリだね!
この世界の安ギターには
『夢』がある!
- 未完 -
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安ギターに手を出す際の注意事項!
最後になりますが、この手の安ギターは必ず『個体差の幅』が存在します。管理人の入手した個体より良い場合、または悪い場合もあるものとお考え下さい。

量産品である以上、手にした一台のギターだけで仕上がりの中央値を判断出来ません。当ブログの情報も含め、常に『もっと悪い場合がある』事を意識して手を出しましょう。
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